事故物件を解体工事で更地化するメリット・デメリットを解説!一度解体しても告知義務は残るのか?

事故物件を解体工事で更地化するメリット・デメリットを解説!一度解体しても告知義務は残るのか?

国内にはさまざまな物件や建物がありますが、いわゆる事故物件と呼ばれる物件も存在します。言葉では聞いたことがあっても、実際に事故物件を解体しようとすると疑問に思う部分も多々出てくるでしょう。そこで今回は、事故物件を解体しても告知義務は残るのか、解体して更地にしたり、建て替えするメリットやデメリットなどを中心にご紹介します。

事故物件を解体しても告知義務はある

多くの方は、事故物件を解体した場合、告知義務がなくなると考えるのではないでしょうか。

しかし、実際には建物自体がなくなっても告知義務までなくなるわけではありません。事故物件とは何か、心理的瑕疵とは何かといった点も含めて理解を深めていきましょう。

解体しても、なぜ告知義務がなくならないのか

事故物件を解体しても告知義務がなくならない理由としては、その土地自体が「事故物件」であることに変わりないことが挙げられます。

事故物件とは?

自殺や殺人事件、孤独死など、人の死に関わる事件や事故が発生した物件のこと。その他にシロアリ被害が発生している物件も該当する。

自殺や殺害事件などが起きた物件の場合、近隣の方や周辺住民の方の印象に強く残っていることもあります。その物件を解体したからと言って、全員の記憶から事件のことが消えるわけではないため、その土地自体が事故物件として認定されます。いわゆる心理的瑕疵がある土地や物件として見なされることになります。

心理的瑕疵とは?

「怖い」や「不愉快」など、人間の心理に影響を及ぼす条件が整っていること。

物件さえ解体してしまえば全て忘れ去られるわけではないので注意が必要です。

事故物件に課される告知義務

事故物件と判断された物件や土地には「告知義務」が課されます。具体的にどういった内容を伝えれば良いという規定はありませんが、基本的には過去に発生した事故や事件、その他の被害などを契約者に告知しなければなりません。

また、告知義務に時効などはなく、知り得る情報は何年経過しても知らせなければなりません。

自殺や殺人事件が発生した物件であれば、そのことを貸借人や購入希望者に知らせた上で契約するかどうかの判断を委ねます。

これは不動産会社や賃貸人に課せられた義務であり、必ず行わなければなりません。契約を希望する側も過去に事故や事件がなかったかどうか尋ねることが重要です。

告知義務に違反した場合

告知義務に違反した場合は、違反した不動産会社や個人が「契約不適合責任」を問われます。

契約不適合とは?

引き渡された目的物が品質、種類または数量に関して契約の内容に適合しないこと。

過去に何らかの事故や事件があったにも関わらず、そのことを言わずに契約を結んだ場合、その物件に何らの瑕疵はない状態で販売したことになります。

しかし、実際には契約内容と適合していないため契約不適合責任を問われます。実際に契約不適合が認められた場合は、物件の買主に以下の4つの権利が与えられます。

  1. 履行の追菅請求権
  2. 代金減額請求権
  3. 債務不履行の規定による損害賠償請求
  4. 債務不履行の規定による契約解除

物件販売者側としては、告知義務に違反することでさまざまなリスクを負うことになります。金銭的な負担もそうですが、いつか買主にバレないかという心理的負担も負いながら営業を続けることになるでしょう。

そうしたリスクを負わないためにも告知義務はしっかりと守ることが重要です。

事故物件を解体して更地にするメリット

ここからは事故物件を解体して更地にするメリットについてご紹介します。過去に忌まわしい事故や事件があった場合、物件の所有者としてはそのままにしておきたくないという心理が働くこともあるでしょう。

その場合は事故物件を解体して更地にすることも悪くありません。実際に更地にすることでどういったメリットがあるのか確認しましょう。

現場のイメージ改善につながる

まずは、現場のイメージ改善につながることがメリットと言えます。購入者側の立場で考えれば、そのまま事故物件が残っているよりも心理的な負担は軽減されやすくなります。

人によって物件や土地に対する捉え方は異なりますが、「すでに取り壊されているのであれば検討しても良いだろう」と前向きに考える人も出てくるでしょう。

その結果、土地を売却しやすくなることも大きなメリットです。

駐車場や賃貸物件としての運用も可能に

事故物件を解体して更地にすることで、駐車場や賃貸物件などとして運用することも可能です。事故物件をそのままにしておくとなかなか売却できないことがありますが、一旦更地にしてその他の方法で運用することで新たな収入源を確保できます。

駐車場やコインパーキングであれば、利用者でも事故物件だったかどうかを気にするケースは減るでしょう。

賃貸物件の場合も、住居の購入と比べれば貸借人の心理的負担が軽減されやすくなります。事故物件を解体してその他の方法で運用することで、人々の心理的負担を軽減して利用促進につなげられることがメリットです。

周辺住民の記憶から消えやすくなる

現場のイメージ改善につながることとも関係していますが、更地にすることで周辺住民の記憶から消えやすくなることもメリットと言えます。

更地にしてからその他の方法で活用したり運用したりすれば周辺住民の記憶も風化されやすくなります。

周辺住民のイメージを変えるという意味でも、事故物件を一旦更地にする選択は悪くないでしょう。

事故物件を解体して更地にするデメリット

ここからは事故物件を解体して更地にするデメリットについてご紹介します。更地にすることで得られるメリットがある一方で、デメリットもあるので注意が必要です。

双方の内容をしっかりと把握した上で最終的な判断を下すことがポイントです。

解体費用がかかる

まずは、解体費用がかかることがデメリットとして挙げられます。ビルやマンションなど、建物の規模が大きい場合にはそれなりの費用がかかりますし、数百万円から数千万円単位の費用が発生することも珍しくありません。

その後の運用方法が決まっていたとしても、一時的に大きな出費が発生することは痛手となるでしょう。ご自身の経済状況を勘案した上で解体するかどうか検討することが大切です。

固定資産税の負担が重くなる

それまであった建物を解体して更地にすると、固定資産税の負担が重くなることもデメリットです。建物が建っている場合、200㎡までの部分は固定資産税が6分の1に軽減される措置があります。200㎡を超える部分に関しても3分の1に軽減されるなど、建物が建っていた方が支払う税金を抑えやすくなるのが実情です。

しかし、建物を取り壊して更地にしてしまうと、固定資産税の軽減措置を受けることができません。土地をすぐに売却したり建て替えたりする目途が立っていれば問題ありませんが、そうでなければ長期間にわたって高い税金を支払い続けることになります。

したがって、事故物件を解体する際はその後の計画もきちんと立てておくことが重要です。

建て替えできない可能性がある

3つ目のデメリットとして、建て替えできない可能性が挙げられます。

再建築不可物件などの場合、建て替えできない

再建築不可物件とは、建築基準を満たしていないために建て替えが許可されない物件のこと。例えば、幅4m以上の道路に建築物の敷地が2m以上面していなければならない「接道義務」などを満たしていない物件が該当する。

建築基準は時代の流れに合わせて都度変更が加えられるものであり、現在の建築基準に適合していないと新しく建物を建て替えることができません。

そうなると取れる選択肢が減ってしまい、その後の対応が困難になることもあります。建て替えを検討している場合は、事前に現在の建築基準を満たしているのかどうか確認することが重要です。

事故物件を解体して売却する際の注意点

ここからは事故物件を解体して売却する際の注意点についてご紹介します。事故物件を解体して売却することは可能ですが、金額面ではなかなか思うような価格で売却できない可能性もあります。

事故物件ならではのデメリットですが、ある程度覚悟しておかなければなりません。売却に困った時の相談先も検討しておくと良いでしょう。

事故物件を建て替え、解体した土地の場合でも売却価格は下がる

まず、事故物件を建て替えて解体した土地であっても基本的に売却価格は下がります。一般的には相場よりも2割から5割程度下がると言われています。事故や事件の内容、社会的な印象、経過年数など、さまざまな要因が絡み合って決まるものですが、相場のまま売れる方が珍しいでしょう。

事故物件の場合はそれだけ低い売却価格になることを覚悟して売り出さなければなりません。

現代社会ではインターネット上に過去の事件や事故の情報が残り続けて、一般の方でも容易に情報を検索することができます。

たとえ、建て替えを行ったとしても心理的瑕疵を完全に消し去ることは難しいでしょう。相場より値下がりしても仕方ないという気持ちを持つことが大切です。

事故物件の立地条件等によって値下がりする金額は変わる

事故物件の売却価格は立地条件によって変わることもあります。例えば、都心部の需要のあるエリアであれば、相場よりも1割から2割程度安くするだけで買い手が見つかることもあります。

一方で、郊外や地方エリアなど、需要の低い場所で売却を検討する場合は相場より大幅に価格を下げてもなかなか買い手が見つからないことがあります。

同じ事故物件だとしても立地条件によって変わるのが売却価格であり、決まった金額で売れるわけではありません。

買い手が心理的瑕疵よりも金銭的なメリットを選ぶこともあり、買い手側の価値観が価格に影響を与えることもあります。まずは売却しようとしているエリアの需要を調べるなど、売却に向けた情報収集を行うことも有効です。

事故物件の売却は売買を仲介する不動産業者への相談を

事故物件を売却する場合は売買を仲介する不動産業者へ相談することがおすすめです。事故物件の売却や建て替え、更地にすることなどは相応のメリットやデメリットがあります。

素人ではなかなか判断しにくい部分も多く、まずは専門家の意見を頼ることが重要です。立地条件によっては建て替えをせずに駐車場やコインパーキングとして運用した方が良いこともあるでしょう。

あるいは、更地にして土地を売却した方が買い手が見つかりやすい可能性もあります。建て替えだけが選択肢ではないので、その他の案も含めて検討することが重要です。

そのヒントを得るために専門の不動産会社を探して相談すると良いでしょう。

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まとめ

事故物件の解体に焦点を当てて具体的な解説を行ってきました。事故物件を解体しても告知義務は残り、物件管理者やオーナー、不動産会社の責任として告知を続ける必要があります。

事故物件をそのままにしておくとなかなか買い手や借り手が見つからないことも少なくありません。その場合は解体工事を行って更地にすることも選択肢の1つです。その後、建て替え工事を行ったり、駐車場経営をしたり、土地を売却したりすることも可能です。

さまざまな選択肢がある中で最適だと思える行動をとると良いでしょう。その中で何か迷うことがあれば、売買を仲介する不動産業者や解体見積もり広場を利用することがおすすめです。

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