家の売却でやってはいけないこと31選。失敗・損につながるNG行為は?

家の売却でやってはいけないこと

家の売却には「やってはいけないこと」があります。家を売却する際は、何をやってはいけないのか、なぜやってはいけないのかをしっかりとを把握しておかないと、不動産業者との手続きや契約、売却のための営業活動、売り主への引き渡しなど、様々な場面で思わぬ落とし穴にひっかかります。

今回は、家の売却でやってはいけないことを、売却の流れに沿って

  • 準備
  • 売り出し
  • 契約・引き渡し
  • 売却後

の4つのタイミングに分けて解説します。

これから家を売却する方、家の売却に興味があり失敗したくない方はぜひ参考にしてください。

家の売却でやってはいけないこと31選 一覧リスト
準備期間にやってはいけないこと
売却活動中にやってはいけないこと
契約・引き渡し時にやってはいけないこと

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家の売却の準備期間でやってはいけないこと

家の売却準備期間は、家を売却する上で最も大切な「土台」となる期間です。
準備期間にやってはいけないことを見ていきましょう。

ローン残高を確認せずに売却を決める

住宅ローン返済中の家を売却する際は、ローンを完済してから売却手続きを進めるのが原則です。

ローン残高を考慮せずに売値を設定し、売却を進めてしまうと、不動産業者や住宅ローンを借り入れている金融機関との間でトラブルとなるおそれがあります。最悪は金融機関から残ったローン残債の一括返済を請求されます。

売却金額でローン残債が返済できるかを確認する

ローン残高に対し、売却額が上回ることを「オーバーローン」、下回ることを「アンダーローン」と表現します。

  • オーバーローン……ローン残高が売却額を上回る場合
  • アンダーローン………ローン残高が売却額を下回る場合

諸費用なども含めてもアンダーローンとなり、売却の利益でローンを完済できる場合は、売却後の完済を前提に手続きを進められるので問題ありません。

一方、売却額がローン残債に足りないオーバーローンの場合は、売却後も残ったローンの残債をどのように完済するか、検討する必要があります。

ローン残高は不動産会社が仲介を引き受ける際にも必ず確認されます。残債の把握もあやふやなままでは販売計画を立てるのもままなりません。
具体的に売却を進めていく立てるためにも、まずはローン残高を知ることから始めましょう。

住宅ローンを借りている金融機関に無断で売る

住宅ローンを利用して購入した家には金融機関による抵当権が設定されています。
そのため、住宅ローンの借り先金融機関に無断で売ることはできません。必ず金融機関に売却を事前相談した上で、ローンの完済ならびに抵当権の抹消手続きを依頼する必要があります。

金融機関に相談し抵当権抹消のための計画立てが必要

売却金額でローンを完済できる見込みであっても、一括返済する場合の金利計算・早期返済など、金融機関での手続きは必須となるため、事前相談は必要です。

もし、売却金額でローンが完済できない場合には、残りは自己資金なのか、任意売却するか、住み替えローンを利用するかなど金融機関と完済方法を協議・決定する必要があります。

しっかりと金融機関に事前相談を行い、スムーズに売却できるように、ローン返済計画を立てましょう。

不動産のプロに相談せず解体・リフォームする

家を売る際は、素人判断でリフォームや解体を行わず、まずは不動産のプロに相談した上で方針を決めるのがおすすめです。

不動産が高く売れる条件は土地や物件によって異なります。無理に解体やリフォームをしなくても高く売れる家もあれば、逆に更地にした方が高く売れる不動産もあります。

たとえば、売れやすそうだと水回りを300万円かけてリフォームしたとしても、売却金額に300万円そのまま上乗せして売れる保証はありません。リフォームしたからといって、買主が魅力を感じなければ、いくら新しくても価値を感じられないことも十分に考えられます。そうなると、いくらしっかりリフォームをしても、リフォームにかけた分だけ資金が無駄になります。

不動産の解体やリフォームなどの取り扱いは自己判断せず、プロの見解を伺った上で進めた方が、より効果的な売却につながるでしょう。

売却にかかる費用や税金を把握しない

売却にまつわる諸費用や税金を把握しないまま不動産の売却を進めるのは非常にリスクの高いやり方です。

査定金額だけを見て高く売れると喜んでいたら、そこから諸費用や税金が引かれて結果的にあまり利益がでなかったというケースは少なくありません。
参考までに、費用の一例として以下の項目があります。

  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登記費用
  • 引っ越し費用
  • 残置物撤去費用
  • ハウスクリーニング、リフォーム費用 など

売却準備期間には、必ず売却にかかる諸費用(リフォームや解体、引っ越し費用など細かい部分もすべて含む)を計算し、税金もどの程度かかるのか事前のリサーチを怠らないようにしましょう。

複数の会社から査定を取らない

家を売却する際は、複数の不動産会社から査定をとらずに、1社の見積もりだけで売却を判断するのは非常に危険です。

家・土地などの不動産は、不動産会社によって査定額が変わります。そのため、1社だけの見積もりでは正当な査定額なのかを把握できません。
査定を依頼した会社の査定額に問題があった場合、その内容を鵜呑みにして売却金額を設定すると、売りに出した家が高すぎて売れない、あるいは安すぎて損をする可能性があります。

家の売却を行う場合は、1社だけではなく、必ず複数、できれば3社以上の不動産会社に査定依頼を行うようにしてください。各社から出てきた査定金額を比較することで、はじめて自分の保有する物件がおおよそいくらぐらいか、正当な売却価格を把握することができます。

土地や建物の売却相場をリサーチしない

家を売却する際は、必ず近隣の土地や建物の売却相場をリサーチしてみてください。

たとえば、近所の土地の規模・築年数が同じような建物の売却金額を不動産売買サイトでチェックするだけでも、だいたいの相場感がわかります。

地域の売却相場を知っておけば、不動産会社に対して相場を基準とした売却価格の交渉が行えるほか、最終的な売却価格を決断する判断材料にもなります。

急いで売ってしまう

不動産を売却する際は焦らないことが重要です。急いで売ることばかり考えていると、大きな損につながります。

家の購入は大きな買い物です。買い手も慎重に検討する方が多いこともあり、短期間のうちに良い価格で売るのは非常に困難です。

売却期間を過度に短くしてしまうと、短期間では買主が見つからず、なかなか売れないからと価格を下げ、売り急いだばかりに安く買いたたかれてしまうのは、不動産売却における典型的な失敗例です。

売り急ぎに端を発する損を避けるためにも、家を売却する際は、十分な売却期間を設けることを想定してください。

イメージだけで不動産会社を選ぶ

CMで見たことがある、大手企業だから、なんとなくイメージが良いからという理由で不動産会社を選ぶと、思わぬ失敗に繋がることもあります。

不動産会社には、それぞれ得意な分野や得意な地域があります。大手企業だからといって、全国の、あらゆるタイプの家の売却に強いとは限りません。

自分の家を高く売りたいのであれば、イメージやネームバリューだけでの会社選びは避け、

・売却する家のある地域に強い不動産会社
・売却する家のジャンル(築古物件、マンション、新築など)に強い不動産会社

といった条件で選ぶのがおすすめです。

また、不動産会社自体の評判チェックは前提として、その地域独自の事情に対する理解は、担当者個人によっても大きく異なります。
実際に担当者と接した際の雰囲気も含め、自分の目で見た情報をもとに、相性が良く信用できる不動産会社を選ぶようにしましょう。

査定額だけで不動産会社を選んでしまう

複数の不動産会社に査定依頼をしたとしても、査定額を単純に比較し、査定額の高さだけで依頼先を決めるのは得策とは言えません。

査定額とは、あくまでその不動産会社が売主に対して提示する売却予定価格にすぎません。売りに出した家が、不動産会社から提示された査定額で必ず売れるという保証はないのです。

査定額で不動産会社を選んだものの、けっきょく当初の査定金額では家が売れず、想定より値下げして売ることになったというのはよくある失敗パターンです。
中には売却案件を受注するため、あえて高めの査定額を提示しておいて、契約後になって売れないからと売却価格を下げるよう言ってくる悪質な業者もいると言われています。

不動産会社を選ぶ際は査定額だけではなく、その査定額の根拠、妥当性があるかどうか、地域相場とも比較して実際に査定額で売れそうかも含めて調査・検討の上、選択するようにしましょう。

仲介との違いを理解せず買取を選んでしまう

不動産会社を通じた家の売却には、仲介と買取という2つの売却方法があります。

仲介とは、不動産会社が買主を探してもらい、家を売却する方法です。もう一方、買取とは売りに出す家に対して、不動産会社がその買主を探すのではなく、直接買い取る方法のことを指します。

一般的に買取は仲介よりも相場は下がる

一般的に、買取は仲介よりも3割ほど低い価格で話がまとまるのが通常です。買主がいない中で不動産を購入するのは不動産会社にとってもリスクです。そのリスクを担保する分、仲介として買主へと売却する場合に比べると、買取の金額は下がります。

事情がありどうしてもすぐに売りたい場合以外では、買取を選ぶのはおすすめしません。
逆に、売却価格が下がることを理解した上で、手続きのスピード・スムーズさを重視するなら、買取も一つの売却手段と言えます。
買取か仲介かは、売却の金額かスピードか、どちらを重視するかで判断するとよいでしょう。

売却準備の時間を十分とらない

家の売却準備期間は、失敗なく家の売却を行うために余裕を持ってとる必要があります。

売却準備が甘いと、売りたい家の正確な相場金額や売却に最適なタイミングなどを把握できないまま、家の売却を決めることになりかねません。

売却には数か月かかることを見越して準備を進める

特に、売却期限が決まっている時には、時間が足りず売却準備が十分に行えない可能性があります。

不動産の売却準備期間から売却完了までは少なくとも3か月から半年はかかります。そのことを理解した上で、家の売却に着手しましょう。

媒介契約の種類を理解せず契約する

不動産売却を仲介してもらう「媒介契約」には、以下の3つの種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

媒介契約の種類を理解せずに媒介契約を結んでしまうと、買主を自分で見つけても契約できなかったり、他の不動産会社と媒介契約ができなくなったりすることもあります。

媒介契約について、3種類それぞれの内容を表で見てみましょう。

媒介の種類 依頼できる会社 契約期間単位 自己発見取引(自分で買主を見つけてくる) レインズへの登録 売却活動報告義務
一般媒介契約 複数社に依頼可能 特になし(3か月以内が通例) 任意(規定なし) 任意(規定なし)
専任媒介契約 1社のみ 3か月以内 7日以内に登録 2週間に1回以上
専属専任媒介契約 1社のみ 3か月以内 × 5日以内に登録 1週間に1回以上

それぞれの媒介契約において大きく違うのは、

  • 依頼できる不動産会社の数
  • 自己発見取引ができるかどうか

この2点です。

一般媒介契約は自己発見取引・複数社契約が可能

一般媒介契約は、自己発見取引と複数の不動産会社との媒介契約の両方が許されています。

自己発見取引とは、家の買主を売主が見つけて売却する取引のことです。自分自身も積極的に買主を見つける活動ができます。
また、一般媒介契約なら複数の不動産会社に媒介を依頼できますので、信頼できる不動産会社を複数探して契約すれば、それだけ売却のチャンスが増えやすくなるメリットがあります。

一方、一般媒介契約はレインズへの登録義務や家の売却活動の報告義務がないため、売却活動の状況が分かりにくいケースも少なくありません。
一般媒介契約で家の売却を成功させるためには、売主から不動産会社への積極的な働きかけ、情報交換が重要です。

専任媒介契約は積極的に売却活動をしてくれる

専任媒介契約は、依頼先は1社に絞られますが、不動産会社から売主への売却活動状況の報告義務があります。
さらに、3か月の契約期間が過ぎると契約解除になってしまうため、期間内で家を売却できるように積極的な売却活動が期待できます。

自己発見取引については、専任媒介契約であれば可能ですが、「専属」専任媒介契約の場合は自己発見取引ができません。自分自身で買主を見つける自信がある方は、専属専任媒介契約は合わないと言えます。

専任媒介契約では囲い込みに注意

専任媒介契約を結んだ場合に注意したいのが、囲い込みです。

囲い込みとは、買主と売主両方からの仲介手数料を目的に、他社から買主の紹介があっても勝手に断ってしまったり、他社には物件情報を与えずに自社で独占してしまったりする状態を指します。

そうならないよう、レインズへの登録後にきちんと物件情報が公開されているか、報告されている売却活動情報に不審な点がないかをよく見ておかなくてはいけません。

媒介契約の際は自由度を重視するなら一般媒介契約、信頼できる1社に絞って売却活動の積極性を重視するなら専任媒介契約です。どの媒介契約の形が自分の売却活動にあっているかを判断し、契約の種類を選びましょう。

隣の土地との境界があいまいなまま売却を進める

隣接する土地との境界は、家の売却準備を始める前に明確にしておく必要があります。

境界があいまいなままになっていると、隣接の土地所有者と買主との間で、境界線をめぐってトラブルになる可能性があります。

実際に、家を売却する際に、自分の家の一部だと思っていた場所が隣の土地だったというケースも少なくありません。
特に、昔からの親戚同士の土地だとお互いの敷地の垣根なく使用してしまっていることもあるため、確認は必須です。

隣接の土地との境界線が分からない場合は、土地家屋調査士、測量士に調査を依頼し、境界線を明確にしたうえで家を売却しましょう。

土地の境界線があいまいなまま家を売りに出さないよう、注意してください。

親戚の家の売却を安請け合いしてしまう

親戚の家の売却を頼まれた場合、安請け合いしてしまうのは絶対にやめましょう。

原則、不動産を売却できるのは所有者本人のみです。たとえ親族であっても、家屋・土地所有者が関わらずに家を売却することはできません。

家を売却する際は土地建物所有者本人からの委任状、印鑑が必要になるだけではなく、不動産の所有者移転登記なども、原則本人が行う必要があります。そのため、代理人が売却を行う場合、司法書士同席のもと売却の意思確認を含めた様々な手続きが必要です。

本人の判断や意思確認が必要になる場面は、最終の契約段階だけではなく多岐にわたります。不動産の売却活動中も、その都度親戚に連絡して認しながら進めておかなくては、最終的に同意が得られず契約が不成立になりかねません。

親戚だけではなく、第三者が本人に代わって代理で家を売却するのは、自分が所有している不動産を売却するよりも困難です。くれぐれも簡単に受けてしまわないようにご注意ください。

家の売却活動中にやってはいけないこと

家の売却準備期間が終わったら、いよいよ売却活動に入ります。

家の売却活動中にやってはいけないこと、やると損をしてしまうことを順に見ていきましょう。

売却価格が金額相場よりも高すぎる・低すぎる

家の売り出し価格は相場よりも高すぎるのも、低すぎるのも避けるべきです。

売却価格が高すぎると家が売れ残ってしまう

売りたい家を相場よりも高すぎる金額に設定すると、買主が検討候補から外してしまい、売れ残る可能性が高くなります。

売りたい家の相場価格と比較して、売主の希望売却額が高い時にやりがちな失敗です。

売却価格が低すぎると損をする

一方、家につけた売却金額が低すぎると、家は売れても利益が低くなってしまいます。

一般的に、家を売却する際は値引き交渉が行われるものです。
最終的な家の売却金額は、値引きにより売り出し価格よりも低くなることが多いため、最初から家の売り出し価格を低くするのは避けるべきと言えます。

売り出し価格は売主が自由に決められますが、相場に見合った金額に近い額にすると、スムーズに買い手がつきやすくなります。
相場を知るには不動産会社の査定額や、エリアや土地の広さ、築年数などの条件の近い物件の売り出し価格などを見て参考にしてください。相場を適正に把握し、家の売り出し価格は相場に合った金額設定を心がけましょう。

内見前に部屋の掃除をしない

内見前には部屋の掃除をしておかないと、買主からの家の印象や評価が下がる可能性が高くなります。

せっかくいい物件であっても、汚れが目立ったり生活感のあるものが雑多に置かれていたりすると、部屋の印象が悪くなり良さが伝わりません。買主からの家の評価を下げてしまうと、契約前に価格交渉されるケースもあります。

内見前に家具や生活用品の配置を整理整頓し、水回りや部屋の隅などを念入りに掃除しておくと、清潔感のある部屋を演出できます。汚れが気になる場合は、ハウスクリーニングなどを利用するのもおすすめです。
内見前には家を良く見せるためにも、必ず掃除・片付けを入念に行いましょう。

値段交渉に全く応じない

不動産売買において、買主からの値段や引き渡し条件の交渉に対して一切応じない態度だと、売り時を逃すことがあります。

一般的に、不動産の購入時には買主が値段交渉などを持ちかけてくるケースが少なくありません。むしろ、当たり前だという意識でいたほうが良いでしょう。

交渉されうる内容としては、家の値段だけではなく、修繕に関することや、引き渡し時期など多岐にわたります。
たとえば、家の値段交渉をされた際には、交換条件として修繕を一部免除してもらうなど、交渉に対しての対応を事前に考えておくとスムーズです。

実際に交渉されたときに、どこまでなら妥協できるか、譲れない売却額のラインをあらかじめ決めておくのも有効です。売り時を逃さないようにしましょう。

不動産会社へ任せきりにしてしまう

不動産会社と媒介契約を結んだあとは、そのまま担当者に任せきりにならないようにしましょう。
担当者も人間です。対応を丸任せにしてくれる売主は、担当者からすれば安パイなお客さんです。多くの案件・仕事を抱える中、安パイな客の仕事は販売募集の手続き・手配をしたらあとは放置なんてこともザラです。

担当者に適度な緊張感を持たせ、自分の物件への対応に注力させるためにも、家の売却は不動産会社任せにするのはなく、不動産会社の担当者から送られてくる営業報告に目を通し、必ず情報を正確に把握しておくことが大切です。

売主も情報把握と積極的な売却活動への参加が大切

目的の家が半年以上売れない場合は、売却活動になにかしら問題点があると判断できます。売主自身でも、物件価格や不動産広告の内容を見直してみると良いでしょう。

普段から売主が家の売却計画に関わっていれば、営業担当が出してくれる販売計画が妥当かどうかも手持ちの情報から判断しやすくなるものです。

また、売主が積極的に売却活動に関わることで、囲い込みの抑制にも繋がります。

不動産会社を信頼してお願いしていくことは大切ですが、くれぐれも丸投げにしないようご注意ください。

物件や土地の不利な点を隠す

売りたい家の不具合や設備故障などの不利な点を、買主に隠して売却するのは絶対にやめましょう。

家を売却する際は、欠陥も含めて家の正確な引き渡し条件を重要事項説明書や契約書に明記し、買主の同意を得る必要があります。
決断の材料になるような欠陥を隠して売却すると、補修費用の負担はもちろん、場合によっては訴訟問題まで発展してしまう可能性もあります。

注意したいのは、家そのものの欠陥だけではなく、騒音や隣人トラブルなど生活環境上の困難なども含め、売却時に不利となる点はすべて伝えなくてはいけないという点です。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)に問われてしまう可能性も

家の欠陥を隠して売却し、それが後々発覚すると契約不適合責任(瑕疵担保責任)に問われます。

契約不適合責任とは、契約時に伝えられていた物件情報と異なった場合、または売却後に不具合や欠陥が見つかった場合に売主がその責任を負い、賠償するというものです。
2020年3月末までは瑕疵担保責任という名称で知られ、不動産業界ではいまでもその言葉を使っているケースも多数あります。

名称が「契約不適合責任」に変わった後は、瑕疵担保責任のころから買主の権利として認められていた

  • 損賠賠償請求
  • 契約の解除

に加え、

  • 履行の追完請求
  • 代金減額請求

の2つの救済手段が利用できるようになりました。

説明責任を果たさず契約後に法的責任を追及されないためにも、正確な情報を伝えることが大切です。

内見対応をおざなりにする

買主の内見訪問時の対応は、売却する物件の印象に直結します。内見対応をおざなりにしてしまうと、買主の印象を損ね、売り物である家の評価も厳しくなりがちです。

内見対応の悪さから買主からの信頼を得失うと、普通なら問題になりにくい程度の家の不具合も、価格交渉の対象にされる場合もあります。

買主への内見対応では家を清潔に整えて迎え入れ、質問にもしっかりと受け答えすることが大切です。
売主の誠実さが伝われば、買主も安心して家の購入を検討しやすくなります。ぜひ、相手の目線に立った内見対応を心がけましょう。

手残りの少ないタイミングで売却してしまう

家を売却する際は、最終的に手元に残る金額が多くなるタイミングを狙いましょう。

一見売却価格が高い物件でも、ローン残債や諸費用を差し引くと手元にはほぼ残らないことがあります。
家の売却時期によって手元に残る金額がどの程度になるかを計算しておかなくては、時期を見誤ったがゆえに損をする可能性もあるのです。

元利均等返済方式は早期売却での手残りが少なくなる

住宅ローンの返済は、元利均等返済方式を採用するのが一般的です。元利均等返済方式とは、毎月元金と利息を含めて一定額を返済していく方式です。

借り入れ当初は毎月の返済額に対しての利息割合が高く、ローン残債はなかなか減りません。築年数が浅いうちに売却をすると、売却金額が大きくてもローンの完済に必要な金額も大きいため、手残りは少なくなります。
特別な事情がない限りは、築年数の浅いうちに家を売却するのは避けたほうが良いでしょう。

逆に、築年数がある程度経って売却価格が下がっていても、ローン残債がある程度減ったタイミングで売却すれば、手残り多く売却できる可能性も高くなります。
築年数が経つごとに物件自体の価値は下がっていきます。手残りの多く残る形で家を売却するには、築年数に応じた家の売りやすさ、ローン残債のバランスを考慮し、売却にベストなタイミングを見計らうことが重要です。

売れない状況下でテコ入れをしない

家を売り出してもなかなか売れない場合、テコ入れをせず放置するのは避けましょう。売れないまま長期間放っておくと、以下のデメリットがあります。

  • 売れない年数分固定資産税がかかる
  • 家の不動産価値が下がる
  • 売れ残った家と言う印象になる

年数が経つことで物件の価値が下がっていってしまうだけではなく、売れ残り物件という印象がついてしまうと買い手がつきにくくなります。

販売戦略や売り出し価格を見直したり、プロのアドバイスに応じてリフォームやステージングをしたりしても売却が難しい場合には、最終手段として「買取」という方法もあります。

売りたい物件を放置することはせず、半年以上売れない場合は速やかに売却のための対策を講じていくようにしましょう。

ルールを守らない広告活動を行う

不動産広告を出す際は、広告出稿時のルールを守りましょう。

不動産広告で気にしなくてはいけない主な決まりは、以下の2つです。

  • 宅建業法……誇大広告の禁止、広告開始時期の制限、取引態様の明示に関するルール
  • 不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)……自主規制、表示の基準、用語の仕様に関するルール

宅建業法では、以下の項目などについて、ルールを定めています。

宅建業法による不動産広告規制

  • 誇大広告・優良誤認の禁止(買主が事実よりも良い物件であると誤認するような誇張した内容の広告の禁止)
  • 広告開始時期のルール(広告を出せるのは開発許可・建築確認等の許可決定が下りた後)
  • 取引態様の明示(広告主である宅建業者の立場の明示。売主、代理、媒介のいずれかを広告に明記する)

一方、不動産の表示に関する公正競争規約に関しては、主に景品や表現の規制について、規約が定められています。

不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)による不動産広告規制

  • 公正な競争を行うため過度な景品の自主規制
  • 広告文の文字サイズなどの表示基準
  • 誤認を防ぐための用語の規制 など

不動産会社に媒介を依頼した場合は不動産会社から広告を出稿することが一般的です。
自分自身で出稿するケースは稀ですが、売主もルールを把握しておくことで、媒介をお願いした先で悪質な不動産広告を出していないかを判断することができます。

家の契約・引き渡し時にやってはいけないこと

家の売却が決まり、契約・引き渡しに進むタイミングでも、やってはいけないポイントがいくつかあります。

契約書をしっかり確認・理解しない

契約書は買主だけではなく、売主もしっかりと把握しておく必要があります。契約内容を読み込み、特に賠償責任が発生する条件などはよく理解しておきましょう。

契約書は、サインした時点でその内容に同意しているとみなされます。売買契約後は、自分の認識や思った条件とは異なる点が後から発覚しても、契約書の変更はできません。
後々のトラブルを防止するためにも、契約書は細かな数字や売買の条件など隅々までチェックすることが大切です。

契約時、不動産会社の担当者からの重要事項説明にただ流されるのはNGです。必ず自分の目と頭で契約書の内容に問題がないか確認・把握した上で、署名・捺印を行いましょう。

契約後に契約内容を守らない

不動産の売買契約を済ませた後に契約内容を覆す、契約を守らないことは、基本的に許されません。
売主は契約不適合責任を負っており、契約書に定めた内容の不履行や契約と異なる物件を売る行為には、最悪、契約解除や損害賠償を求められるおそれもあります。仮に、買主と同意の上だとしても、契約内容の中途変更があれば、信用度の低下は避けられません。

家の状態や条件を契約時に明記するのはもちろんですが、エアコンの台数など、設備の有無や数量に関しても契約通りに整えて引き渡すことが大切です。

また、契約不履行に関するトラブルを起こすと、不動産会社の信頼を失います。その後、新たな媒介契約を断られる可能性もゼロではありません。
くれぐれも、契約後の一方的な理由による契約内容変更・不履行・破棄などが起こることのないよう、契約時は慎重な確認の上、手続きを進めてください。

契約締結後に売却を一方的にキャンセルする

買主との契約締結後は、売主都合でのキャンセルは原則控えましょう。

手付金支払い後にキャンセルした場合は、支払われた手付金の倍額を買主に支払うのが一般相場です。手付金100万円の場合には、キャンセル時に200万円を返金する形になります。

ただし、買主への手付倍返し以外にも、不動産会社から仲介手数料など諸費用を請求される可能性があります。一方的にキャンセルする前に、買主への返金額、諸費用条件等を確認しましょう。

契約の履行に着手後のキャンセルは賠償金が発生するケースも

契約の履行に着手後のキャンセルは、手付金の倍返しだけではできません。

契約履行の着手後には、

  • 契約の履行
  • 契約解除による違約金・賠償金支払い

どちらかの選択肢が与えられます。よって、違約金の支払いはもちろんのこと、契約不履行により買主が受けた損害額を賠償する責任も発生する恐れがあります。

契約締結後のキャンセルは、お金はのみならず売却に関わった不動産会社や買主からの信用も失う行為です。特別な事情がない限り、契約内容は必ず守りましょう。

残置物を処分せずに放置する

売却する家の残置物は、引渡し前に必ず処分しましょう。残置物を放置したまま買主に引き渡しをすると、契約違反となります。

残置物とは、具体的に以下のものが含まれます。

  • エアコン
  • 植木、鉢植え
  • カーテン
  • 照明器具
  • 家具 など

家を売却した際、買主は残置物の処分を売主に請求可能です。引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、すべての残置物を撤去した上で退去する必要があります。

特約などで残置物を残す契約をしている場合を除き、引渡し前までに不用品は撤去しておくよう、ご注意ください。

引き渡しの期限を破る

家を売却する際は、引き渡し日は厳守しましょう。期限を破った場合、契約不履行とみなされます。

引き渡し期限を過ぎた場合は、契約で定めた内容に沿って売主から買主に対し損害遅延金の支払いが発生します。契約書での定めがない場合は、状況に応じて買主が受けた損害額の提示を受け、その金額を賠償するのが一般的です。

引き渡し時期は、買主のローン審査の期間を見越して、多くの場合売買契約後から約1か月後に設定されます。売主は引き渡し日当日までに必ず退去を済ませ、引き渡し日の遅延がないよう準備が必要です。

手付金を値引きしてしまう

不動産売却においては、物件価格の値引き交渉には応じても、手付金の値引きには応じないようにしましょう。

買主が自己都合で売買契約をキャンセルする際、手付金を放棄すれば契約のキャンセルが可能です。そのため、手付金が安い金額設定だと、契約後にキャンセルされるリスクが高まります。

中古住宅の手付金は物件価格の5~10%が相場で、高額となるため値引きを要求する買主も少なくありません。契約後にキャンセルされる確率を下げるためにも、手付金の値引きはしないようご注意ください。

確定申告を行わない

家を売却して利益が生じた際は「譲渡所得税」を支払う必要があり、確定申告は必須です。確定申告を怠ると、ペナルティとして延滞税や無申告加算税を支払わなくてはなりません。

普段サラリーマンとして働いており年末調整のみで済ませている方も、譲渡所得を得た場合は確定申告の対象となります。譲渡所得は、以下の計算で算出可能です。

譲渡所得=家の売却額-(仲介手数料+不動産取得費+諸費用)

譲渡所得税を支払うには、売却完了した年の翌年2月16日~3月15日の間に確定申告を完了する必要があります。

マイホーム売却時に損失が出ても確定申告で減税されるメリットも

マイホームを買い替えする場合は、家の売却時に損失が出た場合でも、確定申告で税金の一部が軽減できる措置があります。

損益通算の利用により、翌年の所得から前年の損失分を控除した額に対し所得税や住民税が課税されるため、節税になるのです。

マイホーム売却の場合は利益が出た際も特例があるため、利益が出ても出なくても、確定申告を行うメリットがあります。

申告を忘れ後からペナルティを受けないためにも、確定申告準備と期限内の申告をしっかりと行いましょう。

税金の特例や控除を活用しない

不動産売却には、高額な金銭取引がともない譲渡所得税などが発生すると同時に、節税に活用できる税金の特例や控除が存在します。確定申告を行う際は、こうした税制についてよく理解し、上手に活用しましょう。

例えばマイホーム売却の場合は、譲渡所得税を計算する際に3,000万円の特別控除が受けられます。
特別控除には適用対象となるための条件があり、適用条件に合致する取引になるかどうかはあらかじめ把握しておくことが好ましいです。

マイホーム売却時特別控除と住宅ローン減税の併用は不可

また、マイホーム売却時の特別控除は、住宅ローン減税との併用ができないのも特徴です。住み替えの際は新居の住宅ローン減税を利用するか、古い家の売却に特別控除を利用するか、どちらかを選ぶ必要があります。

マイホームの特別控除以外にも不動産売買においては特例や控除が複数種類存在するため、確定申告前に税制を理解しておくことが大切です。

活用せずに確定申告してしまうと損をしてしまう可能性があります。分からない場合は税理士に相談や代理申告を依頼するなど、確実に準備を進めることが大切です。

家の売却の際は、確実な情報をもとにご自身にとってメリットのある税制をよく理解し、上手にご活用下さい。

まとめ

家の売却には長い道のりがあり、それぞれの過程で「やってはいけないNG行為」が存在します。
もし、何も知らずにやってはいけないことをしてしまうと、売却どころか、最悪の場合逆にお金を請求されてしまうことも十分に考えられるのです。

家の売却の際は、一つ一つの過程で間違いがないかを慎重にチェックしながら、くれぐれも「NG行為」をしてしまわないようご注意ください。
ぜひ、納得のいく不動産会社に仲介を依頼し、スムーズな売却活動を目指しましょう。

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