古民家の解体にかかる費用相場や補助金制度は?古材の買取についても解説

古民家の解体にかかる費用相場や補助金制度は?古材の買取についても解説

古民家の解体に焦点を当てて、解体費用相場や補助金制度、解体業者を選ぶ際に押さえておきたいポイントなどをご紹介していきます。今後、ますます人口減少が進むことが予想される日本社会において、空き家は大きな問題になっています。古民家もそうした問題の一因であり、いかに管理していくかが問われる時代でもあります。解体以外にも古民家を活用する方法があります。そうした活用方法や古材の買取も含めて解説を行っていきますので、どうぞご覧下さい。

古民家の解体に際して考えること

最初に、古民家の解体に際して考えることについて取り上げていきます。古民家も一般的な建物や家屋と同様に、解体業者に工事を進めてもらうことが多くなります。その中でも、一般的な住宅や古家との違いを理解しておくことが大切です。

そもそも古民家とは何かという部分や、解体後の固定資産税の問題も頭に入れておきたいところです。古民家の解体について理解することで、古材の買取や解体以外の活用方法といった部分まで考えを及ばせることができるようになります。

まずは、基本的な部分についての理解を深めていきましょう。

古民家とは?

それでは、古民家とは一体どういったものなのかという点について詳しく解説を行っていきます。まず、古民家には決まった定義があるわけではないという点を押さえておきましょう。中には築50年以上経った建物を古民家と呼ぶと定義している資料やサイトもありますが、その定義はとても曖昧なものだと考えることができます。

例えば、築100年以上経っている建物でも古民家とは言い難いような雰囲気の建物もあります。この後ご紹介する住宅や古家との違いとして、築年数を取り上げて古民家と呼ぶことが多くなっています。

しかし、実際には築年数で分けて考えることができるほど単純な世界ではありません。あえて見た目の雰囲気を取り上げるのであれば、「日本古来の伝統的な建築方法で建てられた建物」を古民家の定義と考えることが適当です。

例えば、柱を梁を釘を使わずに組み立てたような建物が日本伝統的な工法として古民家と呼べるような存在だと言うことができます。その点においては、築50年を満たしていなくても、そうした工法の建物や家屋を古民家だと考えることができます。

住宅や古家との違い

古民家についての理解を深める上では、住宅や古家との違いを認識しておくことも大切です。住宅に関しては、現在も居住用の家屋として使われている建物のことを指すことが一般的です。比較的築年数が浅いことがその象徴で、空き家の場合でも築年数が浅ければ住宅と定義されることがあります。

一方で、古家の場合はすでに住宅としての機能が低下しており、資産価値もほとんどない物件のことだと考えることができます。築年数も相当程度経過しており、今後も住む人が見つからないようなケースもあります。一般的な空き家に関しては古家と定義されることが多くなっています。

古民家との違いという点では、やはり建築方法を挙げることができます。住宅や古家に関しては、鉄筋コンクリート造や鉄骨造、木造であっても釘を使った現代的な工法で建てられていることが多いです。

築年数で違いを分けることができないのは、建築方法での違いを重視する部分があるからだと言うこともできます。築年数はある程度の目安と考えつつ、住宅や古家、古民家との違いを理解することがポイントです。

古民家の解体期間

古民家を解体する際の期間についても触れていきます。古民家の解体については、一般的な建物や家屋と同様の工程で工事を進めていくことになります。そのため、古民家の取り壊し自体の解体期間は3日から10日程度といった日数が目安となります。

解体工事前に行う処理や建設リサイクル法の届出、解体工事後の手続きや申請などを踏まえると、1ヶ月から2ヶ月程度を見ておけば問題ありません。この辺も一般的な建物や家屋と同様だと考えることができます。

ただし、古材買取を依頼する場合は期間が長くなることがあります。古材の買取を依頼する場合は、古材に傷をつけないようにするために、重機を使った解体ではなく手作業での解体が中心になります。

そうなると解体期間も長くなりますし、解体費用も高騰することになります。また、古民家の立地条件が悪く、重機や作業車がなかなか現場に入れないケースでも解体期間が長くなる傾向にあります。その辺は解体業者とのコミュニケーションを取りつつ、具体的なスケジュールを確認することが大切です。

解体後の固定資産税

古民家を解体した場合の固定資産税の問題もご紹介していきます。一般的に、家や住宅を解体した後に土地が残っていると、その土地にかかる固定資産税が上がるという問題が発生します。

これは、家や建物が建っている土地の場合、土地にかかる固定資産税が軽減されるという特例があることに起因しています。この軽減措置に関しては、古家や古民家も対象であり、解体後に土地が残っていると、条件次第で固定資産税が3倍から4倍程度まで跳ね上がる可能性があります。

一方で、例外もあるので注意しておきたいところです。その例外とは、2015年に施行された空き家等対策特別措置法のことです。

空き家等対策特別措置法

空き家の所有者へ適切な管理の指導や空き家の跡地についての活用促進、特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができることなどを定めた法律。

この空き家等対策特別措置法によって、改善勧告の対象となった建物の場合は、たとえ家が建っている状態であっても固定資産税の軽減措置対象から外されてしまうことになります。

つまり、もともと家がない状態と同じ額の固定資産税を支払うことになるので、古民家を解体しても固定資産税が上がることはありません。 空き家等対策特別措置法による指導を受けた場合は、解体やその他の活用も含めて、速やかに対策を講じることが重要です。

古民家の解体費用相場や補助金制度

ここからは、古民家の解体費用相場や補助金制度について解説を行っていきます。長年にわたって住んできた古民家や空き家になってしまった古民家など、解体を検討することになる可能性もあります。

その場合の解体費用相場や、補助金制度の有無について理解しておくことが大切です。活用できる補助金制度があれば、解体費用を安く抑えることも可能です。具体的にどういった制度や事業があるのかも含めて理解を深めていきましょう。

解体費用相場

それでは、古民家の解体費用相場について確認していきます。古民家の解体費用相場としては、木造家屋の場合で1坪あたり3万円から5万円と言われています。

これは古民家がある場所や地域、前面道路の広さや古材買取の有無といった条件によって変わってくる部分もあります。特にイレギュラーなことが発生しない限り、1坪あたり4万円から5万円程度の解体費用がかかると認識しておけば問題ありません。

大まかな坪数の解体費用相場についてまとめていきます。

坪数 解体費用相場
30坪 120万円~150万円
50坪 200万円~250万円
100坪 400万円~500万円

一般住宅の解体費用相場は1坪あたり2万円から3万5,000円程度が目安となるので、古民家の解体はやや割高な印象を受けるかもしれません。最終的には解体業者からの見積もり提示を受けて、費用感を調整することがポイントです。

解体費用の内訳

古民家の解体費用に関して、その内訳と目安となる費用についても確認していきます。

  • 人件費:1万5,000円~2万円/人
  • 仮設工事(養生シート込み):500円~1,500円/㎡
  • 基礎解体:3,000円~6,000円/坪
  • 内装解体:5,000円~1万2,000円/坪
  • 屋根解体:1,000円~3,000円/㎡
  • 重機解体:3,000円~5,000円/坪
  • 樹木撤去:1万円~4万円/本
  • ブロック塀の解体:3,000円~4,000円/㎡
  • 廃棄物処理:6,000円~2万3,000円/㎡
  • 重機運搬:4万円~5万5,000円
  • 諸費用:5万円~7万円

上記のような費目に対して、目安となる金額をご紹介しました。工事期間が長くなれば長くなるほど、人件費は高くなっていきます。

まずは、解体業者から受ける見積もり提示と作業スケジュールを念頭に置いた上で、目安となる費用を頭に入れておくことが求められます。

追加費用には注意

一般的な住宅や建物の場合もそうですが、古民家の解体に際しても追加費用が発生することがあります。追加費用に関しては、事前に業者とのコミュニケーションを適切に取った上で、どういったケースでどのくらいの費用が発生するのか確認しておくことが大切です。

悪徳業者の場合は契約時に追加費用に関して何も伝えずに、工事が始まってから高額な追加費用を請求してくるということもあります。そういった罠に引っかからないように、施主としても事前確認を怠らないことがポイントです。

具体的に、どういったケースで追加費用が発生するのか確認していきます。

  1. アスベストが含まれている場合
  2. 家財の処分
  3. 家屋以外の解体工事
  4. 古材の再利用
  5. 隣家との距離が近い
  6. 重機が入れない
  7. 地中障害物の発見
  8. 産業廃棄物の処理費用高騰

1つ1つの項目について、より詳しく解説していきます。

アスベストが含まれている場合

まずは、解体する古民家にアスベストが含まれているケースを挙げることができます。これは一般的な建物や住宅の場合も同様ですが、アスベストが含まれていることがわかった時点で、アスベストの除去工事を行ってから、解体工事に入ることになります。

そのため、当初予定していた作業や工期では解体を完了させることができず、追加費用が発生します。

家財の処分

家の中に家財や残置物がある場合も、追加費用発生の対象となります。テレビやエアコン、冷蔵庫や洗濯機などは事前に自分で処分してしまうのが賢明です。そうすることで、余計な費用を発生させずに済むことができます。

反対にそういったものが家の中に残っていると、処分費用を追加で取られてしまいます。事前に買取業者に買い取ってもらったり、クリーンセンターなどに引き取ってもらうのがおすすめです。

家屋以外の解体工事

追加費用が発生するケースとして、家屋以外の解体工事がある場合も挙げることができます。古民家以外にカーポートや広い庭、樹木が多い場合なども、追加費用が発生することがあります。

単純に古民家だけの解体であれば問題ありませんが、それ以外に撤去したり解体したりするものがあれば、その分の費用もかかっていきます。

古材の再利用

古材の再利用を行う場合も追加料金の対象となります。事前に古材を買い取ってもらうことを告げたとしても、一般的な解体工事とは異なる工程になるので、費用の高騰につながります。

古材を買い取ってもらうためには、傷をつけないように古材の取り出しを慎重に行う必要があります。そのため、熟練の職人や古民家解体の専門業者が手作業によって丁寧に解体を進めることになります。重機が使えない分、費用の高騰につながり、人件費も高まる傾向にあります。

隣家との距離が近い

隣家との距離が近い場合も、追加費用の発生や解体費用高騰の可能性があります。と言うのも、隣家との距離が近い場合は、隣家とのトラブル防止のために十分な養生を設置することが多いからです。

解体する際に飛散する破片やほこり、ゴミなどによる損壊や汚れを防ぐために多くの養生が必要になります。また、騒音防止のための防音加工をすることもあります。諸々の事前準備によって費用が高くなることがあります。

重機が入れない

追加費用の発生や費用が高騰する原因として、重機が入れないという理由も挙げることができます。解体現場の前面の道路がとても狭い場合や、隣家との距離が近い場合など、何らかの理由で重機が解体現場に入れないことがあります。

そうなると、重機を使った解体工事を行うことができず、手作業による工事が中心となるので費用も高くなりやすくなります。解体後に出る廃材を運搬用のトラックに積み込むのも一苦労です。現場から離れたところに駐車スペースを確保しなければならない場合は、その分負担も大きくなるので、費用も高くなる傾向にあります。

地中障害物の発見

地中障害物が見つかった場合も追加費用の対象となります。基本的に家屋や建物を解体する際は、地中1m~1.5mに障害物などの不要なものが埋まっていないか確認することになります。

これは、解体後に新たな建物を建てる際に基礎工事を行いやすくするためでもあります。地中障害物に関しては、工事を進めていかないとわからない部分があります。地中を掘り返していく中で、瓦や木材、コンクリートや浄化槽、防空壕や岩、古井戸や廃材、その他のゴミや基礎など、何らかの障害粒が発見されると、撤去作業を行うための追加費用が発生することになります。

また、土壌汚染が進行していると判断された場合は、さらに汚染土処理にかかる費用も負担する必要があります。土壌汚染が進行している土地に関しては、法律で売買が禁止されています。そのため、汚染土を処理してからその後の契約を行う必要があるのです。

さまざまな観点から地中障害物が見つかると、その分の費用負担が増えていくことになります。

産業廃棄物の処理費用高騰

さらに古民家の解体工事費用の追加負担について、産業廃棄物の処理費用高騰を挙げることもできます。解体工事に関しては、取り壊すだけではなく廃材を処分するところまでが含まれています。

基本的に解体工事を通して出た産業廃棄物に関しては、解体業者が責任を持って処分することになります。しかし、近年、この処分費用が高騰しており、その負担が施主にのしかかってくるという問題があります。

搬出される産業廃棄物の量によっては、あらかじめ想定していた処理費用よりも高くつくことがあります。そうなると、処分費用として追加請求されることもあります。

古民家解体の補助金制度

古民家の解体に際して、少しでも費用負担を抑えたいと感じるのは自然なことです。そこで活用したいのが古民家解体にかかる補助金制度です。実際に、さまざまな補助金制度を活用して負担の軽減につなげることが可能です。

補助金制度については、全ての自治体で行っているわけではないので、お住まいの地域を管轄する自治体に問い合わせてみることが重要です。

例えば、東京都北区では、古家や古民家の解体助成金制度が用意されています。その内容については、以下の通りです。

  • 古家や古民家の解体および整地に要した実費
  • 毎年公表される国が定める単価に、古家や古民家の助成対象床面積をかけた額
  • 160万円

上記の3点の項目のうち、少ない額を上限として補助金の提供を行ってくれます。

また、愛知県豊橋市でも古家や古民家の解体に際して補助金制度を用意しています。制度を利用するには条件があります。それは、木造住宅無料耐震診断(豊橋市)、または木造住宅耐震診断(愛知県)のいずれかを実施して「倒壊する可能性が高い」と診断された住宅であることです。

倒壊の危険性が認められた住宅を解体する際には、一定の費用負担をしてもらうことができます。古家や古民家の場合は一定の築年数が経過しているので、条件に当てはまる可能性も高くなります。条件に当てはまった場合は、以下のうちのいずれか少ない額を上限として補助金を受け取ることができます。

  • 解体工事費用の23%の金額
  • 20万円

ここでご紹介したのは、東京都北区の事例と愛知県豊橋市の事例でしたが、他にもさまざまな補助金制度が用意されていることが想定されます。まずは最寄りの自治体や役所に相談に行き、補助金制度の有無や概要について尋ねてみることがおすすめです。

古民家再生補助金

古民家の解体に際して利用できる補助金制度としては、古民家再生補助金を挙げることもできます。こちらは、古民家の再生を念頭に置いた場合に利用できる補助金制度となっています。

古民家再生補助金制度を取り入れている自治体としては新潟県を挙げることができます。新潟県では、

「ふるさと古民家再生事業」と呼ばれる制度を採用しており、歴史的文化や伝統的木造建築技術の維持・継承などを図っています。

対象となるのは、軸組構法や伝統的な継ぎ手や仕口、湿式工法や草葺き屋根といった伝統的木造建築技術によって造られ、約50年以上が経過した住宅の解体・再築・全面改修などです。

対象となる建物の工事については、100万円を上限として、工事費用の2分の1までを新潟県が負担してくれるという制度になっています。

他には、岡山県倉敷市でも古民家再生補助金制度があります。岡山県倉敷市では、古き良き町並みを守り続けることを目的として、古民家や町家の再生整備費用の一部を負担しています。

「町並みの保全や創出」や「エリアの再生」、「町おこし」のきっかけとなることが期待できる事業が対象となり、古民家も対象に含まれることがあります。

補助内容としては、300万円を上限として、事業にかかった費用の2分の1までを倉敷市が負担してくれるというものになっています。

こうした形で解体や再生にかかる費用を補助してくれる自治体もあります。まずは、最寄りの自治体に問い合わせをしてから、対象になるのかどうかを判断していきましょう。

空き家再生等推進事業

空き家再生等推進事業も、古民家の解体に際して頭に入れておきたい制度の1つです。空き家再生等推進事業とは、空き家住宅や倒壊の危険性がある家屋の除却を行うために、国が用意した制度です。

条件をクリアすることによって、最大で国から解体費用の半分を補助してもらうことができます。

補助を受けるためには、さまざまな条件をクリアする必要があります。その条件の一部を列挙していきます。

  • 空き家であること
  • 自治体に建物の老朽化によって倒壊の危険性があると判断された建物
  • 自治体が定めた年数以上経過している建物
  • 補助金申請者が税金を滞納していない

一定の条件を満たした場合、補助金を受けることができますが、注意点があります。それは領収書や解体証明書を自治体に提出した後で補助を受けることができるという点です。

つまり、施主としては一度解体費用を全額負担してから補助を受けるという流れになります。まずは自分で支払うだけの金銭的な余力を持たせておく必要があります。

古民家の解体業者の選び方

ここからは、古民家を解体する際の解体業者の選び方について解説を行っていきます。一般的な建物や家屋を解体する場合もそうですが、古民家を解体する場合も業者選びが重要になってくるのは間違いありません。

いかにして、古民家の解体に相応しい業者を選ぶかが大きなポイントと言えます。具体的な業者選びのポイントについて解説していきますので、理解を深めていきましょう。

解体実績の豊富さ

まずは、解体実績の豊富さを意識することがポイントです。古民家はそれほど多いわけではなく、一般的な建物や家屋の解体と比較しても、それほど全体的な件数が多いとも言えません。

複雑な造りをしているケースや古材の買取を依頼したいケースなど、施主によっても希望条件が異なることがあります。単に重機で取り壊していけば良いというわけではないこともあります。

構造や立地条件も含めて、さまざまなことを念頭に置かなければならないのが古民家の解体です。したがって、業者に依頼する際は、古民家の解体実績があるのかどうか、資料の提示などを含めてしっかりと確認することが重要です。

明確な解体費用

続いての解体業者選びのポイントとして、明確な解体費用を提示してくれるかどうかを挙げることができます。本文中でもご紹介しましたが、何らかの理由によって追加費用が発生することもあります。それ自体は問題ありませんが、追加費用に関する規定や、どの費目にどのくらいの費用がかかるのか、契約前にきちんと説明してくれる業者を探すことが重要です。

中には、契約時は大雑把な金額を提示して、後から追加費用を多く取ろうとする悪徳業者も存在します。

そうした業者に引っかからないようにするためにも、解体工事にかかる費目や費用をきちんと提示してくれる業者から優先順位を上げていきましょう。

そうすることで、無用なトラブルに巻き込まれるリスクを低減させることができます。

担当者とのコミュニケーション

古民家の解体業者選びに際しては、担当者とのコミュニケーションも重視したいポイントです。疑問点などをぶつけた時に丁寧に回答してくれるかどうか、近隣への配慮は行き届いているか、その他の表情や態度などから読み取れる人間性を重視することです。

そもそも営業マンや施工担当者の対応が良くなければ、工事も安心して任せることはできません。見積もり提示や契約前のやり取りを見て、信頼できる業者なのかどうか判断することも大切です。

また、「言った、言わない」によるトラブルを防止するためにも、重要事項は書面で提示してくれるかどうかも見分けておきたい部分です。総合的に見て信頼できる業者を探しましょう。

中間マージンに注意

解体業者選びに際しては、中間マージンの存在にも注意を払う必要があります。特に解体後の土地を利用して、新たな住宅やアパートなどを建てる場合は意識しておきたい部分です。

新築物件の施工業者と古民家の解体業者を一緒にしてしまうと、余計な中間マージンが発生する可能性があるからです。

例えば、新築住宅を建てる工務店やハウスメーカーに解体工事を依頼すると仮定します。その工務店やハウスメーカーが解体も担当できるのであれば問題ありませんが、なかなかそうしたケースは稀です。

そうなると、別の解体業者に依頼することになり、工務店やハウスメーカーは中間マージンを上乗せした形で依頼主から費用を徴収しようとします。

いわゆる「紹介手数料」や「バックマージン」といったものですが、直接解体業者に依頼すれば発生しない費用です。

解体業者や新築住宅の建設業者など、2つ以上の工程に分けて工事を行う場合は、それぞれ直接契約を結ぶことがおすすめです。そうすることで、多少なりとも費用負担を軽減することができます。

古材の買取もおすすめ

古民家の解体に際しては、古材の買取も頭に入れておきたいところです。古民家には古材と呼ばれる貴重な材料が使われていることが少なくありません。それを丁寧に取り除き、買取業者に売ることで、一定の金銭を受け取ることができます。

もちろん、買取に値するだけの価値があることが重要ですが、1つの選択肢として認識しておきましょう。

古材とは?

そもそも古材とは一体どういったものなのかについて確認していきます。古材にはさまざまな定義がありますが、一般的には戦前に建てられた古民家で使われている木材のことを指します。その他、築60年以上経過した古民家に使われている木材と定義されることもあります。

いずれにしても、長年にわたって使用されてきた木材を古材と定義することが多く、その年数が経過していればいるほど、古材としての価値が上がっていくという側面もあります。

木材の種類によっては、年数が経過すればするほど強度が上がっていくものもあり、その分、古材としての価値が高まっていきます。

例えば、ヒノキは伐採されてから100年くらい経過すると、強度が最も高まると言われています。それだけ木材には長年にわたる価値の醸成が期待されるのであり、古材の売却によって利益を上げることも珍しくありません。

古材が使われなくなった時期

かつての日本ではモノを大切にするという文化や、リサイクルしてでも同じものを使うという慣習が浸透していました。特に戦前はモノが少なかったということもあり、1つのモノを大切にするという意識が国民の間で根強く醸成されていたのです。それは木材に関しても同様であり、古民家に使われるような木材も大切に扱われてきました。

しかし、戦後になると古材や建材といったモノが使われなくなってきました。高度成長に伴って、モノが溢れるようになり、1つの古材や建材にこだわる必要がなくなってきたからです。したがって、古材が使われなくなった時期としては、戦後を挙げることができます。

その頃から、住宅を建てる木材に関しては、海外からの輸入品が多くなっていったという背景もあります。また、木造だけではなく鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅も増えていき、ますます国内の木材は利用されなくなっていきました。

木材をリサイクルするという習慣も廃れていき、基本的には新しい木材を使用することが多くなっていったのも戦後からです。

古材買取業者の出現

戦後から古材が使用されなくなってきたという背景がありますが、近年では古材買取業者が現れるようになりました。いわゆる古民家再生ブームも相まって、古材に対する需要が増えてきたこともきっかけです。

中には解体業者自身が古材の買取を行っているケースもあり、今後も古材を買い取りたいというニーズが高まっていくことが予想されます。

古材が持つ価値はその年数にあります。50年や100年といった年数はお金で買えるものではなく、それだけの時間が経過しないと手に入れることができません。

一定の年数を経た古材には、色合いや風合い、強度や雰囲気など、独特な魅力が詰まっており、それだけ利用価値も高まっていくことになります。

価値のある古材は古民家カフェやリフォーム住宅、温泉旅館や料亭など、さまざまな場所で再利用されています。そうした点からも古材が使われている古民家を解体する場合は、古材の買取を視野に入れてみることもおすすめです。

買い取ってもらいやすい古材

実際に買い取ってもらいやすい古材としては、以下のようなものを挙げることができます。

  • ヒノキ
  • ケヤキ
  • 柿ノ木

特に戦前の古材に関しては買取業者からも重宝される傾向があり、高い値段で買い取ってもらえる可能性もあります。特に重要なのは年数です。戦前の古材や100年程度経っている古材などの場合、需要も高くなります。

古民家を解体する場合は、柱や梁、床の間や階段などを注視してみることが重要です。そういった場所に価値のある古材が使われている可能性が高いため、慎重に作業をすることが求められます。

また、藁葺き屋根の古民家やトタン屋根の古民家、納屋、土蔵といった場所にも貴重な古材が使用されている可能性があります。

解体業者の方と連携しつつ、なるべく傷をつけないように古材を取り出すことがポイントです。

古材買取の注意点

古材を買い取ってもらうことで一定の金銭を得ることもできますが、古材買取には注意点もあります。それは、解体工事費用が高額になってしまうという点です。

一般的な解体工事であれば、重機を使って一気に建物の取り壊しを行うことができますが、古民家から古材を取り出す場合は重機を使った解体はできなくなります。重機を使ってしまうと、古材まで取り壊すことになり、売ることができなくなってしまうからです。

そうなると、古民家解体専門の職人によって手作業で古材をばらしていくことになります。その場合は解体工期も長くなりますし、高い人件費がかかることも珍しくありません。

トータルで見た時に解体にかかるコストが高まっていくのです。古材を売ればお得になる部分もある反面、解体費用が高くなって結局はそれほどお得感がなかったという結果になる可能性も出てくるので、注意が必要です。

価値のある木材であること

古材の買取を依頼する際に押さえておきたいポイントとして、価値のある木材であることも挙げられます。傷がついている古材や汚れが目立つ古材では、買い取ってもらえないこともあります。

柱と梁を釘なしで組み上げた日本古来の伝統的な工法によって建てられた古民家の場合、現在の木材とは比べ物にならないほどの太い木材を使っていることがあります。そうした木材を丁寧に取り除き、傷や汚れが目立たないような形で、買取依頼を出すことが重要です。

古材であれば何でもかんでも売れるというわけではないので、その辺は十分に理解しておく必要があります。

そのまま解体された場合はリサイクルされる

古材の買取を希望する方の中には、資源がもったいないという理由で買取依頼を出すケースもあります。もちろん、お金を得たいというニーズがあることも考えられますが、資源の再利用という視点を持っていることも理解できます。

ここで押さえておきたいのは、解体後に出てきた古材を買い取ってもらわなかった場合はそのままリサイクルされるという点です。古材や廃材などは解体後にそのままゴミになってしまうのではないかと勘違いされている方も少なくありません。

しかし、実際には合板や燃料、ウッドチップなどに再加工されてリサイクルされるケースがほとんどです。したがって、資源がもったいないという理由で買取を依頼するのであれば、そのまま処分してしまっても全く問題ありません。

古材鑑定も有効

古材の買取依頼を行う際は、古材鑑定を行ってもらうことも有効です。古材鑑定とは、古民家に使用されている古材の価値を、鑑定士が専門的な立場から評価するものです。

古材鑑定を行うことで古材鑑定書を発行してもらうことができます。その鑑定書によって、古材の状態が明確になり、実際に売ることができるのか、再利用や再活用に向けた情報を入手することができます。

自分の家に使われている古材にどれくらいの価値があるのか知るという意味では、古材鑑定を行ってもらうのがおすすめです。

古材鑑定のメリット

古材鑑定書を発行してもらえることも大きなメリットですが、それも含めて、古材鑑定を行うことのメリットについてまとめていきます。

  • 古材鑑定書を発行してもらえる
  • 古材の状態や活用方法を知ることができる
  • 古材を活かしたリフォームや循環型解体などの対策も取れる

古材鑑定を行うことで、上記のようなメリットを享受することができます。3つ目の循環型解体に関しては、古材を少しでも活かした形で次世代へ継承できるような解体を行うことです。

リフォームにつなげることもできますし、地球環境に配慮した形で今後建てられる建物や家屋に再利用することもできます。自身のことのみならず、社会や地球環境のことを考えても意義のある取り組みです。

解体以外にもある古民家の活用方法

ここからは、解体以外の古民家の活用方法について取り上げていきます。古民家を解体しても全く問題ありませんが、その他の活用方法があればそちらを選択したいというニーズが出てくることもあります。

さまざまな選択肢を頭に入れた上で、最善の判断を下すことがポイントです。具体的にどのような活用方法があるのか、確認を進めていきましょう。

店舗用賃貸物件

まず、解体以外の古民家の活用方法として、店舗用賃貸物件を挙げることができます。立地条件にもよりますが、市街地などに建っている古民家であれば、改装して店舗用物件として貸し出すことができます。

思い入れのある古民家を解体するのは寂しいという方や、枠組みだけでも残しておきたいという方には最適な選択肢です。改装をしてしまうと、かつてのような状態とはかけ離れる可能性もあるので注意が必要です。

それでも、賃貸収入を得る手段としては有効です。居住用としては厳しくなった場合でも、店舗用として貸し出すことに価値があります。

DIY型の賃貸物件

続いての選択肢としては、DIY型の賃貸物件を挙げることができます。特に最近は、都心から地方に移住する人も増えてきており、田舎暮らしに憧れを抱く人も少なくありません。

その中で古家や古民家を活用したDIY型の賃貸物件に対する需要も高まってきています。リノベーションを含めて、自分の手で新たな住環境を作っていくことに価値を見出す人も多くいます。

カフェや民宿といった形で再利用を進めることも可能です。自分たちが住まなくなったのであれば、人に貸し出して、その人たちのアイデアを実現させてあげるように支援してあげるのも1つの選択肢です。

自由度を高めれば高めるほど、需要も大きくなることが予想されます。貸し手としても借り手としても双方のニーズを満たすことができて、ウィンウィンな関係を築くことができます。

地域のコミュニティスペース

古民家を地域のコミュニティスペースとして活用するのも、おすすめの方法です。古くに建てられた古民家であれば、比較的面積が広いこともあります。そうした広いスペースを活用して、地域の方々が気軽に利用できるような場所として提供してあげるのも有効です。

こども食堂や集会所など、何でも構いません。コミュニティスペースの場合、基本的には無償提供という形になりますが、地域への貢献という点で意義のある活用方法と言えます。

文化施設

古民家の活用方法としては、文化施設として提供する方法も挙げることができます。コミュニティスペースと似た部分もありますが、地域に貢献するという意味では素晴らしい選択です。

図書館や資料館といった文化施設として、地方自治体やNPO団体に提供することも可能です。老朽化の度合いや立地している場所にもよりますが、多くの方に利用していただけるという点では最適な選択肢と言えます。

地域や地元に貢献したいという思いが強ければ、古民家をコミュニティスペースや文化施設として提供するのがおすすめです。

シェアハウス

さらに、解体以外の古民家の活用方法としてシェアハウスを挙げることができます。立地条件にもよりますが、利便性が高い場所であれば、シェアハウスとしての需要も期待できます。

面積の広い古民家であれば、シェアハウス用に改築することで、利用者の満足度も高めることができます。

店舗用賃貸物件やDIY型の賃貸物件などと同様に、古民家を活用して収益を上げたいという場合は、シェアハウスを選択肢に入れてみるのも有効です。

まとめ

古民家の解体に注目をして、解体費用相場や解体期間、解体業者の選び方などを具体的にご紹介してきました。また、古材買取や解体以外の活用方法も頭に入れておき、複数の選択肢の中から最善の判断を下すことがおすすめです。

古家や古民家などは、数は減りつつありますが、未だに利用されているケースもあります。また、空き家になってしまっていることもあり、その処分が今後大きな課題になってくる部分もあります。家主としてはなるべく早めに古民家の行く末を決めることが重要です。

解体であれば解体、その他の活用方法であればその道に舵を切ることで、地域社会への貢献にもつながります。さまざまな視点を持ちつつ、古民家の今後と向き合っていきましょう。

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