旗竿地での解体工事や建て替え工事する際の注意点、費用相場もご紹介!

旗竿地での解体工事や建て替え工事する際の注意点、費用相場もご紹介!

家屋や建物はさまざまな場所に立地していますが、旗竿地と呼ばれる敷地に建てられている建物もあります。そうした建物を解体することは可能なのか疑問に思う方もいるでしょう。そもそも「旗竿地」とはどういった土地なのかわからないという方もいるかもしれません。そこで今回は旗竿地での解体工事に注目して解説を行います。旗竿地とは何かや解体工事を行う際の注意点も含めて紹介しますので、どうぞ参考にしてください。

旗竿地とは?

旗竿地

旗竿地とは、土地の形状が「竿のついた旗」に似ていることからそう呼ばれるようになりました。不動産用語としては、「敷地延長」や「敷延」といった呼ばれ方をすることもあります。

旗竿状の形状をしている場合は旗竿地であり、特に住宅密集地域で散見されるケースが多くなっています。

旗竿地は土地が奥まっていることもあり、プライバシーが確保されやすいというメリットもあります。通常の土地とは異なり、特殊な形状をしているところに旗竿地の特徴があります。

旗竿地で解体工事する際の注意点

それでは、旗竿地で解体工事を行う際の注意点からご紹介します。古くなった家屋や建物を取り壊したいというニーズが出てきた場合、その建物が建っている土地の形状を確認することが重要です。

それほど多いわけではありませんが、旗竿地と呼ばれる敷地に建っている場合は、通常の土地に建っている建物に比べて注意を払う必要があります。旗竿地の考え方も含めて注意点について確認しましょう。

重機が使えない可能性がある

旗竿地で解体工事を行う場合の注意点として、重機を使えない可能性があることが挙げられます。建築基準法の基準では、道路と土地の接地部分の幅が少なくとも2m以上ないと建築できないことになっています。

旗竿地の場合は2mぎりぎりの接地幅で建てられていることもあり、なかなか大型の重機を搬入することが難しいケースがあります。

その場合は、手で取り扱える小型重機の活用や手作業での解体工事を余儀なくされることがあります。チェーンソーやバールといった機械は使えますが、それでも通常の解体工事と比べて時間と手間がかかりやすいことが特徴です。

資材や廃材が手運びになる可能性がある

建物の取り壊しも手作業が中心となりますが、資材や廃材の運搬に関しても手作業となる可能性が高いです。旗竿地の建物を解体する場合は、敷地内に運搬トラックを駐車させることが難しいケースもあります。

その場合は、敷地からやや離れた場所にトラックを駐車させて資材の運び出しを行います。解体工事を終えた後に出る廃棄物の積み込みも作業員が手運びによって行うことになります。

その分作業に時間がかかったり、作業員にかかる負担が重くなったりすることがあります。

手間や負担によって解体費用が高くなる

旗竿地は特殊な形状をしており、通常の解体工事に比べて作業員の手間や負担が重くなることが想定されます。重機を使えなかったり手作業による部分が多くなったりすると、工事期間も長くなる可能性があります。

そうしたことを総合的に判断すると、解体費用が通常よりも高くなる可能性も否定できません。施主としては、一般的な相場よりもやや高めの金額になることを想定して資金計画を立てる必要があります。

最終的には解体業者からの金額提示を確認することが重要ですが、ある程度余裕を持った予算を立てておくと良いでしょう。

通常よりも近隣トラブルが発生しやすい

旗竿地での解体工事は通常の解体工事と比べて近隣トラブルが発生しやすいことも注意するべきポイントです。旗竿地は住宅密集地に多く見られる土地の形状であり、隣家との距離が近いことがあります。

解体工事中は騒音や振動が発生したり、ほこりや粉じんが飛散したりすることがありますが、隣家との距離が近いと、住民が通常よりも大きなストレスを感じやすくなる可能性があります。

隣家との距離が近いことで隣家の塀を壊してしまったり、相手の敷地内に廃材が飛び散ったりしてしまう可能性も高まります。

解体工事に関しては業者に任せるしかありませんが、施主としても近隣トラブルが発生する可能性が高まることを頭に入れておくと良いでしょう。

こまめな挨拶が重要

近隣トラブルの発生を防ぐためには、こまめに挨拶を行うことが重要です。旗竿地での解体工事に限ったことではありませんが、解体工事に際して事前の挨拶を行ったり、工事中もこまめに挨拶に伺ったりすることで、近隣住民たちの理解と協力を得ることが重要です。

欠かさずに挨拶を行っておくことで、多少の振動や騒音の発生は我慢してくれる可能性が高まります。どういった作業が行われるのか事前に説明しておけば、近隣の方々の安心感も高まるでしょう。

基本的には解体業者が主導して挨拶を行ってくれますが、できる限り施主も顔を出して近隣住民に協力を呼びかけることが大切です。

悪質業者には注意

悪質な業者に注意することも大切なポイントです。旗竿地の解体や建て替え工事を行う場合は、一定の経験やスキルが必要です。大型重機を使わなくても解体できるスキルや経験があれば安心できますが、そうではない業者に依頼してしまうと最終的に支払う費用が大幅に高くなるリスクがあります。

その他にも、最初から施主を騙そうとする業者もあるので要注意です。例えば、以下のような手口で自分たちの利益を増やそうとする業者もあります。

  • 極端に安い見積もり提示を行い、後から追加費用を請求する
  • 不法投棄を行う
  • 解体工事の資格を持たずに工事を行う など

悪質業者の場合は契約を結ぶことを最優先に考えており、施主の都合や事情を考慮しないケースが少なくありません。こうした業者に工事を依頼すると最終的に損をするのは施主の側です。

施主としてはできれば3社程度から話を聞き、少しでも不審に思う部分があれば契約を結ばないといった対応をすることも大切です。

旗竿地の解体費用相場

ここからは旗竿地の解体費用相場についてご紹介します。旗竿地とは何か理解した上で解体工事を行う場合、費用相場についても頭に入れておくことが大切です。

基本的には通常の解体工事と同様の考え方ができますが、隣接地を買い取る場合などに違いが出てきます。具体的な費用相場について理解を深めましょう。

基本的な坪単価

まずは、基本的な坪単価についてご紹介します。旗竿地に建てられている建物も通常の土地に建てられている建物も構造ごとに目安となる坪単価が定められています。

旗竿地の建物を解体する場合は人力による作業が多くなるため、人件費が高くなることがあります。基本的な坪単価については通常の建物と変わりません。下記の表を参考に相場を確認しましょう。

建物の構造 坪単価
木造 3万円~4万円
鉄骨造 3万5,000円~4万5,000円
鉄筋コンクリート造(RC造) 5万円~7万円

上記が構造ごとのおおよその坪単価です。解体業者やその他の立地条件によって多少前後することはありますが、目安として認識しておく分には問題ありません。

例えば、20坪の木造住宅を解体する場合は60万円から80万円程度の費用が目安となります。その他の付帯工事や追加工事がある場合はさらに金額が跳ね上がるので、最終的な金額については必ず解体業者に確認しましょう。

解体費用の内訳は必ず確認すべき

旗竿地の解体に限った話ではありませんが、解体工事を依頼する場合は費用の内訳を確認することが重要です。建物本体の解体以外にもさまざまな費用がかかることが特徴であり、1つ1つの項目にどれくらいの金額がかかるのか把握することが重要です。

例えば、以下のような作業に費用がかかります。

  • ブロック塀の解体
  • 花壇の撤去
  • 地中埋設物の撤去
  • 防音パネルの設置
  • 防塵シートの設置 など

上記はあくまでも一例ですが、これら以外にもさまざまな付帯工事が行われることがあります。それらに加えて人件費や車両運搬費、廃棄物処分費用などが合算されて最終的な金額が算出されます。

解体費用は決して安いものではないので、しっかりと納得した上で契約を結ぶことがポイントです。

隣接地を買い取る場合はさらに高額に

旗竿地は特殊な形状をしており、解体後に建て替え工事を行う場合は隣接地を買い取るケースも珍しくありません。隣接地を全て買い取るケースもありますし、一部分だけを買い取るケースもあります。

あるいは、一時的に土地を借りて建て替え工事を行うといったケースもあるでしょう。いずれのケースにおいても隣地者との交渉が必要であり、土地を譲ってもらわなければなりません。

隣接地を買い取る場合は、解体費用に加えて土地購入費用も別途必要です。買取価格は隣接者との交渉次第ですが、さらに多くの費用がかかることを想定しておきましょう。

旗竿地の建て替え工事の注意点

ここからは旗竿地の建て替え工事の注意点についてご紹介します。旗竿地に建てられている建物を建て替えることもあるでしょう。その際には接道義務の確認を含めて注意点を頭に入れておく必要があります。

何でも自由に建て替え工事を行えるわけではありません。最低限のルールを守った上で行動を起こすことが重要です。

接道義務の確認

まずは接道義務について確認することが求められます。

接道義務

4m以上の幅員がある道路に敷地の間口が2m以上接していなければならないという規定。

接道義務は災害時の避難経路の確保を目的として定められた規定であり、建築基準法第43条に記載があります。

救急車や消防車といった緊急車両が滞りなく進入できるようにすることも重要であり、人命を守るために守られるべきルールです。

旗竿地の建物は敷地の間口が2m以上接していないこともあります。その場合は隣接地を買い取るか借りた上で2m以上接するという規定を満たすことが重要です。

各地域や自治体の条例を確認

旗竿地の建て替えに工事に際しては各地域や自治体の条例を確認することも重要です。建築基準法とば別に各自治体で接道義務に関する条例が定められているケースがあります。

例えば、東京都では以下のような規定を設けています。

  • 路地上部分が20m以下の場合は道路に接する部分が2m以上あること
  • 路地上部分が20m超の場合は道路に接する部分が3m以上あること

建築基準法の接道義務を満たしていても、各自治体の条例に違反すると建て替え工事を行うことができません。

建築に関する規制内容は各自治体や地域によって異なるので、担当窓口に問い合わせを行ったりホームページで確認したりすることがおすすめです。

再建築できない可能性もある

建築基準法の接道義務や各自治体の条例を満たしていない場合は、再建築できない可能性もあります。まずは、建て替え工事をしようとしている建物が接道義務などを満たしているかどうか確認することが大切です。

接道義務を満たしていない場合は、隣地者に土地を提供してもらえないか交渉してみると良いでしょう。それでも交渉がまとまらない場合は、建て替え工事を断念せざるを得ません。

同じ場所に住み続けたい場合は、リフォームやリノベーションでしのぐといった考え方もおすすめです。

接道義務が定められたのは1950年であり、多くの建物は基準を満たしているはずです。1950年以前に建てられた建物を解体したり建て替えたりする場合は複数のプランを検討しておきましょう。

まとめ

旗竿地の建物を解体する場合の注意点や費用相場を中心に解説を行いました。住宅密集地で見られることが多い旗竿地ですが、解体や建て替え工事を行う際は細心の注意を払う必要があります。

隣接物件との距離が近いことが多く、解体工事も手作業が中心となることが多いです。その分、作業に時間がかかり解体費用が高騰する恐れもあります。建て替え工事を検討する場合は隣接者から土地を提供してもらわなければならない可能性もあります。

さまざまなハードルがある旗竿地の解体ですが、1つ1つ状況を整理して行動に移せば最終的なゴールに辿りつくことは十分に可能です。解体業者や自治体と上手く連携しながら施主のニーズを満たしていきましょう。

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