解体依頼経験者300人アンケート調査報告 – あなたの解体工事、金額・業者には満足できた?
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所有している家屋やマンション・アパートなどが老朽化するなどして解体しなければならなくなった場合、 解体工事業者に依頼する必要があります。
しかしほとんどの方にとって、建物の解体工事は頻繫に経験するものではなく、馴染みがないでしょう。そのため、おおよその費用や業者の選び方、よくあるトラブルなどは、事前に把握しておくべき重要な情報だと言えます。
そこで今回は、解体工事の依頼を実際に経験した方300人にアンケート調査を実施。リアルな感想やアドバイスを得ましたので、ご紹介します。
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年2月10日 ~2月11日
調査対象・回答者数:
[予備調査]全国の30~99歳以下の男女計3,000人
[本調査 ]解体工事を依頼した経験がある方 300人(男性227人 女性73人)
解体工事を依頼した人の76%は家屋の解体
まず気になるのは、回答者が実際に解体した物件の種類です。経験者300人は、どのような物件の解体工事を依頼したのでしょうか?
大きく差を付けて最多だったのは、やはり「家屋」(76%)です。老朽化、建て替えなどを理由に、自宅の解体工事を依頼する人がもっとも多いことが伺えます。
次いで、「マンション」(6.33%)、「アパート」(5%)の順に多くを占めていました(その他を除く)。家賃収入などを得ている不動産オーナーも、老朽化などにより定期的に解体工事を依頼せざるを得ないようです。
「ビル」「店舗」「オフィス」など比較的大規模な商業用建物の解体工事は件数が少なめですが、大規模であるぶん工事費用は高額になる傾向があります(費用については次の章で詳述します)。
解体工事の依頼経験者は半数近くが60代以上
解体工事の依頼経験者の年齢層も、気になるところです。
年代 | % | 総計 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|---|
30代 | 11.67% | 35 | 12 | 23 |
40代 | 18.33% | 55 | 43 | 12 |
50代 | 23.67% | 71 | 58 | 13 |
60代以上 | 46.33% | 139 | 114 | 25 |
年代別に見てみると、最多が「60代以上」(46.33%)。次いで「50代」(23.67%)、「40代」(18.33%)、「30代」(11.67%)と年代順になっていました。このことは、不動産所有者の年齢が全体的に高いことを意味しています。
一般的に、高額な不動産を購入するためにはある程度時間をかけて資産を形成しなければなりませんし、親から不動産を相続する際にも子自身が高齢になっているケースが多いからでしょう。
長年家屋に住んでいた人やマンション・アパート経営をしてきた人も、高齢になり自力で管理しきれなくなる、施設に入所するなどの理由により、解体工事を選択する人も少なくありません。少子高齢化が進む中で、家屋・空き家の解体依頼は今後さらに増加していくことが予想されています。
解体にかかる費用で多いのは100万円から300万円未満の価格帯
一般的な家屋解体なら100万~300万円の予算を基準に考えよう
次に、解体工事を検討している方にとって最も重大な関心事である、費用についてご紹介します。
今回のアンケート調査によると、解体工事にかかった費用でもっとも多かった回答が「100万円~300万円未満」(47.33%)。次いで「50万円~100万円未満」(22.67%)、「50万円未満」(12.33%)。
一方「100万円未満」という括りで見てみると、合計35.1%でした。およそ3分の1の方は、100万円未満の費用で解体工事を依頼できたということになります。
このことから、30~40坪程度の一般的な家屋であれば、解体工事の費用は100万円~300万円程度を基準に費用対効果を判断すると良さそうです(小屋やエクステリアなど小規模な解体工事を除く)。
高額になりがちなビル・店舗・オフィスの解体
一方、ビル・店舗・オフィスなどの大規模な商業用建物の場合は、解体工事も大掛かりなものになるため、高額になる傾向があるようです。
ビル解体は300万円が底値。500万円以上のケースが最多
とくに注目すべきは、ビルです。ビルの解体工事費用は安くても300万円以上はかかると見積もっておくと良さそうです。
解体工事業者への依頼、満足度は80%
建物の解体工事はほとんどの人が頻繫に経験するものではありませんので、経験者のリアルな感想は業者選びの貴重な判断材料となります。
本アンケート調査でも、満足度を詳しく聞いてみました。
まず、「解体工事の金額や対応など業者には満足できましたか?」という質問には全体の8割もが「満足できた」と回答しています。
では具体的に、どのような点が特に良かったのでしょうか?
解体工事業者を評価するポイントは「丁寧な対応」、「金額」、「スピード」
回答者から寄せられたコメントには、満足したポイントとして
- 金額
- スピード
- 丁寧な対応
の3つが目立ちました。
“丁寧な対応”には、依頼者の要望にきちんと耳を傾けてくれること、依頼者だけでなく近隣住民に対する気遣いや礼儀正しさ、後片付けや事前・事後連絡などを徹底しているかどうかなどが含まれています。
- とてもわかりやすくて、迅速で正確だったので(大阪府・男性・37歳)
- スムーズに進んでいく事が出来た(千葉県・男性・51歳)
- 他社より費用を安くしてくれたし、期間も短くできたから(広島県・女性・49歳)
- 他の業者より数万円~20万円ほど見積もりが安く、お得だったこと(福岡県・男性・60歳)
- 近隣対策・近隣配慮、工事連絡書がきちんとしていた(奈良県・男性・65歳)
- 仕事、後片付けが丁寧だった(東京都・男性・46歳)
- 隣接する人から不満が一切なくスピーディーに終わった(長野県・男性・43歳)
- 解体作業を丁寧にやってくれて、かつその価格もリーゾナブルだったから(山梨県・男性・69歳)
- サービス内容が良く格安でできたし、業者さんの感じも良かったので(北海道・男性・48歳)
- 仕事をきっちりやってくれたから。「家屋の廊下の板張りを一部再利用したい」「ふすまを再利用したい」というややこしい要望に応えてくれた(神奈川県・女性・72歳)
- 付近に迷惑をかけずに綺麗に解体してくれた(兵庫県・男性・75歳)
- 親切丁寧、工事中の近所へのきくばりが良かった(神奈川県・男性・69歳)
- 解体して最後迄綺麗にしてくれ、しっかり整地をしてくれました(静岡県・男性・70歳)
- 産廃の処分から跡地の整地まで丁寧にやってくれた(山口県・男性・67歳)
- 音など近所に配慮しつつ、短期間で作業を終了してくれたから(愛知県・女性・57歳)
- 見積もりから段取りまで丁寧で迅速だった。また、近所への気遣いなども徹底していた(北海道・男性・58歳)
安いだけ・丁寧なだけ・早いだけではいずれも不十分であり、全てのポイントをバランスよく押さえている業者が、施主にとっては理想的だということでしょう。
解体業者に不満を感じる理由はやっぱり「金額」
一方、不満を感じていた人も2割います。理由を聞いたところ、最多は「想定より金額が高かった」(73.33%)。
何らかのサービスを受けるにあたってなるべく費用を抑えたいのは、誰もが思うことです。工事後に請求された金額が見積もりを上回ると、「事前に聞いていた話と違う」と大きい不満を感じるのは当然かもしれません。
次いで多かったのは「解体工事の仕上がりが悪かった」(31.67%)、「業者の対応・印象が悪かった」(26.67%)でした。この設問は複数回答可となっているので、複数または全ての項目に該当している回答者も含まれています。
金額が予想以上に高く、仕上がりも対応・印象も最悪……ということにならないよう、事前に業者の評判を確認し、慎重に選ぶことが重要です。
説明不足や施工の不徹底を指摘する声も
3位以下の「その他」については、具体的なコメントを紹介します。事前説明や事後報告がきちんと行われておらず、思いがけない被害が発生したことなどが挙げられていました。
- ほこり対策ができていなかった(和歌山県・男性・69歳)
- 敷地に水道が通っていたが潰されてしまい、隣接の畑の水の管理に困った。説明不足だと思う(兵庫県・女性・59歳)
- 洗濯機をカバーしなかったので、いまだに洗濯するたび石膏がでる(大阪府・女性・61歳)
- 庭にガラを埋めていた(千葉県・女性・61歳)
これらのアクシデントは、解体工事を初めて依頼した人には予想も付かないものが少なくないため、なおさら解体工事のプロフェッショナルである業者側からの丁寧な説明や対応が重要だと言えるでしょう。
解体工事に仕上がりの悪さを感じるケース
前述の質問で2番目に多かった「解体工事の仕上がりが悪かった」(31.67%)についても、掘り下げて見てみましょう。
ごみ処理・後片付け
仕上がりの悪さの具体例として多く挙げられていたのは、ゴミ処理・後片付けのずさんさです。
- 残工事が多く仕上がりも完璧ではなかったから(神奈川県・男性・71歳)
- ゴミ処理(千葉県・男性・56歳)
- 後片付け(広島県・男性・84歳)
- 周囲に散らばった(東京都・女性・32歳)
- 更地になった状態が良くなかった(香川県・男性・71歳)
解体工事の後片付けは、自力で行うには負担が大きく、場合によっては危険なこともあります。後片付けまできちんと対応してくれる業者なのか、事前に確認しておくべきかもしれません。
残す予定の部分まで解体された
残す予定だと事前に伝えていたにもかかわらず、解体されてしまったという最悪なケースも複数報告されていました。解体まではされなくても、作業の中で不注意により傷つけられたという事例もあります。
- 残すはずの塀を解体された(大阪府・男性・50歳)
- 残す部分にダメージがあった(福岡県・女性・58歳)
- 配管の除去がずさんだった。井戸の埋め戻しがずさんで、地面がふかふかだった。残した家屋に破損が生じていたが、自己の非を認めようとしなかった。見積もりに無いとして追加経費を要求してきた(三重県・男性・63歳)
このケースは、業者側の確認不足、コミュニケーション不足が原因でしょう。こちら側の要望を親身になって聞いてくれるのかどうかはは、初回に相談したときの対応もある程度は参考になります。
解体工事業者の対応・印象が悪いと感じた理由
最後に、3つ目の「業者の対応・印象が悪かった」(26.67%)の具体的な内容についてもご紹介します。
近所や隣家に迷惑をかける
特に多かったのは、近隣への配慮に欠けていたというものです。
- 近隣住民からクレームが多数あった(島根県・男性・46歳)
- 約束通りのほこり対策などができていなくて近所に迷惑をかけた(和歌山県・男性・69歳)
- 隣近所への気配り(広島県・男性・84歳)
- 挨拶がない(長野県・女性・48歳)
- こわい(愛知県・女性・34歳)
- 隣の家の塀を傷つけた(千葉県・男性・55歳)
建物の解体工事は非常に大掛かりな工事であり、粉じんや騒音など、場合によっては落下物など、近隣住民にも迷惑をかけるおそれがあります。
そのため、依頼者である自分自身だけでなく、近隣住民に対しても礼儀正しい対応や迷惑をかけないための配慮を強く求める意見が目立ちました。
追加費用を要求する
追加費用を要求されただけでなく、工事の仕方や後片付けが雑だったり、態度が横柄だったりすると、さらに不満が募るようです。
- 追加費用を要求してきた。残した家屋に損害が生じたのに、自己の非を認めようとしなかった(三重県・男性・63歳)
- 仕事が雑だったし、追加費用があり、思っていたより高かった(福岡県・女性・52歳)
- 見積もりより少し高くついた(愛知県・男性・58歳)
- ただ解いた感じで、後で追加の工賃がかかった(島根県・男性・46歳)
追加費用については、納得のいく理由と説明があれば、また感じ方も変わってくるのかもしれません。
仕事の雑さ
仕事の雑さには、解体工事作業そのものだけでなく、事前・事後の事務的な手続きなども含まれています。コメント全体から伺えるのは、仕事の雑さと態度の悪さとがセットになっているケースが多いということです。
- 雑で横柄な対応(埼玉県・男性・61歳)
- 仕事が雑で、後始末が悪かった(兵庫県・男性・67歳)
- 頼んだ通りにならず苦情を言ったところ不機嫌になり、以後の対応がおろそかになった(北海道・男性・74歳)
- 挨拶もなしに工事を始め、整地も汚かったので(北海道・男性・51歳)
解体業者選びでは「業者の第一印象」もひとつの指標に
解体工事業者に見積もりを依頼する際には、費用の安さや知名度だけでなく、担当者の接客態度や身だしなみなどの第一印象も注意深く観察することをお勧めします。
解体工事業者の挨拶の有無や、態度が丁寧か横柄かなど一見細かいことに思えるかもしれませんが、解体工事後のトラブルを避ける上では注意すべきポイントです。
解体業者の探し方、半数以上は「家族や友人・知人などの紹介」
最後に、信頼できる解体工事業者の探し方について参考になるデータを見ておきましょう。
解体工事経験者は、どのように業者探しをしたのでしょうか?
家族や友人・知人の紹介、口コミ | 155人(51.67%) |
---|---|
インターネット | 60人(20%) |
その他(TEXT回答) | 57人(19%) |
チラシ | 16人(5.33%) |
雑誌・新聞広告 | 12人(4%) |
最も多かったのは、「家族や友人・知人の紹介、口コミ」(51.67%)。約半数もの人が、身近な人の紹介や口コミを参考に依頼していることが明らかとなりました。これについては、不動産オーナーならではのネットワークを活用して探しているケースも考えられます。
実際に業者を利用した人からの紹介は、非常に参考になりますし、何より安心感があります。紹介された業者側にとっても、口コミ経由で獲得した顧客に対しては、より丁寧な対応を心掛けたくなるかもしれません。
インターネットで解体業者探しをする人は全体の2割
紹介・口コミに次いで2位となったのが「インターネット」(20%)です。総務省が公表している「令和2年 情報通信白書」によると、2019年のインターネット利用率(個人)は89.8%。また、同じく総務省の家計消費状況調査では、2020年6月のネットショッピング利用世帯(二人以上の世帯)の割合が50.8%でした。
こうした統計値と比較すると、今回の20%という値は、現在のインターネット普及・利用状況を考慮すると、やや低いようです。インターネットを通じて「自ら解体業者を探す」ことより、友人・知人からの紹介などを通じて「信用の担保された業者に相談する」ことを優先する、不動産オーナーの心理が透けて見えます。
一方で、この結果には、半数近くが60代以上という解体依頼経験者の年代層も少なからず影響しているものと考えられます。いま50代の層が60代になる頃には、当たり前のようにインターネットで解体工事業者探しをする不動産オーナーが増加していくかもしれません。
施工業者やハウスメーカーに相談する人も
第3位の「その他」(19%)を選んだ方の多くが、施工業者やハウスメーカーなどに解体工事業者探しを相談したケースでした。土地の処分についての話なので、建物を建てた施工業者やハウスメーカーに相談するという、不動産オーナーにとっては自然な発想なように思えます。
解体業者を紹介で選ぶのもひとつの手。ただし、リスクもある
以上を踏まえると、多くの方が解体業者を自分で探すことは難しいと感じていることが伺えます。建物の解体工事は人生の中で頻繫に経験するものではありませんから、仕方がないのかもしれません。
大まかな流れとしては、まず家族や友人・知人など繋がりのある人に相談し、それでも見つからない場合はハウスメーカーに相談するケースが多いようです。
この方法で信頼できる良心的な解体業者が見つかればもちろん問題ありませんが、注意すべきは、紹介だからと言って必ずしも良い業者とは限らないということです。
紹介された業者に不満足だった場合には、紹介してくれた人との間でトラブルに発展するリスクも考えられます。
まとめ
解体工事業者を選ぶ際には身近な人からの紹介も有効ですが、一番お勧めなのは十分なデータをもとに複数の業者を比較検討することです。
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