解体工事の際の立ち会いは重要!現地調査に立ち会えない場合の対処方法なども解説
家屋や建物の解体工事を依頼する場合、解体工事の検討段階・見積もりで現地調査の立ち会いをした方が良いのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。本記事では、解体工事の際の立ち会いに焦点を当てて、その意義や役割などを具体的に紹介していきます。
解体工事の立ち会い意義や役割、立ち会いにかかる時間、確認しておきたい内容、現地調査にどうしても立ち会えない場合の対処方法などについて取り上げていきますので、参考にしてください。
- この記事の目次
解体工事での立ち会いの意義と役割
家屋や建物の解体工事はそう何度も何度も依頼するものではなく、初めて依頼するという方がほとんどでしょう。解体工事に対する慣れがない場合、そもそも立ち会いはした方が良いのかと疑問に感じることもあります。
場合によっては、解体業者の方で全てやってくれるのではないかと期待する気持ちが出てくることもあるでしょう。実際に、立ち会いを行うことでどういった意義や効果に期待することができるのか把握しておくことが大切です。解体工事における各シーンごとの立ち会いは必要なのかどうかも含めて理解を深めていきましょう。
解体工事における主な立ち会いが生じるタイミング、立ち会う必要性、立ち会わないことで生じるリスクは、それぞれ下記のようになります。
状況 | 立ち会う必要性 | 立ち会わないリスク |
---|---|---|
見積もりのための現地調査 | ◎ | 認識違いが生じやすい |
契約締結後の解体施工中 | △ | 指定範囲外の解体等 |
解体工事完了後の現場確認 | ○ | 依頼内容との相違 |
解体工事での立ち会いは「見積もり」時に必要
解体工事での立ち会いは必要なのかという点について率直に申し上げると、「必要」だと認識しておくことが大切です。絶対に立ち会いをしなければならないというわけではありませんが、「見積もり」時の現地調査は可能な限り立ち会いをしてから業者選びを進めることがおすすめです。
そもそも見積もりのための現地調査で、立ち会いをせずに電話やメールのやり取りだけで済ませた場合、工事を依頼しようとしている業者がどんな業者なのか判断することができません。ホームページや過去の工事実績などから一部の情報を入手することはできますが、やはり顔を合わせてコミュニケーションを取ってみないとわからないことも多いのが実際のところです。
担当者の表情や態度、コミュニケーション能力や服装などを含めて、お互いに顔を合わせることで見えてくる部分も多々あります。解体工事という点においては、現場に行って直接建物や周囲の状況を確認することで、最善の工事方法を割り出してもらうことができます。
資料や図面だけで工法やスケジュールを確定するのはとてもリスキーです。解体工事開始日に初めて現場を訪れた場合、思っていたのと違ったという感覚になることもあるからです。また、重機やトラックを搬入できる経路はあるのか、車両を駐車するスペースはあるのかといった部分を確認するという意味でも事前に立ち会いを行っておくことはとても大切です。
事前に現場を確認したからこそわかることはとても多いです。施主としても、業者選びの参考にするという意味で事前の立ち会いをしてくれる業者を優先的に検討することが有効です。
食い違いの防止
解体工事での立ち会いは必要だと考えることができますが、その理由として、食い違いの防止目的もあります。事前のコミュニケーションが上手くいっていないと、施主と解体業者の間でさまざまな食い違いが発生してしまう可能性があります。その一例として、以下のような食い違いを挙げることができます。
- 庭木は撤去しないで欲しかったのに撤去されてしまった。
- 外壁まで取り壊して欲しかったが、何も手がつけられていなかった。
- 玄関の北側に立っている木は残しておいて欲しかったが、撤去されてしまった。 etc…
事前のコミュニケーションが上手く取れていないと、施主と解体業者の間で上記のような食い違いが生じてしまう可能性が出てきます。食い違いを防止するという意味でも、事前に現場での立ち会いを行って施主からの要望をしっかりと伝えることが重要です。
もちろん、メールや電話でも要望を伝えることはできますが、やはり現場を見ながらコミュニケーションを取った方が担当者としても記憶に残りやすいというメリットがあります。特に、残しておいて欲しかったものを撤去されてしまうと取り返しがつかないことになってしまいます。
事前の要望は見積もり金額にも影響が出てくることがあります。解体費用としてかかる正確な総額を知りたいという場合も、立ち会いは重要な行動です。工事が始まってからの食い違いを防ぐことや正確な見積もりを出してもらうという意味でも、立ち会いをすることがポイントです。
要望の説明
食い違いの防止という部分にもつながりますが、事前の立ち会いを行うことで施主から要望の説明を行うこともできます。庭木や植木、カーポートや物置など、建物本体以外の付帯物がある場合、付帯物の取り扱いをどうするかは大きなポイントとなっていきます。
全て取り壊したり撤去したりするのであればそれほど問題ありませんが、中にはそのままにしておいて欲しいものがあることもあるでしょう。そうした場合に、事前の現地調査の段階で要望を伝えることができると相手の記憶にも残りやすくなります。
解体範囲や工事時期、希望予算や処分して欲しい付帯物などを含めて、細かい要望を伝えることで担当者としても具体的に工事のイメージをしやすくなります。また、それらの要望に基づいて見積もり金額も算定されることになります。そのため、施主としては遠慮なく要望を伝えることが重要であり、双方の食い違いを防ぐという点でも事前の立ち会いはとても意味のある時間となっていきます。
業者の状況確認
ここで言う業者の状況確認とは、担当者の人柄やコミュニケーション能力、マナーや身だしなみ、表情や態度といった部分のことを指します。担当者がその業者を代表して施主に接しているのであり、その担当者から読み取れる情報をつぶさに観察することがポイントです。
これも立ち会いをするからこそわかる情報であり、メールや電話だけのやり取りではわかりにくい部分があります。総合的に業者の姿勢を判断するという意味では、立ち会いを行って直接コミュニケーションを取ることが一番です。万一、解体工事中にトラブルや事故が発生してしまった場合も含めて、本当に信頼することができる業者なのかどうか見極めることが重要です。
解体工事の流れの確認
家屋や建物の大きさにもよりますが、立ち会い時には解体業者が建物の周囲をぐるっと見回り、大きさや電気、ガスの接続位置、近隣環境などをチェックすることになります。
基本的に建物の内部に入ることはありませんが、外観を見渡してどういった流れで作業を進めていくのかイメージを膨らませていくことになります。その際に、施主からの要望があれば一緒に伝えておくことが大切です。家具や粗大ごみなど、解体業者に処分してもらいたいものがあれば家の中まで確認してもらうことが有効です。
一通りチェックが終わったら、解体業者から工事の流れについて説明してもらいます。その際に、わからないことや不明点があれば遠慮なく尋ねるようにしましょう。また、実際に建物をチェックしてもらってから出てきた要望に関してもその時点で伝えることがポイントです。
疑問点の解消
食い違いの防止を図るという意味でも、わからないことがあれば素直に質問をすることが大切です。わからないことをわからないままにしておくと、最終的に不利になるのは施主の方です。
解体業者は解体工事のプロであり、わからないことはほとんどないと言っても過言ではありません。施主から質問がなければどんどん工事が進められていってしまいます。疑問点だけではなく、気になる点があればそれも率直に聞いてみることです。特に費用面に関しては最初に聞いておかないと、後でトラブルになることがあります。
「こんな質問をしたら恥ずかしいのではないか」などと考える必要はありません。わからないことはその場で解決することが重要です。
また、質問をすることで担当者とコミュニケーションを取ることができます。質問に対して真摯に回答してくれるのかそうでないのかによっても、その業者の資質を確認することができます。ちょっとしたことではありますが、業者を選ぶ立場として細かいところまで確認しておきましょう。
解体工事の現地調査の立ち会いにかかる時間
立ち会いの意義や役割を理解することで、実際に立ち会いを行った方が良いと考える方も出てくるでしょう。その中で、解体する前段階の現地調査における立ち会いに関して、どのくらいの時間がかかるのかわからないという方もいます。
目安となる時間はありますが、基本的には現場によって異なるという考え方を軸に置いておくことがポイントです。さまざまなケースを想定しつつ、解体工事の立ち会いにかかる時間について確認していきましょう。
一般的には30分程度
解体工事の現地調査の立ち会いにかかる時間として、一般的には30分程度であると認識しておいて問題ありません。業者や建物によってばらつきが出ることはありますが、30分を目安にすると時間の長短を図りやすくなります。例えば、30坪程度の木造住宅の場合は30分程度あれば一通りの確認を終えることができます。
解体業者としては、現場の立ち会いを通して以下のような作業を行うことになります。
- 寸法の測定
- 付帯構造物の調査
- 配管の確認
- 産業廃棄物搬出経路の確認
- 作業スペースの確認
- 近隣建物の確認 etc…
主に確認する事項としては上記のようなものが挙げられます。これらの確認に要する時間として30分が1つの目安となる時間です。メモをとったり写真を撮ったりしながら確認を行うことも多く、丁寧に行うともう少し時間がかかることもあります。
また、施主からの質問が多くなれば、その分立ち会いにかかる時間も長くなります。普段から忙しいという方はなかなか立ち会いの時間を取ることができない可能性もありますが、30分程度であれば立会えるという場合は立ち会いましょう。
建物が大きい場合
一般的には30分程度で終わる現地調査の立ち会いですが、場合によっては1時間以上かかるケースもあります。建物が大きい場合はどうしても測定や1つ1つの確認事項に時間がかかってしまいます。そうなると必然的に立ち会いにかかる時間が長くなっていき、1時間から2時間程度かかることも珍しくありません。
建物の大きさに加えて、ブロック塀や庭石、灯篭や車庫など、付帯構造物が多い場合も時間がかかりがちです。1つ1つの付帯構造物を丁寧にチェックしながら作業の流れを確認することになるので、仕方のない部分です。
建物の大きさに関しては30坪と比べてどのくらい大きいか確認しておくと良いでしょう。30坪の建物で30分程度の立ち会いが平均的なので、それよりも大きい建物になればなるほど立ち会いにかかる時間も長くなっていきます。
部分解体が必要な場合
基本的に建物全部を解体するよりも部分解体をする時の方が作業にも時間がかかりますし、現地調査の立ち会いにも時間がかかる傾向があります。
と言うのも、部分解体の場合はどこを解体してどこを残しておくのか入念にチェックしなければならないからです。柱や梁、壁などもそうですが、本来残しておくべき部分を撤去してしまうと、その後の利用に影響が出てくることがあります。
解体後の補修方法を決めるのも立ち会いの段階で行うべきことであり、解体工事の方向性を決定するという意味でも長時間の立ち会いになることは珍しくありません。
長屋などに住んでいる場合、一部分のみを解体することもあるでしょう。部分解体を検討している場合は、少なくとも1時間、できれば2時間以上かかることを想定しておくと立ち会い当日もストレスなく過ごすことができます。
残置物の撤去がある場合
残置物の撤去がある場合も現地調査の立ち会いに時間がかかるケースになります。解体工事を依頼する場合は、できるだけ残置物を残さずに片付けられるものは自身で片付けておくことがおすすめです。そうすることで、解体費用も安くすることができるからです。
一方で、何らかの理由で解体業者に家具や粗大ごみを撤去して欲しいと考えることもあるでしょう。その場合、解体業者としては事前に残置物の種類や量を把握して処分費の見積もりを出さなければならなくなります。
そのため、残置物の撤去がない場合と比べて立ち会いに時間がかかることがあります。少しでも処分費を安くしたいと考えているのであれば、自分たちで撤去しておきましょう。
店舗の内装解体の場合
店舗の内装解体の場合も、現地調査の立ち会いに時間がかかりやすいので注意が必要です。何らかの理由でお店を閉じなければならなくなる場面が出てくることもあります。その際は解体業者に内装解体の依頼をすることになります。
飲食店などの内装解体を行う場合、店舗で使っていた設備や機器、建物そのもの構造などを含めて目視で確認するべきものが多々あります。そのため、立ち会いにもどうしても時間がかかってしまいがちです。
また、テナントを借りて営業を行っていた場合、管理会社やオーナーに対してどういった形で返却しなければならないのかを相談しつつ、解体計画を策定する必要があります。その場合は施主と解体業者だけではなく、管理会社も含めた中で立ち会いを行う必要性が出てきます。
三者での立ち会いとなると打ち合わせにかかる時間も長くなり、トータルでかかる時間もさらに長くなることが想定されます。それだけ時間をかけてでも、立ち会いを通してお互いに食い違いのないように解体計画を立てることが重要です。
アスベスト含有建材が使われている場合
建物にアスベスト含有建材が使用されている場合は、最初にアスベストの除去工事を行ってから解体工事に入る必要があります。
アスベストは人体に悪影響を与えることでも知られており、慎重に取り扱う必要がある物質です。アスベストの量や使用されている場所に関する現地調査は入念に行われる傾向にあり、場合によっては専門の調査士にアスベストの事前調査を依頼することがあります。
そうなると、現地調査も複数日に及ぶ可能性があり、立ち会い日数が増える可能性も出てきます。アスベストを飛散させてしまうと、作業員はもちろんのこと近隣住民や通行人への健康被害も懸念されます。第三者を被害に巻き込むと、損害賠償請求といった大問題に発展するリスクが出てきます。そうしたリスクを未然に防ぐためにも事前の立ち会いや調査が重要であり、時間がかかるのはやむを得ないと考えておくことが賢明です。
立ち会い時はずっと現場にいなくても良い
解体工事の現地調査の立ち会いに関しては、現場の状況によって時間が前後することを理解しておきましょう。その中で押さえておきたいこととして、立ち会い時はずっと現場にいなくても良いということが挙げられます。
特にまとまった時間がとれないという方で担当者に伝えたいことや聞いておきたいことがある場合は、最初に伝えておくことがポイントです。担当者としても、ずっと一緒について回ってこられるよりも単独で測定や調査をできる時間を設けてもらった方が作業に集中しやすいということがあります。
例えば、最初の30分を一緒に回ってその後は担当者に任せるといった考え方でも問題ありません。現場にいることが難しければそのまま立ち去ってしまっても構いませんし、家の中に入って待機するという形をとることもできます。家の中で待機する場合は、担当者の現場調査が終わった段階で最終的な報告を受けることがポイントです。
いずれにしても、現地調査の最初から最後まで現場にいる必要はなく、要点だけをかいつまんで説明してもらうことが有効です。その中でも特に伝えておきたいことや確認しておきたいことがあれば、優先的に確認するようにしましょう。こうした考え方を持っておくことで、時間的な余裕がない方でもスムーズに現地調査の立ち会いを行うことができます。
現地調査の立ち会い時に確認する項目
解体工事を行う前に担当者と一緒に現場を見ておくことで、作業の具体的なイメージや正確な見積もり金額の提示につなげてもらうことができます。資料や図面からでは読み取れないものがあることも事実であり、現場に行ったからこそわかる情報が大きく影響する部分もあります。
現場付近の道路や付帯物の状況、敷地や境界付近の状況、庭の状況や処分する家財など、さまざまな点について現地調査の立ち会いの時点で確認してもらうことが重要です。そうした内容について、1つ1つ詳しく確認していきましょう。
- 現場周辺の道路状況
- 敷地や隣地との境界付近の状況
- 解体する建物の状況
- 付帯物の状況
- 庭の状況
- 残置物の有無
現場周辺の道路状況
解体工事を行うためには、重機やトラックを搬出入させる必要があります。また、通学路の有無などにも気を配り、児童や生徒が通学する時間帯は工事を避けるといった対策を取ることもできます。
実際に解体現場付近の道路状況を確認することで、使用する車両や重機の選定を行い、どこから搬入してどこから搬出するのかといった判断をします。それらも含めて道路関連で確認しておきたい内容をまとめていきます。
- 重機や車両の搬出入ルート
- 道路の幅員や交通量、高低差(坂道の度合い)
- 道路の損傷状況
- 通学路の有無
- 病院などの医療機関の有無
- 道路の通行規制(時間規制・車両規制・通行区分等)
現地調査の立ち会いによって、上記の項目などについて確認できます。通学路があって交通量が多い道路を使用する場合は、ガードマンや交通誘導員の配置を検討する必要も出てきます。また、道路上に車両を駐停車させたり、積み込み作業などを行ったりする場合は道路使用許可の取得も求められます。
道路使用許可
道路は本来「人・車両の通行」のためのものですが、本来の目的以外に道路を使用することがやむを得ないものについては、交通上の支障等の審査を受けて道路使用許可を受けることができる。
敷地や隣地との境界付近の状況
隣家との境界部分はしっかりと確認しておく必要があり、相手の敷地や所有物に被害を出さない配慮が求められます。敷地や境界付近の状況に関して、主に確認しておきたいのは以下の内容です。
- 隣家との境界を示す境界杭
- 隣地との外構塀などの取り合い
- 電線や電柱
- 敷地の高低差
- 敷地内の重機停車スペース
最近では自分の塀を自分の土地に積むことが多くなっていますが、かつては隣の土地と自分の土地のまたいだ部分に塀を積んでいたこともありました。いわゆる「芯積み」と呼ばれる形で、費用も折半することでお互いの土地の中心部分に塀を積んでいるケースもあります。
芯積みの場合は、相手方の意向も確認しつつ塀を撤去するのかしないのか判断する必要があります。また、隣家の電線や電話線が解体する建物の壁を経由していないかどうか、電線電柱をふくめ確認することも重要です。
解体する建物の状況
解体工事における最も中心的な部分の確認となります。解体する建物の状況としては、主に以下の点を確認することが多くなります。
- 外壁材や軒天井材の確認
- 構造の確認(木造や軽量鉄骨造、重量鉄骨造やRC造など)
- 屋根材の確認
- 建物の高さや面積の確認
- 上下水道やガスの引き込み位置の確認
上記を確認して、解体にかかる日数や解体費用の見積もりを出す際の参考にします。屋根材や外壁材、軒天井材などは特に入念にチェックする必要があります。そうした部分にアスベストが使用されている可能性もあり、アスベストの使用が確認された場合は解体工事とは別途除去工事を行う必要があるからです。
アスベストの処分に関しては費用も高騰しがちで、専門業者に使用範囲の調査や撤去を依頼することもあります。周囲への影響や健康被害などを考慮しても丁寧な確認が必要です。
また、建物の外周や面積、高さなどを測定することで、工事前に設置する養生シートや足場の高さを検討することになります。足場や養生シートは、解体工事を安全に進めるにあたって欠かせない用具となります。
上下水道やガスの引き込み位置に関しては、重機の搬入路との兼ね合いで確認が必要とされる部分です。重機の搬入路に給配水管やガス管などがあると作業に支障が出てくるので、事前に確認しておくことが求められます。
付帯物の状況
付帯物とは建物に付帯している物のことで、主に以下のような物が挙げられます。
- ベランダ
- サンルーム
- 物置(建物と一体のもの)
- 浄化槽
- 屋根上の太陽熱温水器や発電器
- 犬走りやポーチの土間コンクリート
上記の付帯物があれば確認を行って、作業手順のすり合わせを行うことになります。浄化槽は地中に埋め込まれているケースもありますが、その後の土地活用などを検討した上でどのように工事を進めていくか検討することになります。
その他の付帯物の対処・確認も含めて、施主と解体業者の間で意思疎通を図りましょう。
庭の状況
解体工事においては、庭にあるものを撤去するのか残しておくのかという部分も重要になっていきます。施主から要望がある場合も含めて、現地調査の立ち会い時にコミュニケーションを取っておきましょう。主に確認しておきたい内容としては以下の通りです。
- 植栽
- 井戸
- 池
- カーポートやバーゴラ
- 庭石や敷石
- 車庫の土間コンクリート
- 外周塀などの外構
特に建て替えを行う場合は、何を残しておくのかしっかりと要望を伝える必要があります。残したい植木や庭木があったり、古くなったブロック塀は撤去したいといった要望があったりすることがあるでしょう。施主としてもそうした1つ1つの考えを整理しつつ、現地調査の立ち会いに臨むことが重要です。
残置物の有無
基本的に解体工事の際にはできるだけ残置物を残さないようにすることが基本であり、それは家財道具に関しても同様です。残置物を残した状態にしておくと、その分の撤去費用がかかり、さらに工事の進捗に遅れが生じる可能性も出てくるからです。
したがって、できるだけ自分たちで処分することを検討した上で、場合によっては解体業者に処分してもらうという考え方を持っておきましょう。処分を依頼する家財道具としては、主に以下の通りです。
- 家具
- 器具
- 衣類
- タンス
- テレビ
- 布団
- その他粗大ごみなど
自治体のごみ処理業者に依頼することができたり、自分たちでクリーンセンターに持ち運ぶことができたりする場合は、解体工事前に処分しておくと良いでしょう。
また、家電製品に関しては家電リサイクル法の規定に則って然るべき形で処分を行う必要があります。基本的に、家電製品の処分を解体業者に依頼することはできないので注意しておきましょう。
施主側の要望を伝えておく
工事が始まってからだとなかなかコミュニケーションを取る時間がなかったり、現場に行くことが難しくなったりすることもあります。また、すでに撤去されてしまったものを元に戻すことは不可能です。そういった意味でも、工事が始まる前の現地調査の立ち会い段階で要望を伝えておくことが大切です。例えば、以下のような要望も伝えておきたい内容と言えます。
- 大切な記念樹は切らずに残しておきたい
- ブロック塀は一部のみ解体して、残りはそのままにしておきたい
- カーポートはそのまま残しておいて欲しい
- 新築計画の邪魔になるので、物置を移動して欲しい etc…
全ての要望に応えられるかどうかは現場の状況次第ということもありますが、解体業者としても何か別の対策を講じてくれることがあります。何も言わずに後になってから不平不満を出さないようにするためにも、事前に伝えておきたことがあれば伝えておくようにしましょう。
解体工事の立ち会いをすることのメリット
解体工事の立ち会いに関しては、必ず行わなければならないものではありませんが、できる限り行っておいた方が良いと考えてください。
実際に立ち会いを行うことで、さまざまなメリットを享受することができます。その1つ1つの内容について理解を深めていきましょう。
- 追加料金請求の可能性を下げる
- より正確な金額提示を受けられる
- 解体工事の進め方が最善になる
- 解体後の土地活用アドバイスを受けられる
追加料金請求の可能性を下げる
解体工事では、工事の途中や工事が終わってから追加料金を請求されることがあります。追加料金請求は違法でも何でもなく、よくあるケースとして理解しておく必要があります。
当初の予定にはなかった作業が生じた場合や、特殊な建築材料が使用されていたので余分に作業が必要になったなど、さまざまな理由で追加料金がかかるケースがあります。建物を解体している途中に地中から予期せぬ埋設物が出てきた場合など、本当に予測不能なこともあるので、追加料金の発生自体は完全に否定するべきものではありません。
しかし、多くのケースでは事前に現場確認や調査をしっかりと行っておけば予測することができます。事前の立ち会いを通して、建物の大きさや構造、建築材料や土地の大きさ、周辺の状況や道路状況などを含めて確認しておけば追加料金が発生するような事態を防ぐことは可能です。
その方が施主としても安心できますし、計画的に費用を準備することができます。立ち会いを行うことで、本当にやむを得ない状況を除いて追加料金請求の可能性を下げられることが1つ目のメリットです。
より正確な金額提示を受けられる
追加料金請求の可能性を下げるという点とも関連していますが、事前に立ち会いを行うことによってより正確な金額提示を受けられることもメリットとして挙げられます。資料や図面だけを見ておおよその見積もり金額を出すこともできますが、正確性という部分ではそれほど確かなものとは言えないでしょう。
実際に現地の状況や土地の状況、周辺の状況を見てみないとわからないことも多々あり、正確な費用を計算するという点では不十分です。その点において、立ち会いをして建物の大きさや建築材料、周辺状況などをしっかりと確認してもらってからの方がより正確な金額提示を受けることができます。
より正確な金額提示を受けられるということは、追加料金が発生する可能性も下がるということです。現場には行かず、資料や図面などから見積もりを出してもらった場合、実際に工事が始まってから思っていた状況と違ったとなる可能性も高まります。そうなると、計画していた作業や技術だけでは足りないことになり、追加費用請求の対象となることがあります。
実際に現地を見てから工事を開始するのとそうでないのとでは、大きな違いがあると理解しておいた方が良いでしょう。いくら解体工事のプロと言っても、資料や図面だけで全てを読み解くことは難しいのが実情です。
解体工事の進め方が最善になる
費用面でもメリットが大きい事前の立ち会いですが、工事が始まってからもスムーズに作業を進められるというメリットがあります。
解体する建物の確認もそうですが、周辺道路の状況を確認しておくことで、重機やトラックの出入り方法や工事期間中の重機の保管場所を検討することができます。解体工事は長期間に及ぶこともあるので、車両をどこに駐車させておくかなども重要なポイントです。
1日の作業をスムーズに開始してスムーズに終えられるようにすることで、解体工事に専念しやすくなります。また、建物の大きさや構造、土地の面積などを確認することで、どういった形で作業を進めていけば良いのかといった計画も立てやすくなります。
経験のある解体業者であれば、ぱっと見て工事の進め方をイメージすることができますが、それでも全く同じ建物を複数回解体することはないでしょう。1つ1つの家屋や建物にあった解体工法があり、実際に現場を確認することで見えてくる部分も少なくありません。
足場や養生の設置なども含めて、解体工事の進め方を最善にしやすくなることが立ち会いを行うことのメリットと言えます。
解体後の土地活用アドバイスを受けられる
解体後の更地をどのように活用するのかによって、解体業者から仕上げ方のアドバイスを受けることが可能です。更地にした後で新築住宅を建てるのか、あるいは駐車場として使用するのかなど、さまざまな活用計画があるでしょう。
場合によっては更地になった土地を売却するという方もいます。一般的には土地を山砂で覆うか砂利を敷くかといった仕上げ方があり、それぞれにメリットがあります。更地にした後の土地活用方法によって仕上げ方を変えることが重要であり、その辺もプロの意見を参考にすることがおすすめです。
つまり、解体工事だけではなく、解体工事後のことまで聞けるのが立ち会いを行うことのメリットであり、土地をより有効活用することにつながります。土地の売却を検討している場合は、ちょっとしたことで売却価格に影響することも珍しくありません。細部まで詰めるという点で、現場に出てお互いにコミュニケーションを深めることが効果的です。
どうしても立ち会えない場合の対処方法
ここからは、解体工事の立ち会いに関するイレギュラーケースについて確認していきます。事前の立ち会いを行うことで、さまざまなメリットを得られたりアドバイスを受けたりすることができます。そのため、基本的には立ち会いを行った上で解体工事に向かうことが推奨されます。
しかし、何らかの事情で事前の立ち会いを行うことが難しいケースもあるでしょう。現場から離れた場所で暮らしていて立ち会いをすることが難しい場合や、周囲の人たちに解体工事を行うことを知られたくないといったケースもあります。それぞれのケースについて、どういった考え方や行動をすれば良いのか確認していきましょう。
遠方で立ち会いが難しい場合
自宅と解体現場が離れている場合、なかなか都合をつけて立ち会いを行うことができないという可能性もあります。そういった場合は、解体業者に現場から電話をかけてもらいましょう。
施主が立ち会いできない場合でも、解体業者には現場に行ってもらうことが重要です。何も見えない場所から会話をするよりも、実際に建物や周辺の状況を見ながら会話をした方が意思疎通を図りやすくなるからです。
電話を通して撤去して欲しいものや残しておいて欲しいものを伝えることも可能です。遠方で立ち会えない場合も、要望がある場合はしっかりと伝えておくようにしましょう。
また、現地に行ってもらう解体業者に対しては、住所だけではなく現地の写真を添付してあげることがポイントです。住所だけを伝えてしまうと、同じ番地内に複数の家屋が存在して実際に解体する家屋を特定することができない可能性があるからです。
特定できたとしても、本当にその家屋で良いのかお互いに不安な部分が残ります。施主にとっては見慣れた光景であっても、解体業者の場合は初めて現地に赴くことになる可能性もあります。間違いを生じさせないようにするためにも、家屋や現場付近の写真を送ってあげると良いでしょう。
契約時はできるだけ立ち会いを
遠方にお住まいの場合、見積もり提示の段階では立ち会いをしなくても問題ありませんが、実際に工事を依頼して契約する段階になったらできるだけ立ち会いをすることがおすすめです。電話やメールだけのやり取りだと、どうしても言葉足らずになったり誤解が生じたりする恐れが出てくるからです。
そうしたリスクを減らすために、契約するとなった段階で都合をつけて現地に行くことが求められます。業者からどういった形で解体工事を進めるのか、金額に関してはどのくらいになるのか改めて説明を受けた上で全て納得した段階で契約書を交わすことが大切です。
また、契約の際に現場に行くのと同じタイミングで近隣住民への挨拶を行うこともできます。事前の挨拶を行う時間を確保するという意味でも、契約時にはできるだけ立ち会いを行うと良いでしょう。
周囲に知られたくない場合
解体現場からは近くに住んでいて物理的な距離は問題ないものの、周辺の人たちに解体工事をすることを知られたくないというニーズが出てくることもあります。
解体業者の担当者と一緒に立ち会いをしていると、周囲の人に解体工事をすることを察知されてしまう可能性があるので、一緒に立会うことは現実的ではありません。その場合は、以下の2つの方法がおすすめです。
- 担当者に遠くから見てもらう
- 写真や図面を用意して渡す
まずは、担当者に遠くから見てもらうという方法が挙げられます。担当者が1人で家を見ているだけであれば、周辺の人たちは解体工事を行うとは思わないでしょう。あまり近づきすぎると不審に思われることがあるので、ちょっと離れたところから解体する建物や周辺状況について確認してもらうことが有効です。
離れた場所からでも道路や近隣の状況を確認することはできます。現場確認をせずに工事を開始するよりは正確な情報を得やすくなるので、まずは担当者に遠くから見てもらうことがおすすめです。
2つ目の方法に関しては、離れた場所にも来て欲しくない場合に有効なものです。解体工事開始前に家の周辺に担当者が来て欲しくない場合は、家の外観や周辺の状況などを写真におさめておき、建物の図面と一緒に送るという方法が効果的です。
写真に関してはできるだけ枚数が多い方が良いでしょう。さまざまな角度から撮影することで、解体業者としても家や周辺の状況を把握しやすくなります。自分の家のみならず、隣家や外構、前面道路や曲がり角なども含めて多くの写真を撮って送ることがポイントです。
写真を通してできるだけ現地の状況を詳しく伝えることで、現場確認を行ったのと同じような状況を作ることが重要です。
解体見積もり代行サービスの活用
解体見積もり広場では、施主様に代わり解体業者との折衝から見積もり依頼まで代行するサービスを提供しています。
一部例外ケースを除き、本サービスに申し込みいただけば、立ち会いなしでも現地調査と解体費用見積もりが無料で利用可能です。
まとめ
解体工事における立ち会いについて具体的に解説を行ってきました。解体工事の際の立ち会いは必須ではありませんが、特に現地調査に関しては大きな意義と役割があることを理解しておくことが重要です。立ち会いをすることでお互いの意思疎通を円滑に行い、工事が始まってからの食い違いをなくしやすくなります。
また、解体工事完了後の立ち会いについても、問題がない状態かどうか、当初の依頼内容に相違ないか、などを最終的に確認するためにも行う方がいいです。
解体業者と施主の間での認識のずれが大きくなればなるほど、後々のトラブルにもつながりやすくなるので注意が必要です。その点においても事前の現地調査で立ち会いをして、しっかりとコミュニケーションを取ることが求められます。
費用面も含めて立ち会いをすることにはさまざまなメリットがあります。まずは、現地調査の立ち会いをすることを前提に置いた上で解体工事を進めていくようにしましょう。