岩手県の解体工事業者一覧と費用相場について解説
岩手県の解体工事を巡る状況
東北地方の太平洋側に位置する岩手県は、日本の都道府県の中では北海道に次いで2番目、本州では最も広い面積を有しています。内陸部の大部分は山岳丘陵地帯で占められ、全国2位の広さを持ちながらも可住地面積割合は24.3%と、全国40位の低さとなっています。
岩手県は雄大な山々や海など豊かな自然に囲まれており、新鮮な魚介類などのおいしい食べ物も豊富な魅力ある地域です。県では移住・定住促進に力を入れており、岩手県に移住し就業又は起業した方に対し最大100万円の移住支援金を支給する「岩手県移住支援事業」を行っています。
岩手県における平成27年の国勢調査時の人口は約127万人、世帯数は約52万世帯で、盛岡市の周辺に位置する矢巾町・滝沢市は人口・世帯数ともに増加していますが、その他の多くの市町村では人口が減少しています。特に、東日本大震災以降は、津波の影響を受けた沿岸地域等からの人口流出が続き、県全体としては世帯数の増加は見られるものの、人口は減少傾向にあります。
岩手県は全国に先駆けて高齢化社会が到来しており、今後も少子・高齢化の傾向は長期にわたって続くことが見込まれています。高齢化に伴い空き家も増加することが懸念されており、管理が適切に行われていない空き家等の解体工事も増加するでしょう。
岩手県の解体工事費の相場(平均坪単価)
変化に富んだ地域性を持つ岩手県では、盛岡市を中心とした都市部、東日本大震災により甚大な被害を受けた沿岸部、過疎化が懸念される中山間地域など、地域ごとに多様な住環境の整備が求められています。県内には解体業者が豊富にありますが、業者にも優良業者、または悪徳業者等があるため、解体を依頼する際はきちんと見分けることが重要なポイントになります。
解体費用は、「木造」「鉄骨造」「RC造」のどの構造かによって異なるほか、建物のある地域、周辺環境などによっても差が生じます。業者に正確な見積もりを出してもらうためには、所有する建物の図面等を用意しておくと打ち合わせもスムーズに進みます。
ここでは、建物の構造ごとの解体費用相場、業者に依頼する際の注意点等をご紹介します。
木造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | 3.9万円 |
20〜29坪 | 4.1万円 |
30~39坪 | 3.6万円 |
40~49坪 | 3.3万円 |
50~59坪 | 3.0万円 |
岩手県は2011年に発生した東日本大震災により、沿岸部を中心に多くの木造住宅が失われました。震災の爪痕は今もなお残り、完全な復興まではまだまだ時間がかかる状況ですが、着実に復興が進んでいます。県および各市町村では「住みたい岩手の家づくり促進事業」、「東日本大震災津波の被災者向け住宅再建支援制度」などの補助制度を設けており、住宅の建設や仮設住宅の解体等が進められています。
木造建物の解体工事は複雑な工程がそれほどないため、鉄骨造やRC造の解体と比べると安く済むことがほとんどです。しかし、住宅が密集した地域や道幅が狭い場所などは重機の搬入が困難で、その分費用が高くなる場合もあります。岩手県は人口の多い盛岡市などの一部で住宅密集地が見られますが、県全体としては人口密度の低い住宅地が形成されているため、こうした心配はあまりないと言えるでしょう。
しかし、その分敷地の広い住宅が多く、解体の際に庭木の除去、ガレージの撤去等が伴うことも多いようです。こうした費用は付帯工事費として計上されるため、打ち合わせの際にはしっかりと確認しておくことをおすすめします。
鉄骨造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | 3.9万円 |
20〜29坪 | 3.8万円 |
30~39坪 | 3.6万円 |
40~49坪 | 3.5万円 |
50~59坪 | 3.5万円 |
全国に比べ持ち家率の高い岩手県ですが、その多くは木造の一戸建て住宅です。住宅としては鉄骨造の建物は少ない状況ですが、商店街の店舗やオフィスなどは鉄骨の構造のものが多くあります。木造よりも造りが頑丈な分、解体にも手間がかかるため、解体費用も木造に比べると高額になります。
解体工事を行うことができるのは、解体工事業登録を受けている、または建設業許可を取得している業者のみとなります。解体工事業登録は500万円までの解体工事のみしか請け負うことができないのに対し、建設業許可を取得している業者は金額に関わらず大規模な建物の解体工事も行うことができます。
どちらも保有していない業者は法律に違反している業者ということになるため、トラブルを避けるためにも許可を受けているかどうか事前に確認してから工事を依頼することをおすすめします。
RC造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | |
20〜29坪 | |
30~39坪 | |
40~49坪 | |
50~59坪 | 4.1万円 |
最後に、RC造の解体費用の相場について解説します。RC造とは鉄筋コンクリート造のことで、柱や梁などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用いる構造です。構造が複雑で頑丈に造られている分、解体費用も木造・鉄骨造に比べて高くなります。RC造の建物には、マンション、病院、団地など規模の大きな建物が多くあります。
若年層の流出や高齢化の進行が著しい岩手県では、空室の多い団地やマンション、老朽化の進んだ建物などが多く、解体工事や建て替え工事が検討されているものもあります。
コンクリート、アスファルト・コンクリート、コンクリート及び鉄からなる建設資材や木材などの特定建設資材を用いた建物(床面積80平方メートル以上)を解体する場合は、建設リサイクル法に基づき、廃棄物を種類ごとに分別、再資源化、着工前の届け出等が必要になります。
届け出先は、県または自治体のホームページ等で確認することができます。RC造の解体は工事の規模が大きくなり近隣住民にも影響があるため、こうした段取りや近隣への対応をしっかり行うことができる解体業者を選ぶことが重要です。
岩手県で実際に行われた解体工事の費用事例
建物解体工事以外の案件や飲食店などの内装解体を行いたい方は、前述した費用相場を見てもピンとこないことでしょう。そこで、解体工事見積もり広場へご相談頂き、実際に受注にいたった案件の費用事例を随時ご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 岩手県における解体工事の費用事例は現在作成中となっております。
岩手県で設備解体工事を依頼する前に知っておくべきこと
店舗やオフィスの設備を解体する工事の総称は内装解体
設備解体工事といっても人それぞれ認識が異なることが多く、業者への見積もり前にあらかじめ理解を深めた上で依頼することが大切です。
ここでは、主に店舗やオフィスで依頼することがある工事の種類や名称、その内容の違いなどについて解説していきます。
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内装解体
内装解体とは、スケルトン工事や原状回復工事の総称です。
具体的には、スケルトン工事や原状回復工事を行う際に、店舗・オフィス内の造作物(厨房設備やカウンターなど入居時になかった物)を解体して撤去する作業のことを言います。
スケルトン解体工事
スケルトン解体工事とは、建物の構造体以外は何もない状態へ戻す工事の名称です。
入居時の内装工事で造作した間仕切りや天井、壁や床などの造作物を全て撤去していきます。鉄筋コンクリート造のビルなどの場合、コンクリート打ちっぱなしの状態と表現されます。
スケルトン工事、スケルトン仕上げ、スケルトン戻し、などと呼ばれることがありますが、そのどれもスケルトン解体工事のことを指しており、意味は同じとなります。
原状回復工事
原状回復工事とは、店舗やオフィスなど物件を借りた際の元々の状態にまで戻し、貸主に返却するために借り主が行う工事です。
物件を借りた時点でスケルトン状態だったのであれば、原状回復工事はスケルトン工事となり、そうでなければ造作物など後から付けたものを撤去する工事となります。
例えば、飲食店など店舗として物件を借りる場合、スケルトン状態で借りていることが多く、オフィスや事務所として借りる場合、スケルトン状態ではないケースが多いでしょう。
※物件を借りた際の契約書に解約時の原状回復工事内容について記載されています。
設備解体工事
設備解体工事とは、一般的に工場などの設備を解体するプラント設備解体工事を指す場合がほとんどです。店舗やテナントの場合、借りた際にはなかった厨房などの設備を解体・撤去する工事の名称としてはあまり使われません。
そのため、飲食店などの店舗を移転・閉店する際に厨房設備などを撤去・解体したいのであれば、多くはスケルトン解体工事を依頼することになるでしょう。
また、飲食店の改装などで現場を解体・撤去してスケルトン状態にするために、消火用設備電源装置などの消防設備工事も必要なケースがあります。そういった場合は消防設備工事業務、整備業務、点検業務も同時に対応可能な解体業者に相談してください。
まずは間違いを起こさないために、賃貸借契約書などで解約時の工事内容について確認した上で、解体業者に見積もりを依頼しましょう。
岩手県の空き家の種類と件数
解体工事の対象となる建物の多くは、所有者が亡くなったり引っ越し等により住んでいる人のいない、いわゆる「空き家」です。近年、空き家の増加が社会問題となっていますが、岩手県にも多くの空き家が存在します。ここでは、岩手県の空き家の種類や件数、県の空き家対策などについて紹介していきます。
平成30年住宅・土地統計調査における岩手県の住宅総数は579,300件、空き家総数は93,500件です。空き家率は東北地方で最も高い16.1%で、前回の調査時(平成25年)と比べると2.3ポイント上回り、過去最高の値となっています。
平成25年から30年までの5年間で空き家率が上昇した府県は29に上り、その中でも岩手県は福島県、宮城県に次いで3番目に増加ポイント幅が大きくなっています。空き家の内訳は、「賃貸用の住宅」が38,600件、「売却用の住宅」が1,100件、「二次的住宅」が3,500件、「その他の住宅」が50,200件です。
今回の調査で空き家率の上昇した県は、福島県、宮城県、岩手県と、東日本大震災の復興が進んだ県が多いことがわかります。この背景には、平成25年の調査時には震災により住宅を失った世帯の多くが賃貸用住宅や仮設住宅に移り住んでいましたが、今回の調査時は住宅再建の基盤が整い、賃貸用住宅や仮設住宅から転居した世帯が多いことが関係していると考えられます。実際に岩手県の賃貸用住宅の空き家の数を見てみると、この5年間で約8,400件増加しています。
また、岩手県では、長期にわたり人が住んでいない、または取り壊す予定になっている「その他の住宅」の割合が空き家全体の54%を占めています。全国の「その他の住宅」の割合(41.1%)から見ても、岩手県には賃貸・売却等として活用されていない物件が非常に多いことがわかります。令和元年の岩手県の高齢化率は30%を超えており、今後ますます少子高齢化が進行すると予測されていることから、利用目的のない空き家は一層増加することが懸念されます。
岩手県の空き家のうち、腐朽・破損のある建物は22,700件あり、そのうち14,100件が「その他の住宅」に分類される建物です。更に、建て方別で見ると、一戸建てが12,300件、長屋建が700件、共同住宅が900件、その他が200件と、一戸建て住宅が最も多い状況です。劣化の進んだ空き家は、倒壊や火災等の危険、防犯・衛生上の課題等も生じます。
こうした空き家は一定のリフォームを行う場合、お住まいの市町村によっては補助金を受けられる場合もあります。リフォームを行うと賃貸や売却物件として市場に流通させることができ、空き家の有効活用に繋がります。
岩手県では、空き家の適切な管理、利活用の推進を図るため、県内の関係団体、行政機関、民間企業で構成される「岩手県空家等対策連絡会議」を設置しています。空き家についての悩みを抱えている方は、「空き家相談窓口(一般財団法人岩手県建築住宅センター)」に相談すると、空家等対策連絡会議の構成員の岩手県建築士会、岩手県宅地建物取引業協会など専門家相談窓口の紹介を受けることができます。
また、令和2年度は、移住者の交流等のための地域活性化事業を行うNPO団体や地域づくり団体、および空き家を活用した移住促進事業を行う市町村に対し、必要経費の補助を行う「移住促進事業費補助金制度」を設けています。
まとめ:岩手県の家・空き家の解体は地元の解体業者に相談を
岩手県の空き家率は、この5年間で大幅に増加しています。東日本大震災により住宅を失った人が、借家等から転居したことが大きく影響していますが、高齢化等により住み手のいなくなった空き家が増加していることのほうが問題と言えます。
高齢化率の高い岩手県では、空き家の所有者も高齢者が多く、適切な管理等が困難な状況になっています。空き家は適切な管理を行わなければ、倒壊の危険や景観が損なわれるという問題も発生します。
空き家の所有者の中には、解体して更地にすると固定資産税が高くなるため、解体に踏み切れないという方も多いでしょう。しかし、空き家の老朽化が進み特定空家等に指定されると、解体しなくても同様に固定資産税が高くなるケースもあります。
周囲に悪影響を及ぼすことを避けるためにも、管理が困難な空き家を所有している方は、できるだけ早急に信頼できる解体業者を探して解体に踏み切ることをおすすめします。