火事に遭った建物を解体するまでの対応手続きの流れや費用目安を解説
何らかの被害に巻き込まれて、建物や家屋が火事にあってしまうこともあります。そうした災難にあった場合も冷静に行動することができるように、あらかじめ解体の流れや費用について知っておくことが大切です。
本記事では、建物や家屋が火事にあった場合の必要な対応や解体までの手順などについて解説しますので、参考にしてください。
火事にあった建物の手続き・解体の流れ
自宅やビル、マンションなどが火事の被害にあった場合、なかなか冷静に行動できないこともあります。その中で、優先的にやっておくべきことを頭に入れておきましょう。
まずは、消防署に連絡をして火事を鎮静化してもらう必要がありますが、一旦火事が落ち着いたらその後は解体工事に向けて動き出すことになります。
- 罹災証明の取得
- 保険会社への連絡
- 解体業者への連絡
- 仮住まいの手配
- 火災物件の解体工事
罹災証明の取得
火事にあった場合、最初に行うのが罹災証明の取得です。これは消防署が火災にあったことを証明する書類であり、その後の手続きにも欠かせない書類となります。
罹災証明は火事を消火した消防署に行くことで受け取れます。消防署に備え付けられている所定の用紙に記入、認印を押して提出すると発行されます。
罹災証明書を取得すると、固定資産税の減免申請や火災保険の申請も行うことができるようになります。
また、火事現場での市区町村の清掃局へ片付けを依頼する際にも罹災証明が必要です。一連の手続きや解体工事が終わるまで大切に保管しておく書類です。
保険会社への連絡
罹災証明を取得できたら、続いて保険会社へ連絡を入れることになります。
住宅ローンを組む際や賃貸契約時に、任意の火災保険に加入するケースが一般的です。その場合は加入している保険会社に連絡をして保険金の請求と受け取りを行いましょう。
保険会社に連絡する際に罹災証明書の提出が求められます。罹災証明は保険金を受け取るために必要なので、事前に取得しておく必要があります。
解体業者への連絡
建物や家屋が火事にあった場合、個人の力ではどうすることもできません。解体業者に見積もりや作業の流れを提示してもらい、解体工事を依頼することになります。
基本的に、見積もりに関しては無料で行ってくれる解体業者がほとんどです。まずは、現場に来てもらい、解体作業の流れや解体後の処理、その他のトータルの対応や手続きも含めて話を聞いておきましょう。
その中で依頼したいと思える解体業者があれば、解体工事の発注契約を行い、施工へと進みます。
仮住まいの手配
自宅が火事で燃えてしまった場合、そこに住み続けることはできません。管轄の自治体に相談することで、市営住宅に入居させてもらえることもあります。
また、契約している火災保険会社から仮住まいに入居するための補助金を出してもらえる場合もあります。
解体工事の手配などと合わせて、自分たちの仮住まいと安全を確保しておきましょう。
火災物件の解体工事
解体業者選びと契約が完了したら、火災物件の解体工事へと移っていきます。
騒音や振動、ホコリや解体作業者等の出入りで周辺の方に迷惑がかかることもあるので、あらかじめ解体工事前に近隣住民やオフィスなどへ挨拶をしておくと良いでしょう。
解体施工後は、現場の状態を確認するための立ち会いを行います。そこで何の問題もなければ、解体業者に契約金額を支払って工事終了となります。
火災物件の解体費用相場・目安
火事にあった場合の解体費用は数百万円から数千万円単位になることがほとんどで、個人の財布から捻出するのはとても苦しい金額となることが多いです。
そのため、火災保険を利用したり、補助金制度を利用したりして何とか工面する必要があります。建物や家屋の面積や、建物の構造でも解体費用は変わっていきます。
例えば、45坪の木造住宅が全焼した場合、解体費用の目安としては250万円から300万円前後となります。また、90坪の鉄筋コンクリート製住宅が全焼した場合は1,000万円超の解体費用がかかることもあります。
家屋や建物の構造、面積などを考慮した中で、どれくらいの費用がかかるのかイメージしておきましょう。
火事による建物や家屋の解体費用内訳
火事による建物や家屋の解体に限らず、解体費用にはそれぞれの内訳があります。
基本的には、
- 基本解体費用
- 人件費
- 廃棄物処分費
- 必要諸経費
の4つに分類して解体費用が算出されることになります。ここに解体業者の利益分が上乗せされて計算されるのが解体費用の内訳です。
基本解体費用については地域によってばらつきがあり、都心部に近づくに連れて高くなる傾向にあります。最も安いのは北海道でも最も高いのは東京都です。基本解体費用の相場は1坪あたり2万円から6万円程度となります。住宅の立地や建物の構造によって単価も変わっていきます。
人件費は1人あたりの日給がベースとなっており、1日あたりの相場が1万円から2万円程度となります。派遣される人員の数と派遣日数によって人件費が算出されます。
また、廃棄物処分費は解体した家屋や建物を処分するために必要となる費用です。全焼した家屋を処分する場合、解体費用合計の10%から20%程度が相場金額となります。
必要諸経費は防音対策費用や足場設置費用、家屋を養生する費用や重機の燃料費などが中心となります。解体業者から近隣住民へ粗品を送る場合は粗品代も必要諸経費に含まれます。これらの費用を全て合算した上で解体費用金額が決まります。
火災残骸処理費用の補助金制度
火事による解体工事の費用負担を少しでも軽減するために、火災残骸処理費用の補助金制度を利用するのもおすすめです。火災残骸処理費用の補助金制度とは、行政が火災ゴミ処分費用の一部や全部を負担してくれるものです。
お住まいの地域によって制度があるかどうか変わってくるため、万が一、火災にあった場合は調べてみてください。火災保険の利用と合わせて補助金制度を利用すれば、少しでも経済的な負担を和らげることができます。
火事にあった場合の解体業者選び
火事にあった場合は解体業者に依頼をして、建物や家屋の解体工事を行ってもらうことになります。解体業者選びについては闇雲に行うのではなく、しっかりとした目的を持って依頼しましょう。
何も知らずにいると業者の言いなりになってしまい、高い金額提示をされることもあるので注意が必要です。基本単価が高い工事となるので、少しでも良心的な金額で解体工事をしてくれる業者にお願いすることが賢明です。
複数業者への見積もり
解体業者選びの際は、複数の業者に見積もりを依頼するのが有効です。1社だけで決めてしまうと、その金額が高いのか安いのかわかりません。また、作業の流れや処分の仕方が正しいのかどうかわからないという事態も発生します。
2社や3社程度の話を聞くことで、解体工事にかかる金額感や具体的にどういった作業をするのか理解しやすくなっていきます。その中で1番良いと思った業者に依頼しましょう。
火事でパニック状態に陥ってしまうこともありますが、1社だけで即決めてしまうのは少々リスクが高いです。
火災保険の適用
解体業者に依頼する際は、火災保険の適用範囲も確認しておくと良いでしょう。事前に保険会社に連絡をして、いくらまでであれば費用負担をしてくれるのか確認することです。その範囲外については基本的に自己負担となります。
また、保険会社に連絡を入れる前に解体工事を進めてしまうと、保険金が下りないケースも出てきます。必ず最初に保険会社に連絡を入れて、適用範囲と保険の適用を依頼しておきましょう。
まとめ
建物や家屋が火事にあった場合の一連の手続きや流れ、火災物件の解体費用などについて解説してきました。
建物や家屋が火事にあってしまうのは不幸ですが、実際に被害が出るケースもあります。決して他人ごとではなく、自分ごととして認識して、一連の流れを押さえておくことが大切です。
いざという時には冷静に行動できるように、日頃から避難経路の確認や保険の見直しも含めて、事前にできる対策を講じておきましょう。