団地の解体工事の流れとは?工期目安や費用相場なども解説
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家屋や建物の解体工事の中には団地の解体も含まれます。一軒家を解体する場合もそうですが、団地を解体する場合も所定の流れや手続きを行った上で行う必要があります。今回は団地の解体工事に注目して、その流れや必要な届出などをご紹介します。また、解体工期の目安や費用相場も取り上げます。団地の解体について詳しく知りたい方はどうぞご覧ください。
団地の解体工事開始までの流れ
それでは、団地の解体工事開始までの流れについて整理します。基本的な流れとしては、一軒家の解体を行う場合とそれほど変わりありません。団地の解体となると工事の規模が大きくなりますが、何か特別なことをするわけではありません。ここでは基本的な流れを理解すれば大丈夫です。
解体業者探しからスタートして、工事開始に至るまでの一連の流れについて確認しましょう。
解体業者探し
まずは解体業者探しから開始します。団地の解体は規模も大きいので、過去の工事実績なども勘案しながら業者探しを行うことが重要です。解体業者によっては一軒家の解体には慣れている一方で、ビルやマンション、団地といった大型建物の解体には慣れていないというケースもあります。
反対に大型建物の解体工事に慣れている業者もあるので、そうした業者を中心に選定を進めることが有効です。過去の工事実績なども聞きながら複数の業者に見積もり提示を依頼すると良いでしょう。
また、団地の解体は基本的に「建設業の許可」を持っている業者しか行うことができません。工事代金の額が500万円以下の軽微な工事であればなくても大丈夫ですが、団地の解体となると500万円以上の費用がかかることは珍しくありません。
したがって、依頼しようとしている業者が「建設業の許可」を持っているのかどうか確認することも大切です。
事前準備
団地の解体に際しては、解体業者探しと並行して事前準備を行うこともポイントです。団地を解体する場合は、入居者に退去してもらう必要があります。いつまでに退去してもらうのか通知を出したり、ガス、電気、電話、インターネットなどのライフラインの停止を依頼したりする必要があります。
一軒一軒の協力を得て初めて解体工事に着手できます。この辺は一軒家の解体とは異なる部分であり、足並みを揃えて対応してもらうことが重要です。
必要に応じて手紙を投函するなど、入居者全員がスムーズに行動しやすい対応を取ることが求められます。
現場調査
解体業者探しを進める中で良さそうな業者を見つけたら、実際に現場調査を行ってもらいます。現場調査は見積もり作成のために必要であり、確実に行ってもらいましょう。車両の搬入ルートの確認や近隣にどういった住居や施設があるのか確認してもらうことが大切です。
また、屋根材の確認や構造の確認、外壁の素材確認など、解体工事に際して必要な情報を全て収集してもらいます。図面や写真だけではわからないことも多いので、実際に現場で調査を行うことが重要です。
施主としては解体業者と連絡を取り合う中で、都合の良い日時を提示するようにしましょう。
見積もり提示
現場調査を終えたら見積もり提示を受けます。実際に解体業者が目視で現場確認を行うことで、どれくらいの工期で解体できそうか提示してくれます。それと同時にどれくらいの費用がかかるのか提示してもらいます。
基本的には相見積もりを行うことになるので、全ての業者の見積もり提示を受けるまで契約は待ちます。業者によって作業内容や作業員の人数、工期に違いが出ることも珍しくありません。
複数業者からの提示を受けた中で最も納得感のある業者に工事を依頼することがポイントです。
細かい費目の確認
見積もり提示の際に細かい費目と金額の確認を行うことも重要です。どの作業にどれくらいの費用がかかるのか確認することで、他社との比較も行いやすくなります。例えば、ガードマンを設置するのかどうかによっても費用総額は変わります。
具体的にどういった費目例があるのか整理しておきましょう。
- 外構撤去費用
- 残置物の処分費用
- 養生の設置費用
- 足場の設置費用
- ガードマンを雇う費用
- 電気の切り回し工事費用 など
一部の事例として上記のような費目が挙げられます。実際の見積書にはさらに細かい費目が記載されることが一般的であり、どれくらいの総額になるのかきちんと確認することが大切です。
契約の締結
複数業者からの見積もり提示を受けたら契約の締結を行います。見積もり提示は無料で行ってくれる業者が多いので、基本的に契約を結ぶまで費用が発生することはありません。
それぞれの業者の解体費用やスケジュールを聞きつつ、信頼できそうだと感じた業者に工事を依頼することが重要です。
契約締結に関しては遅くとも工事開始の1ヶ月前までに結ぶことがおすすめです。優良業者になればなるほど先の予定が埋まる傾向にあるので、スケジュールにある程度のゆとりを持たせることが大切です。
近隣への挨拶
解体業者と契約を結んだら、近隣への挨拶を行います。多くの場合は解体業者が主導して行ってくれますが、できれば施主も一緒に挨拶を行うことがおすすめです。解体工事中は以下のようなことで、近隣の方々へご迷惑をおかけすることも珍しくありません。
- 騒音
- 振動
- 粉じんの飛散
- 道路の利用 など
こうしたことで迷惑をかけて近隣の方のストレスが溜まると、クレームや近隣トラブルにつながる可能性も出てきます。そうなると工事の進捗に影響が出るリスクも高まり、施主としても嬉しいことではありません。
そうしたリスクを少しでも排除するために事前に顔合わせを行っておくことが有効です。工事内容の説明やご迷惑をおかけすることの謝罪など、あらかじめ説明することで近隣の方の理解や協力を得やすくなります。
解体工事開始に向けて重要なフェーズなので、確実に行うようにしましょう。
解体工事の開始
近隣挨拶まで終えたら、解体工事を開始します。当初予定していた工事開始日に作業を行えるように解体業者も準備を進めてくれるでしょう。
解体工事が始まったら後は業者に任せることがほとんどです。施主がやることは少なく、業者からの進捗報告を受けるぐらいでしょう。何事もなければ工事終了予定日に完了報告を受けることになります。
団地の解体工事に必要な申請や届出
ここからは、団地の解体工事に際して必要な申請や届出についてご紹介します。解体工事を行うに当たっては、定められた申請や届出を行った上で作業を開始することが重要です。
申請や届出を行わずに作業を開始すると行政から勧告を受けて、最悪の場合、工事中止に追い込まれるリスクもあります。そうならないように施主としても適切な対応をする業者なのかどうか見極めることが大切です。
特定建設作業届
まず、工事開始に当たって特定建設作業届の申請が必要です。
特定建設作業
建設工事のうち、著しい騒音や振動を発生する作業のこと。特定建設作業を行う場合には作業開始の7日前までに各市町村に届出を行う必要がある。
解体工事では重機を使って取り壊しを行うことが多く、作業中には騒音や振動が発生することが珍しくありません。著しい騒音や振動が発生する場合は事前に市町村からの許可を得る必要があります。届出に当たって必要な書類は以下のものです。
- 特定建設作業実施届
- 作業場付近の見取図
- 工事工程表
上記の書類を準備した上で申請を行います。
建設リサイクル法の届出
団地の解体工事に当たっては建設リサイクル法の届出も必要です。80㎡を超える建物を解体する場合や、工事代金の合計が500万円を超える場合は各都道県に申請を行う必要があります。
基本的には解体業者が主導して届出を行います。万一、必要な届出を行わずに工事を開始した場合、解体業者はもちろん、施主も罰せられる可能性があるので注意が必要です。
分別解体等の計画
建設リサイクル法の届出に付随するものとして、分別解体等の計画も都道府県に提出します。解体工事を行うと、コンクリートガラや鉄くず、プラスチックや木片など、さまざまな建築廃材が出てきます。
そうした建築廃材は種類ごとに分けて処分しなければなりません。かつてはミンチ解体と呼ばれる形で全ての建築廃材を混ぜて処分していましたが、現在では禁止されています。適切に分別解体を行うという意思表示として、計画書を提出する必要があります。
建物滅失登記
団地の解体工事を終えたら、建物滅失登記を行います。
建物滅失登記
建物の登記簿を閉鎖する手続きのこと。建物を解体したら1ヶ月以内に管轄の法務局で申請を行い、建物がなくなったことを登記する。
建物滅失登記は団地に限らず、全ての家屋や構造物に当てはまる申請です。建物を解体して存在していたものがなくなったら、そのことを新たに登記しなければなりません。
指定期間内に登記を行わずにいると、10万円以下の罰金に処される可能性があります。自分で行うのが大変だという場合は、土地家屋調査士などに委任することもできるので積極的に活用しましょう。
団地の解体に必要な安全管理
ここからは、団地の解体に必要とされる安全管理についてご紹介します。団地は集合住宅であり、一軒家とは違った規模があります。そのため、解体工事も万全を期して行う必要があり、安全管理にも相応の力を入れることが求められます。
作業員の安全を確保することが解体工事の円滑な進捗につながります。具体的にどういった考え方が必要となるのか確認しましょう。
管理事項の確認
まずは、解体工事に際して必要な管理事項の確認から行います。ビルやマンションもそうですが、団地を解体する場合も以下の項目に注意しながら作業することがポイントです。
- 第三者災害
- 墜落
- 落下災害
- 火災災害の絶無
- 公害の防止
- 近隣住民に対する安全
- 交通安全
- 日常点検の実施
上記のことに注意を向けつつ、解体工事を予定通りに進められるように日々やるべきことを確認します。作業責任者は朝礼などで作業員全体に周知徹底を図るように取り計らうことが重要です。
安全作業のための打ち合わせ
安全管理を徹底するために、安全作業のための打ち合わせも欠かさずに行うことが重要です。具体的には、以下の内容の打ち合わせを行います。
- 作業開始前のミーティング
- KY(危険予知)活動の実施
- 作業内容や工程の打ち合わせ
- 作業員の健康状態の確認
作業前には主に上記のことを話し合います。特にKY活動は重点的に行うことが大切です。作業現場にはいつどんな危険が潜んでいるかわかりません。少しでも気になることがあれば積極的に発言するなど、作業員全員で危機に対する意識を共有することが重要です。
5S活動の実施も
作業場や作業員たちの安全管理という点では、5S活動の実施も重要です。5S活動とは、以下の5つの項目について意識を新たに取り組むことです。
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- 躾(しつけ)
作業場内をきれいな状態に整えることで、安全に作業を行えるようにすることが5S活動の大きな目的です。作業場が乱雑な状態だとどこに何があるのかわからずに時間がかかったり、転倒の原因になったりすることがあります。
5S活動は、仕事のばらつきをなくして作業の効率性や生産性を高めるためにも意義のある取り組みです。
重機災害の防止
解体工事の際の安全管理を徹底するために、重機災害の防止も心がける必要があります。重機を扱う作業は有資格者が行うことを徹底し、始業前の点検や作業終了後の点検を欠かさずに行うことが重要です。
また、重機を扱った作業を行う場合は作業半径への立ち入り禁止を徹底するなど、作業員たちの安全を守る意識を高めることもポイントです。
防火管理
解体工事に際しては防火管理の意識も徹底する必要があります。解体作業が原因で火事が発生することは珍しくありません。そうしたリスクを発生させないために、以下の作業や報告の実施を行うことが重要です。
- 火気危険物の使用、持ち込みの事前報告
- 火元責任者と監視人の選任
- 喫煙所及び消火器等の機器設置
上記の項目を適切に行い、防火管理を徹底することが大切です。
近隣対策
工事開始前の近隣挨拶の際に、安全に関する周知徹底を図ることも重要です。具体的には、近隣住民への工事案内の配布や工事の概要、安全対策の説明を行うことが挙げられます。
解体工事は業者や施主だけのものではなく、近隣住民などの第三者を含めた社会的な事象です。自分たちさえ良ければ良いというものではなく、近隣の方の安全もしっかりと守る必要があります。
立ち入り禁止エリアの設置やガードマンの配置など、必要に応じて講じるべき対策を徹底的に行うことが大切です。
団地の解体工事の工期目安
ここからは、団地の解体工事の工期目安についてご紹介します。工期は団地の大きさにもよりますが、構造によっても多少の違いが出てきます。施主としてもどのくらいの期間を見ておけば良いか気になる部分もあるでしょう。その具体的な日数について取り上げます。
鉄骨造の場合
まずは、鉄骨造の場合から見ていきます。
延床面積 | 工期の目安 |
---|---|
100坪 | 20日~30日 |
300坪 | 40日~50日 |
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と比べて、鉄骨造であれば短期間で解体工事を終えやすいことが特徴です。
鉄筋コンクリート造の場合
続いては、鉄筋コンクリート造の場合の工期目安についてご紹介します。
延床面積 | 工期の目安 |
---|---|
100坪 | 30日~40日 |
500坪 | 70日~80日 |
建物の構造が頑丈であれば頑丈であるほど、解体にも時間がかかります。
鉄骨鉄筋コンクリート造の場合
鉄骨鉄筋コンクリート造の場合の目安は以下の通りです。
延床面積 | 工期の目安 |
---|---|
100坪 | 60日~80日 |
500坪 | 90日~120日 |
とても頑丈な構造となっているため、解体にも多くの時間を要すると認識しておきましょう。
団地の解体費用相場
ここからは、団地の解体費用相場についてご紹介します。一軒家と比較して規模の大きな団地は解体費用も高騰することが想定されます。施主としては費用面が一番気になるということも多いでしょう。
実際には、団地の構造や面積によっておおよその金額計算が行われます。分譲と賃貸の費用負担の違いも含めて理解を深めていきましょう。
構造による坪単価の違い
団地の解体費用については、構造による坪単価の違いを理解することがポイントです。解体工期も構造による違いがありますが、費用に関しても同様です。その概要を以下の表にまとめます。
構造 | 坪単価 |
---|---|
鉄骨造(S造) | 3万5,000円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 4万5,000円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 6万円 |
おおよその目安として上記の坪単価が参考になります。例えば、鉄骨造で300坪の団地を解体する場合は1,050万円程度の費用がかかると想定しておきましょう。
団地の規模や面積にもよりますが、解体には1,000万円から2,000万円前後の費用が必要となることも珍しくありません。それだけ多くの資金が必要になることを想定しつつ、団地の解体を検討することが重要です。
現場への立ち会いが重要
一軒家の解体とは異なり、高額な資金が必要となるのが団地の解体です。解体業者から見積もり提示を受ける場合も必ず現場への立ち会いをしてもらうようにしましょう。
団地の構造は複雑に入り組んでいることも多く、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合はより詳しく内部調査を行うことが重要です。
周辺状況や道路の広さ、団地の広さや階数など、あらゆる部分を目視で確認することで正確な見積もり提示につながります。提示される見積もり金額に対する納得感を高めるという点でも、現場で直接コミュニケーションを取ることが重要です。
分譲と賃貸の費用負担の違い
団地の解体に際しては、分譲と賃貸による費用負担の違いもあります。マンションなども同様ですが、分譲の場合は住民が部屋を所有しているので、解体費用も住民同士で負担する必要があります。
一方で、賃貸の場合は住民が解体費用を負担する必要がありません。団地の管理会社や指定業者が費用負担を行います。
また、分譲の場合でも住民の大多数の賛成がなければ団地を解体すること自体できません。分譲を解体する場合は、住民や管理会社同士で何度も話し合いを重ねて最終的な結論が導き出されることが一般的です。
団地の解体費用を安くするポイント
団地の解体費用を安くするためのポイントについてご紹介します。団地の解体は費用が高騰しやすいことが特徴で、施主の経済的負担も重くなります。少しでも解体費用を安くしたいと考えるのは自然なことです。
実際に費用負担を軽減するための方法はあります。その具体的な内容について確認しましょう。
内部も立ち会い調査を依頼
まずは、団地の内部も立ち会い調査を依頼することがポイントです。一般的な現地調査では、団地の外観だけを見て見積もり価格の提示を行うことが多いです。それだけでも適切な費用計算を行えますが、より正確な金額を算出してもらうために内部の様子を見てもらうことも重要です。
空き部屋があれば、そこに入って内部の様子を確認してもらいます。外観だけを確認して金額計算を行うと、内部については憶測で計算を行うことになります。そうなると、業者側としても多少ゆとりを持たせた見積もりになることがあります。
そのリスクを避けるために、見せられる部分はできるだけ見せることが重要です。内部も外部も含めて全部確認してもらうことで金額に幅がなく、より正確な見積もり提示を受けられます。
図面の利用
解体費用を安くするためには、図面を利用することも有効です。現地調査で内部も外部もできるだけ確認してもらうことで、正確な費用計算につながります。しかし、現地調査では外見で見える部分とそうでない部分の差異までは判断できません。そこで役立つのが図面です。
団地の図面が残っている場合は、図面を提供することで構造的な部分やより団地全体の詳細を把握できます。そうすれば、解体業者も憶測ではなく根拠を持った形で金額計算を行ってくれるでしょう。
わからないことが多ければ多いほど憶測による計算が先行し、総額が高くなる恐れがあります。提供できるものは提供することで、憶測の部分を減らすことが重要です。
相見積もりの実施
費用負担を軽減するためのより効果的な方法として、相見積もりの実施が挙げられます。これは団地の解体に限らず全ての解体工事や建設工事に通じることですが、他社と比較することで、よりお得に工事を行ってくれる業者を見つけられます。
単純に費用が安ければ良いというわけではなく、団地などの集合住宅の解体経験があるかどうかなどを確認することも重要です。業界自体の経験や知識、作業員が持っているスキルやノウハウなどを含めて、複数業者と話し合うことで見えてくる部分も多々あります。
団地の解体は一生に一回あるかどうかというレベルの行いでしょう。それだけに業者選びには万全を期すことが大切です。
解体業者との直接契約
費用負担軽減のためには解体業者と直接契約を結ぶことも大切です。特に解体した敷地に新たな団地やマンションを建設する場合など、建設業者と話し合いを行うこともあります。ハウスメーカーや工務店を含めた建設業者経由で解体業者探しをすると、中間マージンと呼ばれる仲介手数料を取られることがほとんどです。
中間マージンは工事代金の10%~30%程度に上ることが多く、1,000万円を超えるような工事が多い団地の解体においては大きな出費となります。
その費用を削減するためにも、解体工事は解体工事、建設工事は建設工事という形で別々に発注することが重要です。解体業者と直接契約を結べば中間マージンが発生することはないので、費用削減につながります。
団地を建て替える場合の流れ
ここからは、団地を建て替える場合の流れについて整理します。解体した団地の敷地に新たな団地やマンション、ビルなどを建設することもあるでしょう。団地を解体する場合は、現在住んでいる人たちに退去してもらう必要があります。
多くの人の協力があって成立するのが団地の解体であり、建て替え工事です。その一連の流れについて理解を深めていきましょう。
建て替えの検討と準備
まずは、建て替えに向けた検討と準備から開始します。そもそも本当に建て替えを行う必要があるのか、住民の理解は得られるのかといった検討を行い、住民説明会などを開催しながら解体に向けた機運を高めていきます。
実際に建て替えを行うためには、区分所有法の「建替え決議」と呼ばれる決議を行う必要があります。
区分所有法
分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。
建替え決議の規定では、住民の5分の4以上の賛成がなければ解体することができないと定められています。団地の解体に際してはそれだけ多くの住民の賛成を取り付ける必要があるため、なかなか交渉が進展しないこともあります。
建て替え計画の策定
住民の理解や協力を得て、団地の建て替えに合意してもらえたら建て替え計画の策定を行います。解体業者探しもそうですし、どの建設会社に建て替え工事を依頼するのかなども計画段階で決めていきます。
また、解体後にどういった建物を建設するのか、広さや階数、建物の数はどうするのかといった部分も決めます。ここで決めた計画をもとに工事が進められていくので、とても重要なフェーズです。
建て替え工事の実施
建て替え計画を策定して解体業者や建設業者を選定したら、後は工事を実施するのみです。解体工事から行い、空いた敷地に新たな建物を建設する流れとなります。
解体前の団地にに住んでいた住民は一度仮住まいに引っ越し、新たな建物が建設されたら再び新しい物件での生活を開始します。
建て替え工事の検討から工事の完了までは長い期間を要することも珍しくありません。数年単位での工事になることもあり、事前にどれだけ住民からの理解を得られるかが大きなポイントです。
まとめ
団地の解体工事に注目をして、工事開始までの流れや安全管理の部分などを中心にご紹介しました。日本国内には高度経済成長期に建てられた団地も多く、解体工事が必要な時期に差し掛かっているケースも少なくありません。解体だけではなく、リノベーションといった選択も取ることができます。
古くなった団地はいずれ解体せざるを得ず、そのまま残しておくことは難しいでしょう。そうなった場合に住民からの理解を得てスムーズに解体工事に取り掛かることが重要です。いざという時に備えて、団地の解体に関する見識を深めておきましょう。