解体工事と建築物除却届の関係とは?書類の記入事項なども解説!
家屋や建物の解体工事を行う場合、さまざまな届出や申請が必要になることがあります。そのうちの1つとして、建築物除却届を挙げることができます。そこで今回は、建築物除却届に注目をして解体工事との関係性について迫っていきます。書類の提出先や届出期限など、建築物除却届に関する考え方や知識を習得しておいて損をすることはありません。書類の記入事項なども含めて解説を行っていきますので、どうぞ参考にしてください。
解体工事と建築物除却届の関係
それでは、解体工事と建築物除却届の関係から解説していきます。家屋や建物を解体したり除却したりする場合に必要となるのが建築物除却届です。その目的や提出先、届出の期限や罰則規定などについて理解しておくことが大切です。1つ1つの内容について理解を深めながら確認していきましょう。
建築物除却届の概要
まずは、概要から確認していきます。建築物除却届は一般的な家屋や建物を含む建築物を解体したり除却したりする場合に、都道府県知事に届け出る必要があるものです。基本的には建築主事を通して届出を行うことになります。
反対に、建築物を建てる場合には建築工事届の提出が必要となります。それぞれの違いについて明確に区別しておくことがポイントです。
建築物除却届の目的
建築物除却届の届出を行う目的としては、建築物の除却や災害による滅失統計といった統計情報を取得することが挙げられます。1年間にどれくらいの家屋や建物が取り壊されたのか、あるいは災害などによって消失してしまったのかを把握するために国土交通省が管理しています。
新たに建築物が建てられた場合は建築工事届の提出が必要となりますが、こちらも年間の建築件数の統計情報として活用されています。
それぞれの届出は日本国内にどれくらいの家屋や建物があるのか把握することが大きな目的であり、年間に除却される建築物の数を把握するために建築物除却届の届出が求められています。
提出書類と提出先
建物を解体したり取り壊したりする際の提出書類は「建築物除却届」となります。建物を新たに建設する場合は「建築工事届」が必要となりますが、両者を区別して覚えておくようにしましょう。
また、書類の提出先としては以下の2つの場所を挙げることができます。
- 民間指定確認検査機関
- 特定行政庁
基本的に、建物や建築確認が必要となる場合は民間指定確認検査機関に対して届出を行います。その際は、確認申請書と呼ばれる書類も一緒に提出することになるので覚えておきましょう。
一方で、建物や建築確認が必要ない場合は、建物を管轄する特定行政庁の確認申請窓口で届出を行えば問題ありません。この辺は解体業者と連携を取りつつ、どこで書類を提出するのか確認することがポイントです。
届出期限と罰則規定
建築物除却届の提出期限としては、解体工事を行う前日までと定められています。したがって、届出を行う前に解体工事を開始することはできません。施主が届出を行う場合も解体業者が届出を行う場合も含めて、必ず書類を提出してから工事を開始することがポイントです。
万一届出をせずに工事を開始した場合は、50万円以下の罰金が科されることになっています。また、虚偽の届出をした場合も同様の罰則規定が設けられています。いずれにしても、期日までに正しい申告をすることが大切です。
建築物除却届と評価額
建築物除却届を提出する際の記入項目として、「評価額」の欄が設けられています。文字通り建築物の評価額を記入することになりますが、その金額は用途や構造、除却原因などに区分をして建築物除却統計として取りまとめられることになっています。
簡単に言えば、評価額ごとの除却件数や除却の実態を把握するために用いられるものでだと考えることができます。基本的には解体時の建物の評価額を記入することがポイントです。
建築物除却届の記入例や記入事項
ここからは、建築物除却届の記入例や記入事項に焦点を当てて解説を行っていきます。実際の書類は第一面と第二面の2ページ構成になっていることが多いです。都道府県などによって若干書式が異なることもありますが、基本的な記入事項はほとんど同じです。
記入時の注意事項なども踏まえながら理解を深めていきましょう。
第一面の記入事項
それでは、第一面の記入事項から確認していきます。第一面に関しては、解体工事を行う施工者の郵便番号や住所といった情報を記入する欄となっています。主な記入項目としては以下の通りです。
- 届出年月日
- 除却工事施工者
- 郵便番号
- 住所
- 氏名(押印)
- 電話番号
第一面には上記の項目を記入することになっています。氏名の箇所に押印が必要となるので、印鑑を忘れずに用意することがポイントです。その他は書式に沿って記入していけば問題ありません。
第二面の記入事項
続いては、第二面の記入事項について確認していきます。第二面では除却に関する具体的な情報を記入することになります。除却場所や建築物の数など、より詳細な内容を記入して届出を行うことがポイントです。主な記入事項としては以下の通りです。
- 除却場所
- 除却予定年月日
- 主要用途
- 除却場所
- 構造種別
- 建築物の数
- 住戸の戸数
- 住宅の利用関係
- 建築物の床面積の合計(㎡)
- 建築物の評価額
第二面では上記の内容について記入を行っていきます。主要用途に関しては「居住専用建築部」、「居住産業併用建築物」、「産業専用建築物」の3種類から選択します。居住産業併用建築物と産業専用建築物のいずれかを選択した場合は、さらに細かな区分を記入することになります。主な区分としては、以下の用途が挙げられます。
- 農林水産業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 運輸業
- 情報通信業 など
各区分については番号が指定されているので、その番号を記入すれば問題ありません。除却原因に関しては「老朽して危険があるため」か「その他」を選択します。
また、構造種別については「木造」か「その他」を選択します。住宅の利用関係に関しては「持家」か「借家」、「給与住宅」の3種類から選択します。
第一面と同様に、第二面に関しても書式に沿って記入を行っていけば問題ありません。必要な情報をお届けできるように、記入内容には正確性を期すことが求められます。
記入時の注意事項等
第一面も第二面も基本的には記入事項が決まっているので、その書式に沿って記入を進めていけば問題ありません。第二面に関しては、建築物の条件によって記入内容が変わってくるので注意する必要があります。
上段でも取り上げましたが、建築物の主要用途や除却原因、構造種別や住宅の利用関係などは個別の建築物によって変わっていきます。解体を行う建物がどういった用途で利用されてきたのかなどを改めて確認しつつ、正確な情報を提供できるように心がけていきましょう。
その他の届出書類
ここからは、その他の届出書類に焦点を当てて解説を行っていきます。家屋や建物といった建築物を解体したり除却したりする場合は、建築物除却届の提出が必要となることをご紹介しました。
それ以外に新たに建築物を建築する場合は、引き続き建築物を建築する場合などを挙げることができます。そうしたケースで必要となる書類や提出期限について確認していきましょう。
新たに建築物を建築する場合
新たに建築物を建築する場合は、「建築工事届」を提出する必要があります。建築工事届は確認申請書を提出するのと同じタイミングで提出すれば問題ありません。いずれの書類に関しても、建築主事を経由して都道府県知事に届出を行うことになります。
確認申請書の概要についても確認しておきましょう。
確認申請書とは?
確認申請書とは、新たに建設する建築物が都市計画法や建築基準法、消防法や宅地造成規制法といった法律に違反していないかを確認するための書類です。それぞれの法律が規定している基準や規定をクリアすることによって初めて新たな建物を建設することができます。
主な確認事項としては以下の内容を挙げることができます。
- 建ぺい率(敷地面積に対する建物面積の割合)
- 延床面積
- 建物の大きさ
- 住環境への問題(採光率など)
- 建物の耐久性
- 構造上の問題はないか など
確認申請書を通して、上記のような内容が見られることになります。それぞれの内容を確認するまでには時間がかかり、審査期間としては早ければ1週間程度、長い場合は数週間から1ヶ月程度かかることもあります。そのため、新しく建物を建設することが決まった場合はなるべく早めに提出することがポイントです。
書類に不備があったり、審査基準を満たしていなかったりする場合は再提出が必要となることもあります。そうなると、工事の開始日に遅れが生じることもあるので注意が必要です。
引き続き建築物を建築する場合
既存の家屋や建物を解体して、同じ敷地内に引き続き建築物を建築する場合も「建築工事届」を提出する必要があります。こちらも新たに建築物を建設する場合と同様に、確認申請書を提出するのと同じタイミングで届け出ることが求められます。
上記でも触れましたが、確認申請書の審査には時間がかかることがあるので早め早めの対応を取ることがポイントです。
まとめ
解体工事と建築物除却届の関係に焦点を当てて解説を行ってきました。家屋や建物を取り壊す場合は、必要な手続きや書類の提出を行ってから工事を開始することが重要です。そのうちの1つが建築物除却届の提出であり、違反すると罰金が科されることになるので注意が必要です。
その他、新たに建物を建設する場合や引き続き同じ敷地内に建物を建設する場合など、必要となる書類が変わっていくことがあります。それぞれの状況に応じて必要な手続きができるように解体業者や建設業者と連携しておくことがポイントです。