解体工事の手順や流れとは?開始前から終了後までの全体像を解説
現在利用していたり、住んでいたりする家屋や建物が不要になった場合、解体工事を選択する方も増えてきています。実際に解体工事を依頼する場合は、どういった流れで工事が進められていくのか気になるという方も多いでしょう。
解体工事は、実際の建物の取り壊し以外にもやるべきことが数多くあります。そうした1つ1つの手順を踏むことで、最終的に工事が完了します。そこで今回は、解体工事開始前から工事完了にいたるまで順序を踏んで解説していきますので、どうぞご覧ください。
解体工事の流れと全体像
解体工事を依頼した経験があれば全体的な流れについて理解しやすい部分もありますが、初めて解体工事を依頼する場合はイメージしにくい面も出てきます。
そうした中で、具体的にどういった流れで建物や家屋の解体が進められていくのか認識しておくことが大切です。そうすることで、施主としてもスムーズに業者に依頼することができます。まずは全体像から確認していきましょう。
建物の大まかな坪数の測定
解体工事を開始する前に建物の大まかな坪数の測定を行い、どれくらいの作業人員や作業日数が必要かを割り出すことになります。
建物の登記簿に坪数が記載されているケースもありますし、実際に現地で図る場合もあります。その際は建物の外周をメジャーで測定して面積を算出する方法があります。
一般的な目安として、30坪程度の建物であれば、3人から4人の作業員で重機を使って7日から10日程度で工事が完了します。建物の立地条件や構造によって多少のばらつきは出てきますが、大まかな目安として参考になる数字です。
有害物質の有無の確認
建物の大まかな坪数を確認できたら、続いて有害物質の有無を確認します。有害物質とはいわゆるアスベストのことで、築年数の古い建物にはアスベストが使用されている可能性があります。
原則として、2006年以降に建てられた建物に関してはアスベストの使用が禁止されていますが、それ以前の建物についてはアスベストが含まれていることもあります。アスベストやPCBといった有害物質については、特別な方法で除去する必要があるので、まずは有無を確認します。
有害物質の有無を確認せず、工事中に発見されると作業員のみならず、近隣住民の方への健康被害も懸念されてしまいます。法律違反にもつながり、後々大変なことになるので、あらかじめ確認することが求められています。解体業者が見てくれる場合もありますし、場合によっては有害物質調査の専門家に依頼して確認してもらうこともできます。
作業スペースの確認
建物を解体するための重機やトラックを搬入できるスペースがあるかどうかを確認します。建物を解体する際は重機を使うことになりますし、解体する際に出る廃材を積み込むトラックの搬入経路を確保する必要もあります。
そうした十分なスペースがあるのかを確認した上で、実際の解体工事に入っていきます。万一、重機が入れるほどのスペースがない場合は、手作業やその他の機械を使った工事となり、解体費用の高騰や工期の長期化につながることもあります。
ここは施主としても大事な部分であり、しっかりと確認しておくことが求められます。
廃材の処分方法の確認
解体工事を通して出た廃材や産業廃棄物に関しては、適切な形で処分することが条例や法律によって定められています。
地方自治体によっても処分方法が異なることがありますが、一般的には中間処理施設への搬入と最終処分場への搬入といった形で、廃材の処分が進められていきます。解体業者に工事を依頼する場合は、廃材の処分まで含めて行ってもらうことが一般的です。
自身で残置物や廃棄物を処理する場合も含めて、具体的な流れを理解しておくことが重要です。
解体工事を依頼する手順・流れ
ここからは、解体工事を依頼する際の手順について確認していきます。大きな建物や家屋になればなるほど、自分で解体するのは困難になり、一般的には解体業者に工事を依頼することになります。
その際の手順を頭に入れておくことで、スムーズな形で物事を進めていくことができます。具体的にどういった手順を踏んでいくのか、理解を深めていきましょう。
解体業者を探す
まずは、解体業者を探すところから開始していきます。タウンページなどから探す方法もありますし、インターネットを利用して解体業者のホームページを検索するといった方法もあります。
友人や知人で建築関係の人がいれば、その人に聞いてみるのも選択肢の1つです。いずれにしても、複数の解体業者をピックアップすることが重要です。1つの業者だけに固執してしまうと、いろいろな部分で比較、検討することが難しくなってしまいます。
工事を依頼したいと思える業者を何社か選定していきましょう。
解体業者に見積もりを依頼する
解体工事を行う場合は、最初に解体業者の調査から始める必要があります。近年では解体業者の数も多くなってきており、工期や工法、費用なども含めて様々です。できれば3社程度から見積もりをもらうように進めていくと良いでしょう。複数業者に見積り依頼できるサイトなどもありますので、そういったサービスを利用すると比較検討しやすくなります。
また、一括見積りサービスなどで数社に依頼する場合、概算見積もりという形で資料のみで金額提示を行ってもらうことも可能なケースがあります。その際に必要となる情報をご紹介します。
- 建物がある場所(住所)
- 建物の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)
- 建物の大きさ(坪数)
- 建物付近の道路の広さ(駐車スペースがあるかなど)
- 隣接する建物や家屋との距離
- 建物以外で解体や処分を依頼するもの(あれば)
業者によっても異なりますが、上記の情報を伝えることで、大まかな概算見積もりを出してもらうことは可能です。しかし、できる限り現場に来てもらって見積もり提示を依頼する方が安心です。
資料による概算見積もりだと、工期や必要な作業人員を具体的に想定しにくいこともあり、最終的にかかってくる費用と大きな差異が生じやすくなります。2社や3社程度ではなく、数多くの業者に見積もりを依頼する場合の手段として、資料による概算見積もりを頭に入れておくこと自体は問題ありません。
現地調査・見積内容の確認
概算見積もりを依頼した場合でも、どこかしらに工事を発注するのであれば現地立ち会いをする必要があります。実際に現場を見てみないと建物の大きさや敷地内の状況、周辺の様子や道路の広さなど、わからないことが多いからです。事前に現地の様子を確認せずに契約を結んでしまうと、工事が始まってから追加費用請求をされる可能性も高まります。
現地で立ち会い調査をすることで、より正確な費用感の見積もり内容を提示してもらうことができます。資料的な部分の数字と、実際に現場を見た時の感覚は異なることも多く、具体的な作業人員や作業日数についても、現地立ち会いをすることで想定しやすくなります。
現地立ち会いによって提示してもらった見積内容で、確認しておきたいポイントについても紹介していきます。
- 具体的にどういった工程で作業を行うのか確認する
- 解体工事にかかる費用の内訳や追加費用が発生する場合の規定を確認する
- 解体工事にかかる手続きや注意点について確認する
- 解体費用を安くするための相談をする
- 最終的な解体費用の総額を確認する
上記のような見積内容の確認ポイントを頭に入れた上で、解体業者との交渉を進めていくことが賢明です。現地立ち会いによる見積もり依頼は何社と行っても問題ないので、その中で最も信頼できそうな業者や金額感が合う業者に依頼すると良いでしょう。
解体業者の決定・契約締結
概算見積もりや現地調査、最終的な見積もり内容を含めて、納得することができたら解体業者を決定していく段階へと移っていきます。解体業者の決定は施主の判断に基づくものであり、工事を依頼することが決まったら、該当の業者に連絡を入れて契約を行うことになります。
ここまでが解体工事を依頼するまでの手順です。業者選びの段階から工事は始まっているということを意識しつつ、解体業者を決定していきましょう。
解体工事開始前の手順・流れ
解体業者を決定して契約を結んだら、実際の工事にあたって準備を開始することになります。
解体工事は重機を使って取り壊すだけではありません。業者・施主ともに、その前の下準備から含めて入念に手順を踏んでいく必要があります。その具体的な内容について確認していきましょう。
建物と周辺の事前調査
まず、解体工事を開始する前に、建物と周辺の事前調査を行います。見積もり提示を受ける際の現地立ち会いでも確認することがありますが、改めて工事開始にあたって現場の様子を確認します。
重機やトラックの駐車スペースや具体的にどういった手順で作業を進めていくかなど、改めて判断することになる部分も出てきます。
また、近隣住宅や建物の様子もしっかりとチェックする必要があります。隣家との距離が近い場合は、どこまでが施主の土地でどこからが隣家の土地なのかといった部分も、慎重に判断することが求められます。
近隣住民との無用なトラブルを避けるためにも、はっきりとした線引きをする必要があるのです。専門家立ち会いの事前調査には、できる限り施主も立ち会っておくようにしましょう。その際、作業中に注意して欲しいことやトラブル回避策などがあれば共有しておくようにしてください。
インフラ(ライフライン)の停止・解約
建物と周辺の事前調査を済ませたら、インフラ関連の停止・解約へと移っていきます。建物や家屋を解体する場合は事前に電気や電話、ガス、インターネットなどのインフラ設備の解約作業を行っていきます。
事前に業者に連絡を入れておき、停止する日や解約日を決めておくことが大切です。水道に関しては、解体工事中に作業員が利用したり、清掃の際に利用したりすることがほとんどですので、作業担当者と確認しておく必要があります。
家屋を解体する場合、電気や電話については電柱からの引き込み部分を取り外すことになります。また、ガスについては配管のカット作業が行われます。いずれにしても、事前に手続きを済ませて解約しておくことになります。
各種申請
解体工事を始める前に、建設リサイクル法の届出や道路使用許可申請といった手続きを行います。
建物の面積が80㎡以上になる場合は、建設リサイクル法に基づく届出を行う必要があります。分別解体の規定を遵守することも含めて、都道府県に解体計画などの届出が求められます。
建設リサイクル法
特定建設資材(コンクリート、アスファルト、木材など)を用いた建築物等にかかる解体工事、またはその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事について、その受注者等に対して分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けた法律。
また、解体工事に際して道路を使用する場合も、道路使用許可申請を行う必要があります。道路使用許可申請が必要にも関わらず届出を怠っていると、3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金に科せられる可能性が出てきます。
道路使用許可
道路は人や車が通行する目的で作られていますが、それ以外の目的で道路を使用する時(道路上に作業用車や資材用の車を置いて作業を行う場合など)に必要となる許可のこと。
基本的に工事に関する申請手続きは解体業者が行うことになりますが、施主としても適切な形で各種申請が行われているかどうか確認することがポイントです。
近隣住民への挨拶
インフラ設備の解約や各種申請といった手続きを進めたら、近隣住民への挨拶も行っていきます。解体工事に際しては、騒音や振動、粉じんの飛散や道路の使用など、少なからず近隣住民の方へご迷惑をお掛けすることになります。
そうした状況を理解しているからこそ、解体業者としても事前の挨拶の重要性を認識しています。近隣住民と事前に顔を合わせておくことで、少しでも工事に対する理解や協力を得やすくなります。
いずれにしても、事前に近隣の方々に対して解体工事があることを伝えることが重要です。基本的には解体業者が主導して挨拶を行ってくれますが、できれば施主も一緒に近隣住宅を回ると心象も良く、トラブルになりにくいです。
工期や工事のやり方など、専門的な部分の説明は作業員の方が詳しいです。そうした部分の説明を近隣住民から求められることもあるので、できるだけ解体業者の担当者が同伴する形で挨拶を行いましょう。
残置物(不用品)の撤去・処分
建物や家屋にある家具や生活必需品、家電製品などの残置物は事前に撤去しておくことで、スムーズに工事を開始することができます。
建物内の残置物に関しては、解体業者に撤去してもらうこともできますが、その分、費用が上乗せされるため量次第では高騰するリスクもあります。家電製品などは自身でクリーンセンターに運んだり、買取業者に買い取ってもらったりするなど、事前に処分することで費用の高騰を避けることができます。
また、残置物が残った状態だと、その分工期が長くなる可能性もあります。できるだけスムーズな形で工事を開始するためにも、自分でできることは自分でやっておくのが賢明です。
養生や足場の設置
解体工事前の準備として、養生や足場の設置を行うことも重要です。これは解体業者が行うことですが、足場と養生をしっかりと設置することで安全性を確保しながら工事を進めることができます。
養生に関しては、防音対策や粉じんの飛散防止につながる部分もあります。近隣の方々へのご迷惑を最小限に抑えるという意味でも、しっかりと設置する必要があります。
足場に関しては作業員の安全性を確保する目的があり、工事をスムーズに進めていくためにも必須な設備です。どちらもしっかりと設置した中で、解体に向けた準備を進めていきます。
防音パネルの設置
養生や足場の設置はほとんど全ての解体現場で行うことになりますが、場合によっては防音パネルの設置を行うこともあります。特に大きな建物を解体する場合や近隣に多くの施設、建物がある場合など、一般の方に対する影響が大きいと考えられる場合に防音パネルの設置を行います。
養生を設置するだけでも防音対策や粉じん対策を行えますが、防音パネルを設置することで、そういった対策をより強固な形で対応可能になります。
基本的には解体業者との話し合いの中で、どういった設備を設置していくか判断することになるでしょう。解体費用との兼ね合いもあるので、施主としても判断が求められる部分です。
解体工事中の手順・流れ
解体工事前に行うべき手順や準備を一通り行うことができたら、いよいよ物件の解体工事へと移っていきます。
実際に重機を使って建物や家屋の解体をするのもこの段階です。設備や内装材の撤去なども含めて、具体的な流れを確認していきましょう。
瓦の撤去
家などの解体工事でまず行うのは瓦の撤去です。基本的には人の手によって1枚1枚丁寧にはがしていきます。現在は分別解体が基本となっており、材質や材料ごとに区分けをして処分する必要があります。
そのため、機械を使って一気に取り壊すのが難しいのが瓦の撤去です。特にスレート瓦(セメント瓦)の場合はアスベストが含まれている可能性もあるので、慎重に撤去を行い密閉性の高い容器に梱包して処分することが求められます。
設備や内装材の撤去
瓦の撤去を終えることができたら、設備や内装材の撤去へと移っていきます。建物や家屋に取り付けられている窓ガラスや土壁、石膏ボードなどの設備を撤去していきます。
これらも基本的には手作業による撤去となり、機械を使うことは多くありません。家電製品や家具などの残置物が残っている場合も、この段階で撤去してしまいます。
設備や内装材に関しても分別解体することが原則なので、素材や材料に分けて処分していきます。
重機を使った解体
手作業によってできる解体を全て終えたら、いよいよ重機を使った解体へと移っていきます。建物や家屋の解体と言うと、重機を使ってどんどん取り壊していくイメージの方も多いでしょう。
しかし、重機を使うまでには多くの準備や作業が必要となりますし、日数もそれなりにかかります。建物の構造や面積、立地にもよりますが、重機による解体は3日から5日程度で終わることが多くなっています。
また、重機を使って解体をしている時が、最も振動や騒音、粉じんの飛散といった事象が発生しやすくなります。解体作業員としても、周辺の環境や人々に十分配慮しながら工事を進めていきます。
地中埋設物の確認
建物本体を解体して基礎の撤去まで終えると、地中に廃材が埋まっていたり、井戸や浄化槽などが見つかったりすることもあります。そのままの状態にしておくと、その後の土地活用にも影響が出てくるので撤去しなければならないことが多いです。
例えば、土地の売却を検討している場合、地中埋設物があることを把握しながら売却してしまうと、後でその事実が発覚した時に撤去費用を請求されることになります。
建て替え工事を行う場合でも地盤の強度や安定感を考慮すると、地中埋設物がない方が良い状態で建て替えを行うことができます。
いずれにしても、地中に何か見つかった場合は撤去することを視野に入れて業者と交渉を行うことが重要です。もちろん、撤去する場合は追加費用の対象となります。施主としては経済的に痛い部分ですが、やむを得ない出費であると認識しておくと良いでしょう。
細かいガラの撤去と整地
重機を使って工事を行うと、細かい木屑やコンクリートガラなどが大量に発生します。そうしたものを土地から撤去することで、きれいな状態を作り上げていきます。
大きなガラについては、重機を使って掘り起こし作業をしながら撤去を行います。細かい木屑やガラについては、手作業によって撤去を進めていきます。それらが完了したら整地を行って、土地をきれいな状態に仕上げます。
工事現場の清掃
細かいガラの撤去と整地を終えることができたら、最終的に工事現場を清掃して綺麗に掃除していきます。清掃の際に水道を使用することが多いので、この時点まで水道は解約しないように求められることがあります。
工事完了までの間、水道は解約しないように求められた場合は解体業者の指示に従って、解約日程を調整していきましょう。清掃まで終えて解体現場を綺麗な状態にすることができたら、ようやく解体工事の完了となります。
解体工事後の手順・流れ
解体工事は建物や家屋の取り壊しを終えたら完了というわけではありません。解体工事後に行うべき手順や手続きも全て行った上で、最終的な工事完了となります。
解体業者がやることもありますし、施主として行うべき作業が出てくることもあります。どちらの内容もしっかりと頭に入れて、最後まで気を抜かずに解体工事と向き合いましょう。
産業廃棄物の搬出
解体工事後の手順として、まずは産業廃棄物の処理を行うことになります。重機解体を終えると、木屑やコンクリートガラを含めて、さまざまな廃材や廃棄物が出てきます。
それらを資材ごとにまとめて処理場へと運搬していきます。ここでは、リサイクル資源となる廃棄物と処分する廃棄物に分けて処理を行うことが求められます。
リサイクル資源に関しては、解体業者が買い取ってくれるか無償で引き取ってくれることもあります。廃棄物の量によって追加費用が発生することもあるので、施主としてもしっかり確認しておくことが求められます。
周辺道路等の清掃作業
周辺道路等の清掃作業も行っていきます。解体現場の清掃に関してはすでに行っていますが、周辺道路の清掃作業がまだ追いついていないこともあります。その際は、産業廃棄物の搬出後や搬出と同時に清掃作業を進めることがポイントです。
廃棄物を搬出している最中にも、コンクリートガラやその他の廃材が周辺道路に飛散することがあります。現場から廃棄物を完全に取り除くことができた状態で、改めて周辺道路をきれいにしていきましょう。
地鎮祭
地域の文化や風習にもよりますが、解体工事を終えて更地にした後で、地鎮祭を行うこともあります。地鎮祭とは、土地に宿る神様を鎮めこれまでのお礼をするという意味で行われるものです。絶対に行わなければならないという類のものではなく、地域に伝わる伝統や風習として行われることがあるというものです。
家族や親族の意思を尊重して行うこともありますし、地域の習わしに沿った形で行うこともあります。地鎮祭を行う場合は、一般的にお米やお酒をお供えし、神主さんを招いてお祓いをしてもらいます。
神主さんへの依頼については別途費用がかかるので、無理をしてまで行う必要はありません。伝統や風習の1つとして、こうした儀式があることを頭に入れておきましょう。
近隣住民へ工事完了の挨拶
無事、解体工事が終わった後も、近隣住民の方々に工事完了の挨拶をしておきましょう。ただし、場合によっては、近隣住民の方から苦情を受けることもあります。
できるだけ早く挨拶に行っておくことで、何か問題が発生した場合に解体業者に対応してもらうことができます。あまりにも時間が経った後にトラブルが発生しても、解体業者が対応してくれないことがあります。
トラブルやクレームがなければ、そのまま工事に協力してもらったことに対するお礼を伝えましょう。いずれにしても、近隣の方々の協力や理解がなければ解体工事を進めることはできません。その点において、感謝の気持ちを忘れずに持っておくことが大切です。
建物滅失登記の申請
最後に事務的な手続きとして、建物滅失登記を行うことが求められます。建物滅失登記とは、建物の全部を取り壊した際や建物が焼失した時に行う申請のことです。
建物滅失登記
登記されている建物を完全に取り壊したり焼失したりした場合には、その所有者は、取り壊した日から1ヶ月以内に建物の滅失登記を申請しなければならない。
建物の取り壊しや解体は滅失登記申請の対象となります。基本的には法務局に行って必要な書類を取り寄せて申請を行うことになります。
自分で申請するのが大変だという方は、別途費用を負担することで土地家屋調査士などに代理で依頼することもできます。その際は、4万円から5万円程度の費用がかかることが一般的です。
建て替えや売却に向けた準備
建物滅失登記の申請を終えた後、家屋や建物を解体して土地をそのままにしておくと固定資産税や都市計画税が高くなるなど、施主にとっても良いことばかりではありません。
最初から土地の活用法を検討した上で解体工事を行わないと、損ばかりする羽目になってしまいます。第三者に土地を売るのであれば、業者探しも含めて準備をする必要があります。建て替え工事を行う場合は、あらかじめ工務店やハウスメーカーなどと話し合いを行っていることでしょう。
いずれにしても、解体後の土地活用に向けた準備も含めて一連のスケジュールを組むことが大切です。
まとめ
解体工事は準備の段階も含めて1つ1つの作業を確実に行っていかないと、スムーズに進んでいきません。基本的には解体業者に委ねる部分が多いですが、施主が行わなければならないことも多々あります。
特に事前段階のライフラインの停止や不用品の処分などは、施主の責任で行う必要があります。工事の進捗に影響を出さないためにも、全体の流れを理解した上で、必要な時期に必要な手順を踏めるように意識し、自分でやるべき作業は確実に行うことが重要です。
最後の建物滅失登記まで含めて解体工事です。改めてその手順・流れを確認した上で、1つ1つの工程や作業を確実に行っていきましょう。