建物や家屋を解体して駐車場にする流れ!メリット・デメリットや費用目安なども解説
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建物や家屋、あるいは空き家を解体した後に駐車場経営を展開する人も増えてきています。土地や更地の活用方法としても注目を集めているのが駐車場経営であり、需要拡大にも期待が持てるビジネスの1つです。
本記事では、実際にどういった流れで駐車場経営を行っていけば良いのか、その考え方について解説していきます。また、土地や更地を駐車場にすることのメリットやデメリットも取り上げていきますので、参考にしてください。
解体工事と駐車場施工を分けるケース
まずは、解体工事からの駐車場化に際して、解体工事と駐車場施工を別々で行うケースについて確認していきます。解体工事と駐車場施工はまとめて依頼することもできますが、それぞれの別の業者に依頼をして別々の工事として発注することもできます。
駐車場経営を見越して施工を分けて行うケースの流れや工期、施工費用について確認していきましょう。
施工の流れ
建物や家屋の解体工事と駐車場施工を分けて行う場合は、主に以下の4ステップを踏むことになります。
- 解体業者を探す
- 建物や家屋の解体工事をしてもらう
- 駐車場施工業者を探す
- 駐車場を設置してもらう
細かく分ければさらにやるべきことは多くなりますが、大まかな施工の流れとしては上記の4ステップを挙げることができます。後ほど取り上げますが、解体工事と駐車場施工をまとめて依頼するケースと比較して、踏むステップ数が多いことが特徴です。
解体工事と駐車場施工を分けて依頼すると、費用面も含めて依頼主側にかかる負担が大きくなりがちなので注意しておきたいところです。
業者探しにかかる時間
実際に解体工事と駐車場施工をそれぞれ別で依頼することになると、業者探しにかかる時間が増えてしまいます。まとめて依頼すれば1つのステップで終えることができますが、別々に依頼しようとすると、解体工事業者と駐車場施工業者の2つを探さなければなりません。
単純に考えても、まとめて依頼した場合と比較して業者探しにかかる時間が2倍になることがわかります。
また、一般的には解体工事業者も駐車場施工業者も複数の業者から見積もり提示を依頼することが多くなります。そのため、より多くの業者と会ったりやり取りをしたりするなど、依頼主側にかかる負担が大きいことがデメリットです。
工期の長さ
解体工事と駐車場施工を分けて行うケースについては、工期の長さでもデメリットが発生することになります。解体工事と駐車場施工を分けて行うことになるので、それぞれの業者との打ち合わせや手続き、実際の工事や施工など、2段階で進めていくことになります。
そのため、トータルの工期もまとめて依頼するケースと比較して長くなりがちです。解体工事を終えてからでないと駐車場施工に移ることができないので、解体工事が長引くと、その分駐車場施工もどんどん遅延することになります。
それぞれの工事の準備や片付け、使用する重機の運搬など、2回ずつ行うことになり単純に二度手間になると考えることができます。トータルで考えた時に、工期が長くなりやすいところに解体工事と駐車場施工を分けて行うことの弱点があります。
施工費用の考え方
解体工事と駐車場施工を分けるケースについては、施工費用も高くなりやすいという点を意識しておく必要があります。
解体工事と駐車場施工をそれぞれ別業者に依頼することになると、セットでの値引きなどに応じてくれることはありません。また、使用する重機を運搬する費用も別々に支払うことになります。
重機によっては解体工事と駐車場施工の両方に使えるケースもあります。しかし、それぞれ別の業者に依頼することになれば、当然重機の運搬も2回ずつ行うことになります。
現場に重機を運搬するだけでも数万円程度の費用が発生することがあります。そのように考えると、運搬費用だけでも高くなることがわかります。
建物の解体工事と駐車場施工の業者が別々になれば、施工全体に関わる人員も多くなり、その分人件費が高くなることも容易に想像がつきます。工期が長くなることに加えて、トータルでかかってくる施工費用も高くなりやすのが特徴です。
解体工事と駐車場施工をまとめて依頼するケース
続いては、建物や家屋の解体工事と駐車場施工をまとめて依頼するケースについて確認していきます。
それぞれ分けて行うケースでは、大きく4つのステップを踏む必要がありましたが、まとめて依頼すれば、以下の2つのステップだけで済みます。
- 建物の解体と駐車場施工を同時にできる業者を探す
- 解体工事後に駐車場を設置してもらう
主にこの2つのステップを踏むだけで、駐車場施工まで完成させてもらうことができます。それぞれの工程を分けて依頼するケースと比較してメリットが多いのが特徴です。その具体的な中身について確認していきます。
業者探しにかかる時間
解体工事と駐車場施工をまとめて依頼するケースでは、業者探しにかかる時間を短縮させることができます。もちろん、全ての解体工事業者が駐車場施工まで行えるわけではありません。それでも、駐車場施工にも対応している解体業者を探し出すことで、見積もり提示ややり取りにかかる時間を短縮することができます。
まとめて依頼するケースでも複数の業者から相見積もりを取ることが重要です。その中から費用面や施工スケジュールを確認して最適だと思った業者に依頼することが求められます。それぞれを別の業者に依頼する場合と比較しても、単純に業者探しにかかる時間を半減させることが可能です。
工事前や駐車場施工前の打ち合わせも1つの業者とまとめて行うことができるので、コミュニケーションも取りやすくなります。総合的に見て、依頼主の負担が減ることが大きなメリットです。
工期の短縮
解体工事と駐車場施工をまとめて依頼する場合は、工期の短縮にも期待することができます。解体工事と駐車場施工を別で依頼する場合は、解体工事が終わった後に片づけをしたり整備をしたりしなければなりません。その後、駐車場施工業者に引き渡す形となるので、作業自体も二度手間になります。
一方で、1つの業者が解体工事と駐車場施工を行えば、解体工事を終えてから駐車場施工に移るまでの流れがスムーズにいきます。それだけでも大幅な工期短縮につながりますし、解体工事を進めている段階から駐車場施工に向けた体裁を整えていくことも可能です。
使用する重機によっては駐車場施工にもそのまま利用できるので、運搬も1回だけで済みます。双方の工事に対応している業者であれば、それまでの経験をもとに最適なスケジュールを組んでくれることにも期待が持てます。
業者探しにかかる時間と同様、工期の短縮にも期待できるところに大きな価値があります。
施工費用の考え方
解体工事と駐車場施工をまとめて依頼するケースについては、施工費用においても削減しやすいと言えます。工期が短くなることによって、人件費を削減することができます。また、重機の運搬コストも抑えやすいのが特徴です。
交渉次第ではありますが、建物の解体工事と駐車場施工をセットで依頼することで、多少の値引き交渉に応じてもらえる可能性もあります。別々で依頼した場合は値引きに期待することはできないでしょう。
このような形で、トータルでかかってくる費用を抑えやすいのもまとめて依頼することのメリットです。建物や家屋を解体して駐車場にすることを検討している場合は、それぞれまとめて行ってくれる業者を優先して探すことがおすすめです。
解体後の土地を駐車場にする場合にかかる費用
ここからは、建物解体後の土地を駐車場にする際にかかる費用について確認していきます。業者にまとめて依頼することで費用削減につなげることができます。その中で、駐車場化を目指すためにはどのくらいの費用がかかるのか、その目安を頭に入れておくことも有効です。
土地の広さや形状による違い、車止めや歩道の切り下げにかかる費用なども含めて、目安となる費用相場についてご紹介していきます。
土地の広さや形状による違い
まずは、土地の広さや形状による費用感の違いについて確認していきます。解体後の土地を駐車場にする場合は、未舗装や砂利地、アスファルト舗装やコンクリート舗装といったタイプの形状に分けて考えることができます。
未舗装よりは何らかの形で舗装をしておいた方が見栄えも良いですが、その分施工に必要な費用も高くなっていきます。具体的な目安費用について、以下の表にまとめていきます。
舗装の種類 | 費用相場 |
---|---|
未舗装・砂利地 | 2,000円~5,000円/㎡ |
アスファルト舗装 | 5,000円~8,000円/㎡ |
コンクリート舗装 | 8,000円~1万2,000円/㎡ |
上記のような形で、舗装の種類によって費用が変わってくることを意識しておきたいところです。基本的に土地を駐車場として利用する場合は、車体の重さに耐えられるような地盤にする必要があります。
砂利地よりはアスファルト舗装、アスファルト舗装よりはコンクリート舗装という形で、車体の重さに耐えることができて、なおかつ視覚的な良さも維持しやすくなります。
アスファルト舗装やコンクリート舗装をする場合は、未舗装の場合と比較して地盤を深く掘削することになります。その分の掘削費用や残土処理費用がかさむことが特徴です。
依頼主としてはどういったタイプの駐車場にしたいのか、費用感も含めて検討することが求められます。
車止めや歩道の切り下げにかかる費用
続いては、車止めや歩道の切り下げにかかる費用について確認していきます。駐車場としての機能を果たすためには、共通した設備として車止めと歩道の切り下げが必要です。
歩道の切り下げ工事については、敷地が道路に直接面している場合は行う必要がありません。歩道と面していて、段差を解消しないと車が入れない場合は必要に応じて切り下げ工事を行うことになります。
それぞれの費用相場について、以下の表にまとめていきます。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
車止め設置 | 5,000円~8,000円/1個 |
歩道の切り下げ(4mまで) | 70万円~100万円 |
車止めについては確実に設置する必要がありますが、設置する個数によって費用も変わっていきます。例えば、10個設置する場合は、5万円から8万円程度が相場だと考えておけば良いでしょう。
歩道の切り下げ工事は、比較的費用が高くなりやすいです。土地を駐車場として活用する場合、歩道と面しているのか直接道路と面しているのか確認しておくことが重要です。
その他の工事にかかる費用
建物や家屋の解体後の土地を駐車場として利用する場合、その他の工事にかかる費用もあります。例えば、未舗装や砂利地の場合であれば、区画用ロープの設置が必要とされるケースがあります。
アスファルト舗装やコンクリート舗装の場合は、白線を引いて区画分けをしたり、車庫番号をつけたりすることもあります。それぞれ、どれくらいの費用がかかるのかまとめてご紹介します。
未舗装・砂利地の場合
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
区画用ロープの設置 | 10円~30円/m |
ロープを固定するペグ | 300円~500円/本 |
アスファルト舗装やコンクリート舗装をする場合
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
白線による区画分け | 1万円~3万円/台 |
区画用ロープの設置やロープを固定するペグについては、ホームセンターで購入して自分で設置することも可能です。
白線による区画分けについては、1台単位で行うというよりは、5台一式や10台一式といった形が多くなります。ここでは1台あたりに換算した場合の費用相場を提示しましたが、業者からの提示も考慮しつつ、総額を計算することが求められます。
自営する場合の費用相場
駐車場経営に関しては、自営で行うことも可能です。自営でコインパーキング運営を行っている人も多く、仲介会社を挟まないため、収益を得やすいビジネスとして注目を集めています。
実際に、駐車場を自営で運営する場合の費用相場としては、精算機1台あたり30万円から50万円程度と理解しておくのが無難です。精算機のタイプや設置台数にもよりますが、一定の費用がかかることを念頭に置いておく必要があります。
駐車場経営初期には精算機やロック版、入出庫バーの設置などに費用がかかることも理解しておきたいところです。
自営で駐車場経営を行う場合は、集客や広告宣伝活動、駐車場の運営やトラブル対応などを含めて全て自分で行うことになります。それが大変だと感じる場合は、駐車場管理会社に管理だけを依頼することもおすすめです。
その際の管理費用の目安としては、1ヶ月あたり3万円から5万円程度となります。自分で全て対応すればその分の利益も確保できますが、時間的に難しい場合は管理会社に委ねるのも1つの選択肢です。
解体工事後の駐車場経営の方法
それでは、解体工事後の駐車場経営の方法について確認していきます。建物や家屋を解体して駐車場にするからには、多くの方に利用してもらって収益を確保することが重要です。
いかにして安定した駐車場経営を進めていけば良いのか、その参考としておすすめのビジネススタイルについて紹介していきます。
月極め駐車場
駐車場の利用者1人1人と契約をして、月単位で安定した収入を得やすいのが月極め駐車場のメリットです。
砂利を敷き詰めてロープで区画するだけでも簡単に行うことができます。精算機やロック版の設置、入出庫バーなどを設置する必要もなく、契約者さえ見つかれば比較的簡単に駐車場経営を軌道に乗せることができます。
コインパーキング
月極め駐車場と違って、コインパーキングの場合は基本的に誰でも自由に利用することができます。稼働率が重要であり、駐車場が埋まっている時間が長ければ長いほど得られる利益も大きくなります。
一方で、月極め駐車場とは違って精算機やロック版の設置、入出庫バーの設置を行う必要があり、初期コストが高くなりがちです。管理が大変だと感じる場合は、費用を負担してコインパーキング運営業者に管理を委託することもおすすめです。
駐車場の種類についても簡単にご紹介しておきます。
- 平面式:一般的な駐車場のタイプ。
- 立体式:立体にすることで収容台数を増やせることがメリット。タワー式や多段式なども含まれる。
- 自走式:自走してそのまま車庫に入庫させるタイプ。平面式と立体式のいずれも可能。
- 機械式:ビルの立体駐車場などで多く、機械を使って車庫に入庫させるタイプ。
月極め駐車場として運営する場合も、コインパーキングとして運営する場合も、どのタイプの駐車場が良いのか検討した上で施工を進めていくことがポイントです。
駐車場以外の使途
解体した土地を駐車場として活用するのもおすすめですが、それ以外にも土地を有効活用する方法はあります。例えば、以下のような選択肢を挙げることができます。
- トランクルーム
- アパート経営
- 太陽光発電
- 風力発電
- 事業用地
- 資材置き場
- 自動販売機
ここで押さえておきたいのは、駐車場だけが土地の活用法ではないということです。駐車場経営でも採算が取れるのであれば全く問題ありませんが、複数の選択肢を持っておくことも大切です。
例えば、事業用地として、コンビニやファミリーレストランのFC本部や加盟店に土地を貸し出すという選択も有効です。そうすることで、一定期間にわたって定期収入が入ることが期待されます。
その他の選択肢も含めて、自分にとって何が一番良いのかを考えた上で土地活用の方法を決定していくことが重要です。立地条件や土地のニーズなど、さまざまな点を考慮した中で最善の選択をしていきましょう。
空き家を解体して駐車場経営も可能
建物や家屋の解体後に駐車場として活用するという意味では、空き家を解体した上で駐車場経営をすることも可能です。少子高齢化が進む中で空き家対策は日本社会が抱える喫緊の課題でもあります。
そうした課題に向き合う有効な手立てとしても、駐車場経営には大きな注目が集まっています。身近に空き家がある場合は、解体して駐車場経営を視野に入れることもおすすめです。
空き家解体の必要性
空き家解体の必要性については、近年大きく叫ばれている事案でもあります。空き家が各地に点在することによって、地震などの自然災害による倒壊のリスクが出てきます。
また、犯罪や放火といったトラブルが発生することもあり、近隣住民の方々への不安をあおる結果になってしまうこともあります。
古い実家の相続など、空き家のオーナーになった場合は、維持管理にかかる時間や労力を負担に感じることも少なくありません。いずれにしても、早めに手を打つことで自らの負担軽減や社会としての安全性を確保する必要があります。
空き家を駐車場にした場合の収支例
実際に、空き家を駐車場にした場合の収支例について確認していきます。駐車場経営を行う上で大切なポイントになってくるのは、以下の2点です。
- 何台の車を駐車させることができるか?
- 駐車場料金をいくらに設定するか?
上記の2点によって、1ヶ月で得られる収益が決まっていきます。コインパーキングにするか、月極め駐車場にするかによっても収支が変わっていきますが、ここでは月極め駐車場にした場合の収支例をご紹介していきます。
車1台を駐車するのに必要とされるスペースは約20㎡と言われています。これは、単純な車のサイズではなく、切り替えしたりバックをしたりする際に必要なスペースです。例えば、200㎡の土地があった場合、「200㎡÷20㎡=10」で10台分の車を駐車させることができます。
地価の状況や周囲の駐車場相場にもよりますが、月極めで1ヶ月あたり5,000円で貸し出したと仮定します。そうなると、「10台×5,000円=5万円」が1ヶ月で得られる駐車場代収入となります。年間で得られる収入は「5万円×12ヶ月=60万円」です。
200㎡の土地にかかる固定資産税評価額が2,000万円だと仮定した場合、固定資産税は年間で約30万円発生します。
つまり、最終的に得られる収入は「60万円-30万円=30万円」ということになります。
200㎡の土地で得られる年間収益目安
月5万円の収益と仮定して年間60万円の利益。そこから固定資産税目安の30万円を引いて残った手取りが30万円。
上記の計算はあくまでも目安となりますが、決して少なくない額の利益を得ることができるのが駐車場経営の醍醐味でもあります。空き家を持て余している場合は、1つの選択肢として駐車場経営を視野に入れてみるのもおすすめです。
砂利敷きとアスファルト舗装による税金の違い
一定の収益を期待することができる駐車場経営ですが、敷地の種類によって税金に違いが出てくることも頭に入れておきたいポイントです。
大きな違いが出てくるのが砂利敷きとアスファルト舗装による固定資産税の扱いです。
以下に要点をまとめていきます。
- 砂利敷きの場合は更地と同じ扱いとなり、固定資産税も高くなりがち。
- アスファルト舗装やコンクリート舗装をしている場合は「構築物」として扱われ、小規模宅地等の特例対象となる。
つまり、砂利敷きとアスファルト舗装やコンクリート舗装の場合とでは、固定資産税として徴収される税金に違いが出てくるということです。小規模宅地等の特例について確認しておきます。
小規模宅地等の特例
土地評価額を「200㎡まで50%減少」させることができる特例制度。
例えば、同じ200㎡の土地で土地評価額が2,000万円だった場合で、砂利敷きの場合は何の割引対象にもなりません。そのまま2,000万円の評価額として固定資産税が課されることになります。
一方で、アスファルト舗装やコンクリート舗装をした場合は、最大50%まで土地評価額を減少させることができるので、2,000万円の土地評価額だった場合でも、1,000万円の評価として認定してもらえう可能性があります。
そうなると固定資産税も安くすることができるので、最終的に受け取れる手取りの金額も大きくなります。そのため、200㎡以下の土地を駐車場にする場合は、アスファルト舗装やコンクリート舗装にするのが有効です。
建物解体工事後の駐車場経営のメリット
土地所有者の方であれば、家屋や建物を解体した後にいかに有効に土地活用をすれば良いのか悩むこともあるでしょう。
その中で駐車場経営を選択肢に入れておくこともおすすめです。その魅力的なポイントやメリットについて理解を深めていきましょう。
初期投資コストが安い
例えば、土地活用の方法として他にもアパート経営などを行うことができますが、新しくアパートを建設するとなるとそれなりのコストがかかっていきます。
太陽光発電や風力発電を行う場合でも一定の設備投資が必要であり、初期投資にかかるコストは決して安いとは言えません。
それに比べて駐車場経営の場合は、建築や設備投資などにそれほどお金をかけなくてもできるところに魅力があります。特に月極め駐車場であれば砂利を敷き詰めてロープで区画整理さえしてしまえば、最低限の体裁を整えることができます。
コインパーキング経営を行う場合は多少の投資が必要ですが、それでもアパート経営などと比較すれば安いコストで済ませることができます。その点において、コスト面で新規参入しやすいのが駐車場経営のメリットです。
土地の転用や売却が簡単
アパートや太陽光発電など、何らかの設備や建物を建ててしまうと取り壊しの時間や費用が多くかかります。
一方で、駐車場経営であればそれほど大きな設備を準備するわけではないので、何か他のことをしたくなったり売却したくなったりした時も動きやすいという利点が出てきます。
月極め駐車場を経営している場合であれば、一般的には1ヶ月前から3ヶ月前くらいに利用者に対して告知をすることで立ち退きを求めることができます。何かあった場合に経営から撤退しやすいところも、駐車場経営ならではのメリットと言えます。
経験やノウハウを問わない
月極め駐車場でもコインパーキングでも、専門の業者に駐車場経営を一任することが可能です。一定の費用を支払うことで、駐車場の設備関連や整備、営業、運営、管理といった部分を全面的に代行してもらうことができます。
もちろん、オーナー自身でできることがあれば行っても問題ありません。経験やスキル、ノウハウがない場合は、専門の業者と連携を取りながら経営を前に進めていくことができます。初心者でも参入しやすいところに駐車場経営のメリットがあります。
リスクが低い
例えば、アパートやマンションを建設して経営しようとした場合、簡単に入居者が見つからない可能性もあります。入居者が見つからないからと言って、すぐに解体して別のビジネスを始められるほど甘いものではありません。
一方で、駐車場経営の場合は、なかなか利用者が見つからないケースでも、すぐに土地の転用や売却を検討することができます。初期費用がそれほど多くなく、何か大きな設備を作るわけでもないので、比較的流動性高く次の土地活用へと切り替えることができます。
地方でも車を利用する方が多ければ、それなりに利用者を見つけやすいところも特徴です。必ずしも駅前や都心部でないと経営できないということではありません。総合的に見てリスクが低いところも、駐車場経営のメリットです。
建物解体工事後の駐車場経営のデメリット
駐車場経営にはメリットもある一方で、デメリットもあります。ここではそのデメリットに焦点を当てて、解説を進めていきます。何事もそうですが、良い部分もあれば悪い部分もあるのが世の常です。
それは駐車場経営にも当てはまることであり、良い部分だけを見て安易に経営を始めようと思わないことが大切です。デメリットも踏まえた中で、総合的な視点で駐車場経営を開始することが求められます。
ハイリターンは期待しにくい
初期投資コストが安い分、返ってくるリターンもそこまで大きくなるわけではありません。本文中で空き家を駐車場にした場合の収支例について取り上げましたが、駐車場経営の場合は、年間で数十万円単位の利益が出る程度と考えておくのが無難です。
もちろん、大規模な駐車場や都心の一等地に駐車場を構えることでより大きな収益を挙げやすくなりますが、それでもマンション経営やアパート経営と比較した場合には大きな利益を得やすいとは言えません。
駐車場経営だけで、年間数百万円単位や数千万円単位といった利益を上げるのは至難の業だと考えることができます。あくまでも、月々の生活費の足しやお小遣い程度と考えておくのが無難です。
駐車場が埋まらないリスクも
アパート経営やマンション経営を行う場合にも空室リスクがありますが、それと同様に駐車場経営でも利用者が見つからないリスクを常に抱えています。
月極め駐車場の場合は、契約者が見つからないと、その駐車スペース分の収益が確保できないことになります。コインパーキングの場合も稼働率が重要であり、事前に試算した稼働率を満たすことができないと、赤字になってしまうことも考えられます。
立地や車の往来頻度、地価などを総合的に判断して、駐車場としてのニーズが高い土地なのかどうかを慎重に見極める必要があります。利用者がなかなか見つからないことで、すぐに経営から撤退させられるリスクも十分にあるのです。
節税効果は低い
更地を駐車場にした場合、200㎡以下の土地であれば、貸付事業用宅地等と見なされて相続税対策につながることがあります。
一方で、固定資産税や都市計画税、所得税や住民税といったその他の税金関連については、ほとんど節税効果を期待することができません。
相続税以外の部分で節税効果を狙っているのであれば、駐車場経営をおすすめすることはできません。その辺も含めて、有効な土地活用法を検討することが重要です。
駐車場経営と税金の兼ね合い
土地や建物の所有者に関しては、毎年1月1日の時点で所有している不動産に応じて税金が課されることになります。
基本的に住宅付きの土地と駐車場として使う土地とでは、固定資産税の額に違いが出てきます。何か行動を起こしてしまってからでは遅いので、事前に税金に対する考え方を固めておくことが大切です。
固定資産税の考え方
固定資産税に関しては、駐車場として利用する土地にかかる金額よりも、住宅付きの土地の方が安くなります。住宅用地に関しては、200㎡を基準にして課税額の軽減措置を受けることができます。
住戸一戸あたりに面積が200㎡以下の場合は小規模住宅用地と呼ばれ、課税標準額の6分の1まで固定資産税を軽減してもらうことができます。
また、200㎡を超える場合は一般住宅用地と呼ばれますが、その場合も固定資産税が課税標準額の3分の1まで軽減されます。
- 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)→課税標準の6分の1に軽減
- 200㎡超の部分(一般住宅用地)→課税標準の3分の1に軽減
土地を駐車場として利用する場合は、このような節税効果を見込むことができません。駐車場経営を行う上では、固定資産税の額をペイできるかどうかを検討することも大切です。
空き家対策として有効
近年は空き家の増加が社会的な問題としても取り上げられていますが、駐車場経営は空き家対策としても有効だと考えることができます。
上記でご紹介したように、住宅付きにしておいた方が固定資産税が安くなるため、空き家を更地にせずにそのまま放置しておこうと考える人は少なくありません。しかし、空き家の場合は何の収益も生み出しませんし、地震や台風などの自然災害によって倒壊したり、近隣住民の方にご迷惑をお掛けしたりする可能性があります。
その点において、空き家を解体してできた土地を有効活用するという意味で駐車場経営は有効です。空き家でも毎年固定資産税を支払うことになります。それならば、固定資産税以上の収益を見込める段階で、思い切って駐車場経営に踏み切ることもおすすめです。
そうすることで空き家を減らすこともできますし、社会に貢献するという点でも一石二鳥の取り組みだと言えます。
まとめ
建物や家屋を解体して更地にした後の土地活用方法として、駐車場経営について具体的にご紹介してきました。日本はバスや電車といった公共交通機関を利用する人も多いですが、車を使って出かけたり通勤したりする人も少なくありません。
その点において、比較的安定的に収益を得やすいビジネスとして駐車場経営に注目が集まっています。
もちろん、メリットだけではなくデメリットもあるのが駐車場経営です。双方の視点を大切にしつつ、できそうなところから取り組みを開始してみるのも悪くありません。
空き家対策や土地の有効活用法として、駐車場経営を選択肢に入れてみましょう。