美容院の解体にかかる費用はどれくらい?居抜き物件としての売却も可能

美容院の解体にかかる費用はどれくらい?居抜き物件としての売却も可能

美容院を解体する際の費用相場や解体業者の選び方に焦点を当てて、具体的に解説を行っていきます。それまで美容院を経営していても、何らかの理由で撤退や規模の縮小を余儀なくされることがあります。その際に、テナントの解体を検討する可能性も出てきます。オフィスやテナントに関しては、原状回復義務があり、元の状態に戻すことが求められます。また、居抜き物件として売却する選択肢を持つこともできます。美容院の解体を検討する際の参考として、どうぞご覧下さい。

美容院の解体費用相場

それでは、まず美容院の解体費用相場について確認していきます。それまで経営していた美容院を閉めることになった場合、解体工事を検討することがあります。実際に美容院を解体する場合は、どれくらいの費用がかかるのか理解しておくことが大切です。

また、建物の管理者の意向をしっかりと確認することもポイントです。管理者によっては原状回復を希望するケースもあれば、スケルトン状態での返却を希望する場合もあります。あるいは、次のオーナーが決まっていて、そのままの状態で良いというケースも出てきます。

いずれにしても、自分たちだけで判断することなく、管理者や次の店舗運営者の話をしっかりと聞くことが大切です。

費用相場

実際に、美容院の解体工事を行う場合、その費用相場は坪単価7,000円~1万4,000円程度となります。一般的に美容院はシンプルな構造になっていることが多く、複雑な造作が少ないことから解体費用も安く済むケースがあります。

オフィスやテナントとして借りている場合、原状回復やスケルトン解体など、管理者側のニーズに沿って返却することが重要です。

飲食店などの場合は複雑な構造をしているケースも多く、解体工事にかかる費用も高まりがちです。それに比べれば、美容院の解体工事は比較的シンプルに行いやすいのが特徴です。

しかし、場合によっては解体費用が高くなることもあります。例えば、解体現場の接道が狭いケースやエレベーターの無い場所、前面道路が狭い場所など、工事に際して手間がかかると判断された場合は、解体費用の高騰につながることがあります。

工事に手間がかかるということは、それだけ人件費がかかり、作業日数も延びやすくなるので注意しておきたいところです。解体工事を依頼する場合は、自らも解体に際してのイメージを持っておくことが大切ですが、実際に解体業者の話を聞くことも重要です。

見積もりの際のポイント

美容院の解体工事を行う際の坪単価について理解することができたら、続いては見積もりの際のポイントを確認していきましょう。

一般的な家屋や建物を解体する場合もそうですが、美容院の解体工事を依頼する際も現場の状況によって費用が高くなったり安くなったりします。

例えば、間仕切りや造作物が少ない美容院であれば、解体工事もスムーズに行うことができるため、全体的な工事費用も安く抑えやすくなります。

一方で、個室や小上がりなどがあると、その分、解体にかかる手間や時間が増えることになるので、解体費用の高騰につながります。

美容院の場合はそれほど多くありませんが、飲食店などでは無煙ロースターや排気ダクトが多いケースもあり、それらの撤去作業も含めて解体費用が計算されることになります。

美容院自体の立地場所やエレベーターの有無、重機を使った工事を行うことができるのかなど、さまざまな観点で解体費用の目安が決まっていきます。

また、建物自体にアスベストが使用されている場合は、アスベスト除去に関しても事前調査と工事の両面で費用が発生します。場合によっては、数百万円単位の出費になることも珍しくありません。

さまざまな要因やポイントがあって、解体費用が決まっていくということを理解することが大切です。その上で複数の解体業者に見積もりを依頼し、最適だと思える業者に工事を任せることが有効です。

機器は買取がおすすめ

美容院の解体を行う際のポイントとして、機器の買取を依頼するのがおすすめです。一般的な家屋や建物の場合もそうですが、自分たちで処分できるものは事前に処分しておくことで、解体工事以外にかかる費用を抑えることができます。

不用品が残っていて、その処分も依頼してしまうと、余計に処分費用がかかる可能性が出てきます。その点において、美容院の営業で使っていた機器に関しては買い取ってもらうのが賢明です。具体的には、以下のような機器を買い取ってもらうことができます。

  • 椅子
  • シャンプー台
  • 店頭サイン
  • ヘッドスパ
  • パーマ器
  • ローラーボール

上記のような機器に関しては、解体前に買取業者に相談することで、買い取ってもらえる可能性があります。もともと高価なものでもあり、中古であってもニーズがあるケースが少なくありません。

不要になった機器や設備を買い取ってもらうことで、多少なりとも解体工事費用に充当することができます。そのまま処分してしまうのであれば、まずは買取業者の話を聞いてみることがおすすめです。

不用品は自ら処分

美容院で使っていた機器や設備に関しては、買取依頼をすることが有効ですが、その他の不用品については自ら処分してしまうのがおすすめです。機器の買取のところでも触れましたが、不用品が残った状態のまま解体を依頼すると、不用品の処分費用まで余計に取られることになります。

したがって、自分たちで処分できるものがあるのであれば、事前に処分しておくことで少しでも解体費用の節約につなげることができます。

機器や設備に関しては買い取ってもらえる可能性もありますが、その他の不用品や買取に応じてもらえなかったものについては、地域の自治体で処分してもらったり、不用品回収業者に引き取ってもらったりするのが賢明です。

美容院で働く従業員で欲しいという人がいればその人にあげることもできますし、友人や知人で使いたいという人がいれば、そういった人たちにあげるのも1つの選択肢です。

間違っても山奥などに不法投棄するのは避けておきましょう。廃棄物を処理し切れなくなった場合に山奥や森林などに投棄してしまうと、処罰の対象となります。不用品の処分にはお金がかかることもありますが、適切な業者や自治体に依頼することが重要です。

美容院の解体費用事例

それでは、具体的に美容院の解体費用に関しての事例をご紹介していきます。坪単価としては7,000円~1万4,000円が目安となりますが、場所や内装、建物の構造や坪数など、美容院ごとに解体費用は異なっていきます。1つの参考として確認しておくのがおすすめです。

所在地 坪数 工期 解体費用
東京都江東区 42坪 2日 42万円
東京都北区 18.6坪 3日 50万円
愛知県名古屋市 22坪 4日 81万7,000円
東京都町田市 18坪 8日 175万円

上記のような形で、解体費用に関しては美容院ごとにばらつきがあると認識しておくのが無難です。東京都町田市の事例では、美容院の原状回復工事のみならず、トイレや水回りの壁を新しく立てる工事を行ったことから、解体費用の高騰につながりました。

坪数や工期なども費用の決定材料となりますが、その他にどういった内容の工事を行うのかによっても費用は大きく上下していきます。

単純にスケルトン解体や原状回復をするだけなのか、あるいはその先の新設工事まで行うのかなど、管理者や次のオーナーとの話し合いも含めて、最終的な費用について検討することが求められます。

美容院の解体業者の選び方

ここからは、美容院の解体業者の選び方について解説を行っていきます。美容院を解体する場合は、どういった業者を選べば良いのか疑問に感じるという方も多いでしょう。

実際の解体業者の選び方や話し合いの中で聞いておきたいポイントについても取り上げていきます。

少しでも信頼して工事を任せることができるように、選定を進める段階から高い意識を持っておくことが大切です。

通常の解体業者で良い

美容院の解体に際して、解体業者の選び方としては通常の解体業者で問題ありません。美容院の解体は通常の解体業者が十分に引き受けることができる工事であり、一般的な家屋や建物の解体と同様の工程を取ることが多くなります。

解体に際して関わる法律や作業手順が変わることはなく、一般的な認可を受けている解体業者であれば、問題なく工事を行うことができます。したがって、基本的には通常の解体工事を行う業者を中心に選定を進めていけば大丈夫です。

業者の得手不得手を聞く

美容院の解体は通常の解体業者に依頼すれば問題ありませんが、その中でも業者の得手不得手を聞くことが大切です。業者によっては、美容院の解体に慣れているケースもあれば、美容院の解体工事を行ったことがないというケースもあります。

それまでの解体実績や美容院解体への慣れを聞くことで、実際に依頼するかどうかの判断基準にすることが有効です。

美容院の解体自体も、建物そのものを解体するのか、あるいは美容院の内装部分のみを解体するのかによって業者の考え方も変わっていきます。得意分野が一致している業者に依頼した方がスムーズに工事が進みますし、全体的な費用も抑えやすくなります。

解体業者のホームページで解体実績を見てみるのも良いですし、直接担当者と話して確認することもできます。いずれにしても、業者の得手不得手を確認した中で、信頼して任せられると感じた業者に依頼することがポイントです。

基本は相見積もり

美容院の解体業者選びの際の考え方として、基本は相見積もりであることを押さえておきたいところです。一般的な家屋や建物を解体する場合もそうですが、複数の業者の話を聞くことで、どの業者に任せるのが一番良いのかを判断しやすくなります。

解体費用や工期、どういった流れで工事を進めていくのかも含めて全体的な流れを整理するという点でも、2社や3社程度から話を聞くことが大切です。

1社だけだと、費用や工期、工事の流れなどを含めて比較対象がないため、適切なのかどうか判断することが難しくなります。そのため、基本は2社以上から見積もりをとることを念頭において行動することが求められます。

内装解体も視野に入れる

美容院の解体工事に関して、解体方法が定まっていない場合や選択肢に自由度がある場合は、内装解体を視野に入れることもおすすめです。

建物自体はそのまま残しておき、店舗内だけを解体するのが内装解体であり、全体を解体するのに比べて手間がかからず、費用も安く抑えることができます。

いわゆるスケルトン解体と呼ばれる工法も内装解体と同じであり、次のオーナーや利用方法が決まっている場合は、建物自体を残しておいた方がスムーズに経営に移ることができます。

美容院を経営する場合もそうですし、美容院以外を経営するケースにおいても、内装を空っぽの状態にしてもらえることで、ニーズを満たしやすくなります。美容院を解体する前に次の店舗オーナーを見つけて、話し合いをしてから工事を進めるのもおすすめの方法です。

美容院の解体工事や原状回復

ここからは、美容院の解体工事と原状回復の関係について確認していきます。美容院を経営する場合は、オフィスビルや建物の一部をテナントとして借りることが一般的です。ビルや建物の一部を借りた場合は、借りた時の状態に戻して返却するのが通例と言えます。

その辺は、テナント契約を結ぶ時に交わされる取り決めが優先事項となります。最終的には建物管理者とのコミュニケーションを取ることが重要ですが、借り手としては原状回復義務を負っているという意識を持っておくことが大切です。

解体工事や原状回復は義務

美容院の経営を終えて、建物やビルの一室を返却しようと考えた場合、借り手としては解体工事や原状回復を行うのが義務だと考えておく必要があります。

原状回復

テナントや賃貸物件などを借りた場合に、借りた時の元の状態に戻すこと。「原状」とは「初めにあった状態」を表す言葉で、借り手がその回復義務を負うことが一般的。

一般的な賃貸契約の場合もそうですが、基本的には契約時に元通りの状態にして返却するという取り決めがあることが通常です。

店舗を借りた際にスケルトン状態であったのであれば、スケルトン状態にして返却するのが基本ですし、室内に仕切りがあった場合は、仕切りがついた状態で返却するのが基本です。

つまり、店舗を借りてから設置した設備や機器に関しては、全て取り除いた状態で建物の管理者に返却する必要があるのです。それが原状回復であり、借り手側が負っている責任と言えます。

次のオーナーや管理者の意向によっては、全て元通りにしなくて良いケースもあります。その辺は話し合いによって決めていく事項ですが、基本は元通りにして返すことだと認識する必要があります。それを基本に据えておくことで、スムーズな工事につなげることができます。

原状回復のポイント

美容院の解体に関しては、原状回復を念頭においておく必要がありますが、その中でもポイントを意識しておく必要があります。上記でもご紹介したように原状回復とは、借りた時の元の状態に戻すことであり、スケルトン状態で借りた場合はスケルトン工事をすることになります。

最近の美容院はスタイリッシュな構造や内装をしていることも多く、原状回復に向けた工事の手間がかかることもあります。

例えば、シャンプー台付近に水道の配管がされているケースや、カット用の椅子の下に電線が配置されているケースもあります。美容院室内の仕切りが多く作られていることもあり、通常のオフィスのレイアウトと比較しても複雑になっていることが少なくありません。

そうした状況からどの程度まで元に戻すのかは、建物管理者との話し合いの中で決定することが重要です。基本的には賃貸借契約書の無いように基づいて原状回復を行う必要がありますが、場合によっては双方の話し合いによって妥結点を見出すこともできます。

例えば、壁や天井がきれいな状態であれば、そのまま残すというような対応をすることもできます。いずれにしても、話し合いの中で柔軟な対応を取ることがポイントです。

美容院の居抜き物件としての売却

美容院の解体工事に関して、居抜き物件としての売却を視野に入れておくこともおすすめです。原状回復を視野に入れて、借りた時の状態に戻すことが基本ではありますが、場合によってはその他の選択肢を取ることもできます。

その1つが居抜き物件としての売却であり、店舗の有効活用や二次利用という点で魅力的な選択と言えます。そもそも居抜き物件とは何か、美容院を居抜き物件として売却するメリット、居抜き物件として売却する際の注意点を含めて具体的に解説を進めていきます。

居抜き物件とは?

まず、居抜き物件とは何かという点について確認していきます。居抜き物件とは、店舗そのものには何も手を加えない状態のまま、他人に売却することを言います。

その店舗に備え付けられている設備や機器、什器備品や家具などをそのまま残しておき、売買したり賃貸借したりすることが居抜き物件の定義です。

美容院の他、飲食店や旅館、一般の店舗や工場などで居抜き物件としての取引が行われることが多く、店舗や空間の二次利用として人気がある取引手法となっています。

居抜きで物件を借りたり購入したりする側は、すでにある設備や機器、内装を利用することができるので初期費用を抑えられることが大きなメリットです。また、すでに営業できる体制が整っていることもあり、早期の営業開始に向けて取り組めることもメリットの1つです。

基本的に居抜き物件として売却する相手に関しては、同業の店舗を営む人に限定されます。したがって、美容院を居抜き物件として売却する場合は、その相手も美容院を経営する方に限られます。

居抜き物件として売却するメリット

居抜き物件とは何かについて確認してきましたが、改めて居抜き物件として売却することのメリットについて解説していきます。上記でもお伝えしたように、借り手側や買い手側としてはすでにある設備や機器、内装や家具を利用することができて、早期に営業を開始できることがメリットです。

居抜き物件として売却する側にもメリットがあります。それは、原状回復や解体のための費用を抑えられることです。スケルトン解体や内装解体など、原状回復をするためには工事費用がかかりますし、機器や設備の処分費用もかかります。

しかし、居抜き物件として売却することができれば、解体工事を行う必要がありませんし、設備や機器、内装や家具などもそのまま残しておくことができます。売却先の相手から必要ないと言われた場合は処分するものも出てきますが、それでも最低限のものの処分だけで済ませることができます。

また、機器や設備の状態によっては、造作譲渡料という形でお金を受け取れる可能性も出てきます。

造作譲渡料

居抜き物件に残されている内装や厨房設備、空調設備や什器、家具などの設備を新たな借主が買い取るための費用のこと。

全ての設備や機器で 造作譲渡料が発生するわけではありませんが、状態の良いものや品質の良いものに関しては、 造作譲渡料を受け取れる可能性があります。

本来であれば解体費用や処分費用が発生するところを、 造作譲渡料という形でお金を受け取れる可能性があるのは大きなメリットです。

この辺も新たな店舗の借り手側との交渉次第ではありますが、居抜き物件として売却することのメリットと言えます。

居抜き物件として売却する際の注意点

それでは、美容院を居抜き物件として売却する際の注意点についても確認していきます。美容院に限らず、飲食店や旅館、店舗や工場なども場合もそうですが、その場で働いている従業員やスタッフのことを優先的に考える必要があります。

1人で経営している場合は別ですが、美容院の場合も数名のスタッフを抱えて営業しているケースが多くなります。その場合、居抜き物件として美容院を売る決断をした時点で、経営が終了となり、従業員やスタッフは自動的に解雇という扱いになってしまいます。

万一、美容院経営を終了する場合は、経営者としてはなるべく早めに従業員にその事実を知らせることが重要です。場合によっては、就職先探しのサポートをしてあげることも求められます。

従業員やスタッフを雇っている場合は、自分1人だけの問題ではないことを念頭に置き、必要な手立てを講じていくことが重要です。

事業譲渡もおすすめ

美容院で働いていた従業員やスタッフのことを考慮するのであれば、事業譲渡もおすすめの選択肢です。美容院を事業譲渡という形で、次の経営者に引き継いでもらうことができれば、そこで働いていた従業員やスタッフは、そのまま次の経営者のもとで仕事を継続することができます。

新たな経営者としてもスタッフを新規採用することなく、店舗と経営を引き継げることが大きなメリットとなります。

自分自身は経営から身を引くことを考えた場合、それまで一緒に働いてきたスタッフの将来が心配になるケースも少なくありません。単純に居抜き物件として売却してしまうのではなく、事業譲渡を視野に入れることで、心置きなく経営から退くことができます。

まとめ

美容院の解体に焦点を当てて、解体工事の費用相場や解体業者の選び方、原状回復や居抜き物件として売却することなどを具体的にご紹介してきました。現在の日本では美容院が乱立する状態となっており、その競争も激しさを増しています。

その中で、撤退や規模の縮小を余儀なくされる美容院も出てくることでしょう。実際に撤退や規模の縮小を考えることになった場合、解体や居抜き物件としての売却、事業譲渡など、複数の選択肢を持っておくことが大切です。その中から最善だと思える選択肢を見つけて、より良い未来へとつなげていきましょう。

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