木造の解体工事をはじめる流れ、費用相場と安くするための方法などを解説
さまざまな家や建物の構造がある中で、これまで木造の建物で生活してきたという方も多いでしょう。中には長年にわたって生活してきた木造住宅を解体しようと考えることもあるのではないでしょうか。建て替えや引っ越しなどに伴って、それまで生活していた家屋や建物を解体することがあります。そこで今回は木造の解体工事に注目をして、その特徴や解体の流れについてご紹介していきます。木造を解体する場合の費用相場や少しでも費用を安くするための方法なども取り上げていきますので、どうぞご覧ください。
木造の解体工事の特徴
それでは、まず木造の解体工事の特徴について解説していきます。一般的には木造の他、軽量鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの構造があります。その中でも木造には木造ならではの特徴があることも事実です。
日本では木造住宅が多いと言われていますが、今後解体や取り壊しが必要とされる住宅も増えていくことでしょう。その際に慌てずに行動できるように、解体の特徴について理解を深めていきましょう。
手作業の部分が多くなる
木造の解体工事の特徴としては、手作業の部分が多くなることが挙げられます。その背景としては、2000年に公布された建設リサイクル法が関係しています。
建設リサイクル法
特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等にかかる解体工事またはその施工に特定建設資材を使用する新築工事等で一定規模以上の建設工事について、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けた法律。
建設リサイクル法で規定されている分別解体の義務付けによって、重機などの機械だけを利用して解体作業を進めることが難しくなりました。内装材や屋根材、基礎部分などを含めて、建物には多くの建設資材が利用されており、その1つ1つを分別して処分する必要があるためです。
機械だけで作業を進めてしまうと、資材を分別する際に苦労するので、解体中から手作業の部分を多くして分別しやすいようにしています。結果的に作業に手間と時間がかかりやすくなり、工期の長期化につながることも珍しくありません。
重機で一気に解体してから分別しようとすると、そちらの方が手間がかかる部分があるので、やむを得ない事情もあります。手作業による解体も含めて、木造を取り壊す際の特徴だと認識しておきましょう。
解体費用の高騰も
手作業による取り壊しが増えるところに木造解体の特徴がありますが、解体費用の高騰につながるという点も認識しておきたいところです。手作業によって工期が長期化したり手間がかかったりすることもそうですが、単純に人手不足という部分も否めません。
解体工事に携わる職人の高齢化が進んでおり、若手の人材がなかなか入ってこないことも背景としてあります。こうした傾向が続くと、退職者ばかりが増えて働き手が少なくなるため、解体費用の高騰が続くことになります。
また、取り壊しの際に発生する鉄くずの買取費用もなかなか上がってこないという実情があります。かつて中国では鉄くずの買取需要が高かったため、日本もその恩恵にあずかっていましたが、近年はそれほどの需要があるわけではありません。
そのため、買取費用の上昇にも期待が持てず、解体費用が安くなる要因が少なくなっていることも事実です。このまま解体工事の担い手が減少していくと、負担を強いられるのは解体を依頼する施主です。
そうした事情があることも意識しつつ、取り壊しを検討している場合は早めに着手することもおすすめです。
木造の解体工事開始前の流れ
ここからは、木造の解体工事開始前の流れについてご紹介します。木造の解体に際しても、基本的な流れは一般的な工事と同じです。解体業者を選定して取り壊しを行ってもらい、最後に整地と清掃をしてきれいな状態にしてもらうことが大まかな流れです。
その流れの中で細かいポイントや施主としてやっておきたいことなどもあります。解体工事開始前と解体工事開始後の2段階に分けて整理することがポイントです。まずは工事開始前の流れについて理解を深めていきましょう。
情報収集と解体業者選び
最初に行うのは情報収集と解体業者選びです。木造の解体にはどのくらいの費用がかかるのか、あるいは取り壊しにかかる期間はどれくらいなのか、どういった業者に依頼するのが良いのかなどを中心に情報収集をすることが重要です。
インターネットなどを活用して調べるのも良いですし、知人や友人に建設業関連の仕事をしている方がいれば、そうした方から情報を得ることもおすすめです。実際に解体工事をしたことがある方の情報も参考になります。
解体費用の負担を軽減するために、自治体の補助金制度があるかどうか確認してみることもおすすめです。全ての自治体で行っているわけではありませんが、自治体の中には補助金や助成金の支給を行っているところもあるので、情報収集を進めていくと良いでしょう。
さまざまな情報を収集した上で、解体業者選びへと移っていきます。業者にもさまざまな特徴があり、木造の解体経験が豊富な業者や鉄筋コンクリート造の解体に慣れている業者など、その経験や得手不得手などはそれぞれです。
他には戸建ての取り壊しを得意としている業者もあれば、マンションなどの集合住宅の解体を得意としている業者もあります。さまざまな業者の情報を集めて実際に話を聞いてみることで、最終的に信頼できる業者を選ぶことが重要です。
費用面も含めて相見積もりを行い、施主のニーズを満たしてくれそうな業者を選択すると良いでしょう。
現地調査
木造の取り壊しを行う業者を決める段階で、現地調査も行います。解体する建物の広さや構造、周辺に隣接している建物の有無や道路の広さなど、工事を行うに当たって必要な情報を実際に確認してもらうことが重要です。また、アスベスト含有材が使用されていないか調査することも大切です。
建物にアスベストが使用されている場合、最初にアスベスト除去工事を行ってから解体に入る必要があります。アスベストの除去に関しては専門業者に依頼して行ってもらいます。アスベストが使用されていなければ問題ありませんが、使用されていることがわかった場合は、解体業者の指示を受けながら除去業者の確保を行うようにしましょう。
また、現地調査の際にわからないことがあれば積極的に質問することが大切です。現場でのコミュニケーションを通して信頼できるかどうかを判断することが重要であり、業者選びの指標となります。
見積もりの確認
現地調査まで終えたら、見積もりを提示してもらいます。見積もりに関してはメールや電話でのやり取りのみで提示してくる業者もありますが、実際に現地に来てもらった方が良いでしょう。現場を見ないとわからないことも多くありますし、追加費用の発生を防ぐという点でも現地調査を経てから提示してもらうことがおすすめです。
基本的に見積書という形で、書面で金額提示をしてもらうことが重要です。その際に、大まかな金額だけではなく、項目ごとに費用が記載されている見積書を提示してもらうことがおすすめです。
解体にかかる費用については、建物本体の取り壊し以外にもさまざまな費用が発生します。例えば、足場や養生の設置にかかる費用や産業廃棄物処理にかかる費用、ガードマンなどをつける場合はその分の人件費などもかかります。
そうした全ての費用を合計して最終的な金額を提示してもらうことがポイントです。その中で、金額的に納得できる業者を選択すると良いでしょう。
ただし、金額が一番安いからと言って安易に選ぶことは避けておきたいところです。それまでのやり取りや担当者の態度、表情、服装などを確認しつつ、総合的に見て信頼できる業者に工事を依頼することが重要です。中には見積もりの段階では安く提示しておいて、工事が始まってから追加費用を多く請求しようとする悪徳業者も存在するので、そうした業者に引っかからないようにすることが求められます。
解体業者の決定
現地調査を終えて見積もりの提示まで受けることができたら、いよいよ解体業者の決定を行う段階です。単純に金額だけで決めるのではなく、総合的な視点を持って業者選びを行うようにしましょう。
最終的に施主自身で解体業者を決定したら、契約の締結を行います。その段階で費用をいつ支払うのか、工事開始はいつからになりそうか、工事の完了はいつ頃になりそうかといった部分を再度話し合います。
工事に向けたスケジュール調整を行うことで、施主としても室内の片づけなど、できることから着手することが重要です。
また、工事開始までにガスや電気、インターネットなどのライフライン契約の停止も必要となります。水道に関しては工事中に使用することがあるので、停止しないことが一般的です。この辺も解体業者と話し合いの上、いつまでに何を停止するのか確認しておくようにしましょう。
近隣住民への挨拶
続いて行うのは近隣住民への挨拶です。解体工事を行うことになると、騒音や振動、ほこりや粉じんの飛散、道路の利用など、少なからず近隣の方々へご迷惑をお掛けすることになります。解体工事中に近隣の方のストレスが溜まっていくと、クレームや近隣トラブルにつながる可能性も少なくありません。
無用なクレームやトラブルを避けるためにも、事前に挨拶に伺っておくことが重要です。事前に挨拶を行うことで、工事に協力しようという意思を持ってくれる方が増えていきます。
挨拶回りの際に工事に関する専門的なことを聞かれることもあります。そうした状況に備えて、できるだけ解体業者の担当者と一緒に訪問することがおすすめです。業者によっては担当者が事前に挨拶をしてくれることもありますが、できれば施主も一緒についていくと良いでしょう。
近隣の方と事前に顔を合わせておくことで、何かトラブルが発生した場合も事態を収拾しやすくなります。余裕があれば、菓子折りなどを持って工事への理解と協力を求めることがおすすめです。
残置物の撤去
解体工事開始前の流れとして、最後に行っておきたいのは残置物の撤去です。解体工事を行うことを決めた時点で少しずつ室内を整理することがおすすめですが、最終的には工事が始まる前までにきれいな状態にしておくことが求められます。
と言うのも、室内に粗大ごみや家電製品などが残っていると、それらの撤去を行わなければならないため、工事の開始に遅れが発生する可能性が出てくるからです。また、契約内容によっては残置物の撤去に関して追加費用を請求される可能性もあります。
こうしたことを考慮すると、できるだけ施主自身で残置物を撤去しておくことがおすすめです。まだ使えそうなものであれば、フリマアプリなどを活用して売却するのも良いでしょう。あるいはリサイクルショップに買い取ってもらうこともできます。
買取が厳しい場合は、自治体のごみ処理業者に依頼して残置物を引き取ってもらうことがポイントです。自治体に回収してもらう場合は、スケジュール調整が必要となるので、日程に余裕を持って連絡するようにしましょう。工事開始間際になって連絡を入れても、すぐに回収してもらえない可能性があるので注意が必要です。
木造の解体工事中の流れ
ここからは、木造の解体工事中の流れについて確認していきます。工事開始前にやるべきことができたら、いよいよ本格的な取り壊しへと移っていきます。工事中は基本的に解体業者主導で物事を進めていくことになるので、施主自身が何かをすることは多くありません。
それでも一連の流れを把握しておき、何かあれば現場にかけつけられるような心構えを持っておくことが大切です。工事の進捗状況に関しては業者から連絡を受け取るようにすることもポイントです。工事中の流れについて理解して、業者と一体となって取り壊しを進められるようにしていきましょう。
足場や養生の設置
まず、解体工事に入る際に行うのは足場や養生の設置です。建物の高さによっては足場を設置しないこともありますが、ある程度の高さがある建物を解体する場合は足場を設置して作業員の安全を確保します。
養生に関してはしっかりと設置する必要があります。工事中は粉じんやほこりの飛散が激しくなります。養生を設置せずに工事を行うと、周辺に飛び散ってしまい近隣トラブルの原因にもなります。そうしたリスクを避けるため、建物の周りを囲うようにしっかりとシートを設置することがポイントです。
また、騒音を防止する目的がある場合は防音効果の高い養生を設置することもおすすめです。この辺は事前の話し合いによって決める必要がありますが、周辺に住宅が立ち並んでいる場合は防音効果の高いものを使用すると良いでしょう。
作業中の騒音も近隣トラブルの原因になることがあるので、一定の配慮を見せることが大切です。
瓦礫の撤去
続いては、瓦礫の撤去を行います。解体する建物の屋根に瓦が使用されている場合は、最初に瓦を剥がしてから本体の解体へと移っていきます。建設リサイクル法で分別解体が定められているので、まずは瓦や瓦礫だけを撤去して分別処理していきます。
瓦礫の撤去に関しては基本的に手作業で行うことが多くなります。屋根の場合は1枚1枚丁寧に剥がすことになるので時間がかかることがあります。目安としては1日で作業を終えることが多いですが、瓦や瓦礫の使用量によっては数日かかることもあります。
内装材や設備の撤去
瓦礫の撤去を終えたら、内装材や設備の撤去へと移ります。内装材や設備の撤去に関しても分別解体が基本となるため、重機を使って一気に取り壊すことができません。小型の機械を使うことはありますが、基本的には手作業で撤去を行います。
ガラスや石膏の取り外しなどは、資材ごとに分けて廃棄できるように丁寧に行います。内装材や設備にはさまざまな素材や資材が使われているので、1つ1つの作業を慎重に行う必要があります。建物の大きさにもよりますが、1日から2日程度で全ての撤去を終えることが多くなっています。
建物本体の解体
瓦礫の撤去や内装材、設備の撤去を終えることができたら、いよいよ建物本体の解体へと移っていきます。本体部分に関しては重機を使って一気に取り壊しを進めていくことが多いです。その際に砂埃や土埃が舞うことが多いため、適度に散水しながら作業を行います。
屋根や壁、柱といった基本構造を全て解体していき、本体がなくなるまで工事を行います。木造建物の大きさにもよりますが、3日から1週間程度で取り壊しを終えることが一般的です。
基礎の撤去
建物本体の解体を終えたら、基礎部分の撤去を行います。基礎は建物を支える部分であり、頑丈なつくりになっていることが通常です。いわゆる基礎コンクリートと呼ばれるものが地中に設置されているので、ブレイカーなどの重機を利用して撤去作業を進めていきます。
建て替えなどの場合は基礎を残しておくこともありますが、完全に建物をなくして更地にする場合は基礎の撤去まで行うことがほとんどです。作業をするかどうかは解体業者との話し合いによって決めますが、基本的には基礎の撤去まで行うことが求められます。
地中埋設物の確認と撤去
基礎の撤去まで終えたら、地中埋設物の確認と撤去を行います。建物によっては地中に埋設物や障害物などが埋まっていることもあります。浄化槽や水道管など、不要なものが発見された場合は撤去することが重要です。
水道管に関しては水道局にどこまで撤去して良いのか確認を取ることが求められます。かつては、解体工事を終えた後に発生する廃棄物を地中に埋め込んでしまうような業者もありました。それは違法行為であり、行ってはいけないことです。
そうした廃棄物も含めて、地中に何か不要な物が埋まっていた場合は全て撤去してきれいにすることが大切です。
ガラの撤去と整地
木造の解体にかかる一連の作業を終えることができたら、ガラの撤去と整地作業を行います。工事中もそうですが、工事を終えると大量のガラが発生します。コンクリートガラと呼ばれるものが多く、破片が飛び散っていることも少なくありません。
大きなものから小さなものを含めてガラを拾って整理することが重要です。その他、取り壊しによって発生するごみや廃棄物も少なくありません。そうしたものを処理してごみを残さないようにすることがポイントです。
ガラやごみがなくなったら、整地作業を行います。今後の土地活用方法によって整地方法も変わりますが、、まずは一番シンプルな荒整地でも問題ありません。土地が凸凹の状態になっていると良い状態に戻すのが大変になるため、最低限土地をならして凸凹がない状態にすることが重要です。
清掃
整地作業まで終えたら、最後にもう一度建物の周辺を見渡して清掃作業を行います。解体工事を終えて一安心する気持ちもわかりますが、最後まで気を抜かずにきれいにすることが重要です。
多くの業者は清掃まで含めて行ってくれますが、あまりきれいな状態にしてくれないケースもあります。工事を終えて周辺にごみが残っている場合、近隣住民からのクレームにつながることがあります。
工事終了後の無用なトラブルを避けるためにも、きちんと清掃を行うことが重要です。清掃は施主自身も行えることなので、解体業者と協力しながらきれいにすることもおすすめです。
木造の解体費用
ここからは、木造の解体費用に関する情報についてご紹介します。木造住宅や建物を解体する場合、どのくらいの費用がかかるのか気になるという方も多いでしょう。そこで一般的な費用相場や追加工事にかかる費用の目安などを取り上げていきます。
建物によっては、解体費用が高騰する恐れもあります。解体費用が高くなるケースも含めて、どれくらいの費用が必要となるのかについて理解を深めていきましょう。
費用相場
まず、木造の費用相場については目安となる坪単価があります。軽量鉄骨造や鉄筋コンクリート造などと比較しながら、坪単価を整理していきます。
建物の構造 | 費用相場 |
---|---|
木造 | 4万円~5万円/坪 |
軽量鉄骨造 | 6万円~7万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 7万円~8万円/坪 |
一般的な費用相場に関しては上記のような金額となっています。他の構造に比べて木造が最も安い費用で解体を行ってもらいやすい状況があります。それは鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて、短期間で取り壊しを進められることとも関係しています。
木造の坪単価4万円から5万円で計算した場合、20坪の住宅を解体する場合は80万円から100万円、30坪の住宅を解体する場合は120万円から150万円程度の費用がかかると想定しておきましょう。
建物の構造や立地条件、解体業者によって費用が前後することはありますが、おおよその目安として上記の金額を参考にすることができます。また、ここで紹介している坪単価は建物本体の解体にかかる費用のみであり、その他の付帯工事に関しては別途費用が必要となるので注意しておきましょう。
追加工事と費用の関係
木造の解体費用相場についてご紹介しましたが、家屋や建物を取り壊す際には追加工事が発生することも珍しくありません。その場合は、建物本体の解体と別途費用がかかります。その辺も踏まえて資金を準備しておくことが大切であり、解体工事を依頼する際には頭に入れておきたいポイントです。
具体的な追加工事の例とおおまかな費用目安について以下の表にまとめます。
追加工事例 | 費用目安 |
---|---|
養生シートの設置 | 800円~1,000円/㎡ |
ブロック塀の撤去 | 5万円~10万円 |
重機回送 | 5万円 |
土間コンクリート撤去 | 5万円~10万円 |
樹木の撤去 | 5万円~10万円 |
浄化槽・井戸の撤去 | 各5万円 |
カーポートの撤去 | 5万円 |
諸経費 | 10万円 |
追加工事の例とおおまかな費用に関しては上記の通りです。追加工事として何を依頼するのか、撤去する物体の大きさや範囲などによっても費用は変わります。最終的な金額に関しては解体業者に提示してもらうことが重要であり、その上で工事を依頼するかどうか判断するようにしましょう。
解体費用が高くなるケース
それでは、解体費用が高くなるケースについて確認していきます。追加工事の依頼もそうですが、建物の立地条件やその他の要因によって解体費用の高騰につながることがあります。具体的にはアスベスト含有材が使用されている場合や、地中埋設物が発見された場合などが挙げられます。
施主自身ではどうすることもできませんが、それぞれ撤去にかかる費用負担を強いられることになります。その辺も理解した上で万一の場合に備えておくことが大切です。
アスベスト含有材の撤去
まず、解体費用が高くなるケースとしてアスベスト含有材が使用されている場合があります。原則として2006年にアスベストの使用が禁止されていますが、それ以前に建てられた家屋や建物に関してはアスベストが使用されている可能性があります。
以前は断熱材としてアスベストが使用されており、かつては建築資材として積極的に活用されていました。しかし、アスベストには発がん性物質が含まれていることが明らかになるなど、人体に悪影響があるとして現在は原則的に使用が禁止されています。
建物にアスベストが使用されている場合も、最初に除去してから解体工事を行うことが義務付けられています。アスベスト使用の調査にかかる費用や撤去にかかる費用は施主の負担です。アスベストが使用されている面積によって費用は変わってくるので、除去業者の指示も仰ぎながら最終的な費用を捻出することが求められます。
地中埋設物の撤去
アスベストの使用以外に、地中埋設物が見つかった場合も解体費用が高くなることがあります。地中埋設物の有無に関しては建物の取り壊しを行うまでわからないことがほとんどです。実際に建物を解体してから地中埋設物が見つかった場合、その撤去費用は追加費用という形で請求されることになります。
地中にごみや廃棄物が埋まっていることや、浄化槽、井戸などが埋まっていることもあります。あるいは、都心部ではコンクリートの塊が埋まっていることもあります。そうした状況になった場合の撤去費用も施主の負担となるので認識しておきましょう。
その他の要因
その他の要因によって解体費用が高くなることもあります。例えば、解体する建物の周辺道路が狭い場合、重機やトラックなどを搬入できないことがあります。重機を搬入することができないと、本来一気に取り壊しできるところを手作業によって解体しなければなりません。
手持ちサイズの小型の重機を使うことはできますが、大型重機と比較した場合に比べて作業に手間と時間がかかることは間違いないでしょう。その分、工期が延長して人件費も当初の予定より多くかかることになります。そうなるとトータルでかかる解体費用が高くなっていきます。
また、解体現場の途中に通学路があったり人通りが多かったりする場合、安全を確保するためにガードマンを設置することがあります。その場合もガードマン設置にかかる費用分が解体費用に上乗せされます。ガードマンを設置するためには、1日あたり1万5,000円から2万円程度の費用がかかることも珍しくありません。
作業日数が増えれば増えるほど費用負担も増えていくので注意が必要です。
木造の解体費用を安くする方法
ここからは、木造の解体費用を安くする方法についてご紹介します。一般的な費用相場もそうですが、追加工事の発生やその他の要因によって費用の高騰につながることも珍しくありません。少しでも経済的な負担を緩和したいというのが施主に共通する思いでしょう。
実際に自らの行動で費用負担を少なくすることも可能です。できるだけのことは全て行ってから最終的な費用負担につなげることがポイントです。そのためのヒントを取り上げていくので、できることから実践してみましょう。
複数業者への見積もり
まず、木造の解体費用を安くするためのポイントとして、複数業者への見積もりを挙げることができます。工期や工法について正確性を期すという意味でも、複数の業者から話を話を聞くことが大切です。
それは費用面においても同じことであり、複数の業者から見積もり提示を受けることで比較対象を持つことが重要です。単純に安ければ良いという問題でもありませんが、1社だけに依頼してしまうとその金額が適正なのかどうか判断できません。
2社から3社程度の見積もりを比較して、工期や工法もあわせて確認することで総合的に信頼できる業者を見つけることができるでしょう。担当者の対応などもそうですが、複数業者からの見積もり提示を受けることで、金額も含めて最終的に納得した上で契約を結びやすくなります。
解体補助金の活用
費用負担を減らすという意味では、解体補助金の活用もおすすめです。全ての自治体で補助金を提供しているわけではありませんが、一部の自治体では解体工事に際して補助金を提供しています。その一例をご紹介します。
- 茨城県笠間市:解体費用の3分の1以内(上限30万円)
- 埼玉県行田市:解体費用の2分の1以内(上限50万円)
- 東京都足立区:解体費用の2分の1以内(上限50万円)
- 愛知県刈谷市:上限20万円まで
- 富山県黒部市:解体費用の2分の1以内(上限50万円)
- 兵庫県姫路市:解体費用の5分の1以内(上限30万円) など
上記でご紹介したのは一例であり、他にもさまざまな自治体で解体費用の補助を行っています。まずはご自身が住んでいる自治体で補助金制度があるのか確認してみましょう。
補助を受けるためには一定の条件をクリアする必要があります。その条件に関しても自治体によって異なるので、事前に確認することが大切です。活用できるものは積極的に活用して、少しでも自己負担を減らすことがポイントです。
ごみや不用品の処分
解体費用を安くするためには、自らごみや不用品の処分を行うことも大切です。解体工事開始当日には室内を空っぽの状態にしておくことが理想です。
何もない状態で工事を開始できればスムーズに作業に取り掛かれますし、追加費用を請求される心配もなくなります。反対に室内や周辺にごみや不用品が残っていると、追加費用を取られる可能性も出てきます。
家電製品や粗大ごみの処分にはお金がかかりますが、事前に自分たちで手配して処理を済ませておくようにしましょう。そうすることで、解体費用の高騰を避けることができます。
まとめ
木造の解体に注目をして、工事の流れや解体費用などを中心に解説を行ってきました。木造の場合も基本的には他の構造の建物と同じような流れで作業を進めていくことになります。工事開始前には施主自ら動くべきことも多く、解体業者選びも含めて納得いく条件で工事開始にこぎつけることが重要です。
また、解体にかかる費用はさまざまな条件によって変化します。少しでも費用を抑えるために相見積もりをしたり、解体補助金を利用したりするなど、自らできることは行っておくことがおすすめです。最終的に建物を取り壊すことが目的ですが、そこに至るまでの流れでできることは積極的に行うようにしましょう。