神奈川県の解体工事業者一覧と費用相場について解説
神奈川県の解体工事を巡る状況
神奈川県は関東平野の南西部に位置し、東京都に隣接しています。全国最多となる横浜市・川崎市・相模原市の3つの政令指定都市を持ち、この3市で神奈川県の人口の約3分の2を占めています。県全体としては令和2年2月時点で約920万人を有しており、全国では東京都に次いで2番目に人口の多い大都市となっています。
神奈川県は東部と西部で異なる特色を持っており、東部は横浜みなとみらい21をはじめ鎌倉、江の島など、洗練された街並みと多くの観光名所がひしめいています。一方で、西部は箱根温泉や湯河原温泉、丹沢湖周辺のレジャースポットなど、ゆっくりと楽しめる魅力的なエリアが多くあります。
神奈川県は工業の発展に伴う急速な人口増加や産業集積により、既成市街地では道路の整備が遅れ、木造密集地域など防災性の低下した地域が多く発生しました。こうした住環境の悪化した地区において都市機能の更新を図るため、現在も横浜市や川崎市等を中心に市街地再開発事業が進められています。
また、2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、神奈川県でセーリングやサッカーなどの4競技が行われるため、関連施設および周辺のホテル、ビル、店舗などの建設や建て替えに伴う解体工事等が急ビッチで行われています。
神奈川県の解体工事費の相場(平均坪単価)
東京までのアクセスが良好な神奈川県は住宅都市としての性質を持ち、都市部ではタワーマンションやニュータウンが広がるなど多くの建物が立ち並んでいます。一方で、川崎・横浜地域、県央地域、湘南地域以外は高齢化が加速しており、今後は古い住宅等の解体工事が増加していくでしょう。
解体工事の対象となる建物には、大きく分けて「木造」「鉄骨造」「RC造」の3種類があります。それぞれの建物の構造によって、解体方法や費用も異なるため、解体を考えている場合はまずは所有する建物についてよく知っておくことが大切です。
神奈川県における解体費用の相場は、東京都心に比べると安めの金額ですが、全国的に見ると決して安い方とは言えません。神奈川県では、自治体によっては解体工事に関わる助成金制度などを設けているため、上手に利用すると解体工事にかかるコストを抑えられる可能性もあります。
では、3つの構造ごとに、解体を依頼する際の注意点、助成制度などについて紹介していきます。
木造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | 4.0万円 |
20〜29坪 | 3.7万円 |
30~39坪 | 3.4万円 |
40~49坪 | 3.1万円 |
50~59坪 | 3.0万円 |
神奈川県では、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市などに木造密集地域が多く見られます。木造が密集した地域では、発生の切迫性が指摘されている神奈川県西部地震、首都直下型地震などが起きると、住宅の倒壊や火災による延焼などが心配されます。そのため、県内の多くの市町村で木造耐震診断補助制度、木造耐震改修補助制度を設け、住宅の耐震改修を促進しています。
また、横浜市や川崎市などでは火災による被害が大きいと想定される地域で古い住宅を解体する場合、除却工事費等の一部を補助する制度、厚木市や横須賀市などでは空き家の解体工事補助制度を設けています。
神奈川県で木造建物の解体工事を行う場合、費用の相場は上記の表の通りとなりますが、自治体によっては前述したような補助制度を設けているところもあるので、事前にホームページ等で確認しておきましょう。
また、同じ県内で同じような構造、広さの建物を解体する場合でも、地域によって費用の相場も若干変わります。まずは信頼できる解体業者を探し、現地調査をしたうえで見積もりを出してもらうことをおすすめします。
鉄骨造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | |
20〜29坪 | 2.7万円 |
30~39坪 | 3.5万円 |
40~49坪 | 2.6万円 |
50~59坪 |
神奈川県では、横浜市のみなとみらい周辺地区、厚木市の本厚木駅南口、川崎市の川崎駅西口など、県内各地で再開発事業が進められています。特に、横浜駅やみなとみらい地区では2020年代前半に多くの建物が竣工予定となっており、建設ラッシュはピークを迎えています。老朽化の進んだ鉄骨造のビルや店舗などの解体工事も、ここ数年は増加傾向にあります。
鉄骨造の解体工事で最も注意しなければならないことは、建物にアスベストが使用されているかどうかです。1960年代の高度経済成長期に建築された鉄骨造の建物には、軽量耐火被覆材としてアスベストが使用されているケースが多く見られます。アスベストを除去するには、含まれる場所にもよりますが20万円程度から数百万円前後もかかる場合があります。決して安い金額ではないため、業者選びも慎重に行いたいところです。
神奈川県では、横浜市・川崎市・相模原市など12市を除く県内の市町村を対象に、民間建築物を所有する方に対しアスベスト含有調査にかかる費用の補助を行っています。また、対象外の地域でも自治体によってはアスベスト含有調査や除去等に要する費用の補助制度を設けているところもあるため、解体する建物がある自治体のホームページ等で確認することをおすすめします。
RC造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | |
20〜29坪 | |
30~39坪 | |
40~49坪 | 5.9万円 |
50~59坪 | 6.1万円 |
神奈川県内には、高度経済成長期に建設された団地やマンションなどが多くあります。これらの建物は老朽化が進んでいることに加え、人口減少や少子高齢化が要因となり、空室の目立つ建物も多く見受けられます。
RC造の建物は規模の大きなものが多く、解体工事の際は騒音や振動が発生します。神奈川県では、全ての市(19市)と葉山町・寒川町に騒音規制法・振動規制法の指定地域を有しており、この地域で著しい騒音又は振動を発生する作業を行う場合は、作業を開始する7日前までに各市町村に届け出が必要です。
一般的に解体工事を請け負う業者は、建設業許可または解体工事業登録が必要とされていますが、中には無許可で工事を行っている業者も存在します。また、許可を得ていても、各種届出を申請せずに着手する業者もあります。解体業者を選ぶ際は、こうした必要な資格等を有しているかどうかを見極めることも重要なポイントと言えます。
神奈川県で実際に行われた解体工事の費用事例
建物解体工事以外の案件や飲食店などの内装解体を行いたい方は、前述した費用相場を見てもピンとこないことでしょう。そこで、解体工事見積もり広場へご相談頂き、実際に受注にいたった案件の費用事例を随時ご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
神奈川県で設備解体工事を依頼する前に知っておくべきこと
店舗やオフィスの設備を解体する工事の総称は内装解体
設備解体工事といっても人それぞれ認識が異なることが多く、業者への見積もり前にあらかじめ理解を深めた上で依頼することが大切です。
ここでは、主に店舗やオフィスで依頼することがある工事の種類や名称、その内容の違いなどについて解説していきます。
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内装解体
内装解体とは、スケルトン工事や原状回復工事の総称です。
具体的には、スケルトン工事や原状回復工事を行う際に、店舗・オフィス内の造作物(厨房設備やカウンターなど入居時になかった物)を解体して撤去する作業のことを言います。
スケルトン解体工事
スケルトン解体工事とは、建物の構造体以外は何もない状態へ戻す工事の名称です。
入居時の内装工事で造作した間仕切りや天井、壁や床などの造作物を全て撤去していきます。鉄筋コンクリート造のビルなどの場合、コンクリート打ちっぱなしの状態と表現されます。
スケルトン工事、スケルトン仕上げ、スケルトン戻し、などと呼ばれることがありますが、そのどれもスケルトン解体工事のことを指しており、意味は同じとなります。
原状回復工事
原状回復工事とは、店舗やオフィスなど物件を借りた際の元々の状態にまで戻し、貸主に返却するために借り主が行う工事です。
物件を借りた時点でスケルトン状態だったのであれば、原状回復工事はスケルトン工事となり、そうでなければ造作物など後から付けたものを撤去する工事となります。
例えば、飲食店など店舗として物件を借りる場合、スケルトン状態で借りていることが多く、オフィスや事務所として借りる場合、スケルトン状態ではないケースが多いでしょう。
※物件を借りた際の契約書に解約時の原状回復工事内容について記載されています。
設備解体工事
設備解体工事とは、一般的に工場などの設備を解体するプラント設備解体工事を指す場合がほとんどです。店舗やテナントの場合、借りた際にはなかった厨房などの設備を解体・撤去する工事の名称としてはあまり使われません。
そのため、飲食店などの店舗を移転・閉店する際に厨房設備などを撤去・解体したいのであれば、多くはスケルトン解体工事を依頼することになるでしょう。
また、飲食店の改装などで現場を解体・撤去してスケルトン状態にするために、消火用設備電源装置などの消防設備工事も必要なケースがあります。そういった場合は消防設備工事業務、整備業務、点検業務も同時に対応可能な解体業者に相談してください。
まずは間違いを起こさないために、賃貸借契約書などで解約時の工事内容について確認した上で、解体業者に見積もりを依頼しましょう。
神奈川県の空き家の種類と件数
ここからは、神奈川県に空き家はどのくらいあるのか、また空き家に関する県の対策などを見ていきましょう。
平成30年住宅・土地統計調査によると、神奈川県の空き家数は484,700件で、東京都、大阪府に次いで3番目に多い数字です。しかし、空き家率で見ると10.7%で、全国で4番目に低い数字になっています。
つまり、神奈川県は住宅総数の多さに比例して空き家の数も多いものの、住宅総数に占める空き家の割合は全国でもかなり下位に位置していることがわかります。また、空き家率は県内でもばらつきがあり、最も低い綾瀬市で7.7%、最も高い湯河原町では33.4%を示し、全体的に三浦半島、相模湾沿岸地域などで空き家率の高さが目立ちます。
神奈川県には約450万戸の住宅があり、住宅総数は全国で第3位です。平成25年から30年の5年間で約15万戸増加しており、増加数は東京都に次いで2番目の数字です。一方で、空き家に関してはこの5年間で総数・空き家率共に減少しており、1958年の調査開始以降初めて減少に転じました。
神奈川県の空き家の内訳は、「賃貸用の住宅」が295,000件、「売却用の住宅」が23,800件、「二次的住宅」が18,100件、「その他の住宅」が147,700件です。空き家の中で最も多いのは「賃貸用の住宅」ですが、賃貸および売却物件は利用目的がはっきりしているため管理が行き届いており、借り手・買い手が見つかる可能性が十分にあります。また、「二次的住宅」に関しては、箱根や鎌倉などに別荘を持つ人も多く、定期的に利用されていれば問題はないでしょう。
神奈川県で最も問題となる空き家は、「その他の住宅」に分類される物件です。数としては賃貸用住宅よりも少なく、空き家全体に占める割合は30%ですが、この5年間で14,500件も増加しています。「その他の住宅」は転勤や入院など何らかの理由により長期不在になっている住宅を指し、所有者が高齢または死亡しているなどのケースが多く見られます。神奈川県には75歳以上の単身世帯が住む持ち家、いわゆる「空き家予備軍」が約17万戸あり、空き家は今後ますます増加することが懸念されます。
県内の空き家の破損状況を見てみると、破損等ありが84,000件、破損等なしが400,600件で、修繕等をしなくても活用できる空き家が圧倒的に多いことがわかります。しかし、破損等のある建物については、管理をしっかり行う、またはリフォームするなどの対処をしなければ、災害等により倒壊しやすくなったり、地域の景観が損なわれるなどの悪影響を及ぼします。
腐朽・破損のある物件の内訳は、「賃貸用の住宅」が45,300件、「売却用の住宅」が2,300件、「二次的住宅」が2,900件、「その他の住宅」が33,600件で、賃貸用とその他の住宅で90%以上を占めています。賃貸用住宅も老朽化が進むと入居者も減り、いずれは「その他の住宅」に転じてしまうため、早めの修繕等の対処が望ましいでしょう。
神奈川県のみならず、全国的に空き家の増加問題が深刻化しており、2015年には「空家等対策特別措置法」が施行されました。これを受け県内の市町村でも空き家に対する各種対策を進めている中、神奈川県では指針となる「神奈川県空家等対策計画(モデル計画)」を策定し、対策計画の策定を行う市町村に対し活用等を呼びかけるなど支援をしています。
また、国土交通省が行う「先駆的空き家対策モデル事業」の補助を受け、神奈川県居住支援協議会が空き家調査や利活用に関する3つのマニュアルを作成して活用を促すなど、市町村の空き家対策を積極的に支援しています。
また、空き家の相談窓口としては、ホームページ上で県内市町村の相談窓口一覧、空き家所有者向けの総合相談窓口の案内チラシを掲載しています。
まとめ:神奈川県の家・空き家の解体は地元の解体業者に相談を
神奈川県の空き家率は全国的に見て低いものの、数としては約48万戸もあるのが現状です。空き家の中でも最も問題とされる「その他の住宅」に関しては増加傾向にあり、今後高齢化が加速するとますます増加することが懸念されます。
市町村の空き家対策について県は積極的に支援している状況ではありますが、空き家バンクを開設している自治体は全体の半分もないなど、現状は県内の空き家対策が十分に整っているとは言えないでしょう。
空き家を増やさないためには、居住者が亡くなった後のことを家族や親族で話し合っておくことも有効な手段と言えます。県のホームページ上では、「住まい」のエンディングノートの役割を果たす『空き家にしない「わが家」の終活ノート』を公開しているため、この資料に記入しておくことや、家族間の話し合いに使用することもおすすめです。
また、空き家の解体を決意した際には、自治体の補助金制度等を確認し、速やかに信頼できる解体業者に依頼するようにしましょう。