実家売却で後悔しない方法!売れない場合や相続手続きから処分費用まで解説

実家の売却

実家を売却するには、相続税や譲渡所得税などの税金や、不動産会社や司法書士などの専門家との契約や手続きなど、様々なことを考える必要があります。また、実家を売却するタイミングや方法も、親の状況や相続人の意向などによって変わります。

本記事では、実家を売却する前に必要な7つの準備とは何か、相続前後の対処方法、実家が全く売れない場合や売りたくない場合などについて解説します。実家の売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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実家を売却する前に必要な6つの準備

親が亡くなったり、遠方に引っ越しするなどして誰も住んでいない実家がある場合、早めに売却の準備を進めましょう。理由としては、空き家となった実家を放置しておくと、固定資産税や管理費等の負担や、近隣住民や自治体からも問題視される可能性が高いためです。

以下では、実家を売却する前に必要な準備について確認していきましょう。

  1. 遺言書の有無を確認する
  2. 実家の分割方針を決める
  3. 遺品整理を行って空の状態で売却する
  4. 「土地の境界」の確認をする
  5. 税金を抑えるために取得費が分かる資料を探す
  6. 査定を依頼する

1. 遺言書の有無を確認する

実家を売却する前に、まずは親が遺言書を残していないか確認しましょう。遺言書があれば、その内容に従って相続人や相続財産の分配を決めることができます。遺言書がなければ、法定相続人と遺産分割協議を行い、遺産分割方法を決め、相続することになります。

遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言などの形式があります。自筆証書遺言であれば法務局の保管制度を利用するケースや、親の自宅や金融機関などに保管されている可能性も考えられます。

また、親がエンディングノートを残していた場合は、エンディングノート自体に法律的な効力はないものの、相続内容について故人の意思を把握する参考にはなるでしょう。

2. 実家の分割方針を決める

実家を売却する場合は、相続人間で方法や条件を合意する必要があります。相続人が複数いる場合は、実家の所有権や売却代金の分配比率などを話し合って決めましょう。

実家の分割方針には、換価分割や代償分割などの方法があります。換価分割は、実家を売却して得た代金を相続人間で分ける方法で、代償分割は実家を相続する相続人ひとりが、他の相続人に実家の相続分に相当する金銭を代償として支払う方法です。

換価分割や代償分割を行う場合は、名義変更や登記手続きも必要です。各種手続きには費用や時間がかかるため、余裕をもって対応するよう注意しましょう。

3. 遺品整理を行って空の状態で売却する

実家を売却する場合は、遺品整理や残置物処分を行って空の状態で売りに出すことが望ましいです。遺品整理や残置物の撤去などを行うことで、実家の価値を高めたり、買主に好印象を与えたりすることができます。

遺品整理や残置物処分は、可能な限りお金をかけずに自分で行う方法や業者に依頼する方法などがあります。自分で行う場合は、親族や友人などに協力してもらい、業者に依頼する場合は、費用やサービス内容を比較して選びましょう。

4. 「土地の境界」の確認をする

実家を売却する場合は、土地の境界確認も実施しておくべきです。土地の境界は、実家の敷地と隣接する土地との境界線の位置や形状などを示すものです。土地の境界が不明確だと、隣地とのトラブルや買主からのクレームなどが発生する可能性が考えられます。

土地の境界の確認方法は、登記簿謄本や図面で情報を調べたり、現地調査を行う方法など様々です。登記簿謄本や図面などは法務局で入手できますが、必ずしも正確ではありません。現地調査を行って正確に調べる場合は、費用や時間がかかってしまいますが、測量士や土地家屋調査士などに依頼することで後のトラブルを予防できます。

5. 税金を抑えるために取得費が分かる資料を探す

実家を売却する場合は、譲渡所得税という税金が発生します。譲渡所得税は、不動産を売却して得た利益にかかる税金です。譲渡所得税は、売却価格から購入価格や改築費用などを差し引いた金額に税率を掛けて計算されます。

そのため、少しでも譲渡所得税を抑えるには、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改築費用などが分かる資料を探すことが重要です。詳しくは、国税庁のサイトを確認してください。

No.3252 取得費となるもの|国税庁

6. 査定を依頼する

実家を売却する前に、不動産査定を依頼しておおよその相場価格を知っておきましょう。事前に不動産査定を依頼することで、適正な売却価格や売却戦略を立てることができます。

査定を依頼する方法は、ネットの一括査定サイトや不動産会社の個別査定などです。一括査定サイトは、インターネット上で売却予定の実家の情報を入力すると、複数の不動産会社から査定額を教えてもらえるサービスです。個別査定は、直接不動産会社に連絡して、実家に来てもらって査定してもらう方法です。

一括査定サイトの利点は、手軽に多くの不動産会社の査定額を比較できる点で、個別査定の利点は実家の状態や立地などを詳しく見てもらえる点です。どちらの方法も無料で利用できますが、査定額はあくまで目安となっており、実際の売却価格とは異なる場合があります。

誰も住んでいない実家は売却した方がよい

実家を売却することに抵抗を感じるという人もいるでしょう。実家は親の思い出や自分の幼少期の記憶が詰まった場所です。また、実家を手放すことは親への恩返しや親族への義理を果たせないことになるのではないか、という罪悪感があるかもしれません。

しかし、誰も住んでいない実家をそのままにしておくことは、経済的にも精神的にもデメリットが多いです。以下では、誰も住んでいない実家は売却した方がよい理由を確認していきましょう。

空き家は固定資産税や管理費用などの負担が増える

誰も住んでいない実家は、空き家として固定資産税や都市計画税などの税金や保険料、光熱水費、清掃費などの費用が発生します。

空き家が建っている住宅用地で、一定の条件を満たす場合は固定資産税が減額されますが、それでも年間数万円から数十万円の負担があります。負担となる費用は、空き家を所有する限り継続的に発生します。

また、特定空き家に指定されてしまった場合は、翌年から最大6倍程度まで固定資産税が跳ね上がるリスクがあるので、注意してください。空き家を売却すれば、税金や管理にかかる費用をなくすことができる上に、売却代金を他の有効な投資や消費に回すことができます。

空き家は火災や犯罪のリスクが高く、近隣住民や自治体から問題視される

誰も住んでいない実家は、空き家として火災や犯罪のリスクが高くなります。空き家は、電気やガスなどの設備が故障したり、不審者や動物が侵入することが原因で、火災や倒壊などの事故が発生する可能性が生じます。

また、老朽化している放置された空き家は、近隣住民や自治体からも問題視されます。放置空き家は、景観や衛生面を損ねたり、防災上の問題が多く危険です。行政から指導や警告が来ても放置すると、最悪の場合は行政代執行されてしまうことも考えられます。

空き家となってしまった実家を売却すれば、様々なリスクやトラブルを回避することができます。

実家の売却は相続前と相続後どっち?

親が亡くなると、子供は相続人として実家を引き継ぐことになります。そこで、実家を売却して現金化するという選択肢が出てきますが、いつ売るのがベストなのでしょうか。

実家を相続前に売る場合と相続後に売る場合、それぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。

相続前に実家を売却する場合

相続前に実家を売却する場合は、親自身、または子供が代理人として売却する方法と、親が贈与で子供に譲渡してから売却する方法があります。

親自身が自分で売却する方法

親自身が自分で家を売る場合は、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
  • 現金化するので遺産分割協議で揉めづらくなる。
  • 親の居住・保有期間が条件を満たせば、譲渡所得税の軽減措置を利用できる。
  • 子どもが代理人となれば、親の負担も軽減できる。
デメリット
  • 親が直接売却する場合、手続きが煩雑で負担が大きい。
  • 親が売却益(譲渡所得)を得た場合は譲渡所得税がかかる。
  • 子どもが代理人となる場合、家庭裁判所による成年後見人としての選任と不動産売却の許可が必要。
  • 親が認知症になってしまった場合、実家を売却することは困難

親自身、または子供が代理人として売却する方法は、親が自分で実家を売って現金化し、そのお金を老人ホーム入居費や生活費などに充てる場合や、遺産分割を容易にする場合などに適しています。

親が贈与として子供に譲渡してから売却する方法

親が生前中に実家を子供に贈与し(所有者の名義変更)、その後で子供が売却する場合は、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
  • 相続手続きや遺産分割協議の手間が省ける。
  • 相続時精算課税制度で贈与税を軽減できる。
デメリット
  • 親子間で著しく安い価額で売買すると、売買した価額と時価の差額が贈与扱い(みなし贈与)になる。

親が贈与として子供に譲渡してから売却する方法は、少しでも生前に相続財産を減らしたい場合などに適しています。

相続後に実家を売却する場合

親が亡くなってから子供が相続人として実家を引き継ぎ、その後で売却する場合は、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 相続した実家を売却する際に、空き家の3000万円特別控除や取得費加算の特例などを利用できる場合がある。

デメリット

  • 相続人が複数いる場合は、遺産分割協議で実家の売却・分割方針について合意する必要がある。
  • 空き家の3000万円特別控除や取得費加算の特例などを利用する場合は、一定の期限や条件がある。

相続してから3年10ヶ月以内に実家を売却した場合は、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)に該当し、支払った相続税から一定の額を取得費に加算できるため、譲渡所得税の軽減になります。このように、相続後に実家を売却する方法は、特別控除や取得費の特例を利用して少しでも節税をする場合などに適しています。

実家の売却は、相続前と相続後で享受できるメリットや、税金・手続きが異なってきます。どちらが有利かは、実家の価値や各々の条件などによっても変わるため、実家を売却する際は税理士や不動産会社に相談して、最適な方法を選ぶことが大切です。

実家を売却する際の流れ

実家を売却する際の流れは、主に以下の7つのステップです。それぞれ順番に確認していきましょう。

  1. 相続登記を行う
  2. 物件の査定
  3. 不動産会社と媒介契約
  4. 販売活動を行う
  5. 価格や条件の交渉
  6. 物件の売買契約
  7. 引き渡し、決済

相続登記を行う

まず、相続した実家を売却するには相続登記を行います。相続登記を行うことで、不動産所有者の名義を相続人に変更する必要があります。相続登記は法的な義務ではありませんが、不動産の権利関係を明確にするために重要な手続きです。相続登記を行わないと、実家を売却することができません。

相続登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。費用は不動産の数や評価額、地域によって異なりますが、おおよそ5~15万円程度です。

物件の査定

実家の売却価格を決めるためには、不動産会社に物件の査定を依頼する必要があります。査定は、オンラインで行うAI査定や簡易査定、不動産会社の担当者が物件を訪問して行う訪問査定などがあります。

査定方法によって精度や信頼性が異なりますが、一般的には訪問査定が最も正確で詳細な査定結果を得られます。査定を依頼する際は、複数の不動産会社に依頼することで、売却相場や不動産会社の信頼性を比較することができます。

不動産会社と媒介契約

査定結果をもとに、実家の売却を依頼する不動産会社を選びます。選んだ不動産会社とは、売買仲介を委託するために媒介契約を結びます。

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。一般的に専属専任媒介契約が最も効果的な売却活動が期待できます。なお、あまりにも長い期間売れない場合は、不動産会社の直接買い取りを利用することも検討しましょう。

販売活動を行う

媒介契約を結んだら、不動産会社がインターネットやチラシで物件情報を広告したり、購入希望者に対して物件の魅力や特徴を説明するなどの販売活動を開始します。

販売活動は基本的に不動産会社が行いますが、売主自身も販売活動の状況や進捗を把握しておくことが大切です。また、購入希望者から内覧の依頼があった場合は、状況次第で内覧対応も必要になります。

価格や条件の交渉

購入希望者から不動産会社に要望などが届いたら、売却価格や引き渡し日などの条件交渉を行います。条件交渉は、不動産会社が売主と買主の間に入って行います。

売却価格は、査定額や市場相場、物件の状態や立地などによって決まりますが、買主はできるだけ安く買いたいと思うので、値引き交渉をすることが多いです。売主は不動産会社とも相談の上、値引きに応じるかどうかを判断する必要があります。

売買契約時に決める引き渡し日は、売主や買主の都合によって変わりますが、一般的には契約から1ヶ月~2ヶ月程度が目安です。

物件の売買契約

条件交渉がまとまったら、売主と買主で不動産の所有権移転や代金支払いなどに関する売買契約を結びます。契約時には、重要事項説明書という書面で内容を確認します。

重要事項説明書には、物件の概要や取引条件などが記載されており、不動産会社から売主と買主に説明が行われます。重要事項説明書に納得したら、売買契約書に署名・捺印をします。この際、手付金が支払われます。

引き渡し、決済

最後に、物件の引き渡しと、残りの売買代金を清算する決済を行います。決済が完了したら、物件の鍵を買主に引き渡します。

また、住宅ローンを利用している場合は、住宅ローンの残債を返済し、抵当権の抹消登記も行います。該当不動産の抵当権抹消は、確実に成立させるためにも司法書士に抵当権の抹消を依頼してください。

以上が実家を売却する際の流れです。実家を売却することは複雑で時間もかかることなので、早めに準備を始めることが大切です。また、実家の売却を進めていく上で疑問点や登記の必要性があれば、不動産会社や司法書士などの専門家に相談しましょう。

実家を売却する際にかかる費用・税金

実家を売却する際にかかる費用や税金は、主に以下の通りです。

  • 仲介手数料
  • 司法書士費用
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 譲渡所得税
  • 相続税
  • 住民税
  • 復興特別所得税

仲介手数料

案内~契約・引き渡しまでサポートする不動産仲介会社に支払う手数料で、宅地建物取引業法によって仲介手数料の上限が定められています。

売買における仲介手数料の上限は、以下の通りです。

物件の売買価格 仲介手数料の上限
200万円以下の部分 売買価格×5%+消費税
200万円超~400万円以下の部分 売買価格×4%+2万円+消費税
400万円超の部分 売買価格×3%+6万円+消費税

例:500万円の実家を売却した場合、200万円×5%+200万円×4%+100万円×3%=21万円(+消費税)が仲介手数料に相当します。

司法書士費用

自身では対応できない登記などを行う際は、司法書士に依頼することが必要になります。費用は、不動産の数や評価額、登記内容などにより変わりますが数万円程度です。司法書士に相続登記を依頼した場合は、おおよそ5~15万円程度が費用としてかかります。

登録免許税

物件の売買における主な登録免許税は、不動産の所有者が変わったタイミングで名義変更の所有権移転登記を行う際に納める税金です。抵当権抹消登記など、各種登記申請で納める税金も同様です。

印紙税

不動産の売買契約を結ぶ際の売買契約書や、売上代金に係る金銭の受取書には印紙税が課税されます。売買契約書などには印紙を貼りますが、印紙の購入時に印紙税として代金を支払うことになります。

譲渡所得税

実家を売却することで利益が出た場合は譲渡所得税が発生します。譲渡所得の税率は、売却した実家の所有期間によって異なります。

所有期間による譲渡所得の区分

5年以下:短期譲渡所得
5年超え:長期譲渡所得

譲渡所得区分による税率の違い

区分 税率
短期譲渡所得 所得税30%、住民税9%
長期譲渡所得 所得税15%、住民税5%

※別途、~2037年までの譲渡所得には、復興特別所得税が課税

相続税

相続税は、相続人が相続した実家や現金など、財産の価額から控除額を差し引いた金額が一定額を超える場合に課されます。

相続税の申告手続きにおいて、不動産は非常に扱いが難しいと言われているため、実家を相続して売却することになった際は、税理士など専門家への相談が必要です。

住民税

実家など不動産売却の利益にかかる住民税です。給与所得にかかる住民税とは若干税率が異なり、短期譲渡所得なのか長期譲渡所得によっても変動します。

復興特別所得税

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興にあてられる税金で、所得税に追加でかかります。復興特別所得税の税額は、基準所得税額の2.1%です。

このほか、残置物がひどい場合は不用品回収業者に依頼する費用や、遺品整理業者に依頼する費用、更地化して売却する場合は解体費用などが必要になります。実家の売却前に、あらかじめ費用が負担にならないかどうか、確認しておきましょう。

実家を相続して売却する際に活用できる控除

実家を相続して売却する際に活用できる控除は、主に以下の3つがあります。

  • 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

相続または遺贈により取得した被相続人が居住していた家屋やその土地を一定期間内に売却し、定められた要件に当てはまる場合は、譲渡所得の金額から最高3000万円を控除することができます。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の対象となる要件は、国税庁のホームページから確認してください。

参考リンク:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

個人が自己の居住用財産(マイホーム)や敷地・借地権を売却した場合に、一定の要件を満たすことにより譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます。つまり、所有期間の長短に関係く譲渡所得が3,000万円以内であれば課税されません。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の対象となる要件は、国税庁のホームページから確認してください。

参考リンク:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続または遺贈によって得た土地や建物などの不動産、株式などの財産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税のうち一定の金額を取得費に加算できる特例です。取得費に加算できることにより、譲渡所得を減らすことで課税金額を軽減できます。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の対象となる要件は、国税庁のホームページから確認してください。

参考リンク:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

不動産に関する相続税などの税金については、税理士に相談または依頼して対応することをおすすめします。

古くなった実家を売却する際の注意点

古くなった実家を売却する場合、失敗しないためにも気をつけるべきことを知っておく必要があります。古くなった実家を売却する際に注意するべき点は、主に以下の通りです。

  • 売るまで空き家として放置し続けるのは非常に危険
  • 売却を依頼する不動産業者選びで失敗は避けたい
  • 空き家の特例を受けるには期限や適用条件がある
  • 解体や耐震リフォームで別に費用が掛かることもある
  • 建物に問題ない状態の場合は内見までに準備しておく
  • 物件が古い場合は契約不適合責任に注意する

売るまで空き家として放置し続けるのは非常に危険

空き家は、火災や犯罪、劣化などのリスクが高く、固定資産税や維持管理費もかかります。また、放置し続けた空き家は売却価格が下がりやすく、売れにくい傾向にあります。空き家になった実家は、早めに売却するか、賃貸やリフォームなどの活用方法を検討することが望ましいです。

売却を依頼する不動産業者選びで失敗は避けたい

実家を売却する際には、信頼できる不動産会社に査定や仲介を依頼することが重要です。不動産会社の選び方としては、実績や評判、対応力などをチェックしましょう。また、複数の不動産会社に査定依頼を行うことで、売却する実家の相場感や各社の販売力を把握できます。

空き家・取得費加算の特例を受けるには期限や適用条件がある

相続空き家を売却した場合に発生する譲渡所得税は、一定の要件を満たす場合には特別控除の3,000万円を受けられます。相続空き家または取得費加算の特例を受けるためには、相続日から3年以内の年末までに売却することや、建築着工時期が昭和56年5月31日以前であることなどの条件があります。また、相続空き家の特例は令和5年12月31日までの売却が適用の期限となっています。

解体や耐震リフォームで別に費用が掛かることもある

古い実家は、建物や設備の状態や立地によっては、売却前に解体やリフォームなどを行う必要も生じます。解体やリフォームは別途費用がかかりますし、売却価格に反映されない場合も考えられます。そのため、不動産会社や専門家に相談して、コストと効果を考慮した判断をしましょう。

建物に問題ない状態の場合は内見までに準備しておく

築年数が25年以上経っている実家でも、問題なく建物や設備が使える状態であれば、内見までに綺麗にしておけば購入者の印象を良くすることができます。内見前に行うべきこととしては、残置物・遺品整理や仏壇の処分、境界確認など様々な事前準備があります。また、建物内外の清掃や換気なども行い、最低限のメンテナンスも忘れずに行いましょう。

物件が古い場合は契約不適合責任に注意する

物件があまりにも古い場合は、古家付き土地の売却そのものがリスクです。土地と建物それぞれに契約不適合責任が生じるため、土地には瑕疵がない場合でも建物に瑕疵がある場合、売主に責任が問われます。

契約不適合責任は、売主が売却時に知っていた欠陥や隠れた欠陥があった場合に、買主から損害賠償や契約解除などの請求を受ける債務不履行責任の一つです。そのため、売却時には物件の状態を正確に伝えることや、不動産会社との間で免責事項を明確にすることが重要です。

築年数が20~25年以上経っており、古くなって老朽化している実家を売却する際は、古家付き土地物件の取扱実績が豊富な不動産会社に相談しましょう。

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実家の売却で巻き込まれやすいトラブル体験

実家の売却を行う際、意図せずトラブルに巻きこまれてしまうことが多々あります。実家の売却で巻き込まれやすいトラブル体験には、以下のような事例があります。

実家の売却で遭遇した隣家との境界問題

自分の実家売却で経験した話です。父が亡くなった後、母は自分たち兄弟の近くに引っ越してきたため、実家は空き家になりました。誰も住んでおらず、空き家となった実家を売却するためには、隣家との境界線を確定させる必要があると知りました。実家の敷地内には隣家との間にブロック塀がありました。しかし、このブロック塀が正確な境界線を示しているかどうかはわからなかったのです。父が建てたときには、隣家の持ち主と話し合って設置したそうですが、その時の書面や測量図などは残っていませんでした。

そこで土地家屋調査士に依頼して、隣家との立会いのもとで境界線を確定させることにしました。隣家の持ち主は高齢で入院中のため、代わりに息子さんが立会いに来てくれましたが、息子さんは父親から聞いていた話と違うことを言い出しました。彼は、「ブロック塀はこっちの敷地内からギリギリのところに建てられているから、塀の側面が境界線だ」と主張しました。土地家屋調査士が測量した結果では、「ブロック塀の真ん中が境界線だ」ということがわかりました。つまり、自分の実家側に越境しているのです。

自分は、「ブロック塀を取り壊して新しく境界杭を打つ」という提案をしたところ、息子さんはそれに反対しました。「ブロック塀は父親が建てたものだから取り壊せない」と言って譲らなかったのです。「それでは売却できない」と説明しましたが、彼は「それはあなたたちの問題だ」と言って聞く耳を持ちませんでした。

結局、裁判所に申し立てて、筆界確定訴訟を起こしましたが、労力が非常にかかることになりました。

実家売却に時間がかかり、余計な費用が発生

父が亡くなった後、母と一緒に実家を売却することにしました。しかし、実家は老朽化が進んでいる上、近くには駅やスーパーもなく、売りにくい物件でした。不動産会社に査定を依頼したところ、売却価格は1,000万円程度と言われました。それでも売却することにしたのですが、なかなか買い手が見つからず、1年以上も過ぎました。その間にも固定資産税やいくらかの費用が発生しました。結局、老朽化が徐々に進んでいたようで売却価格は800万円に下げ、仲介手数料や譲渡所得税なども引かれて、手元に残った金額は満足できるものではありませんでした。

建物の扱い方を誤ったために、固定資産税が大幅に増額

私は祖父母の実家を相続したのですが、祖父母の実家は築50年以上の古民家で建物の状態は悪く、土地も広くて手入れが大変でした。私はそこに住むつもりもなく、売却することにしました。しかし、売却するまでの間に建物を解体してしまいました。その結果、固定資産税が大幅に増額されてびっくりしました。理由は、住宅用地特例の適用がなくなったらしく、固定資産税も上がるからということでした。私はこのことを知らなかったので驚きました。建物を解体する前に不動産会社などに相談すればよかったと後悔しています。

相続トラブルで親族関係がこじれて売却に余計な時間を要した

相続した実家は築30年ほどのマンションで、市場価格は3,000万円程度。そのマンションを売却して分配することにしたのですが、問題は遺言書が見つからなかったのです。結局は誰も遺言書の存在を知らなかったため、法定相続人や法定相続分を確定するのに時間がかかりました。また、相続人間で意見が対立し、裁判沙汰になることもあり・・。結局、実家を売却するまでに3年以上もかかりました。

実家の売却で思わぬトラブルに巻き込まれないよう、事前の準備と注意点をあらかじめ確認しておきましょう。また、法的な対処が必要になる場合も多々あるため、少しでも不安な点があれば専門家に相談してください。

実家の売却が寂しい場合の運用方法

実家を売却するという決断は、なかなか難しいものです。実家にはたくさんの思い出が詰まっており、手放すのは名残惜しいと感じる方も多いでしょう。しかし、実家を空き家として放置することは、建物の老朽化による倒壊や事故など、さまざまなリスクが考えられます。また、固定資産税や維持費などの負担もかかり続けます。

そこで、実家の売却が寂しい場合には、以下のような運用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 実家に住む
  • 賃貸物件
  • 土地貸し
  • コインランドリー
  • 駐車場

実家に住む

もし、親から相続した実家以外に持ち家がある場合は、その家を売却して実家に引っ越すことも検討してみてはいかがでしょうか。実家を手放す必要はありませんし、思い出の詰まった場所で暮らすことができます。また、実家を維持することで、建物の老朽化を防ぐことにも繋がります。

ただし、引っ越しに伴う費用や手間、仕事や学校への影響なども考慮しなければなりません。そのため、多くの場合であまり現実的な方法だとは言えないでしょう。

賃貸物件

実家に住む予定がない場合は、賃貸物件として運用すれば実家を売る必要はありませんし、家賃収入も得られる上に維持費などの負担を軽減できます。ただし、賃貸物件として適切な状態にするためのリフォームや管理費用がかかるほか、貸す相手が見つからない可能性も考えられます。

土地貸し

実家の建物が老朽化している場合は、建物を解体して土地だけを貸し出せば、土地代収入が得られます。ただし、建物を解体する際の費用や手続きが必要です。住宅用地(土地)の軽減措置を享受していた場合は、建物を解体してしまうと固定資産税が増えてしまうので注意してください。

コインランドリー

実家の跡地をコインランドリーとして運用すれば、実家の土地を売る必要はありませんし、洗濯機代収入や広告収入なども得られます。ただし、コインランドリーとして開業する際の設備投資や運営管理費用がかかります。また、コインランドリーの需要や競合状況なども調査した方が良いでしょう。

駐車場

実家の建物が使えない状態であれば、建物を解体して駐車場として運営すれば、安定的に駐車料金収入が得られます。ただし、建物を解体する際の費用や手続きが必要なほか、駐車場として開業する際の設備投資や運営管理費用がかかります。

実家を売らないで維持する場合は、どの方法も多かれ少なかれ費用や手間がかかりますので、注意が必要です。納得できる方法を選んで、実家や土地をどう運用するか決めましょう。

実家が売れない時の対処方法

実家が売れない場合は、主に以下の7つの対処方法があります。結論ですが、最も売れるまでが早い対処方法は、不動産会社に買い取ってもらうことです。

  • 不動産会社を変更する
  • 売り出し価格を下げる
  • 不動産会社に買い取ってもらう
  • ホームインスペクションを受ける
  • 瑕疵保険をつける
  • リフォームやリノベーションをする
  • 古い家を解体して売却する

不動産会社を変更する

家が売れない最大の原因は、不動産会社の販売力や宣伝力が不十分である可能性が高いです。不動産会社によって得意分野や販売ネットワークが異なりますので、一社にこだわらず、複数の不動産会社に査定や仲介を依頼しましょう。一括査定サービスを利用すれば、簡単に複数の不動産会社に査定依頼可能です。

売り出し価格を下げる

長い期間が経っても実家が売れない場合は、周辺の相場と比較しても売り出し価格が高すぎる可能性があります。市場価格よりも高く設定されていると、買い手がつきにくくなります。売り出し価格は、不動産会社の査定額や近隣の相場などを参考にして、適正な価格に見直すことが大切です。

不動産会社に買い取ってもらう

売却活動を行っても実家がどうしても売れない場合は、不動産会社に直接家を買い取ってもらうことを検討しましょう。この方法なら、仲介手数料や広告費用などがかからず、スピーディーに売却できます。ただし、買取価格は市場価格よりも安くなることが多いですし、住宅や立地条件によっては買取をしてくれる不動産会社も限られています。

ホームインスペクションを受ける

ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)による住宅の状態調査のことです。調査結果として住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修が必要な箇所や時期、費用の概算などのアドバイスを受けられます。

古い家は建物の劣化や欠陥があることが多く、買い手に不安を与えることがあります。そのため、ホームインスペクションを受けて、建物の状態を明確にすることで、買い手の信頼を得られるでしょう。

瑕疵保険をつける

瑕疵保険は、住宅の検査と保証が含まれている保険制度です。売却後、建物に欠陥や不具合が発見された場合に、修理費用や損害賠償費用を保険会社が支払ってもらえます。瑕疵保険をつけることで、売主はトラブルから守られるだけでなく、買い手も安心して購入できます。

リフォームやリノベーションをする

リフォームやリノベーションをすることで、古い家でも新しく魅力的な家に生まれ変わらせることができます。特に水回りや外観などは買主側が見る重要なポイントです。リフォームやリノベーションには費用がかかりますが、それ以上に価値や需要を高めることが可能です。

古い家を解体して売却する

古い家は建物価値がゼロに近く、土地価値だけで売却することが多いです。しかし、建物が残っていると、買い手は解体費用や手間を考えて敬遠することがあります。そのため、売主があらかじめ建物を解体しておくことで、買い手の負担を減らし、売却しやすくなります。

まとめ

今回は、実家を売却する前に必要な準備、相続の前と後どちらでの売却がよいか、実家が全然売れない場合の対処方法、古くなった実家を売却する際の注意点などについて解説してきました。

実家の売却は、税金や費用、法律などの知識が必要になりますし、なにより感情的な問題もあります。近年では、実家を売らずに何かしらの方法で活用したいという方も多いです。そのため、不動産会社や専門家に相談しながら進めることがおすすめです。

実家の売却に関する質問や相談がありましたら、株式会社レクソルまでお気軽にお尋ねください。

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