解体工事で出る廃棄物の種類とは?廃棄物の処理方法や注意点も解説!

解体工事で出る廃棄物の種類とは?廃棄物の処理方法や注意点も解説!

家屋や建物の解体工事を依頼する際に、どんな廃棄物が出るのか気になるという方もいるのではないでしょうか。そこで、今回は解体工事と廃棄物の関係に注目をして、廃棄物の種類や処理方法などについて解説を行っていきます。解体工事を行うと、さまざまな廃棄物が発生することになります。廃棄物はその種類に応じて適切に処理される必要があり、その際に必要となってくるのが廃棄物の考え方です。廃棄物の区分やリサイクル方法、家屋内に残った廃棄物の取り扱いなども取り上げていきます。解体工事を通して出た廃棄物をどのように処理すれば良いのかの参考として、どうぞご覧ください。

解体工事で出る廃棄物の種類

それではまず、解体工事で出る廃棄物の種類から確認していきます。家屋や建物の解体工事を行うと必ず廃棄物が発生することになります。普段の生活を送っていく分にはそれほど気にならない廃棄物の種類ですが、解体工事の際には注意深く廃棄物の種類について確認しておく必要があります。その後の処理に関わることもあるので、施主としても理解しておくことが求められます。

基本的に廃棄物の種類としては、産業廃棄物と一般廃棄物の2種類に分けて考えることができます。改めて、それぞれの特徴や考え方はどうなっているのかについて理解を深めていきましょう。

廃棄物とは?

まず、廃棄物とは何かという点からご紹介していきます。解体工事を行う場合もそうですが、普段の生活でも廃棄物が出ることはあります。いわゆるゴミとして考えることもできますが、正確な定義としては以下のようになっています。

廃棄物

占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないために不要となったもの(放射性物質およびこれによって汚染された物を除く)を言い、産業廃棄物と一般廃棄物に分類される。

やや小難しい表現をしていますが、簡単にまとめると、不要になったものや使えなくなって処分するものを廃棄物と認識することができます。また、工場からの排ガスや自動車から出る排出ガスといった気体状のものは廃棄物には該当しません。

いわゆる一般的なゴミを廃棄物として捉えることができますが、その中でも産業廃棄物と一般廃棄物に分けて考えることができます。特に解体工事を通して発生した廃棄物は、産業廃棄物として取り扱われることが一般的です。両者の違いや特徴についても確認していきましょう。

産業廃棄物とは?

それでは、産業廃棄物とは何かについても取り上げていきます。

産業廃棄物

事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類のことを言う。具体的には燃え殻や汚泥、廃油や廃酸、廃アルカリや廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物のこと。

産業廃棄物に関しては、上記のような考え方をすることができます。産業廃棄物の定義でもある事業活動には製造業や建設業などの他、オフィス、商店等の商業活動や水道事業、学校等の公共的事業も含まれます。さまざまな事業活動を通して排出される廃棄物のことを総称して産業廃棄物と呼んでいます。

後ほど紹介する一般廃棄物の場合もそうですが、産業廃棄物を処理するためには許可を得る必要があります。産業廃棄物の処理に関しては「都道府県の許可」が必要であり、許可を受けていない事業者が産業廃棄物を処理することはできません。

一般廃棄物の処理許可を持っていても、産業廃棄物の処理を行うことはできません。反対に、産業廃棄物の処理許可だけを持っている場合も、一般廃棄物の処理を行うことはできません。双方を取り扱うためには、それぞれの許可を取得する必要があります。

一般廃棄物とは?

続いて、一般廃棄物とは何かという点について確認していきます。正確な定義としては、以下の通りです。

一般廃棄物

廃棄物処理法で規定された産業廃棄物以外のもののこと。産業廃棄物として規定されない事務所などから排出される紙くずや段ボール、飲食店からの残飯、小売店からの野菜くずなどは「事業系一般廃棄物」、家庭での日常生活から排出される紙くずや段ボール、残飯や野菜くずなどは「家庭廃棄物」と呼ばれる。

一般廃棄物に関しては上記のような考え方をすることができます。基本的には、産業廃棄物以外のものを一般廃棄物と覚えておけば問題ありません。一般廃棄物を処理するためには「市町村の許可」を受ける必要があります。無許可で一般廃棄物を処理することはできないので注意が必要です。

家庭から出るゴミに関しても、一般廃棄物としてゴミ収集業者が収集と処理を行っています。こうした業者も適切な許可を得た上でゴミ収集を行っています。解体工事を依頼する場合、解体業者が一般廃棄物の許可を受けていないことも多いので、しっかりと確認することがポイントです。

解体工事と有価物の関係

ここからは、解体工事と有価物の関係に注目をして解説を行っていきます。解体工事を依頼する上では、産業廃棄物と一般廃棄物の関係について知っておくことも大切ですが、有価物とは何かについて理解しておくことも大事です。有価物と廃棄物の違いについても理解しておきたいところです。

解体工事で生じたものに関しても、場合によっては取り扱う業者が異なることがあります。その辺は有価物と廃棄物の違いを理解することでクリアになっていく部分があります。有価物に関する知識として、総合判断説とは何かについてもご紹介します。それぞれの内容を正確に理解した上で、解体工事の際の適切な処理へとつなげていきましょう。

有価物とは?

有価物とは、簡単に言うと「廃棄物ではないもの」のことを指します。そのまま自分で使えるものや他人に売れるようなものであれば、有価物と判断することができます。有価物は「価値が有る物」と記載することからも、何らかの価値があってその価値を享受できる場合は有価物に該当します。

例えば、現在も利用しているスマートフォンや古着屋で取り扱っている古着なども有価物です。古着屋に自分が着ていた古着を売って買い取ってもらえる場合も有価物です。他にも、リサイクルショップで買い取ってもらえるようなものであれば、全て有価物として認識することができます。

つまり、第三者から見てもまだ価値があり、誰かに売ったり譲渡したりすることができると考えられるものは有価物に該当します。自分では価値がないと思っているものであっても、他人からすれば大きな価値があると判断されることがあります。

反対に自分でも使うことができずに、他人からも価値が認められないものに関しては有価物とは言えません。それは廃棄物であり、適切に処分される必要があります。有価物か廃棄物か判断できない場合は、第三者の視点を交えてもらうこともおすすめです。

有価物と廃棄物の違い

それでは、有価物と廃棄物の違いについても確認していきます。有価物と廃棄物の一番の違いとしては、取り扱いに必要な許可が異なるという点を挙げることができます。有価物を取り扱う場合には、比較的取得が簡単な古物営業などの許可を取得するだけで問題ありません。

一方で、廃棄物の処理に関しては一般廃棄物、産業廃棄物ともに運搬業許可を取得する必要があります。それぞれ必要となる許可についてまとめます。

  • 有価物の取り扱い:古物商許可
  • 一般廃棄物の取り扱い:一般廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物の取り扱い:産業廃棄物収集運搬業許可

一般廃棄物や産業廃棄物の収集運搬に関しては、無許可で行うと5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金、あるいはその両方を科せられるケースもあります。このように、収集運搬の観点から見ると、有価物と廃棄物の違いがわかりやすくなります。

有価物と廃棄物の違いとしては、「ゴミか否か」という視点も持つことができます。まだまだ利用価値があって他人に売ることができるのであれば、有価物として認識することができます。有価物と認められれば、古物商許可を取得しているだけで収集運搬を行うことができます。その点においても、有価物か廃棄物かといった違いは重要なポイントだと言えます。

総合判断説とは?

有価物と廃棄物の違いについて明確にする上で、総合判断説という考え方も理解しておきたいところです。ある物がゴミであるかそうでないかについては、見る人によって変わってくる部分があるでしょう。そこで、有価物か廃棄物であるかを判断するための基準として設定されたのが総合判断説です。具体的には5つの判断基準が設定されており、その基準に基づいて有価物であるか廃棄物であるかを判断することになります。実際の判断基準についてまとめていきます。

  1. その物の性状:品質が利用用途に合っており、なおかつ飛散や流出、悪臭等がないか。
  2. 排出の状況:計画的に排出されており、適切な保管・品質管理がなされているか。
  3. 通常の取り扱い形態:製品として市場が成立しているか。
  4. 取引価値の有無:受け取る側に対して有償で引き渡されているか。
  5. 占有者の意思:占有者に適切な利用、または他人に有償で引き渡す意思があるか。

総合判断説とは上記の5つの基準に基づいて判断するものであり、有価物であるか廃棄物であるかを明確にするための指針だと言えます。これらの5つの要素をもとに総合的に判断することで、有価物であるか廃棄物であるかを区別することになります。

基準を全て満たしていなくても有価物と判断されたり、反対に廃棄物と判断されたりすることがあります。その時の状況や社会通念なども踏まえた上で最終的な結論が下されます。

廃棄物の処理方法

ここからは、廃棄物の処理方法について取り上げていきます。有価物と廃棄物の違いも踏まえた上で、廃棄物と判断された場合は適切な形で処理される必要があります。万一、廃棄物を森林や地中などに埋めてしまうと、不法投棄と見なされて罰則が科せられることになります。基本的には解体業者や廃棄物処理業者が処分を行ってくれますが、施主としても最低限の知識を持っておくことが大切です。

分別解体の義務付けや廃棄物の処理費用目安、中間処分場や最終処分場とは何かといったところまで触れていきます。改めて廃棄物の処理方法を理解して、業者とのやり取りをスムーズにできるようにしておきましょう。

廃棄物の排出事業者は解体業者

まずは、廃棄物に関する基本的な考え方から解説していきます。廃棄物に関しては誰が出したのかによって処理責任が変わっていきます。また、不法投棄をはじめとした違法行為が発覚した場合も、廃棄物を出した人や組織が処罰を受けることになります。その考え方として、「排出事業者」という言葉を挙げることができます。

排出事業者とは、ゴミを出した本人や組織のことを指す言葉です。そして、解体工事を通して出た廃棄物の排出事業者に関しては、解体業者と見なされます。解体工事の場合、誰が排出事業者となるのか疑問を抱く方も少なくありませんが、原則として解体業者が排出事業者になると理解しておきましょう。

つまり、解体工事を通して出た廃棄物を処理するのは解体業者の責任になるということです。万一、違法行為などが発覚した場合も基本的には解体業者が罰せられることになります。その点においては、施主は一安心だと言えます。

解体業者自身が産業廃棄物収集運搬業許可を取得していない場合は、許可を取得している業者に依頼して処分してもらうことになります。そうした手続きや業者探しに関しても解体業者の責任で行うべきことであり、施主が何かをする必要はありません。

施主としては誰が廃棄物を処理するのか、そして廃棄物の処理が適切に行われているかどうかを確認するだけで大丈夫です。改めて、解体工事における廃棄物の排出事業者は解体業者であることを押さえておきましょう。

分別解体の義務付け

廃棄物の処理方法という点では、分別解体の考え方も理解しておく必要があります。分別解体に関しても基本的には解体業者の責任で行われるべきものであり、施主が実際に何かするということはありません。それでも解体工事を依頼する際の知識として、覚えておいて損はありません。

分別解体とは解体工事を通して発生した廃棄物を、その種類に応じて分けて処分することを定めているものです。これは建設リサイクル法で定められた規定であり、確実に守ることが求められます。

建設リサイクル法

特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等にかかる解体工事またはその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、一定規模以上の建設工事について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けた法律。

かつては、ゴミの種類に関係なく全て一緒に解体して処分していましたが、建設リサイクル法の施行に伴って種類ごとに分けて処分することが義務付けられました。主な廃棄物の種類としては、以下のものが挙げられます。

  • 木くず
  • コンクリートガラ
  • 鉄くず
  • プラスチック類
  • 紙類
  • 石膏ボード
  • 外壁材類
  • 陶器類
  • ガラス etc…

解体工事を通して発生した廃棄物は主に上記のような種類に分けられ、それぞれ適切に処分される必要があります。分別解体をすることによって、それだけの手間や人件費がかかることは間違いありません。その負担は施主に来ることになりますが、環境面への影響を考えるとやむを得ないことだと考えることができます。多少の出費にはなりますが、施主としても分別解体への理解と協力を示すことが大切です。

中間処分場とは?

それでは、中間処分場とは何かという点についてご紹介していきます。上記でもお伝えした通り、解体工事で発生した廃棄物に関しては、種類に応じて適切に処理されることが求められています。そこで登場するのが中間処分場や最終処分場といった廃棄物の処理施設です。まずは、中間処分場で適切な処理を行うことになります。

中間処分場

廃棄物を減量・減容化、安定化、無害化、資源化するための施設。「中間処理施設」とも呼ばれる。

中間処分場で廃棄物の適切な処理を行った上で、最終処分場で最終的な処理が行われることになります。中間処分場では、廃棄物の性状に応じて焼却や破砕・選別、圧縮・成形や中和、脱水といった処理が行われれることになります。廃棄物を再資源化するという観点でも、中間処分場での処理は欠かせません。

最終処分場とは?

続いては、最終処分場とは何かという点について解説します。

最終処分場

不要品のうち、リユースやリサイクルが困難なものを処分するための施設のこと。「ごみ処分場」や「ごみ埋立地」、「埋立処分場」などとも呼ばれる。

解体工事を通して発生した廃棄物を最終的に処分する場所が最終処分場であり、埋め立て処分が行われることもあります。陸上や水面の限定的な場所を区切って貯留構造物を造成し、そこに廃棄物を埋め立てて自然に戻そうとする取り組みを行っています。

有害な廃棄物に関しては事実上隔離保管されることもありますが、それも含めて最終処分に該当します。いずれにしても、これで廃棄物の処理は完了とされるのが最終処分であり、そのための施設が最終処分場に当たります。

中間処分場も最終処分場も開設するためには、都道府県からの許可を得る必要があります。誰でも簡単に廃棄物の処理を行えるわけではなく、適切な許可を取得した上で処分場を運営することが求められています。処分場開設の許可に関してはかなり厳しいハードルが設定されています。現在運営している処分場は厳しいハードルをクリアした上で適切な運営を行っているので、安心して廃棄物の処理を任せることができると言えます。

廃棄物の処理費用目安

廃棄物の処理に関して、費用の目安についても確認していきましょう。解体工事ではさまざまな廃棄物が発生することになりますが、その処理費用についても気になるところです。市区町村によっても費用に違いが出てきますが、おおよその目安となる金額を提示することは可能です。具体的な費用目安について、廃棄物の種類ごとに以下の表にまとめていきます。

廃棄物の種類 処理費用目安
木くず 1万4,000円/1トン
金属くず 3,500円/1トン
繊維くず 4万円/1トン
アスファルト 1,300円/1トン
コンクリートガラ 1,500円/1トン
廃プラスチック 5万6,000円/1トン
ガラス 7,500円/1トン

上記が廃棄物の種類ごとの処理費用のおおよその目安となります。解体業者や廃棄物処理業者によって、多少費用の差が出てくることもありますが、おおよその目安として参考にすることはできるでしょう。廃棄物処理には多額の費用がかかることも多いので、それなりの出費を想定しておくことが大切です。

解体工事の排出事業者とマニフェスト

ここからは、解体工事の排出事業者とマニフェストの関係に注目をして解説を行っていきます。廃棄物の適正な処理を行う上でも欠かせないのがマニフェストであり、マニフェストの記載内容に則って適切に処理が行われる必要があります。解体工事を通して発生した廃棄物に関しては、解体業者が責任を持って処理することが求められます。

また、施主としてもマニフェストの確認や適切に廃棄物が処理されているのか確認する必要があります。マニフェスト制度に違反すると罰則規定があるので注意が必要です。マニフェストとは何か、排出事業者の処理責任なども含めて確認していきましょう。

マニフェストとは?

それでは、マニフェストとは何かというところから確認していきます。マニフェストとは、廃棄物の処理が適切に実施されたかどうかを確認するために作成する書類のことです。産業廃棄物管理票と呼ばれることもあり、排出事業者にはマニフェストを作成する義務が課せられています。

マニフェストには廃棄物の処理の流れを記載することで、不法投棄などが行われずに適正な処分が行われているのかどうかを確認することができます。主に記載する内容としては、交付年月日や担当者名、排出事業者や廃棄物の種類、数量や運搬業者名、処分業者名といったもの挙げられます。必要な情報を記載した上で、基本的には排出事業者と中間処理業者、最終処分場の間で受け渡しが行われることになります。

マニフェストには複写式の紙伝票を利用する紙マニフェストと、パソコンを使って情報登録を行う電子マニフェストがあります。どちらを利用しても問題なく、最近ではパソコンを使って情報登録を行う業者も増えてきています。

マニフェスト票とは?

マニフェスト票とは何かという点についても解説していきます。マニフェスト票は全部で7枚つづりとなっており、それぞれの用紙に役割があります。それぞれの役割について確認していきましょう。

  1. A票:排出事業者の控えとして使用。
  2. B1票:処分業者への運搬終了後に運搬業者の控えとして使用。
  3. B2票:処分業者への運搬終了後に運搬業者から排出事業者に返送され、排出事業者が運搬終了を確認するために使用。
  4. C1票:処分終了後に処分業者の控えとして使用。
  5. C2票:処分終了後に処分業者から運搬業者に返送され、運搬業者が処分終了を確認するために使用。
  6. D票:処分終了後に処分業者から排出事業者に返送され、排出事業者が処分終了を確認するために使用。
  7. E票:最終処分終了後に処分業者から排出事業者に返送され、排出事業者が最終処分終了を確認するために使用。

それぞれのマニフェスト票の役割としては上記の通りとなっています。最終的に排出事業者と収集運搬業者、中間処理業者が保管するマニフェスト票は以下の通りです。

  • 排出事業者が保管:A票、B2票、D票、E票
  • 収集運搬業者が保管:B1票、C2票
  • 中間処理業者が保管:C1票

こうした形で適切に保管される必要があるのがマニフェスト票であり、廃棄物の適正な処理に役立てる必要があります。改めて、排出事業者にはマニフェスト発行の義務があることを理解した上で、廃棄物の正しい処分を行うことが大切です。

排出事業者の処理責任

解体工事の排出事業者とマニフェストの関係については、排出事業者の処理責任についても把握しておく必要があります。基本的に、解体工事を通して出た廃棄物の排出事業者は解体業者ということになります。廃棄物処理法第11条第1項では、排出事業者は解体工事を通して出た産業廃棄物を自ら処理しなければならないと定められています。

ただし、自ら処理することができない場合は、必要な許可を持った産業廃棄物処理業者に委託をして処理することができるとも定められています。いずれにしても、排出事業者の責任を持って廃棄物の処理が行われるべきであり、廃棄物処理法でもそのことに関して明確に謳っています。

廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理に関しても、排出事業者には適正に行われるために必要な措置を講じるように義務付けられています。マニフェストの作成もそうですが、適切な形で廃棄物が処理されるように排出事業者としてできることは全力で取り組む必要があるということです。

総じて廃棄物の処理責任は排出事業者にあるのであり、排出事業者としては一連の処理を適切に行うための最善の努力をすることが求められます。

施主もマニフェストの確認を

解体工事を通して発生した産業廃棄物の処理に関しては、排出事業者である解体業者が責任を持って行う必要があります。また、廃棄物の処理に関連したマニフェストの作成も排出事業者の責任で行われるものです。施主としてもマニフェストの確認を怠らないようにするという役割を挙げることができます。基本的には各業者間でやり取りされるマニフェストですが、施主も確認することが求められます。

特に確認が必要とされるのは、「最終処分終了票」とも言われるE票です。E票は最終的に排出事業者が保管するマニフェスト票ですが、全ての廃棄物の処理が各業者間で問題なく行われたかどうかが示されている票となります。

したがって、E票を確認して問題なければ、適切に廃棄物の処理が行われたと理解しても問題ありません。E票には収集運搬業者のサインと中間処理業者の受領・処分の受取印、最終処分業者が処分を終了した日にちが押印されています。万一、押印漏れやサイン漏れなどがあった場合は、廃棄物が不正に処分された可能性があることも否定できません。

不法投棄などは違法行為であり、マニフェスト制度の罰則規定に基づいて処分が下されることになります。よほどのことがない限り施主が処分を受けることはありませんが、解体工事を依頼した側としても違法行為に巻き込まれるのは避けたいところでしょう。

施主としても、マニフェストのE票を確認した上で問題があれば解体業者に相談するなど、必要な行動を起こすことがポイントです。

マニフェスト制度の罰則規定

それでは、マニフェスト制度の罰則規定についても確認していきます。解体工事を通して発生した廃棄物に関しては、マニフェスト制度の規定に則って適切に処理される必要があります。これは社会環境を守るという意味でも排出事業者に義務付けられている規定であり、万一違反すると相応の処分が下されることになります。

マニフェストに関わる違反をした場合は、違反内容に応じて処分内容が定められています。それぞれの内容について確認していきましょう。

  • 委託基準違反:委託基準に違反した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科
  • マニフェスト不交付:マニフェストを交付しない場合 6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • マニフェスト未記載:マニフェストに必要事項を記入しない場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • マニフェスト虚偽記載:マニフェストに虚偽の記載をした場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • マニフェスト保存義務違反:マニフェストの保存義務を違反した場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金

マニフェストに関しては、上記のような罰則規定が制定されています。マニフェストの保存期間については最低5年間の保存義務が定められており、それを満たさずにいると処分を受けることになります。いずれにしても、マニフェスト制度はしっかりと守る必要があり、適切な廃棄物の処理へとつなげることが求められます。

マニフェストを発行しない例外ケース

基本的に解体工事を行う際はマニフェストを発行して、適切な形で廃棄物の処理を行う必要があります。ただし、例外的にマニフェストを発行しなくても良いケースがあることも事実です。その例外ケースについて詳しく確認していきましょう。

マニフェストを発行しない例外ケースとしては、以下の2ケースを挙げることができます。

  1. 施工業者(解体業者)で最終処分までを行う場合
  2. 施工業者(解体業者)が廃棄物の保管場所を有している場合

上記の2つのケースにおいては、例外的にマニフェストを発行しなくても問題ありません。まず、施工業者が最終処分までを行う場合について確認します。

施工業者や解体業者が廃棄物の運搬や処分、最終処分まで行うための資格や許可を持っており、なおかつ処分のための車両や施設を保有している場合は、自社で廃棄物の処理を行うことができます。その場合は、マニフェスト票を作成する必要がありません。

そもそもマニフェスト制度は、廃棄物がどういった流れをたどっていて、どの業者でどのように処分されているのかを確認するためにできた制度です。そのため、1つの業者で全ての運搬や処理が完結するのであればマニフェストは不要となり、マニフェストを発行しなくても良いとされています。

続いて、施工業者や解体業者が廃棄物の保管場所を有している場合について確認していきます。廃棄物を保管できる施設を有している業者に関しては、自社で廃棄物の管理と処分を行うことができます。

この場合、各工事ごとに廃棄物を処分するのではなく、業者が行った複数の解体工事の廃棄物を同じ保管場所に保管して処分することになるのが一般的です。そうなると、どの解体工事で発生した廃棄物なのか把握することが難しくなります。そうした理由もあって、廃棄物の保管場所を有している業者に関してもマニフェストを作成する義務がなくなります。

こうした例外ケースがあることを理解しつつ、マニフェスト制度についての認識を深めていくと良いでしょう。

廃棄物の区分とリサイクル方法

ここからは、廃棄物の区分とリサイクル方法に焦点を当てて解説を進めていきます。廃棄物には産業廃棄物と一般廃棄物の2種類がありますが、その中でもさらに細かい区分が設定されています。解体工事で発生した廃棄物に関しては産業廃棄物と認定され、処理にかかる費用も高額になることがあります。

廃棄物の区分に応じた運搬や処理を行う必要があり、処理業者としても手間や負担がかかることが少なくありません。それらは全て地球環境を守るための行為であり、適切に行うことが求められます。まだ使えると判断されたものであれば、リサイクルをするという選択肢もあります。改めてリサイクルとは何か、種類ごとのリサイクル方法もあわせて確認していきましょう。

廃棄物の区分

それでは、廃棄物の区分から見ていきます。解体工事などの事業活動を通して発生した廃棄物に関しては、産業廃棄物と呼ばれます。産業廃棄物は20種類の区分によって分別やリサイクルが義務付けられており、適正に処理を行わないと行政処分を受けることになります。解体工事で発生する主な産業廃棄物については、以下のものが挙げられます。

  • 木くず
  • ガラス・陶器類
  • コンクリート、アスファルトなどの瓦礫(がれき)類
  • プラスチック類
  • 紙くず
  • 布類
  • 繊維くず
  • 金属くず etc…

主な産業廃棄物の種類としては上記のものを挙げることができます。それぞれの区分にしたがって運搬や処理を行う必要があり、解体業者や運搬業者としては、それぞれの区分を明確に把握しておく必要があります。何でもかんでもごちゃ混ぜにして運搬や処理を行って良いというわけではないので、注意が必要です。

リサイクルとは?

リサイクルとは何かについても確認していきましょう。まずは、その定義についてまとめます。

リサイクル

不用物や不用品を処理・加工して、再び有用物として利用すること。類義語として「再利用」や「再資源化」、「再商品化」といったワードが挙げられる。

解体工事ではさまざまな廃棄物が発生することになりますが、場合によっては再び有用物として利用することができるものもあります。廃棄物の種類に応じてリサイクル方法も変わっていきます。それぞれの再資源化について、この後の段落で詳しく解説していきます。

木くず

まずは、木くずのリサイクル方法からご紹介します。廃棄物の中でも再資源化の代表格とされるのが木くずであり、有用性の高い廃棄物として重宝されています。リサイクル率も高く、およそ9割以上の木くずがリサイクルされているという分析もあります。

それだけリサイクルしやすいのが木くずであり、具体的には「木質チップ」や「木質ペレット」といった形で再資源化が行われています。

木くずを細かく粉砕して再利用されるのが特徴で、セメント工場の燃料やバイオマス発電施設での燃料、家庭にあるペレットストーブの燃料として使われることが多くなっています。その他、パーティクルボードと呼ばれる「コンパネ」などの製品としても再利用されることがあります。解体工事によって発生した木くずは、このような形で再利用されて役立てられています。

コンクリート塊

続いては、コンクリート塊のリサイクル方法について見ていきます。解体工事で発生したコンクリート塊については、ほぼ100%近くが「再生砕石」として再利用されています。再生砕石はさらに細かく破砕されて、「RC」と総称されるものになります。「RC」の多くは道路工事などで、路盤材や構造物の基礎材として利用されています。

公共工事でも再生砕石が利用されることが多くなっており、解体工事を通して発生したコンクリート塊が役立てられる状況が確立されています。

また、コンクリート塊と並んで再利用される廃棄物として、アスファルト塊も挙げることができます。アスファルト塊についても、細かく破砕してコンクリート塊と混合した製品「ARC」として路盤材などに再利用されています。

石膏ボード類

解体工事で発生する石膏ボード類に関しても、リサイクルが可能です。石膏ボード類のリサイクルは、主に以下の2点を挙げることができます。

  1. 再生石膏ボード
  2. 地盤改良材

1つ目の再生石膏ボードについては、石膏を細かくして再度整形し直すことで、同じ石膏ボードとして活用することができます。建築資材用として再利用することができるので、建設現場でも重宝されています。再生石膏ボードの場合は新建材として利用することになるため、比較的きれいな状態の石膏ボードのみ再利用が可能です。

2つ目の地盤改良材については、建築、建設現場などで再利用することができます。石膏ボードは石膏からできているものでもあり、水と反応させることで固めることができます。地盤改良材も石灰分が多い紛体であり、石膏を紛体状にした物とそれほど相違がありません。石膏ボードとの相性が良く、地盤改良材としての再利用が可能です。

プラスチック類

プラスチック類に関しては、さまざまなリサイクル方法があります。主に、以下の3つのリサイクル方法を挙げることができます。

  1. RPF
  2. プラスチック製品
  3. 衣類

1つ目のRPFとは、「Refuse Paper & Plastic Fuel」の略称のことで、廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料のことを指します。プラスチックの他、紙と木くずを混ぜて固めた固形状のものがRPFであり、固形燃料として再利用することができます。主にパルプ工場や製紙工場などで再利用されています。

2つ目のプラスチック製品としては、多様な形で再利用につなげることができます。衣類や成形品、シート類などを含めて、プラスチックを原料とする製品であれば再利用が可能です。プラスチック類の最も需要が高いリサイクル方法として重宝されています。

3つ目の衣類に関しては、フリースなどに利用されることが多くなっています。プラスチックを再利用してペットボトルを作ることも一時期話題となりましたが、フリースなどの衣類を作るためにプラスチック類が活用されることもあります。

鉄くず

解体工事で発生する廃棄物のリサイクルという点では、鉄くずも再利用することが可能です。鉄くずに関しては、昔からよくリサイクルされる廃棄物の代表格であり、鉄骨製品として再利用されることが多くなっています。ほぼ100%の再生率でリサイクルすることができるので、そのまま処分されることはほとんどありません。

ガラス類

解体工事で発生したガラス類に関しては、細かくカットされて溶かしてから再生ビンとして利用することがあります。また、ブロックやタイルといった建材原料として再利用されることもあります。

鉄くずとは異なり、ガラス類の場合は一部のみがリサイクルされます。大部分は処分されることが多く、リサイクルするのが難しい廃棄物の1つです。

紙や発砲スチロール

紙や発泡スチロールに関しても、リサイクル可能な廃棄物として挙げることができます。紙については、「再生紙」という形で再び紙として利用されることになります。紙類という観点では、ダンボールもリサイクルして再利用されることがあります。

発砲スチロールは、再度発砲スチロールとして再生利用されることが多いです。専用の液や熱等で溶かして「インゴット」と呼ばれる固形の棒状にすることで新たな発砲スチロールとして生まれ変わらせることができます。

今後予想される廃棄物の量

解体工事を通して発生した廃棄物はさまざまな形でリサイクルされることになりますが、気になるのは今後予想される廃棄物の量です。結論から申し上げると、今後発生する廃棄物の量は増加傾向にあると言うことができます。

と言うのも、2020年に開催される東京オリンピックに向けた建設ラッシュや建物の増改築工事が多くなっているからです。また、高度経済成長期に建てられた建築物や構造物の老朽化による解体工事も軒並み増加傾向にあります。こうしたことを考慮すると、建設工事や解体工事によって発生する廃棄物の量はしばらくの間増えるのではないかと予想されています。

廃棄物の量に関しては、建設工事や解体工事に限った話ではありません。私たちの一般の生活の中で排出される不用品やゴミは全て廃棄物となります。生活が豊かになればなるほど、必然的にゴミの量も増えていくと考えることができます。

食品や衣類、容器や粗大ごみなど、多くのものは不要となった時点で廃棄物となります。廃棄物の量を減らすためには各家庭や企業の努力も必要ですが、簡単に減らすことはできない実情もあります。当面の間は、増えていく廃棄物をいかにリサイクルして再利用につなげていくかが焦点となります。

家屋内の廃棄物(残置物)の取り扱い

ここからは、家屋内の廃棄物の取り扱いについて解説を行っていきます。家屋内の廃棄物に関しては

残置物と呼ばれることもありますが、適切に処理される必要があります。できるだけ解体工事が始まる前に残置物を処分しておくことで、スムーズに工事を開始することができます。また、費用負担という観点でも、残置物が少ない方が解体費用を安くすることができるというメリットもあります。

家屋内にも紙や布製品、陶器類や粗大ごみ、リサイクル家電やパソコンなどのさまざまな残置物が発生することがあります。それらの取り扱いや注意点について確認していきましょう。

不用品の処分が重要

解体工事と残置物の関係について、まず意識しておきたいポイントとして不用品の処分が重要という点を挙げることができます。解体工事開始前に家屋内に残っている廃棄物は、基本的に残置物だと考えることができます。残置物が残っていれば残っているほど工事の開始に遅れが生じることになりますし、解体費用も高くなる可能性が出てきます。

特に解体業者に残置物の処分を依頼するようなケースは追加費用の対象となることもあり、施主としても経済的な負担につながりかねません。最初から残置物の処分も含めた契約であれば問題ありませんが、そうでない場合は自ら処分しておくことがおすすめです。

家が大きな家具や家電製品、その他の雑多な物で溢れかえっている場合は、早め早めに行動を起こすことが大切です。できる限りきれいな状態にした上で解体工事を迎えることができると良いでしょう。

紙や布製品

それでは、具体的に家屋内の廃棄物の取り扱いについて確認していきます。まずは、紙や布製品の取り扱いについてです。一般家庭でも紙や布製品を取り扱うことは多く、解体工事の際にも残置物として残ってしまうことが少なくありません。

そのままにしておくと、解体費用が高騰する可能性もあり、施主としては大きな負担となってしまいます。紙や布製品の処理は特に高額になりやすいと言われており、自ら処分しておくことがおすすめです。

各自治体によって燃えるごみや資源ごみなど、分別方法が異なっています。一般のごみ回収日に処分してもらえるように計画的に片づけを進めていくことがポイントです。新聞やダンボール、雑誌や厚紙などは資源ごみとして回収してもらえることが一般的です。お住まいの地域の回収方法と回収日を参考にした上で処分を進めていきましょう。

陶器類

続いては、陶器類の取り扱いについて確認していきます。食器などの陶器類はリサイクルが難しいこともあり、業者に処分を依頼すると高額になりがちです。基本的には燃えないごみとして処分してもらうことが効果的です。

また、価値のある陶器やまだ使える食器などであれば第三者に売ることもできます。リサイクルショップに持ち運んでみたり、フリマアプリなどを活用したりして売るのも良いでしょう。不用品を少しでも減らすという意味でも、売却を検討することはおすすめです。

粗大ごみ

粗大ごみについても、解体工事開始前に処分しておきたいものの1つです。粗大ごみの規定は各自治体によって異なるので、まずはご自身がお住まいの地域の扱いを確認しておくことが重要です。一辺の長さが30cmを超えるものが粗大ごみとして扱われたり、場合によっては60cmや90cmといった自治体もあります。

原則としてソファやカーペット、布団や自転車などは粗大ごみとしての処分が必要であり、有料で自治体のごみ処理業者に回収してもらう必要があります。粗大ごみ受付センターに申し込みをして、「有料粗大ごみ処理券」を購入すれば処分の流れは完了です。

後は、回収日当日に指定された場所に粗大ごみを置いておけば、そのまま回収してもらうことができます。まずは、自治体の粗大ごみ受付センターの連絡先を調べて電話を入れるようにしましょう。

リサイクル家電

続いては、リサイクル家電の取り扱いについてご紹介します。エアコンやテレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目に関しては、リサイクル家電に該当します。リサイクル家電に該当するものは家電リサイクル法の規定に則って適切に処分を行う必要があります。

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに資源の有効利用を推進するための法律。

リサイクル家電の処理方法としては、主に以下の3つを挙げることができます。

  1. 処分する家電を購入した電気店または買い替えをする電気店などに引き取ってもらう
  2. お住まいの地域の自治体に問い合わせる
  3. 直接指定引き取り場所に持ち込む

リサイクル家電を指定引き取り場所に持ち込む場合は、家電リサイクル券センターのサイトを閲覧すると参考となる情報を確認することができます。

また、インターネットやチラシなどを活用して、リサイクル家電を無料で回収するという業者もあります。そうした業者の中には、無許可で営業を行っている悪徳業者も存在するので注意が必要です。民間の回収業者に回収を依頼する場合は一般廃棄物処理業許可を持っているか、自治体から委託されているかなど、正当に営業している業者なのかどうか確認することが大切です。

パソコン

パソコンの取り扱いについても十分に理解しておく必要があります。パソコン本体は燃えないごみや粗大ごみとして出すことができません。また、リサイクル家電に該当するわけでもなく、各メーカーや家電量販店に回収依頼をすることが求められます。

各パソコンメーカーにはパソコンの回収が義務付けられているため、条件を満たしているパソコンに関しては基本的に無料で回収してもらうことができます。その条件として、以下の3点を挙げることができます。

  1. PCリサイクルマークが貼ってあること
  2. 自社ブランドのパソコンであること
  3. 2003年以降に製造されたパソコンであること

上記の3点を満たすパソコンであれば、各パソコンメーカーに回収してもらえます。それ以外のパソコンに関しては、有料で回収してもらうことになります。有料の場合も、基本的には各ブランドに対応したパソコンメーカーに連絡をして回収してもらいます。1台あたり3,000円から4,000円程度の費用負担で回収してもらうことができます。

また、パソコンの回収に際してはデータの消去も忘れずに行うようにしましょう。データが残ったままの場合、何らかの形でデータが流出したり悪用されたりするリスクもあるので注意が必要です。

家庭内の残置物の取り扱いには要注意

家庭内の残置物の取り扱いに関しては、注意しておくべき部分もあります。基本的には解体工事が始まる前に処分しておくことが一番ですが、場合によっては解体業者に残置物の処分も依頼することがあります。それ自体は問題ありませんが、解体業者が産業廃棄物収集運搬業許可を持っていないと大変なことになります。

産業廃棄物収集運搬業許可を持っていない業者が家庭内の残置物も一緒に運び出してしまと、廃棄物処理法違反になってしまいます。そうなると、解体業者は「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科」の罰則を受けることになります。

一般家庭で生じた廃棄物については一般廃棄物となりますが、解体工事と同時に持ち出す場合は同じごみでも産業廃棄物に切り替わります。そうなると、産業廃棄物の収集運搬を行うための許可が必要となります。そうした実情もあることを踏まえつつ、家庭内の残置物の取り扱いには十分注意するようにしましょう。

廃棄物を処理する際の注意点

ここからは、廃棄物を処理する際の注意点に焦点を当てて解説を行っていきます。廃棄物の処理に関しては個人で行う場合も業者に依頼する場合も、さまざまな点を考慮した上で行うことが求められます。

家屋内の残置物の処理もそうですが、基本的には早め早めの行動を取ることがおすすめです。その他、解体工事業者の許可を確認したり、悪徳業者に注意したりといったポイントが挙げられます。それぞれの注意点やポイントについて理解を深めていきましょう。

早めの回収依頼

まず、廃棄物を処理する際の注意点として挙げられるのが早めの回収依頼です。自治体のごみ収集業者などを利用する場合もそうですが、回収の依頼をしてからすぐに回収してくれるわけではありません。基本的には数日から数週間程度の時間を空けた中で、指定日に回収してもらうことができます。

特に3月や4月といった引っ越しシーズンに関しては、ごみ収集業者も忙しくなるため不用品回収に時間がかかることも珍しくありません。解体工事の直前になって慌てることがないように、ごみの回収依頼は早めに行っておくことがポイントです。自治体のごみ収集業者の場合、基本的には平日で回収してもらいたい日にちを指定することができるので、早めに予約を入れておくことがポイントです。

解体工事業者の許可を確認

続いての注意点として、解体工事業者の許可を確認することが挙げられます。解体業者の場合、廃棄物処理に関する許可を持っていないことも多く、許可を保有している業者に廃棄物の収集運搬を依頼することも少なくありません。

特に注意が必要なのが、産業廃棄物処理の許可しか持っていない業者です。産業廃棄物処理の許可を持っている解体業者に一般ごみの処分も依頼してしまうと、全て産業廃棄物の扱いとなって処理費用が一気に跳ね上がっていきます。

解体工事を通して出た廃棄物に関しては産業廃棄物処理の許可で十分ですが、それ以外の一般ごみについては、一般廃棄物処理の許可を取得している業者に依頼することがポイントです。この辺は解体業者の保有許可について確認しつつ、ごみ処理を依頼する業者を適切に区別していきましょう。

悪徳業者に注意

廃棄物処理に関する注意点として、悪徳業者に注意するという考え方も挙げることができます。解体業者の場合もそうですが、不用品回収業者や民間のごみ収集業者の中にも悪徳業者が潜んでいることがあります。特に無料回収などを謳っている業者の場合、無許可で違法営業を行っているケースも散見されます。

最初は無料と言っていても、後々話を進めていくと有料だったというケースも少なくありません。また、回収したごみを不法投棄するなどしてトラブルを引き起こすこともあります。最初から悪徳業者かどうかを見分けることは難しいかもしれませんが、少しでも違和感を覚えたり不信感を抱いたりした場合は依頼しないことが重要です。

不法投棄は避ける

廃棄物処理の注意点として、不法投棄は避けることも挙げられます。廃棄物の処理や手続きは大変なことも多く、途中で投げやりな気持ちになってしまうこともあるでしょう。だからと言って、粗大ごみや家電製品などを不法に捨てたり、山林や地中に埋めたりする行為は禁止です。

また、少量のごみであっても敷地内で燃やすといった行為も禁止されています。廃棄物は適切な処理業者に依頼をして適切な形で処分してもらう必要があります。地球環境を守るという意味でも、不法投棄は絶対にしてはいけない行為だと認識しておきましょう。

アスベスト廃棄物の適正処理

解体工事をする家屋や建物でアスベストが使用されている場合は、アスベスト廃棄物の適正処理も行う必要があります。アスベストの除去工事に関しては、必要な許可を得た業者や作業員しか行うことができません。また、事前にさまざまな届出や手続きが必要であり、自治体からの了承を得た上で除去工事を進めていくことが求められます。

また、アスベスト廃棄物は他の廃棄物と混合させないように取り扱うことが重要であり、マニフェストも別々に作成する必要があります。マニフェストには、種類の欄に「石綿含有産業廃棄物」であることを記載した上で適正処理を行うことがポイントです。

廃棄物処理の許可と解体業者の関係

ここからは、廃棄物処理の許可と解体業者の関係に焦点を当てて解説を行っていきます。一般廃棄物にしても産業廃棄物にしても、廃棄物を処理する際には許可を取得しておく必要があります。解体業者としても収集運搬の許可を持っておくことで、解体工事で発生した産業廃棄物をそのまま収集運搬することができるというメリットがあります。

また、施主側から見ても廃棄物処理収集運搬業許可を持っている業者に関しては、さまざまな観点から評価することができます。具体的にどういった評価をすることができるのかも含めて確認していきましょう。

収集運搬許可取得がおすすめ

解体業者としては、できるだけ廃棄物処理収集運搬業許可を取得しておくことがおすすめです。許可を持っていない業者に関しては、許可を持っている業者に解体工事で発生した廃棄物を収集運搬してもらうことになります。それでも問題ありませんが、解体業者自体で廃棄物の収集運搬を行うことができればその分の利益を上げることもできますし、他の業者に収集運搬を依頼するという手間を省くこともできます。

また、廃棄物処理収集運搬業の許可を取得するためには、5つの要件をクリアする必要があり、簡単なことではありません。簡単に5つの要件について触れておきます。

  1. 講習会の受講が修了していること
  2. 経理的基礎があること(お金が十分にあること)
  3. 事業計画を整えていること
  4. 適切な運搬施設があること
  5. 欠格事由に該当しないこと

上記の5つの要件を満たさないと廃棄物処理収集運搬業許可を取得することはできず、それぞれに細かい規定があることも事実です。つまり、廃棄物処理収集運搬業許可を取得していることは第三者から見ても評価されるべきことであり、許可を得ていない業者との差別化を図ることもできます。

多少大変な部分ではありますが、解体業者としては廃棄物処理収集運搬業許可を取得することで、解体業者としての価値を高めていくことがおすすめです。

施主ができる評価

廃棄物処理収集運搬業許可を取得している解体業者に関しては、施主目線からも評価することができます。具体的には経営状態の安定、運搬施設や車両を備えていること、暴力団関係者がいないことなどが挙げられます。

それぞれの評価ポイントについて具体的に解説していきます。

経営状態の安定

まずは、経営状態の安定という点についてです。廃棄物処理収集運搬業許可は取得して終わりということではありません。更新のタイミングが設定されており、そのタイミングで行政に対して財務諸表を提出する必要があります。

当然、赤字が続いているような業者では許可を更新してもらうことができません。したがって、廃棄物処理収集運搬業許可を長年にわたって保有し続けている業者は、経営的に見て財務状況が安定していると評価することができます。

運搬施設や車両を備えている

廃棄物処理収集運搬業許可を取得するためには、適切な運搬施設や車両を備えている必要があります。そのため、許可を持っている時点でそれらの施設が整っていると判断することができます。廃棄物の収集運搬に必要なトラックや駐車場を整備していることの証明にもなります。

また、それだけの施設や車両を備えている業者であれば、わざわざリスクを犯して不法投棄をする心配もありません。施主としても、安心して解体工事と廃棄物処理を依頼できるところが大きな評価ポイントです。

暴力団関係者がいない

廃棄物処理収集運搬業許可を取得するためには、役員や株主、一定の権限を持った管理職に暴力団関係者がいないことも必要な要件とされています。つまり、暴力団関係者がいない可能性が高い業者としても評価することができます。

許可取得後の状況まで全てを把握することは難しい部分もありますが、基本的には安心して解体工事を任せることができると言えます。

まとめ

解体工事と廃棄物の関係に注目をして具体的に解説を行ってきました。廃棄物に関しては適切な形で処理される必要があり、不法投棄などをすると重い処分が科せられることになります。有価物との違いも理解しつつ、適切な形で処分を進めていくと良いでしょう。

また、解体工事を通して発生した廃棄物についてはリサイクルして再利用することもできます。解体業者としてもどの廃棄物をリサイクルできて、どの廃棄物はリサイクルできないかといったことを把握しているはずです。施主としても多少の知識を入れておき、地球環境を守るためにできることは率先して行っていきましょう。

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