解体工事に必要な足場とはどんなもの?足場の種類や設置費用も解説!
解体工事を依頼したり、実際に現場を見たりする時に足場に目が行くという方もいるでしょう。どのように足場を設置しているのか、あるいは足場の設置にはどれくらいの費用がかかるのか疑問に思うという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、解体工事と足場の関係に注目をして解説を行っていきます。足場の種類や設置費用についても取り上げていきます。その他、足場での事故やトラブル、足場に関する労働安全衛生規則などもご紹介していきますので、どうぞ参考にしてください。
解体工事での足場における事故やトラブル
それでは、まず解体工事での足場における事故やトラブルについて取り上げていきます。解体工事では事故やトラブルがつきものである部分もありますが、特に足場で事故が発生することも多くなっています。解体業者としては十分に注意しながら作業を進める必要がありますが、それでも完全に防ぎ切ることは難しい状況です。
場合によっては、近隣トラブルの原因になることもあります。実際に、足場の設置によってどういった事故やトラブルが発生するのか確認していきましょう。
近隣トラブルになることも
解体工事での足場の事故やトラブルに関して、近隣トラブルの原因になるという点から見ていきます。足場の組み方や工事のやり方次第で近隣トラブルを引き起こすケースがあり、解体業者としては十分に注意を払うことが求められます。
特に多いのが、隣接する土地との境界を巡るトラブルです。解体する建物と隣家との距離が近い場合、お隣の土地にまで侵入する形で足場を組んでしまうことがあります。そうなると、隣家の住民としては黙って見ていられずにトラブルにつながることがあります。
また、解体業者が勝手に隣家との境界である塀を壊して足場を設置するというケースも見受けられます。これも、隣家の怒りを買う行為であり、大きなトラブルにつながる原因と言えます。
足場の設置に関して近隣トラブルが発生するのは、解体業者に非があることがほとんどです。事前に近隣住民や隣家の方に許可を得て足場を設置すれば問題ありませんが、無断で設置してしまうとトラブルにつながりやすくなります。
足場の設置範囲が自分たちの土地だけでは収まらない場合、解体業者や施主としては事前に近隣の方々へ事情説明をして、足場の設置と工事への理解を求めることが重要です。
足場と解体工事の危険性
解体工事と足場の関係に関しては、常に危険がつきまとっていると考えておくのが無難です。特に高層ビルや高層マンションの解体工事においては、足場上から作業員が転落して大怪我や死に至るような事故を起こすこともあります。悪天候の場合も同様で、雨や雪によって滑りやすくなった足場から転落してしまう作業員も少なくありません。
そういった意味で、解体作業員としては常に危険と隣り合わせにあることを意識しつつ、安全第一で作業を進めていく必要があります。
また、強度や安全性に欠けている足場を組み立てると、足場自体が崩落して通行人や通行車両を事故に巻き込んでしまうといったケースもあります。足場の安全性や強度に万全を期すことも、解体業者に求められる責任です。
足場からの転落や足場の倒壊などで、解体工事とは無関係の第三者に被害を加えてしまうこともあると想定しておくことが大切です。優良な解体業者であれば、第三者への損害賠償サポートがついている保険に加入をして、そこから賠償金の負担を行います。
一方で、悪徳業者や事故に対する認識が甘い業者は保険に加入していないこともあります。そうなると、事故が発生した際の賠償金の支払いに困ることになり、会社として破綻しかねない危険性が出てきます。施主としては、解体工事を依頼する前に、万一の際に補償を受けられる適切な保険に加入しているのかどうか確認しておくことが大切です。
倒壊トラブル
解体工事と足場の関係について言えば、倒壊トラブルも挙げることができます。上記でも触れましたが、強度や安全性に欠ける足場を設置してしまうと、台風や暴風などの風による影響で倒壊してしまう危険性があります。
本来は、風で倒壊することがないくらいの強度や安全性がある足場を使うことが解体業者に求められています。それでも、長年にわたって同じ足場を使い続けていると、足場自体もどんどん古くなっていき、強度や安全性に支障が生じてくることがあります。
実際に足場が倒壊してしまうと、通行人や通行車両に多大なる被害を与えてしまうことになります。足場の倒壊によって死者が出るような事故が発生したこともありますし、決して軽視することはできない状況です。
足場の倒壊トラブルを防ぐという意味では、施主側の心構えも重要です。施主としてはできるだけ費用が安い業者に工事を依頼したいと考えるものですが、あまりにも安すぎると、足場の設置に関してずさんなものになってしまう可能性があります。足場の設置だけでなく、工事自体も手抜き工事のような形になってしまうことがあるので、あまりにも安すぎる金額を提示された場合は安易に依頼しないことが重要です。
解体業者の利益なども考えると、適正価格というのが見えてきます。2社から3社程度見積もりを依頼して、適正価格だと思える業者に工事を依頼することで、足場の倒壊トラブルを含めた事故の発生を軽減することができるでしょう。
足場の養生シートがトラブル回避に
足場関連の事故やトラブルをなくすという点では、養生シートの活用も欠かせないポイントです。足場を設置する場合は、養生と呼ばれるシートで建物全体を囲うことになります。頑丈な養生シートを設置することで、万一足場が崩れてしまった場合でも被害を最小限に食いとどめることができます。
養生シートの設置には、足場のトラブル回避以外にも、防音や粉じんの飛散防止、耐火性能といった役割を発揮することがあります。養生シートの種類にもよりますが、解体工事においてさまざまな役割を果たしてくれる優れものです。
ただし、養生シートも長年使っていると、古くなってきたり部分的に破れたりすることがあります。そうした状態のシートで建物を囲っても、いざという時に頼りにならず大事故につながってしまうリスクがあります。
設置する足場に関してもそうですが、養生シートに関しても強度や安全性を意識しつつ、しっかりと手入れされたものを使うことが重要です。
解体工事の足場と届出の関係
ここからは、解体工事の際に使用する足場と届出の関係に注目をして解説を行っていきます。一般の家屋や建物を解体する場合もそうですが、高層ビルや高層マンションなどを解体する際には足場の設置が必要になってきます。
足場を設置しないと作業の安全性が担保されず、重大な事故につながる恐れも出てきます。その足場の設置に関しては、いつでも自由に設置できるというわけではありません。一定の条件を確認した上で、然るべき届出を提出することで足場を設置することができるようになります。その届出について、具体的に確認していきましょう。
「道路使用許可」や「道路占用許可」
解体工事の際に足場を設置する場合、必要となる届出として、「道路使用許可」や「道路占用許可」を挙げることができます。それぞれの届出には、作業をする際の条件が定められています。
- 道路使用許可:解体作業で道路を使用する場合に必要
- 道路占用許可:解体現場の敷地をはみ出て足場を設置しなければならない場合に必要
上記の通り、条件を確認した上で必要となる届出を出すことがポイントです。改めて整理すると、足場の設置も含めて解体現場の敷地内だけで収まる場合は、道路占用許可を出す必要はありません。解体現場の敷地を越えて足場を設置する場合のみ、道路占用許可の届出が必要となります。
道路使用許可に関しては、足場の設置有無に関わらず道路を使用する場合に必要となります。解体工事で使うトラックや重機などの停車場所として道路を利用する場合も、道路使用許可の届出が必要です。
どちらの届出に関しても、道路を管轄する警察署に提出することになります。届出に関しては基本的に解体業者が行ってくれるので、施主が何かをする必要はありません。何か不安に思うことがあれば、解体業者に届出は済んでいるのか確認してみると良いでしょう。
「機械等設置届」
解体工事と足場の設置に関して必要となる届出については、「機械等設置届」も挙げることができます。 機械等設置届を出す必要があるのは、以下のケースです。
機械等設置届
張り出し足場やつり足場といった種類の足場を設置する場合と、高さ10m以上の足場を設置する際に必要な届出。
機械等設置届については、所轄の労働基準監督署に提出することが義務付けられています。こちらも、道路使用許可や道路占用許可と同様に、解体業者が手続きを行ってくれます。
道路使用許可や道路占用許可もそうですが、機械等設置届もきちんと申請を行わないと、後々のトラブルにつながる可能性があります。場合によっては警察署や労働基準監督署から工事の中断や中止を
求められる原因にもなるので、工事が始まる前に確実に届出を出しておくことが大切です。解体工事のスムーズな進行という点でも、確実に届出を行っておきたいところです。
解体工事の際に使う足場の種類
ここからは、解体工事の際に使う足場の種類について確認していきます。解体工事に際しては足場を設置して工事を行うことが多くなりますが、その種類もさまざまです。解体現場の状況や建物の高さによっても、使う足場の種類が変わってくることがあります。
それぞれの足場には特徴があり、メリットやデメリットがあることも間違いありません。くさび足場やわく組足場、単管ブラケット足場や単管足場など、足場の種類に応じた特徴について確認していきましょう。
くさび足場
まずは、くさび足場について確認していきます。くさび足場の特徴としては、一般的な家屋や住宅の改修工事や解体工事でよく用いられるという特徴が挙げられます。足場を設置するまでの期間が比較的短くて良いところが特徴で、安全性の高さにも定評があります。
くさび足場のメリットとデメリットについて、それぞれまとめていきます。
くさび足場のメリット
- 住宅用の足場の中では一番作業がしやすい
- 足場設置にかかる工期が短い
- 安全性が高い
くさび足場のデメリット
- 足場を設置する際にハンマーで叩いて固定するため、騒音が発生しやすい
- 場所によっては設置できないことがある
わく組足場
続いては、わく組足場の特徴について見ていきます。わく組足場については、足場を高く組むことができるところに特徴があり、主に大規模修繕や大規模解体の際に用いられることが多くなっています。そのメリットやデメリットについても確認しておきましょう。
わく組足場のメリット
- 足場を高く組めるので、高層階の建物やマンション、ビル工事にも対応できる
- 安全性が高い
わく組足場のデメリット
- 足場を組むための部材が大きく、搬入経路や資材置き場にも一定の面積が求められる
単管ブラケット足場
続いては、単管ブラケット足場の特徴について確認していきます。単管ブラケット足場は、単管に足を乗せる板をボルトで固定した足場として重宝されています。後ほど取り上げる単管足場よりも安全性の高さでは優れている部分があります。
単管ブラケット足場のメリットとデメリットについても、以下にまとめていきます。
単管ブラケット足場のメリット
- 単管足場よりも安全性が高い
単管ブラケット足場のデメリット
- 足場を設置するための工期が長くなりやすい
- ボルトが緩むと足場が揺れやすくなる
単管足場
続いては、単管足場の特徴について見ていきます。単管足場とは、鉄パイプを組み合わせて建てる足場のことを言います。作業員はパイプ2本の上に乗った状態で作業を進めることになるので、安全性が低く危険性の高い足場だと言えます。
単管足場のメリットやデメリットは以下の通りです。
単管足場のメリット
- あらゆる建物の形状に対応できる
- 狭い場所でも設置しやすい
単管足場のデメリット
- 2本のパイプの上に乗って作業を行うので、安定感に欠ける
- 足場の上に塗料缶や刷毛を置くことができないため、常に片手が塞がった状態になってしまう
脚立足場
続いては、脚立足場の特徴について確認していきます。脚立足場とは、脚立と床材をゴムバンドで緊結して建てる簡易的な足場のことを言います。家屋や建物全体の工事というよりも、部分的な改修を行う際に使われることが多いタイプの足場です。
脚立足場のメリットとデメリットに関しては、以下の通りです。
脚立足場のメリット
- 足場の組み立てがとても簡単
- 足場設置の工期が短い
脚立足場のデメリット
- 簡易的な足場となるため、墜落する危険性を伴う
無足場工法
最後に、無足場工法について確認していきます。無足場工法とは、足場を設置せずに作業や解体工事を行うことです。屋上からロープブランコと呼ばれる台を吊るして、その上に乗って作業をする工法を無足場工法と呼んでいます。
ロープブランコに吊るされながら作業を行うことになるので、危険性が高く不安定な状態が続きます。不安定な状態で作業を行うことになるので、関係者の間では工事品質にも不安が残る工法として知られています。無足場工法のメリットとデメリットについては、以下の通りです。
無足場工法のメリット
- 足場を組まないので、その分の工期を短縮できる
- 足場設置にかかる費用を軽減できる
無足場工法のデメリット
- 作業自体に時間がかかる
- 不安定な状態が続くので、工事品質に不安が残る
- 高度な技術が求められる工法であり、熟練の職人を起用することによって人件費が高くつく
足場の設置費用
ここからは、足場の設置費用について確認していきます。解体工事を行う際には、用途や現場の状況に合わせてさまざまなタイプの足場を設置することになります。その際に、どのくらいの費用がかかるのか気になるという方も多いでしょう。
足場の種類による費用相場も含めて、足場の設置にかかる費用の考え方を理解していきましょう。
見積もりを確認
足場の設置費用に関しては、「見積もりを確認してください」というのが一番の回答です。と言うのも、足場の費用については、利用する足場の種類や建物の大きさによって異なるため、基本となるような相場がありません。
そのため、基本的には解体業者とコミュニケーションを取っていく中で、足場の設置にどれくらいの費用がかかるのか理解することがポイントです。
簡易的な計算方法として、足場の大きさ(=足場架面積)から費用を算出することは可能です。
- 足場架面積=(家の外周+8m)×高さ
8mという数字は家の外壁から足場までのおおよその距離と考えておけば問題ありません。家の外周と高さを掛け合わせて出た数字に、足場費用と飛散防止ネットの金額を掛け合わせて最終的な設置費用が出されます。
いずれにしても、家屋や建物の大きさや高さによって異なるのが足場の設置費用であり、解体業者に現地を確認してもらった上で見積もり提示を受けることが有効です。
足場の種類による費用相場
ここでは、足場の種類による費用相場について確認していきます。足場の設置費用に関しては、建物の大きさや高さによって異なるのでズバリこの金額と提示することができません。ただし、足場の種類によっておおまかな費用相場を紹介することはできるので、それらを取り上げていきます。
足場の種類 | 費用相場 |
---|---|
くさび足場 | 800円~1,200円/㎡ |
わく組足場 | 1,000円~2,000円/㎡ |
単管ブラケット足場 | 800円~1,200円/㎡ |
単管足場 | 600円~800円/㎡ |
脚立足場 | 300円~500円/m |
無足場工法 | 60円~400円/㎡ |
※飛散防止ネット | 100円~200円/㎡ |
おおよその費用相場として、上記の表を参考にしていただいて問題ありません。足場の種類に応じて相場は変わってくるので、解体工事においてどの種類の足場を使うのか確認した上で最終的な金額提示を受けることがポイントです。
足場を組む面積や高さが大きくなればなるほど、設置にかかる費用も高くなっていきます。作業員の安全確保や作業のやりやすさを担保するためにも、解体現場に合った足場を組むことがポイントです。
足場代無料には要注意
足場の設置費用の考え方や種類ごとの費用相場について確認していますが、足場設置に関して注意しておきたいこともあります。それは「足場代無料」という言葉です。上記でも確認してきたように、足場の設置には多少なりとも費用がかかることが通常であり、無料で設置できるほど簡単な作業ではありません。
また、足場の設置や足場代に関しては、解体工事費用全体の2割程度を占めると言われることもあります。足場費用の内訳としては、主に以下の項目を挙げることができます。
- 足場の材料を運ぶ運搬費用
- 足場を組むための施工費
- 足場の解体費
足場関連の費用としては、上記のような作業に対してかかるものであり、決して無料で行うことはできません。万一、足場代無料と謳ってくるような業者がいたら注意する必要があります。本当に企業努力で足場代を無料にしているのであれば別ですが、実際にはそれほど簡単に足場代を無料にして利益を出すことはできません。
そうなると手抜き工事や不法投棄など、その他の部分で通常ではない行動を取って業者の利益を上げていると考えるのが自然です。それは施主にとってもありがたいことではなく、無用なトラブルに巻き込まれるリスクを高めてしまいます。
解体費用や足場の設置費用が安くなるのは嬉しいと感じる施主も多いでしょう。しかし、その一方で、安全性や確実性といった部分が担保されなくリスクもあることを理解しておきましょう。適正価格の中で信頼できる業者を選ぶことが重要です。
足場の高さの定義
ここからは、足場の高さの定義について確認していきます。足場の高さに関しては、設置費用にも関わる重要な部分です。また、安全に解体作業を進めるためにも適切な高さまで足場を設置して、作業員たちの安全性を担保する必要があります。
法令が定める足場の高さや工事との関係について、理解を深めていきましょう。
法令が定める足場の高さ
まずは、法令が定める足場の高さについてご紹介します。まず理解しておきたいこととして、足場の高さとは、人間の身長のように外見上の高さではないということが挙げられます。法令が定める足場の高さとは構造上の高さを指しており、基底部(地盤面)から構造上重要な部分までの高さのことを言います。
また、作業床が足場の最上層に設置されている場合と、そうでない場合とでも高さの考え方が分かれていきます。
- 作業床が足場の最上層に設置されている場合→基底部から最上層の作業床までの高さ
- 作業床が足場の最上層に設置されていない場合→わく組足場では、基底部から最上層の建わくの上端までの高さ、単管足場等支柱式の足場では、基底部から最上層の水平材(布材等の主要部材)までの高さ
上記のように、作業床が足場の最上層に設置されていない場合は、足場の種類によって高さの定義が変わっていきます。
いずれにしても、人間のように外見上の見た目の高さではないということを理解しておきましょう。足場の建て方や種類によって法令が定める高さがあり、その高さに則って設置費用が計算されることになります。
足場の高さと工事の関係
足場の高さに関しては、法令で定める考え方があることを認識しておきましょう。その上で、実際に足場を設置する場合は、現場や建物の状況を踏まえた上で足場の種類を検討することが大切です。
例えば、低中層建築物の解体工事を行う場合は、比較的組み立てが簡単な「くさび式足場」をおすすめすることができます。高層ビルや高層マンションなど、高さのある建築物を解体する際には強度が高い「わく組足場」を利用することが有効です。
狭い敷地で作業を行う場合は「単管足場」、事故リスクを抑えるためには「先行足場」と呼ばれる足場を活用するなど、現場の状況やニーズに合わせて組み立てる足場の種類を変更することが重要です。この辺は、経験のある解体業者であればスムーズに最適な足場のタイプを判断してくれます。
施主としては足場の安全性や確実性があるかどうかを意識しつつ、解体業者の判断を待つのが良いでしょう。
足場に関する労働安全衛生規則
ここからは、足場に関する労働安全衛生規則について取り上げていきます。最初にもご紹介しましたが、足場に関してはさまざまな事故やトラブルが起こりやすいものであり、実際に死にいたるような悲惨な事故も発生しています。誰でも簡単に設置して作業を行えるようなものではなく、然るべき許可や資格を持った人たちが組み立てを行う必要があります。
その他、組み立て作業の墜落防止措置や作業床に関する墜落防止措置など、さまざまな措置や規定も存在します。1つ1つの規定を確認した上で、安全に作業を遂行していかなければなりません。平成27年に改正された労働安全衛生規則の概要について、理解を深めていきましょう。
組み立て作業の墜落防止措置
まずは、労働安全衛生規則に制定されている組み立て作業の墜落防止措置について確認していきます。これは、主に以下の内容が盛り込まれた措置となっています。
- 足場材の緊結などの作業を行うときは幅40cm以上の作業床を設置すること
- 安全帯取り付け設備を設置し、労働者に安全帯を使用させること
足場の設置に関しては一定の危険が伴うこともあるため、状況に応じて幅40cm以上の作業床を設置したり、 安全帯取り付け設備を設置したりするといった対応が必要とされています。全ては作業員の安全を確保するためであり、人的被害を起こさないようにするために定められた措置です。
また、他にも足場の組み立てに関しては特別教育が必要であることが規定されています。足場の組み立てや解体は誰でも自由に行えるわけではなく、一定の教育を受けた作業員しか組み立てを行うことができません。
解体業者の中に足場の組み立てをできる作業員がいなければ、足場設置の専門的なスキルを持った業者に設置を依頼することもあります。それぐらい万全を期して行わなければならないのが足場の設置です。
作業床に関する墜落防止措置
足場に関する労働安全衛生規則では、作業床に関する墜落防止措置についても定められています。この措置では、主に以下のことが規定されています。
- 床材と建地との隙間は12cm未満にすること
- 作業の必要上、足場や架設通路、作業構台から臨時に手すりなどを取り外す場合は、関係労働者以外の立ち入りを禁止し、作業終了後は直ちに元に戻すこと
こちらも、作業員の安全性担保や第三者の被害を生じさせないために制定された措置であり、作業員は確実に守ることが求められます。足場の設置や解体に関わる作業員は、こうした1つ1つの措置や規定を頭に入れて作業を行う必要があるため、事前の特別教育を受けることになります。
あくまでもさまざまな措置や規定を理解した上で、一定の教育を受講した作業員しか足場の設置や解体に携わることはできません。
鋼管足場(単管足場)に関する規定の見直し
労働安全衛生規則では、鋼管足場(単管足場)に関する規定の見直しに関する文言もあります。以前の規定では、鋼管足場の建地の最高部から測って31mを超える部分の建地は、鋼管を2本組とすることが原則とされていました。それが、規定の見直しに伴って建地の下端に作用する設計荷重が最大使用荷重を超えない場合は、銅管を2本組にしなくても良いという形に見直されました。
このような形で、不定期で規則や措置に関しての見直しがあることもあります。足場の設置や解体に携わる作業員は常にアンテナを張りつつ、最新情報をキャッチアップしていくことが求められます。
その他の注意事項
労働安全衛生規則でも措置や規定があるように、足場の設置に関しては一定の決まりを守りつつ安全に作業を進めていく必要があります。その他にも、注意事項や抑えておきたいポイントがあるので確認していきましょう。
足場の設置や組み立てに関しては、「足場の組立て等作業主任者」と呼ばれる国家資格を持った人材のみが作業を行えることになっています。これは、労働安全衛生規則第565条で定められている規定であり、資格を有していない作業員は足場の設置や組み立てを行うことができません。
「足場の組立て等作業主任者」資格を取得した上で、特別教育を受講した人材のみ足場の設置を行うことができます。改めて、誰でも足場の設置や解体を行えるわけではないということを理解することが大切です。
解体業者の中には足場の組み立ての専門業者に、足場設置の協力を依頼することもあります。施主としても、解体業者に足場の設置に必要な資格を保有しているのかどうか確認しつつ、必要な場合は足場設置の専門業者に作業を委ねることが重要です。
資格を持っていないのにも関わらず足場を設置しようとすると、後で悲惨な事故やトラブルが発生する可能性も高くなってしまいます。解体業者が全てを行わなければならないというわけではないので、必要に応じて頼れる業者を探して分担作業をすることも大切です。
まとめ
解体工事と足場の関係に注目をして、事故やトラブル、必要な届出や足場の種類など、さまざまな点についての解説を行ってきました。解体工事の際に利用する足場には複数の種類があり、解体現場の状況に応じて使い分けをすることがポイントです。足場の設置に関しては一定の費用がかかるのであり、「足場代無料」などと謳う業者には気をつけるようにしましょう。
また、足場の設置に関しては労働安全衛生規則で定められた措置や規定を遵守することが大切です。足場設置のために必要な資格取得や特別教育の受講など、誰でも自由に足場を設置することができるわけではありません。施主としてはその辺も理解しつつ、適切な解体業者を選ぶことがポイントです。安全性や確実性を重視しつつ、解体工事と足場の関係について認識しておきましょう。