解体屋の仕事内容とは?なるために必要なこと、働く上でのやりがいも紹介
不要になった家屋や建物の取り壊しを検討する場合、解体工事を第一に検討する方が多いでしょう。その解体工事を担うのが解体屋と呼ばれる業者であり、安全かつ確実に家屋や建物の取り壊しを行ってもらうことができます。今回はその解体屋に注目して、解体屋の仕事内容ややりがい、解体屋になるために必要なことなどをご紹介します。施主側の視点で解体屋の選び方についても取り上げますので、どうぞ参考にしてください。
解体屋の仕事内容
それでは、解体屋の仕事内容から確認していきます。解体屋は家屋や建物の解体工事を行うことがメインの仕事となりますが、役職や立場によってそれぞれの役割があります。作業員の仕事内容やオペレーターの仕事内容などを比較すると、その違いが見えてきます。
解体屋とは何か、その歴史も含めて解体屋に対する理解を深めていきましょう。
解体屋とは?
まず、解体屋とは何かについてご紹介します。解体屋とは、建物や家屋などの構造物を取り壊すことを仕事とする業者のことを言います。
解体業者と呼ばれることも多いですが、基本的な任務は同じです。一般住宅から大きなビル、マンションにいたるまで、さまざまな建物の解体工事を請け負うのが解体屋の特徴です。
解体屋によって得手不得手があることも珍しくありません。木造住宅の解体に慣れがある業者や、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の解体に慣れがある業者など、その特徴はさまざまです。また、一軒家の解体経験が豊富な業者もあれば、集合住宅の解体経験が豊富な業者もあります。
解体屋を選ぶ際はこれまでにどういった工事実績があるのかを確認しつつ、最終的な判断を下すことがポイントです。
解体屋の歴史
解体屋の歴史についてもご紹介します。解体屋は古い歴史を持っており、明治時代にはすでに存在していたという言い伝えがあります。明治時代以前は、大工やとび職の人たちが家屋や建物の取り壊しをしていましたが、明治初期には解体工事を行う業者として解体屋が誕生したと言われています。
戦前の国内の家屋は木造住宅が一般的で、解体工事は手作業で行われることが多かったようです。コンクリートが使われている場合も、ハンマーやノミなどを活用して手作業によって取り壊しを進めていきました。
昭和40年から50年を過ぎてくると、ショベルカーやハンドブレーカーなど、機械を利用して解体を進めていくことが増えてきました。木造以外にも鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物が増えてきたこともあって、機械に頼る部分が多くなってきました。
近年ではワイヤーソーやウォータージェットを活用するなど、新しい解体方法も次々に誕生しており、時代の流れに合わせて解体屋の実情も変化していることがうかがえます。
作業員の仕事内容
それでは、解体屋の具体的な仕事内容について見ていきましょう。まずは、作業員の仕事内容について確認します。
作業員は解体工と呼ばれることもありますが、手作業や重機を利用して建物の取り壊しを率先して行う役割が求められます。解体現場の最前線に立って作業を行うのが作業員であり、解体工事の仕事をイメージする際に最も近い役割を担う存在です。
ハンマーやバールなどの工具を使って取り壊すこともありますし、ユンボなどの重機を操作して解体を進めることもあります。建物の構造や広さ、その他の立地条件に応じて作業員たちが主導して解体を行います。
解体現場で中心となって活躍するのが作業員であり、解体屋にとっても欠かせない存在です。
オペレーターの仕事内容
続いては、オペレーターの仕事内容について確認します。オペレーターは重機運転手と呼ばれることもあります。実際に重機を操作して家屋や建物の取り壊しを行うのが主な役割です。
重機の種類によっては資格保有者でなければ操作できないものもあります。したがって、オペレーターの仕事はどの作業員でも行えるわけではなく、一定の経験やスキル、資格を持った人材が任されることになります。
基本的には重機の扱いに慣れたベテランの作業員が、オペレーターとして任務にあたることが一般的です。壁の取り壊しや太い柱の取り壊し、コンクリートの取り壊しなどをメインに行い、建物の大枠を取り崩すことが仕事です。
作業員たちと同様に解体現場の最前線で作業を行うところに特徴があります。オペレーターも作業員と同様に危険な状況になることがあるので、安全管理を徹底した上で作業を行う必要があります。
鳶工の仕事内容
続いては、鳶工の仕事内容について確認します。解体工事においては「足場鳶」と呼ばれることが多い鳶工ですが、解体工事を開始する前に建物の周囲に養生シートや足場を設置することが主な役割です。場合によっては防音パネルなどのパネル類を設置することもあります。
鳶工は主に工事開始前の準備段階で活躍する立場であり、解体工事が始まってから作業に携わることはそれほど多くありません。
足場や養生の設置に関しては、作業員の安全を確保したり、周辺への被害を防止したりするのに大切な工程です。特に解体工事ではほこりや粉じんの飛散によって近隣トラブルが発生することも珍しくありません。そうしたトラブルを未然に防止するのが養生シートの役割であり、鳶工の仕事内容としても重要な部分です。
解体現場における「縁の下の力持ち」的な存在として、鳶工の活躍も欠かせません。
現場監督の仕事内容
続いては、現場監督の仕事内容について確認します。現場監督はその名の通り、解体現場を取り仕切る責任者としての任務を求められます。解体工事全体のスケジュール管理を行うのも現場監督の仕事であり、進捗に遅れがないかどうかを逐一確認します。
工事に遅れが発生している場合は、工期の延長も含めて施主と話し合いをすることがあります。建て替え工事を実施する場合は、建設工事を行う建設会社とのやり取りも行います。最も大切なのは安全管理を徹底することであり、無理をしてまでスケジュール通りに終わらせようとすることはありません。
作業員の安全を確保しつつ、できるだけ予定通りに工事を完了させることが現場監督に求められる役割です。また、近隣住民への被害がないかなどの確認も行います。万一、クレームやトラブルが発生した場合は、現場責任者として対応に当たることもあります。
第三者も含めて現場を安全に管理するのが現場監督であり、作業員やオペレーターに指示を出す立場としても適切な振る舞いが求められます。
営業の仕事内容
最後に、営業の仕事内容についてご紹介します。解体屋が求められる仕事は家屋や建物の解体工事ですが、その対象となる建物を見つけなければ仕事になりません。いわゆる「仕事を取ってくる」立場として営業が存在しており、解体屋に欠かせない職種として存在しています。
営業の仕事内容としては、顧客からの問い合わせ対応や見積もりの作成、工事内容の説明といった点が挙げられます。個人や法人を問わず、建物の取り壊しを行って欲しいという人に対してアプローチをかけるのが営業の仕事です。
また、自治体や官公庁に対して公共工事の入札を行うことも営業の仕事です。顧客と直接コミュニケーションを取ったり触れ合ったりすることが多いので、相応の対人スキルを求められます。その他、書類の作成などを含めた事務処理能力の高さも必要とされる仕事です。
解体屋になるために必要なこと
ここからは、解体屋になるために必要なことについてご紹介します。解体工事を依頼しようと考える人もいれば、実際に解体屋になって解体工事を行いたいという人もいるでしょう。ここでは、解体屋として仕事をすることを目指す人に向けて、必要なことやスキルについて取り上げていきます。
世の中にはさまざまな仕事がありますが、解体屋も1つの職業としてやりがいを持って行うことができる仕事です。解体屋として活躍するために必要なことについて確認していきましょう。
資格は必要?
まず、解体屋になるために資格は必要なのでしょうか?結論から申し上げると、資格がなくても解体屋になることは可能です。最初は資格を持たずに入社する人がほとんどであり、解体工事を行った経験がなければ資格を持っている方が珍しいでしょう。
資格が必要なのはオペレーターとして重機を操作する場合であり、扱う重機によって必要な資格も変わっていきます。基本的には重機ごとに資格を取る必要があるので、入社してからスキルを磨き、1つ1つの資格取得を目指すことがポイントです。
つまり、個人単位で資格を持っていなくても解体屋になることはできますが、その後のキャリアアップなどを考えると資格取得を目指した方が良いでしょう。いずれにしても、解体屋になってから努力する意思を持ち続けることが大切です。
必要なスキル
特に資格がなくてもなることができる解体屋ですが、必要なスキルはあるのでしょうか。これと言って必要なスキルがあるわけではありませんが、体を鍛えておくことは重要です。
解体屋の仕事は基本的に屋外での業務になることが多く、暑さや寒さ、雨や雪などの悪天候に体力を奪われることも少なくありません。天候が悪い場合は工事を中断したり、翌日に回したりすることもありますが、工期が迫っている場合は多少の悪天候でも工事を続行することがあります。
重機の操作や手作業による解体も含めて、解体屋の仕事は肉体労働です。腕力などが求められる仕事でもあり、一般的な仕事に比べて体力面や筋力の部分が問われることが多くなります。日頃から体を鍛えて、解体工事を何回行っても耐えられるような強さを持っておくことがポイントです。
メンタルの重要性
解体屋になるためには強い肉体を持っておくことと同様に、メンタルを鍛えておくことも大切です。解体現場で仕事を行っていると、肉体的にも精神的にも疲弊しやすくなります。屋外での作業ということもあり、天候や自然に左右される部分も少なくありません。
また、解体工事は一歩間違えれば人命にも関わりかねない重大な行為です。常に安全への意識を持ち続ける必要があるため、気疲れすることも多い仕事です。通行人や近隣住民への配慮も含めて、自分たちだけ良ければ良いという仕事ではないので、いろいろなことを考えているうちにメンタル的にダウンしてしまうこともあるでしょう。
そうした状態になっても気持ちを取り戻して、仕事をするという強い意思を持ち続けることが大切です。工事期間が長い現場になると数ヶ月スパンの作業となることもあるので、メンタル的に自分を律する方法を身につけておくことがおすすめです。
解体屋がしてはいけないこと
ここからは、解体屋がしてはいけないことに焦点を当てて解説を行っていきます。解体屋と聞くと、あまり良くないイメージを持たれる方もいるでしょう。かつては違法工事や不法投棄などを行う業者も多く、社会的にも良い存在だと思われない時期がありました。
近年ではそうした業者も減ってきており、解体屋のクリーンさが目立つようになってきています。
そんな中で解体屋がしてはいけないこともあります。具体的にどういった行為が禁じられているのか確認していきましょう。
ミンチ解体
まず、解体屋がしてはいけないこととしてミンチ解体を挙げることができます。
ミンチ解体
重機を使って一気に建物の取り壊しを行う工事。解体工事によって発生する建設資材や廃材を分けることなく、そのまま処分する工法。
かつては解体工事の主流となっていたミンチ解体ですが、2002年に施行された建設リサイクル法の規定によって現在では禁止されています。解体工事を行うと、木くずやコンクリートガラ、プラスチックやガラス、金属など、さまざまな廃材や建設資材が発生します。
そうした廃棄物に関しては種類ごとに分別して解体しなければなりません。いわゆる分別解体と呼ばれるものですが、建設リサイクル法によって規定されているものです。ミンチ解体は環境的にも良くない工法なので、絶対に行ってはいけません。
不法投棄
ミンチ解体の他、解体屋は不法投棄を行うことも禁じられています。不法投棄とは解体工事によって発生した廃棄物を地中に埋めたり、森林などに放置したりすることです。
廃棄物処理法によって廃棄物の適切な処分の流れが規定されており、解体業者もその規定に則って適切に処理を行う必要があります。
廃棄物処理法
生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的として制定した法律。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」。
具体的には廃棄物の種類に応じた分別を行い、中間処理施設を経由して最終処分場で処分が行われることが一般的な流れです。廃棄物の量や種類によっては中間処理施設のみで処分が行われることもあります。
いずれにしても不法投棄をすることなく、所定の場所で廃棄物を処分することが求められます。
悪徳業者には注意
ミンチ解体や不法投棄など、解体屋がしてはいけないことは複数ありますが、工事を依頼する側の施主としてはこうした悪徳業者に注意する必要があります。見積もりなどを依頼する際の対応やコミュニケーションの取り方、態度などに違和感がないかを確認することがポイントです。
また、悪徳業者かどうかを見分けるには相見積もりを行うことがおすすめです。複数業者から見積もりを取ることで、おおよその費用目安を知ることができます。その中で、あまりにも安い金額を提示してきた場合は悪徳業者の可能性があります。
解体工事には一定の費用がかかり、廃棄物の処分にもお金がかかります。その中で、他社と比べて安過ぎる金額を提示してきた場合、何かしらの違法行為をしている可能性があります。不法投棄をして廃棄物処分にかかる費用を浮かせたり、手抜き工事によって全体の金額を下げたりする恐れもあるでしょう。
施主としては費用が安くなれば嬉しいと感じることもあるでしょうが、他社と比較してあまりにも安過ぎる場合は安易に工事を依頼しないことが重要です。
解体屋の仕事のやりがい
ここからは、解体屋のやりがいについてご紹介します。主に建物の取り壊しを行うのが解体屋の役割ですが、そこにはやりがいがあることも事実です。現在解体屋として働いている方も、将来的に解体屋として働きたいと考えている方も含めて、仕事のやりがいを知っておいて損はないでしょう。
どんな仕事もそうですが、やりがいや充実感がなければ継続的に役割を全うすることが難しくなります。解体屋として仕事をすると、どういったやりがいを感じられるのかについて確認していきましょう。
ストレス発散
まず、解体屋のやりがいとしてストレス発散を挙げることができます。仕事をしているとどうしてもストレスが溜まることがありますが、解体屋では仕事を通してストレス発散につなげることができます。
重機を使って建物を一気に取り壊していくのは、ある種の快感に近いような感覚を得ることができるでしょう。一般の人が日常生活の中で、家やビル、マンションなどを取り壊す経験をすることはないでしょう。
解体屋だからこそできる仕事であり、大きな建物を壊すことで溜まっていたストレスを発散できることがあります。周囲の安全確保などには注意を払う必要がありますが、普段のストレスを仕事にぶつけてみることも悪くありません。
毎回異なる解体対象や現場
解体屋のやりがいとして、毎回異なる解体対象や解体現場で仕事ができることも挙げられます。建物は1度解体してしまえば、基本的に同じ場所で作業することはありません。取り壊しを予定している建物がある限り、毎回異なる場所で異なる建物の解体工事を行い続けることができます。
また、経験を積めば積むほど新たな工法やテクニックを覚えることができて、自身の成長も感じることができます。いろいろな現場に出て経験を積みたい、オフィスワークは苦手だという方にも解体屋の仕事は最適です。
残業が少なく休日も多い
残業が少なく休日が多いところも、解体屋のやりがいにつながる部分です。解体工事に関しては、いつまでも行って良いわけではなく、現場によって時間帯が定められています。住宅が多い地域では、基本的に午前7時から午後7時まで作業を行うことができますが、早朝や夜間の工事を避ける業者も少なくありません。
早朝や夜間に工事を行うと、振動や騒音などの発生によって近隣トラブルにつながる可能性があるからです。そのため、工事を行う時間帯を自主的に午前9時から午後5時までなどと定めている業者も少なくありません。
また、スケジュール通りに作業が進んでいれば、基本的に休日に作業を行う必要はありません。そのため、休日もしっかりと確保することが可能となり、仕事とプライベートの両立を図ることができます。
体力的にきつい部分はありますが、休む時はしっかりと休むことで万全の状態で仕事を続けることができます。
特殊な重機や車両の操作
特殊な重機や車両を操作できることも、解体屋のやりがいです。ブルドーザーや油圧ショベル、ユンボなど、解体工事を行う際にはさまざまな重機を取り扱うことがあります。その他、大型のダンプカーや車両などを含めて、日常生活では乗らないような車両に乗ることもあるでしょう。
そうした非日常的な経験ができるのも解体屋の魅力であり、重機や車両を扱うことが好きな方にとっては大きなやりがいにつながります。経験を積めば積むほど扱える重機も増えていき、仕事のやりがいにもつながっていきます。
建物を取り壊すという作業自体もそうですが、日常生活では味わえない感覚を得られるところに解体屋の魅力があると言えるでしょう。
給料も良い方
解体屋で仕事を継続していると、ある程度良い給料もいただくことができます。経験が浅いうちは、なかなか給料が上がってこないこともありますが、資格を取得して重機を扱えるようになったり、現場のリーダーとして活躍できるようになったりすると、昇給にも期待できます。
解体屋の平均年収としては500万円前後と言われることもあり、決して悪い数字ではありません。さらに多くの給料を得たい場合は、自身のスキルや役職を上げて現場を取り仕切れるような立場になることがポイントです。
基本的に経験を積めば積むほど給料も上がっていくと考えておいて良いでしょう。将来的な生活のゆとりを夢見て努力し続ける価値がある仕事です。
仕事が多い
解体屋のやりがいとして、仕事が多いことも挙げられます。日本では高度経済成長を遂げた1950年代から1970年代にかけて、多くのビルやマンション、その他の建物が建設されました。
その時代に建てられた建物が古くなってきて、建て替え工事を行う事例が増えてきています。それは今後も継続していくことが想定され、古くなった建物から順に解体工事を行うことになります。
今後もまだまだ仕事があり、将来的な安定も視野に入れやすいところが解体屋の魅力です。仕事が多く、安心して働き続けられるところも大きなやりがいにつながるでしょう。
解体屋で働くと大変な点
ここからは、解体屋の大変な部分に焦点を当てて解説を行っていきます。解体屋として仕事をすることで得られるやりがいもありますが、その一方で大変な部分やきつい部分があることも事実です。
解体屋として働くことを検討している場合、ネガティブな部分も含めて理解することが重要です。簡単に務まる仕事ではないので、高い意識を持って取り組む必要があります。具体的に大変な部分について確認していきましょう。
体力的なきつさ
まず、解体屋の大変な部分としては体力的なきつさを挙げることができます。解体工事は屋外での作業がメインとなり、肉体労働の分類に入ります。家屋や建物の取り壊し、設備の取り外しや壁の破壊など、さまざまな作業をすることになります。
重機や機械を使って行える作業は比較的スムーズに進みますが、手作業で行わなければならない部分では体力的にも疲弊しやすくなります。特に、解体した廃材をトラックまで持ち運ぶところで苦労する作業員も少なくありません。中には重い廃材もあるので、足腰に大きな負担がかかります。
その他、夏場は暑く、冬場は寒い環境で仕事を行わなければならないので、心身ともに疲労することが多くなります。日頃から体を鍛えておかないと務まらなくなってしまう可能性もあります。体力的に自信がないと、継続的に仕事を行うことが難しくなってしまうので注意が必要です。
汚れが目立つ
解体屋の大変な部分としては、汚れが目立つことも挙げられます。解体工事中は、ほこりや粉じんが飛散することも多く、作業服がどうしても汚れてしまいます。雨が降ってぬかるんだ状態になっていると、泥まみれになってしまうことも珍しくありません。
汚れても良いように作業服を着用して仕事を行うことになりますが、それでも最初は慣れない部分が出てくるでしょう。夏場は汗もかきやすくなるので、着替えを数着持っていく必要があります。
経験や慣れで回避できる部分もありますが、作業中は汚れや汗が気になることがあると理解しておきましょう。
危険な仕事
解体屋の仕事は危険な仕事だと認識しておくことも大切です。解体工事は常に危険と隣り合わせの作業であり、実際に大きな事故につながってしまうこともあります。最悪の場合、人命に関わる大事故になるリスクもあり、常に安全管理を徹底した状態で作業を行う必要があります。
大型重機を使って作業をしたり、高層ビルや高層マンションの高い場所で作業をしたりすることも少なくありません。そうした状況下では安全ベルトなどを着用して万一の事態に備えながら作業をすることになります。
その他、作業中は安全靴やヘルメット、軍手を身に着けた状態で作業を行います。夏場でも長袖、長ズボンを着用しますが、これは作業員の安全面を考慮するという部分もあります。暑い中大変ですが、安全第一の精神を持って作業を行うことがポイントです。
解体中に思わぬ形で建物が崩壊すると、作業員の他、通行人などの第三者にも危害を加える恐れがあります。そうした危険が常に潜んでいると意識しつつ、リスクヘッジをすることが求められます。
イメージの悪さ
解体屋の大変な部分として、イメージの悪さを挙げることもできます。今でこそ改善されている部分が多いですが、かつては不法投棄やミンチ解体などの違法行為をする業者も多く、世間一般からのイメージは良いものではありませんでした。
また、解体工事を含めた建設業界は3K(キツイ・キタナイ・キケン)のイメージを持たれることも多く、ネガティブなイメージが先行するケースも少なくありません。
実際に働いている方たちは一生懸命やっていても、なかなか悪いイメージが払拭されないという部分があることも事実です。少しずつ改善されてきてはいますが、これからも努力を重ねることで、世間からのイメージを良くすることが求められます。
視野が狭くなりがち
解体屋として仕事を続けていると、視野が狭くなりがちという点も挙げられます。建設業界や解体現場のことに関してはとても詳しくなりますが、どちらかと言えば単一業種であり、その他の業界や業種の人と関わる機会が少なくなってしまいます。
プライベートで人脈を作っていけば別ですが、仕事中心の日々になると、どうしても視野が狭くなってしまうでしょう。その辺は自らの努力で変えていくしかありませんが、人間的に成長したい、他業界や他業種の人とも関わりたいというニーズを満たすのは簡単ではありません。
世の中にはさまざまな仕事や環境があることを理解するために、自ら勉強したり行動したりすることが大切です。
仕事を覚えるまでは苦痛
どんな仕事もそうですが、解体屋も仕事を覚えるまでは苦痛な状態が続きます。特に重機や車両を扱って作業を行うためには資格を取得する必要があり、最初のうちはなかなか思うような仕事ができないことも少なくありません。
解体現場では常に高い集中力を持って作業に当たらないと、効率的に作業が進まず不満が溜まっていくこともあるでしょう。最初の数年間は自分を鍛えるつもりで覚悟して入社しないと、「思っていた仕事と違った」となりかねません。
一人前の解体屋になるまで努力し続けるという気持ちを持つことが大切です。
解体屋の今後や将来性
ここからは、解体屋の今後や将来性について解説していきます。やりがいや大変な部分も含めて、解体屋という仕事を志す方もいるでしょう。家屋や建物の解体工事を依頼し続ける人たちがいる限り、解体屋の仕事がなくなることはありません。
今後や将来の展望も把握することで、解体屋としての一歩を踏み出そうという勇気を持つこともおすすめです。解体屋の今後や将来性について具体的に確認していきましょう。
これからが本番
解体屋の今後や将来性に関しては、「これからが本番」だと言えるでしょう。近年では、相続された家が放置空き家などになっているケースが増えていたり、コロナウイルスの影響によって飲食店などの閉店・倒産が相次いでいます。
また、1950年代から1970年代の高度経済成長期に建設された建物の老朽化が進んでおり、ビルやマンションなどを中心に建て替え工事や解体工事が頻繁に行われるようになってきています。
すでに築50年以上経過している建物も多く、今後ますます解体処分が必要になる建物が増えていくことでしょう。そうした実情もあり今後も仕事が増え続けることが予想されており、解体屋が社会的に求められる役割も大きくなると想定されています。
手に職をつけられる
解体屋の仕事はますます増えていくことが予想されますが、解体屋としての経験を積むことで手に職をつけることができます。特に重機を扱うオペレーターになることができれば、その資格やスキルは一生使えるものであり、長い社会人生活を考えても自らを助けてくれるものとなるでしょう。
経験を積めば積むほど、高層ビルや高層マンションなどの難易度の高い解体工事を任せてもらうことができます。そうすれば自然と給料も上がっていくでしょうし、会社での地位も向上していきます。
自分が頑張って手に職をつけることで、将来の安定や夢の実現も近づいていきます。それだけ大きな希望を持って働くことができるのが解体屋の魅力です。
オペレーターの需要は拡大傾向
オペレーターとして活躍を続けていると他社からも声がかかるなど、自分自身の存在価値を高めることができます。解体屋も含めた建設業界は年々人材が減る傾向にあり、特に若手の人材が入ってこないことを嘆く会社も少なくありません。
そんな中で、オペレーターとしての経験を積み一定のスキルを持った人材は、どの会社に入っても重宝される存在として活躍し続けることができます。熟練した技術があればあるほど仕事も行いやすくなりますし、安定した生活を手に入れることができます。
そこに達するまで頑張り続けることができれば、明るい未来が待っているでしょう。
まとめ
解体屋に注目をして、その仕事内容ややりがい、大変なことなどを中心にご紹介してきました。家屋や建物の解体工事を行うのが解体屋であり、お世話になったことがあるという方も多いでしょう。これから解体工事を検討しているという方も、解体屋を通して取り壊しを進めてもらうことが一般的です。
そうした解体屋の実情などを知っておくことで、より身近な存在として工事を依頼しやすくなります。また、解体屋を目指すという方もその内情を知っておくことが大切です。自分が将来的にどうなっていきたいのかという点も含めて、解体屋としての一歩を力強く歩みだしてみると良いでしょう。