解体工事の際に役立つチェックリスト!チェックリスト化するメリットも解説!
解体工事を行う際に役立つチェックリストについて解説を行っていきます。家屋や建物の解体を行う際は、契約前から工事開始前、工事中や工事終了後にいたるまで、さまざまな手続きや段階を踏んでいく必要があります。そうした手順について、時系列ごとにチェックリスト化してご紹介していきます。チェックリストを作成して1つ1つ作業内容を確認することのメリットも含めて解説を行いますので、どうぞご覧下さい。
解体工事をチェックリスト化するメリット
それでは、解体工事をチェックリスト化するメリットについてご紹介していきます。家屋や建物の解体工事を何回か経験したことがある方であれば、ある程度の流れや手順について理解できる部分もあります。
しかし、初めて解体工事を依頼する場合や、不慣れな部分がある場合は不安や懸念点も多く発生してきます。そこで役立つのがチェックリストの存在です。チェックリストを作成することで、具体的にどういったメリットがあるのか確認していきましょう。
工事に対する安心感が高まる
まず、解体工事をチェックリスト化することのメリットとして、工事に対する安心感が高まるという点を挙げることができます。この安心感というのはとても重要な部分であり、施主にとって求められる心理状況でもあります。
特に初めて解体工事を経験する場合は、何から手をつければ良いのかわからないことも多々あります。その中で、適切な業者を選択して、適切な形で工事を進行してもらうことが施主にとっての安心感につながっていきます。
解体工事は何かとトラブルがつきものでもあり、それは工事中に限らず、工事前や工事後にも当てはまることです。そうしたトラブルを避けて安心感を高めるという意味でも、作業や手順を可視化することに大きな意義があります。
まずは、安心感を得るという意味で、チェックリストを作成することの価値を見出すことがおすすめです。
トラブル発生を減らせる
解体工事をチェックリスト化することのメリットとして、トラブル発生を減らせることも挙げられます。業者との契約前から工事終了後にいたるまで、解体工事ではいつどんなトラブルが発生するかわかりません。
そうしたトラブルの発生を抑えるために役立つのもチェックリストの存在です。料金のトラブルや近隣住民とのトラブル、契約に関するトラブルや業者との認識の違いによるトラブルなど、さまざまなことがあるのが解体工事です。
事前にやるべきことをリストアップすることで、無用なトラブル発生を減らすことができます。施主としてやるべきことを認識しておくという意味でも、チェックリスト化には価値があります。
解体費用が安くなる可能性がある
解体費用が安くなる可能性があることも、チェックリスト化することのメリットとして取り上げることができます。
解体工事のチェックリストについては工事中に限らず、契約前や工事開始前のものも作成することができます。特に契約前の業者選定におけるチェックリストを認識して、1つ1つ丁寧に実行していけば、費用の低減につながることがあります。
例えば、契約前のチェックリストとして複数の業者から見積もりをとるという項目がありますが、複数の業者に見積もり提示を依頼することで、その中から費用的に安い業者を選択することができます。
より多くの業者の話を聞くことで、納得できる金額や作業スケジュール、工事のやり方を選択することができる可能性も広がっていきます。
それこそがチェックリストを作成して、その手順に従って行動することのメリットであり、施主として安心感を高められる部分の1つと言えます。トータルの解体費用を抑えるという点においても、チェックリストは欠かせない存在となります。
チェックリストの重要性
チェックリスト化することのメリットについて確認してきましたが、ここではチェックリストの重要性について解説していきます。総じて解体工事のチェックリストは、とても重要なものだと考えることができます。
解体工事に慣れている人であっても、契約前から工事完了後にいたるまでの工程を完璧に覚えていないケースもあります。何かの工程を忘れてしまっていたり、1つ飛ばして作業を進めてしまったりすることもあるのが解体工事です。
手順として忘れたことや飛ばしたことが取り返しのつかないことになる可能性があるのが解体工事の恐いところであり、経験や慣れだけに頼るのは危険だと言えるゆえんです。
これは経験者や慣れがある人たちの話であり、解体工事を初めて依頼するという人やそれほど経験がない人にとって、チェックリストなしで作業を進めるのはとてもリスキーです。1つ1つやるべきことを可視化して、その通りに手続きを進めていくことが確実に解体工事を前に進めていくポイントです。
いつどこで何をすれば良いのかを明確にするためにも、チェックリストの存在は欠かせません。経験や未経験の有無を問わず、チェックリストの重要性を理解して、その通りに処理を進めていくことが有効です。
契約前のチェックリスト
ここからは、具体的に契約前のチェックリストについて確認していきます。解体工事のチェックリストの分け方にはさまざまなものがありますが、本記事では、契約前と解体工事前、解体工事中と解体工事後という時系列に沿ってチェックリストの中身を紹介していきます。
まずは、契約前に行うべきことについて見ていきましょう。どの段階も重要であることは間違いありませんが、特に重要なのが契約前に行うことです。業者と契約をしたら、その業者に全てを委ねることになると言っても過言ではありません。
したがって、本当に納得できて信頼できる業者に工事を依頼することが重要です。そのために必要なチェックリストを取り上げていきますので、1つ1つ理解するように意識していきましょう。
契約前のチェックリスト一覧
- 複数の業者に見積もり依頼
- 許可や登録の確認
- 建物の場所・範囲・境界線の確認
- 支払い条件の確認
- 追加費用に関する説明
- 廃棄物の処分先の確認
- 建設リサイクル法とマニフェストの確認
- 契約書の確認
- 滅失登記の確認
- 工事着工までの流れの確認
複数の業者に見積もり依頼
契約前のチェックリストとしては、まず複数の業者に見積もり依頼を出すことが挙げられます。家屋や建物の解体工事を依頼する場合、1社だけに見積もりを依頼してその業者に決定してしまうのはとてもリスキーです。
と言うのも、1社だけの見積もり提示では、その金額が高いのか安いのか判断することができません。また、工期や作業内容に関しても比較対象がないので、適切な形で工事を遂行してもらうことができるのか確実性も定かではありません。もしかしたら、不法投棄や手抜き工事をするような違法業者である可能性も否定することはできないのです。
そうした視点を持っておくことで、複数の業者に見積もり依頼をすることの意義や価値を見出しやすくなります。
少しでも安心して工事を遂行してもらうために、複数業者から見積もり提示をしてもらうことは欠かせません。費用的な適正さを判断するためにも重要なポイントです。
許可や登録の確認
契約前のチェックリストとしては、許可や登録の確認を挙げることもできます。解体工事はどの業者でも行えるわけではなく、解体工事業の登録または建設業の許可を得ていることが条件となります。
また、解体工事を通して出る産業廃棄物に関しても、廃棄物の収集運搬許可を持っていなければ勝手に処分することができません。
これらの許可や登録を持っているのか、契約前にあらかじめ確認しておく必要があります。確認方法としては、業者に許可証や登録証の提示をお願いすれば問題ありません。その際にスムーズに提示してもらうことができれば、安心して工事を任せることができます。
反対に提示を拒んできたり、「後で見せます」などと言って、なかなか提示しようとしなかったりする場合は悪徳業者の可能性もあるので、契約を中止するのが賢明です。
建物の場所・範囲・境界線の確認
契約前に確認しておきたいこととしては、いわゆる現地調査も挙げることができます。見積もり提示を依頼する場合は、実際の解体現場に来てもらって実態を確認してから提示してもらうことがおすすめです。
その際に、建物の場所や範囲、境界線をしっかりと確認してもらうことができたかチェックしておくことが大切です。対応がずさんな業者の場合、何となく現地調査を終えて何となく見積もり提示へと進んでいくことがあります。
それでは、本当に安心して工事を依頼することができません。特に境界線の確認については入念に行う必要があるものです。隣家の敷地に許可なく侵入してしまったり、隣家の所有物や塀を壊してしまったりしたら、損害賠償も含めて大きなトラブルにつながりかねません。
人為的なトラブルを避けるという意識を強く持っている業者であれば、解体する建物だけではなく、その周辺の敷地も入念にチェックすることが一般的です。解体業者を選ぶ際に担当者の意識に目を向けておくことで、信頼して任せることができるのかの判断基準にすることができます。
支払い条件の確認
支払い条件の確認も業者との契約前に確実に行っておきたいことの1つです。解体工事に限ったことではありませんが、特に解体工事は費用的に高額になりやすい部分があるので、しっかりと事前に確認しておくことが大切です。
工事代金はいつどのように支払うのか、追加費用が発生する場合はどのタイミングで支払いをするのかなど、不明点を残さないようにコミュニケーションを取ることが求められます。お金についてはシビアな問題でもあり、双方の信頼関係を一瞬で壊してしまう恐いものでもあります。
後々のトラブルを避けるという意味でも、支払い条件の確認を怠らないことが重要です。
追加費用に関する説明
お金の問題という意味では、追加費用に関する説明があったかどうかについてもしっかりと確認しておく必要があります。解体工事において追加費用が発生するのは珍しいことではなく、違法行為でもありません。事前にどういった場合に追加費用が発生するのか、書面を通して提示してくれる業者であればある程度安心して工事を任せることができます。
一方で、不安が残るのは追加費用に関する説明がなかった場合です。その場合、工事が始まってからあれこれ言ってきて追加費用を請求しようとする可能性があります。場合によっては、確信犯的に追加費用を請求しようとする悪徳業者である可能性も否定することができません。
特に見積もりが安い場合は注意が必要です。安い金額で契約をして、後から高額な追加費用を請求することを目的としているケースも多いためです。その辺の意識を持つことで、優良業者と悪徳業者の見分けを進めていくことがポイントです。
廃棄物の処分先の確認
契約前のチェックリストとして、廃棄物の処分先の確認も挙げることができます。解体工事を行うと、大量の廃材や廃棄物が発生することになります。それらの産業廃棄物については、廃棄物処理法に則った形で適切に処分される必要があります。
具体的なチェックポイントとしては、マニフェストの提示をしてくれるかどうかが焦点です。マニフェストには、廃棄物処理の方法や処分までの流れが細かく記載されています。そのコピーなどを事前に渡してくれる業者であれば、ある程度信頼することができます。
一方で、不法投棄をしてしまうような悪徳業者も一部で存在しています。そうした業者は廃棄物の処分先の説明やマニフェストの提示を渋ることもあるので、意識的に確認しておきたい部分です。
建設リサイクル法とマニフェストの確認
建設リサイクル法とマニフェストの確認も、契約前のチェックリストとして意識しておきたい部分です。マニフェストの確認は上記でもお伝えした通りですが、建設リサイクル法についてもしっかりと確認しておくようにしましょう。
建設リサイクル法
特定建設資材(コンクリートやアスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等にかかる解体工事またはその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、受注者に対して分別解体および再資源化を行うことを義務付けた法律。
簡単に言えば、建物に使われている資材をリサイクルするために制定されたのが建設リサイクル法です。解体する建物や家屋が建設リサイクル法の対象になっている場合、都道府県知事への申請が必要となります。
建設リサイクル法については一般的に解体業者が申請することが多いですが、制度上の仕組みとしては、施主が行うことになっています。この辺もしっかりとコミュニケーションを取ることで、どちらが申請を行うのか確認することが大切です。
契約書の確認
続いて、契約書の確認も進めることが求められます。契約前に、書面できちんと契約内容を提示してくれるかどうかは重要なポイントです。悪徳業者と呼ばれる業者の場合、書面で契約書を発行してくれないことがあります。
と言うのも、書面が残っているとトラブルが発生した時に業者側が困ると認識しているので、口約束だけにしてあえて書面は残さないようにしているのです。
悪意がなかったとしても、契約書についてはきちんと発行してもらうことが大切です。契約書がないと、法外な追加料金を請求されるなど、施主側が不利になる可能性が出てきます。その点においても、確実に契約書を発行してもらうようにしましょう。
滅失登記の確認
契約前のチェックリストとしては、滅失登記の確認も挙げることができます。解体工事を完了すると、滅失登記の手続きをすることが義務付けられています。これは、施主自身が手続きを行うこともできますし、行政書士などに委託することも可能です。
いずれのケースにおいても、滅失登記を行う場合は解体業者から申請のための書類を受け取る必要があります。こうした書類を適切に発行してもらえる業者なのか、契約前にしっかりと確認しておくことが大切です。はっきり「イエス」と言ってくれる業者に工事を依頼することが賢明です。
工事着工までの流れの確認
工事着工までの流れも、契約前に確認しておきたいこととして挙げることができます。家屋や建物を解体して終了という場合であればまだ良いですが、その後に土地の売却や物件の新築を予定しているケースもあるでしょう。
そういった状況の中で、解体工事に遅れが出ることは致命的なことになる可能性もあります。どの時点で工事が完了して、売却や新築を開始することができるのか、終了時から逆算して工事着工までの流れを提示してくれる業者がおすすめです。
ある程度スケジュールが決まっていないと、事前に行うべき手続きや申請、近隣への挨拶などが滞ってしまいます。全体的な流れも含めて、工事着工までの流れをしっかりと確認しておくようにしましょう。
解体工事前のチェックリスト
ここからは、解体工事前のチェックリストについて解説を行っていきます。契約前のチェックリストを確認して契約までこぎつけることができたら、いよいよ解体工事前の確認と行動へと移っていきます。
契約したら一安心という方も少なくありませんが、まだまだ予断を許さない状況が続きます。1つ1つの作業や手続きを慎重に行うことで、スムーズな形で解体工事へとつなげられるようにしましょう。
解体工事前のチェックリスト一覧
- ライフラインの解約や撤去
- 残置物の処分
- 近隣への挨拶回り
- 建設リサイクル法の届出
- 道路使用許可申請
- アスベストの調査と届出
ライフラインの解約や撤去
解体工事前のチェックリストとして、まず頭に入れておきたいのがライフラインの解約や撤去です。解体工事が始まる前に、電気やガス、インターネットといったライフラインをいつ頃解約すれば良いのか、業者と連携して決めておく必要があります。
ガスや電気といった設備が停止していないと、工事の着工が遅れることもあるので十分に注意しておきたいポイントです。
一方で、水道に関しては工事開始後もそのまま使えるようにしておくのが一般的です。解体工事中の粉じん対策や工事完了後の清掃の際に利用することがあるからです。また、作業員たちが利用することもあるので、水道は工事が終わってから解約することが多くなります。その辺も事前に担当者とすり合わせておく必要があります。
残置物の処分
残置物の処分も解体工事開始前にチェックしておきたいところです。解体費用の高騰を防ぐという意味でも、自ら処分できるものは事前に処分しておくのがおすすめです。家電製品や不用品など、事前に処分しておくことで、業者に追加費用を支払わずに済ませることができます。
買取業者への買取依頼をすれば、多少なりともお金を得ることができる可能性もあります。その他、クリーンセンターへの持ち込みや不用品回収業者への依頼、自治体の廃品回収などを利用して、できる限りすっきりとした状態で工事を開始できるようにしておくことが有効です。
不用品をそのままにしていると、場合によっては追加費用の対象になることがあるので注意が必要です。
近隣への挨拶回り
工事開始前のチェックリストとしては、近隣への挨拶回りも欠かせないポイントです。建物や家屋を解体する際は、粉じんやほこりの飛散、騒音や振動、道路の利用など、少なからず近隣住民の方々へご迷惑をお掛けすることになります。
そうしたことがきっかけとなって、近隣トラブルが発生することも珍しくありません。少しでも不要なトラブルを減らすために大切になってくるのが近隣への挨拶回りです。
事前に挨拶を済ませておくことで、解体工事への理解と協力を求めることが重要です。挨拶回りに関しては、解体業者の方が一緒に帯同してくれることも少なくありません。できる限り施主も一緒に訪問することで、住民の理解を得ることが大切です。
一軒一軒回るのが大変だという場合は、住民説明会という形式をとるのも有効です。地域のコミュニティセンターなどを利用して一堂に会してもらう方法もあります。
建設リサイクル法の届出
建設リサイクル法の届出も工事開始前に行っておく手続きとなります。契約前のチェックリストとしてもご紹介しましたが、実際に都道府県に対して届出を行う必要があります。具体的には以下の条件に該当する場合が、建設リサイクル法の対象となります。
- 特定建設資材を用いた建築物
- 床面積の合計が80㎡以上
上記の条件に該当する建物の場合、解体工事開始の1週間前までに必要書類を役所に届出る必要があります。一般的には建設業者側で対応してくれることが多いので、事前に確認しておきましょう。
道路使用許可申請
建設リサイクル法の届出と合わせて確認しておきたいのが、道路使用許可の申請についてです。こちらも解体工事開始前に申請が必要なものであり、多くのケースで申請を行うことになります。
解体工事では、建物を解体したり資材を運搬したりするために、トラックや重機の搬出入が必要になることがあります。そうしたトラックや重機を停車するスペースとして公道を使用する場合に道路使用許可申請が必要となります。
こちらも、基本的には解体業者側が手続きを行います。道路使用許可申請については2,000円から3,000円程度を目安に手数料もかかるので、頭に入れておきたいところです。
アスベストの調査と届出
解体工事前のチェックリストとしては、アスベストの調査と届出も挙げることができます。アスベストによる健康被害が社会問題化されことを背景として、2014年からアスベスト飛散防止対策が強化されることになりました。
それを受けて大気汚染防止法も改正されるなど、解体業者側が工事を開始する前にアスベストの有無に関して事前調査を行い、その結果を掲示することが義務付けられるようになりました。
アスベストが使用されていることがわかった場合は、事前に撤去してから工事を開始する必要があります。アスベストは壁や天井、屋根裏や梁など、さまざまな部分に使われている可能性がありますが、1つ1つの箇所について丁寧に除去することが求められています。
アスベストの調査や撤去については、石綿作業主任者などの有資格者が行う必要があります。解体工事とは別の作業となるので、誰が担当するのかも含めてしっかりと確認することが大切です。
解体工事中のチェックリスト
ここからは、解体工事中のチェックリストについて確認していきます。契約を終えて、解体工事前にやるべきことを実行することができたら、いよいよ実際の解体工事へと移っていきます。
解体工事中は基本的に業者の進捗状況を見守ることになりますが、その中で施主としてやるべきこともあります。具体的にどういった点を確認しておけば良いのかを含めて、理解を深めていきましょう。
解体工事中のチェックリスト一覧
- 養生と散水の確認
- 近隣住民への配慮は十分か
- 工事の進捗状況を確認
養生と散水の確認
解体工事中のチェックリストとしては、養生と散水の確認を挙げることができます。解体工事中には近隣の方へご迷惑をお掛けすることがありますが、その中でも多いのが粉じんの飛散や騒音です。
養生や散水を通じて、少しでも粉じんの飛散や騒音被害の防止を図ることが重要です。実際に行うのは解体業者の責任となりますが、施主としても適切に処置が施されているのか確認することは可能です。
業者も施主も安全性への意識はもちろんのこと、近隣の方々への配慮の気持ちを忘れずに持っておくことが大切です。
近隣住民への配慮は十分か
養生と散水の確認とつながる部分でもありますが、解体工事中は常に近隣住民への配慮の意識を持っておくことが求められます。振動や騒音、粉じんの飛散や道路の利用など、平穏な日常生活とは程遠い日々を送ることになる可能性もあります。
そういった状態が続くと近隣の方もストレスが溜まり、近隣トラブルに発展する可能性も出てきます。また、解体作業員の態度や振る舞いも重要です。非常識な格好をしていたり、近隣の方に迷惑がかかる場所で喫煙をしたりしていると、それが火種となってトラブルにつながることもあります。
トラブルを未然に防ぐという意味でも、施主としてできることを精一杯やることが大切です。業者の方のマナーやモラルの意識を高めてもらうよう働きかけることも1つの対策です。
工事の進捗状況を確認
解体工事中のチェックリストとして、工事の進捗状況を確認することも挙げられます。工事自体は業者が行いますが、その工事が当初予定していたスケジュール通りに進んでいるのか、常にチェックの目を光らせておくことが大切です。
場合によっては、進捗の遅れによって追加費用の発生につながることがあります。それが本当に必要な費用なのか、あるいは業者側に過失があるのかなどは、その都度コミュニケーションを取ることによって共通認識を持てるようになります。
一番良いのはスケジュール通りに作業が進むことですが、なかなか上手くいかないこともあります。その際の業者側の対応を含めて、密にコミュニケーションを取ることが有効です。
解体工事後のチェックリスト
ここからは、解体工事後のチェックリストについて解説していきます。無事に工事を終えることができれば施主としても一安心ですが、工事が終わってもまだまだやるべきことはあります。
いつまでに何をすれば良いのかも含めて、一連の流れを可視化しておくことが有効です。そのための参考として、解体工事後のチェックリストを確認していきましょう。
解体工事後のチェックリスト一覧
- 契約通りに工事が完了したか
- 現場の最終確認
- 近隣への被害がないか
- マニフェストの受け取りとサインの確認
- 取り壊し証明書と印鑑証明書の受け取り
- 滅失登記の申請
契約通りに工事が完了したか
まず、意識しておきたいポイントとして、契約通りに工事が完了したかという点を挙げることができます。工事が終わると一安心する気持ちも出てきますが、本当に契約内容に沿った形で工事を行ってもらうことができたのか、再度確認することが大切です。
また、整地まで含めてきれいな状況になっているかどうかも確認しておきたいチェックポイントです。解体工事については工事を完了して、敷地内の清掃や整地まで終えることが前提です。
地面にデコボコが残った状態のままでは、土地の売却にしても新築物件を建てるにしても不利な状況となってしまいます。その辺も意識しつつ、入念に確認することが大切です。
契約前の内容と実際の工事に違いがあった場合は、なるべく早めに業者に連絡を入れることが重要です。業者側に過失がある場合は、損害賠償の請求や工事のやり直しといった措置を取ることもできます。いずれにしても、契約通りに工事が完了したかという視点を持って確認作業を進めることが大切です。
現場の最終確認
契約通りに工事が完了したかという部分にもつながるところですが、現場の最終確認も忘れずに行っておくことがポイントです。
工事が契約通りに完了していれば問題ありませんが、万一何かしら問題があった場合、業者の担当者がいないとすり合わせを行うことができなくなってしまいます。自分で一度確認してから問題点を担当者に伝える形になると、施主としては二度手間となります。
余計な手間を省くためにも、まずは工事が完了した時点で業者の担当者と一緒に現場の最終確認をすることが賢明です。一緒に現場を回ることで、問題点や不備を確認することができますし、疑問があればその場で解消することができます。
後で確認しようと思っているとどんどん時間が過ぎてしまうので、まずは担当者と一緒に現場の最終確認を行うことが大切です。
近隣への被害がないか
解体工事後のチェックリストとしては、近隣への被害がないかという部分も押さえておきたい点です。これは解体工事中から意識しておくべき事項ですが、工事完了後も改めて確認する必要があります。
万一近隣の家屋やブロック塀、壁などに傷をつけてしまっていたら、損害賠償や補修工事も含めて対応することになります。解体業者は一般的に工事保険に加入しているので、その辺は問題なく対応できるはずです。
いずれにしても、近隣の方や住居に被害を発生させてしまった場合は、業者も含めて施主としてお詫びの意思を示すことが求められます。その後、補修工事へ入っていくことになりますが、まずは被害状況を確認することが大切です。
マニフェストの受け取りとサインの確認
続いて、解体工事完了後のチェックリストとして、マニフェストの受け取りとサインの確認を挙げることができます。本文途中でもご紹介しましたが、産業廃棄物の運搬や最終処分に関しては、マニフェストと呼ばれる工程表に記載された内容に基づいて行われることになります。
産業廃棄物を不法投棄した場合、違法を行った業者はもちろんのこと、施主にも処分が下される可能性があります。その点において、施主としてもマニフェストの内容をしっかりと把握して、適切な形で処分が行われているのか確認することが大切です。
解体工事が完了したら、マニフェストE表のコピーを受け取って、業者のサインや受取印、日程の記入など漏れなく明記されているか確認することを覚えておきましょう。
取り壊し証明書と印鑑証明書の受け取り
建物や家屋の解体工事を終えると、施主としては建物滅失登記を行うことになります。登記自体は行政書士や土地家屋調査士などに委託することもできますが、その際は解体業者から書類を受け取る必要があります。それが、以下の3つの書類です。
- 取り壊し証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 解体業者の会社登記事項証明書
この3つの書類を受け取ることで、滅失登記申請が行えるようになります。基本は解体業者側が渡してくれますが、何も連絡がない場合は施主側から書類を発行してもらうように促すことが重要です。
滅失登記の申請
解体工事後のチェックリストとしては、最後に滅失登記の申請をして完了となります。建物滅失登記に関しては、建物を解体してから1ヶ月以内に法務局に提出する必要があります。
滅失登記申請を怠ると10万円以下の過料に処される可能性もあるので、十分に注意を払う必要があります。したがって、必ず指定された期間内に申請を行うように意識しておきましょう。
ご自身で申請するのが大変だという場合は、土地家屋調査士や司法書士、行政書士といった専門家に委託することもできます。その際は、4万円から5万円程度の手数料が発生することが一般的です。
少しでも費用負担を抑えたいと考えている場合は、ご自身での申請がベターです。最後まで気を抜かずにやるべきことをやっていきましょう。
まとめ
解体工事のチェックリストに焦点を当てて、契約前と工事開始前、工事中と工事終了後といった形で時系列に沿って解説を行ってきました。事前にやるべきことを可視化しておくことで、解体工事のスムーズな進捗に寄与することができます。
解体工事を行うのは解体業者となりますが、施主としてできることも数多くあります。契約前から工事完了後にいたるまで、何をすれば良いのか頭に入れておくことで、スムーズに行動することができるようになります。
改めてどの時点で何をすれば良いのか確認しておくことで、スケジュール通りに工事を進めてもらうことができるように貢献していきましょう。そうすることで、自身のニーズに合った形で工事を完了してもらえる可能性を高めることができます。