やってはいけない実家の相続!住む住まないのケース別の選択肢とは?

やってはいけない実家の相続

親が亡くなって、実家の土地と建物を相続することになったものの、一体どうすればいいものか……。
都内や都市部にお住まいの方には、決して少なくない実家の取扱いに関するお悩み。1人での相続ならまだしも、兄弟姉妹など他の相続人がいる場合、問題は余計に複雑になります。

この記事では、相続した実家に住むメリット・デメリット、住まない場合に取れる選択肢、および実家の取扱として絶対にやってはいけないことを詳しく解説していきます。
また、相続税や相続税の節税につながるヒントも軽くご紹介します。

実家の相続を巡る問題は放置していても解決しません。どんなアクションが取れるのか、問題点はどこにあるか、ひとつずつ確認していきましょう。

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相続した実家の取扱いを決めるポイント

相続した実家の取扱いを決めるポイント
実家の相続では、故人の思いや記憶が詰まった貴重な財産を受け継ぐことになりますが、同時に様々な手続きや税金、管理費用などの負担も発生します。
実家の相続は、単に不動産を相続するというだけではなく、相続人間の人間関係や相続後の生活スタイル、来の見通しなども考慮しなければなりません。

まずは、相続した実家の取扱いを決める際に知っておくべきポイントをご紹介します。

実家相続の手続きの流れ

実家を相続する場合の相続手続きの流れはおおまかに以下の通りです。

  1. 相続人の調査
  2. 財産調査
  3. 遺言書の確認
  4. 相続放棄
  5. 準確定申告(故人の最後の確定申告)
  6. 遺産分割協議
  7. 相続登記
  8. 相続税の申告・納付

相続人の調査・財産調査・遺言書の確認は、基本的に並行して進みます。 誰が相続するか、何を相続するかは相続人調査・財産調査を通じて明らかになります。

それら財産を、どう相続するかについては、遺言書があれば、遺言書の内容に準じて決まります。
遺言書がない場合あるいは遺言書の内容に不足や異議がある場合は、相続人間による遺産分割協議で話し合って決めていくのが通常です。

住むか売るか活用するか、方針は3カ月以内に決める

借金など負の相続が発生するなどの理由から「実家を相続しない」選択する場合は、相続放棄の手続きが必要になります。

相続放棄の手続きには期限があり「相続の開始を知ってから3カ月以内」に行わなければなりません。
相続放棄の手続を行わないまま3カ月を経過すると、相続人は、懸案の実家を含む故人の財産を、無条件ですべて相続(法定単純承認)したものとみなされます。

つまり、基本的には、相続から3カ月を越えると相続放棄、すなわち「実家を相続しない」選択はできなくなるのです。

そのため、実家を相続するにあたり、住むのか、売却するのか、それともなにかしらの形で活用していくのか、基本的な取扱いの方針はこの相続放棄の期限が来る前、3カ月以内に決めていく必要があります。

※相続した人が相続の発生を知らなかった場合や、その他、説明可能なやむを得ない理由があれば、3カ月を過ぎていても相続放棄が認められるケースもあります。それでも、法的なルールとして相続を知ってから3カ月で判断が必要な点は変わりません。

遺言書の指示がない相続では兄弟姉妹全員の同意が必要

遺産相続を行う際、遺言書による指示がない場合は法定相続人全員の同意が必要になります。
故人に子が複数いる場合は、実家の相続と遺産の分配について、法定相続人にあたる兄弟姉妹全員が同意する必要があります。

遺言書があれば、基本的には遺言書に従って財産を分けることになりますが、遺言書がない場合は、法定相続分に基づいて財産を分けることを検討します。
法定相続分とは、法律で定められた相続人が受け取れる財産の取り分のことです。
例えば両親が亡くなり、その子である兄弟姉妹4人だけが相続人の場合は、兄弟姉妹でそれぞれ等分となり、1/4ずつが法定相続分となります。

しかし、実際には、実家の土地・建物といった不動産は、現金や預貯金などと異なり分割しにくい財産です。
実家をどう分けるか、どのように公平を保つかは、相続人同士で話し合って決める必要があります。

兄弟姉妹で実家を相続する場合の検討例

例えば、相続人のうち、長男が実家を相続して住む場合、兄である長男が実家を譲り受ける代わり、弟・姉・妹には、彼らが本来相続で受け取れるはずの金銭を長男が支払うことで調整することになります。(代償分割)

一方、実家を相続する長男に代償金を支払う資力がない、実家以外に代償となる遺産がない場合など、代償分割できない場合もあります。
その場合は、遺産を公平に分配するため、実家の土地を売却して現金化、売却益を兄弟姉妹で分割する(換価分割)のが一般的でしょう。

あるいは、実家を残すことを重視するなら、不公平な相続について弟・姉・妹の了解を得た上で、兄が実家を相続し、弟・姉・妹は他の財産を相続するというケースもありえます。

このように、実家などの不動産を含め財産をどう分けるかを相続人同士で話し合うことを、遺産分割協議と呼びます。

同意が得られない場合は裁判所を介した調停・審判へ

遺産分割協議では、全ての相続人の同意が必要です。もし一人でも同意しない相続人がいれば、協議は成立しません。
同意が得られない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
遺産分割調停は、分割案に同意できない側からでも、同意を求める側からでも、どちらから申し立てることも可能です。調停が不調と終わった場合は審判へ、審判に納得できない場合は即時抗告を行い、高等裁判所での審理に移ります。

実家や遺産の相続で裁判所を介した争いに至れば、相続人同士の関係は悪化し、当然、時間やコストもかかります。
できるだけ円満に話し合って協議を成立させることが間違いなく望ましいです。

実家の相続で取れる選択肢

実家の相続で取れる選択肢
住む・売る・貸す・活用する・相続放棄

実家の相続を考える際、で取れる選択肢は大きく分けて以下の5つです。

  1. 相続して住む
  2. 相続して売却する
  3. 相続して賃す
  4. 更地にして活用する
  5. 相続放棄する

それぞれの選択肢について詳しく見ていきましょう。

相続して住む

古い家に住む夫婦

相続した実家を自分や家族の住居として住み続けるのは、実家を相続した場合の、最もシンプルな選択肢です。相続した実家に住む場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

相続した実家に住むメリット

家賃や住宅ローンがかからない

相続した実家が既に住宅ローンを完済していれば、家賃や住宅ローンの支払いはありません。
一般的に、生活費に対して家賃が占める割合は大きなものです。もちろん固定資産税やメンテナンスによるお金はかかりますが、家賃支払いなしで生活できれば、毎月の収支を考えれば生活はだいぶ楽になります。
また職場から近いなど生活にとっても有益ならば、諸費用や手間をかけて住居を探すよりも有益かもしれません。

相続税の節税につながる

相続した実家をそのまま居住用の住居として利用する場合は、相続税の控除に使える「小規模宅地等の特例」を利用することができます。小規模宅地等の特例を適用できると、最大で土地の評価額を80%減らすことができ、相続税を大幅に削減することができます。

思い入れのある実家に住むことができる

自分の親が住んだ、自分が育った場所として、思い入れのある実家に住むことができるのは、金銭には代えがたいメリットです。
相続の問題などを含め金銭的な問題がクリアにできるのであれば、多少のデメリットがあっても検討したいというのもごく自然なことです。

相続した実家に住むデメリット

資産価値下落リスクがある

一般的に不動産は年数が経過することに状態が悪化し、資産価値が低下する傾向にあります。木造一戸建ての場合、建物評価額は築22年以上でほぼゼロになります。
土地の価値は立地・環境にもよりますが、人口減少が進むような地域の場合は下落リスクがあります。
実家の建物となるとそもそも築年数の古い物件である可能性も高く、住み続けるにつれ売却資産としては活用しづらくなるでしょう。

生活スタイルに合わない可能性がある

実家の規模や間取りが自分や家族のニーズに合わない場合は、住みにくさを感じるかもしれません。実家が広すぎても狭すぎても、現在の生活スタイルと合わない環境であればなかなか暮らしにくいものです。リフォームを考えるとなると、ローン活用も念頭に入れるような、かなりの費用がかかります。

実家の立地が自分や家族の通勤・通学・生活圏と離れている場合は、移動時間や交通費が増える可能性もあります。周囲の環境・人間関係に馴染めるかどうかも課題です。

相続税や代償分割による金銭面のリスク

亡くなった人の相続について相続税を支払わなければならない場合、実家を売却すればその代金を納税資金に充てることができますが、住み続ける場合は、自分の資産か、他の相続財産などから納税資金を別途用意しなければなりません。

また、相続人が複数いる場合、実家を相続しなかった他の相続人に代償分の財産を渡さなければならないこともあり、資金の用意や相続人同士でのトラブルが発生するリスクも想定しておかなければなりません。

実家を残して住むことのメリットは金銭的にも心情的にも明白ですが、デメリットも考慮しておくことが重要です。実家に住むことが自分や家族にとって本当に最善の選択なのか、よく検討して決めましょう。

相続して売却する

売出中の家

相続した実家を利用する予定がない場合、相続することで税金や代償金を払うお金がない場合などは、相続した実家の土地・建物を売却することになります。
相続した実家の土地・建物を売却するメリットは以下の通りです。

相続した実家を売却するメリット

相続した実家の不動産を現金化できる

実家を売却することで、使わない土地・建物を現金化することができます。
現金化することで、税金支払いの原資を確保できるので、相続税に対する不安はなくなります。最終的に手元に残ったお金は、生活費に充てることはもちろん、自分や家族の住居や車の購入費、子供の教育費、老後資金などに使うことも可能です。

相続空き家の譲渡所得の特例で3,000万円の特別控除が受けられる

相続した空き家について、条件を満たす形で売却した場合、譲渡益から3,000万円の控除が受けられる「相続空き家の譲渡所得の特例」の適用を受けられます。

相続空き家の譲渡所得の特例を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

相続空き家の譲渡所得の特例の適用条件
建物の条件
  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
  • 区分所有建物登記がされている建物(マンションなど)でないこと
  • 相続の直前、被相続人以外の同居人がおらず、一人暮らしであったこと
  • 相続してから譲渡するまでの間、居住や貸し付け・事業等で使われておらず空き家のままであること
期間の条件
  • 令和9年12月31日までの譲渡であること
  • 相続の開始から3年後の年末(12月31日)までに売却すること
売却の条件
  • 譲渡価額が1億円以下
  • 売却時点で家屋が耐震基準に適合していること

管理する人のいない空き家をなくす目的の特例であるため、相続後、居住・賃貸等の用途で利用されていない空き家であることが条件ですが、3,000万円控除の影響は大きく、通常の不動産売却による税額と比較して数百万もの金額の差が出ることもあります。

相続人間のトラブルを防ぐことができる

相続人が複数いる場合、実家を相続しても公平に分配するのは難しく、どのように分配するかで家族間のトラブルに発展するケースがあります。
しかし、相続した実家を売却して現金化しておけば、公平に分配できるため、トラブルのリスクを低減できます。

空き家の管理や維持費の負担がなくなる

相続した実家に住まない場合は空き家となり、管理や維持費の負担がかかります。
空き家はそのまま放置すると、敷地や建物が荒れ放題になり、不法占拠や不審火、地震などによる倒壊のリスクも高まるため、相続人には管理の対応が必要となります。相続人が物件から遠く離れた地方にある場合は、管理のために実家に向かうだけでも大きな負担になります。
また、空き家はそのまま放置しておくと、固定資産税や都市計画税などの税金もかかります。相続した実家を売却すれば、これらの負担やリスクがなくなります。

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相続した実家を売却するデメリット

思い入れのある実家を手放すことになる

売却することで、思い入れのある実家を手放すことになります。
実家は親とともに過ごした、子ども時代の思い出や親への感謝の気持ちが詰まっている場所です。
人によっては実家を手放すことは精神的に辛いこととなり、売却した後で後悔する可能性もあります。

売れない可能性がある

売りに出した実家に、すぐに買い手がつくとは限りません。特に立地や環境、家屋の状態などにより売れるまで年単位での時間がかかる場合があるのも通常です。

実家が売れない間も家屋・土地の管理は相続人の責任で行わなければなりませんし、その間、固定資産税も発生します。

また、売れないまま放置し、家屋の状態が悪化し倒壊の危険性などが出てくると、実家の空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税が6倍に上がるおそれがあります。

相続した実家がなかなか売れない場合は、

  • 売り出し価格の値下げ
  • 不動産会社に買い取ってもらう
  • 家屋をリフォームする
  • 家屋を取り壊し更地にして売却する

など、売り切るための対策を行うのが通常ですが、その際は売価の値下げや手数料・工事費用等のコスト発生も伴うため、結果、当初の想定より売却益は少なくなります。

3年以内に売却しないと特別控除を受けられない

先にご紹介した「空き家の譲渡所得の特例」による3,000万円の特別控除の適用を受けるには、相続の発生から3年後の年末までに売却を完了する必要があります。

売却に時間がかかり3年以上が経過してしまった場合、この特例を利用することができなくなります。

不動産の売却益に対する税金は非常に高額となるのが通常で、3,000万円もの特別控除が受けられないとなると、数百万単位の大きな損失が出るおそれが出てきます。
そのため、期限が迫ってきた段階では、早めに売り切るか、別の活用の計画を立てるか、方針の見直しが必要となります。

相続して賃す

家を貸し出す

実家を相続したものの、今すぐの積極的な利用予定はない。でも、売却して手放したくもない場合は、賃して賃料収入を得る方向も考えられます。

賃貸用の収益物件として利用する場合も、その貸し出し方により、いくつかの方法に分かれるので、それぞれの特徴、メリット・デメリットを簡単に解説していきます。

戸建て賃貸の経営

中古物件

相続した実家を戸建て賃貸として活用する場合、新築費用もかけずに賃料収入を得ることもできるので、賃貸経営をはじめる方法としては比較的ハードルは低いやり方と考えられます。
戸建て賃貸は、アパートやマンションなどの集合住宅と比べると供給数が少ないものの、一定の需要はあります。特に、子育て中のファミリー層やペットを飼っている人、庭や駐車場などのスペースを求める人などには、戸建て賃貸が人気です。

人が住むことで実家を維持できる

相続した実家を戸建て賃貸として貸すことにすれば、実家を手放さなくてもよくなります。また、人が住むことで、管理を継続することにもなるので、実家が空き家として荒廃していくのも防ぐことができます。

1家族が長期住むケースが多く維持・管理しやすい

マンション・アパート経営と比べ、1つの戸建てに住むのは1家族になるのが通常なので、管理の手間も少なく、一度入居すれば長期間住んでもらえる傾向があります。
将来的に自分や家族が住む可能性を残しておきたい場合も、有用な方法でしょう。

借り手が決まらない場合のリスクが大きい

戸建て賃貸は1家族が利用する前提のため、借り手が決まらない場合は完全に無収入となります。ひとつの物件で複数人に貸し出すアパート・マンションに比べ、空き室になった場合のリスクは高くなります。

メンテナンスやリフォーム費用が高い

築年数の古い実家を賃貸物件として貸し出す場合、多かれ少なかれ、他の貸室と比べて見劣りすることのないよう、室内外のメンテナンス、リフォームを掛ける必要があります。
戸建ての場合、アパート・マンションと比べても修繕が必要な箇所や部屋も多くなり、費用も高額になるのが通常です。

アパート経営

アパート
相続した実家の不動産を活かし、積極的に収益性の高い活用を考えるなら、アパート経営を検討しましょう。
アパート経営の一番の魅力は、毎月、賃料収入が得られることです。1家族が使用する賃貸戸建てと異なり借り主が複数となるため、収益源を複数に置くリスク分散しながらの経営・運用が可能です。
稼いだ賃料収入は、生活費や副収入・老後資金として活用できます。

土地を有効活用できる

通常の家屋は、1世帯の家族がプライベートに利用する前提とした建物であるため、庭や駐車スペースなど、敷地全体に対し余裕をもったつくりとなっているのが一般的です。
実家の建屋をアパートに建て替える場合、敷地全体の使い方から見直し、集合住宅としてより効率的な形で敷地を有効活用することが可能です。

レバレッジ効果

アパート経営には多額の資金が必要ですが、アパートローンを利用すれば、少ない自己資金で事業を始めることができます。
アパートローンは、借入金利よりも賃料収入の方が高い場合に有利に働くレバレッジ効果があります。

相続税を抑えられる

居宅をアパートに建て替えることで、保有する土地は自用地から貸家建付地となり、土地の固定資産税評価額を抑えることができるようになります。
結果、相続税の支払額を少なくすることができます。

土地は残せるが建物は残らない

実家からアパートへの建て替えが発生するため、土地は残せても思い出の残る実家の建物は残りません。

アパートローンで借金を負うことになる

実家の解体やアパートへの建て替えにアパートローンを利用し、借金を負うことになります。

入居率や賃料下落のリスクがある

アパート経営は、入居者の需要や住宅の供給状況に左右されます。立地や設備などによっては、空室が多くなったり、家賃を下げざるを得なくなる可能性もあります。
賃料収入が低下すると、ローン返済や維持管理費などの経費を賄えなくなり、赤字に陥る恐れがあります。

管理や維持費の負担がかかる

アパート経営では建物のメンテナンスや管理を目的とした対応が必要となります。
建物内の機器や設備の修理・交換、入居者からのクレーム対応や退去時の立ち会いといった管理業務の負担はある程度発生します。
これら管理やメンテナンスのためにかかった費用は、賃料収入から差し引かれるため、収益性の低下につながります。

民泊として貸し出す

民泊に泊まる若者
相続した実家が観光地に近い場合、民泊として貸し出すという選択もあります。民泊で貸し出すメリット・デメリットは以下の通りです。

空き家を有効活用して賃料収入が得られる

相続した実家の空き家を民泊として貸し出すことで有効活用し、賃料収入を得ることができます。旅行や出張など需要のある地域ならば、賃貸住宅以上のニーズを獲得できる可能性もあります。

民泊運営を通じて実家を維持・管理できる

民泊運営のために清掃・メンテナンスを継続するので、いつでも利用可能な状態で実家の維持・管理を継続することができます。

宿泊業にともなうトラブルのリスク

民泊には不特定多数の人が宿泊で利用するため、宿泊業で起こりうる様々なトラブルへの対応を迫られるリスクがあります。
具体的には、宿泊客からの無断キャンセルや予定変更、近隣住民とのトラブル、室内の備品・内装などの破損・窃盗などが考えられます。
また、天災・公衆衛生等の問題による観光需要の冷え込みによる利用者の減少などもあり得ます。

民泊に関する法律・規制に準じた運営が必要

民泊には2つの法律に基づき、3つの営業形態があります。

  • 住宅宿泊事業法の民泊
  • 旅館業法の民泊
  • 旅館業法の特区民泊

民泊を運営するには、それぞれ法律が定める条件を満たす形で届出、認定を受ける必要があります。

住宅宿泊事業法の民泊では年間180日の稼働制限あり

3つの中では、比較的かんたんな手続きで営業しやすいのが住宅宿泊事業法上の民泊です。
台所・浴室・便所・洗面設備といった設備が揃っている住宅であれば、都道府県知事等への届出で民泊を運営することが可能です。
ただし、住宅宿泊事業法の民泊の場合、営業できるのは1年間で180日までと制限が定められています。

旅館業法の民泊であれば稼働日数の制限はありませんが、

  • 営業可能な地域が定められている
  • 客室面積や建築基準法・消防法の定めを満たす必要がある

など営業許可の条件が厳しくなります。

レンタルオフィス・貸店舗への転用

SOHO
近年増えているのが、空き家をレンタルオフィスや貸店舗として転用する形で貸し出すパターンです。特に起業まもないベンチャー企業やフリーランス、副業をしている方、仕事場を持ちたいテレワーカーの方などがシェアオフィスとして利用するケースが全国各地で行われ、地域の注目を集めています。

長期的な入居が期待できる

事業用途での利用となるため、個人よりも中長期での入居が期待できます。

企業側としても、居住用の家として使用できるだけの環境を、一般的なオフィスビルに入居するより安価で利用できるメリットがあります。条件面で合意が取れれば、多少築古の建物でも大きな問題にはならないでしょう。

地域コミュニティ活性化につながる

建物そのものが、ビジネスや店舗を通じた地域コミュニティとしての役割を果たす側面を持ちます。特にシェアオフィスの場合、同居する企業・個人同士の交流の場として、会社同士の協業やコラボレーション、あるいは個人の同居企業への合流・採用などが行われるのもよくあることです。

リフォームやメンテナンスの負担が出る

オフィスや店舗としての利用に最適な形で使えるよう、建物のリフォームが初期費用としてかかってくる場合があります。
また、定期的なメンテナンスも貸主の責任として行う必要があります。ただし、借り手による共益費等の支払い・積み立てや、改修コストを折半する等は、相談次第で行える可能性もあるでしょう。

立地の影響が大きい

相続した実家をレンタルオフィス・シェアオフィスや店舗として貸し出す場合、最も大きく影響するのが立地の問題です。
オフィス貸しの場合、交通の便が良ければ、借り手はつきやすくなります。駅近であったり、駅はなくとも駐車場を確保できるスペースがあれば、業務利用で借り手がつく可能性はあります。

一方で、駅からも遠い、車でも行きづらい田舎や山奥にある等、アクセス面で難のある立地の場合、借り手の確保は難しくなります。

更地にして活用する

更地

相続した実家を住む予定も利用する予定もない。
それでも、将来的な可能性を考え、手放したくはないという場合、対象となる実家の土地を更地にして活用を図るという選択肢もあります。

更地の上に建物を建てずに収益地として活用することから、最低限の管理コストで済み、立地次第で一定の収益が見込める点が大きな特徴で、相続した実家が都市部・住宅街等の空き家だった場合には有効な方法のひとつです。

駐車場経営

駐車場
駐車場経営は、更地を活用方法としては代表的なもののひとつです。
相続した実家を更地にして駐車場経営する場合のメリット・デメリットは以下の通りです。

少ない初期費用でスタートできる

最小では実家の建物解体・整地だけではじめられ初期費用を低く抑えて収益化が可能です。

土地の形・広さを問わない

駐車場は、土地の形や広さを問わず、狭小地や変形地などでも経営することができます。

管理コストが低い

建物を使用せず、管理の手間はほとんどかかりません。
地盤も舗装を行うため、雑草や植樹の管理も最小限で済み、放火等のイタズラにも合いにくいです。

別の用途・業態に転換しやすい

建物を建てず、ほぼ舗装のみのため、将来的に別の用途・業態に転換するのが容易です。

固定資産税・都市計画税は高額に

更地にした時点で居住用土地ではなくなるため、実家を空き家として保持した場合に比べ、固定資産税・都市計画税が3~4倍、最大で6倍程度まで高額になります。

収益性が低い

戸建賃貸やアパート経営などに比べると、基本的に収益性は低くなります。
実家を更地化して税金が上がる分を、駐車場収入でもってペイできるかどうか、立地や周辺交通量などふまえ検討する必要があります。

トランクルーム経営

トランクルーム
相続した実家を更地にした状態で、暫定的に保有しておきたい場合、駐車場経営と並んで検討おn対象となるのがトランクルーム経営です。
トランクルーム経営を行う場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。

アパート経営などと比べると初期費用や修繕費が安い

更地へのトランクルーム設置には、アパート建設ほどの費用はかかりません。
人が住むわけではなく荷物を置く専用の場所なので、住居に比べれば修繕費も低く抑えられます。

収益が安定している

トランクルーム経営には

  • 一括借り上げ方式
  • 管理委託方式

の2種類の方法があります。

一括借上げ方式では、設置したトランクルームをトランクルーム業者が一括で借り上げます。
収益はトランクルーム業者から支払われるため、安定して利益を確保できますが、管理委託方式よりも収益性は低くなります。

管理委託方式の場合、管理をトランクルーム業者に委託しますが、トランクルームの賃料は利用者から直接受け取ることができます。
その代わり、トランクルームの契約が取れない場合は、収益を得ることができません。
一括借上げ方式よりも収益性は高まりますが、無収益のリスクも高まります。

いずれの方法でもトランクルーム業者が関わりながらの経営となるため、全体としては安定した収益が見込めます。

固定資産税・都市計画税が高額になる

駐車場と同様、トランクルームは居住用施設ではないため、固定資産税・都市計画税は高額になります。

集客の難しさ

トランクルームは要は荷物倉庫で、利用者が決して多くないのが実際です。
特に都市部ではない地方の場合は、集客に苦労するかもしれません。

立地は問わないものの条件も多い

騒音や日照などの条件は問わず、変形地でもトランクルーム経営を行うことは可能ですが、

  • 車利用がしやすい場所
  • 近郊にマンションや住宅街などがある場所
  • 第一種・第二種低層住居専用地域などトランクルームを建築できない場所

など、経営面・法規制面の両方で、トランクルーム経営が有効で、条件を満たす土地は限定される部分があります。

相続放棄する

相続放棄
相続した実家が交通の便の悪い僻地で管理も難しければ売却も難しい、実家の不動産を相続すると別の大きな借金や債務も相続することになる、等の場合、相続をしない、相続放棄を検討することになります。

実家を含む財産を相続放棄するメリット

実家を維持・管理する責任がなくなる

実家の扱いに困っている状況で相続放棄する最大のメリットは、実家を維持・管理する責任がなくなる点です。
相続放棄して管理責任がはずれれば、不動産にかかる固定資産税や修繕費の支払い、清掃・雑草雑木の管理なども行う必要はなくなります。

実家以外のすべての相続財産を放棄することに

相続放棄をすると、所有しているだけで負担になる実家の不動産や借金などのマイナス財産だけでなく、預貯金・株式といったプラスの財産もすべて相続放棄することになります。

相続放棄では一部の財産だけを選んで放棄することはできません。

実家の管理を負担に感じたとしても、相続放棄する前に、被相続人の財産や借金の全体像を把握しておく必要があります。

※限定承認という、マイナスの財産を差し引きプラスになった財産分だけを受け取る方法は選択可能です。ただし、限定承認は手続きが複雑、かつ実家の処分が必要になる点は通常の相続と変わりません。相続放棄を検討されている方のニーズを考えても、相続放棄とはまったく性質の異なる別の手続きになります。

実家を含む財産を相続放棄するデメリット・リスク

自分が相続放棄すると、他の相続人に相続される

自分だけが相続放棄すれば、相続の対象から実家を完全に放棄できるわけではありません。 相続放棄は「相続の対象から相続人を外すよう申請する」仕組みです。相続放棄した人は相続人としての権利が放棄され、はじめからいないものとして相続が進行します。
つまり、自分が放棄した財産は他の相続人に回っていくのです。

自分が相続放棄したとしても、実家の管理や固定資産税などの税負担は消えるのではなく、兄弟姉妹など他の相続人にまわっていくことになります。
実家の管理責任等を完全に放棄するには、すべての相続人が同じように相続放棄する必要があります。
自分だけが相続放棄したとしても、他の相続人に負担が残る状態では、相続人である親族との関係が悪化したり、家族事として実家の管理や費用負担に協力を求められる可能性もあるでしょう。

相続放棄をしても費用が発生することがある

相続人全員が相続放棄した場合でも、実家の管理や責任から即座に解放されるわけではありません。相続放棄をしたとしても、相続財産管理人が専任されるまでは、実家を管理・維持する責任はもとの相続人にあります。
相続財産管理人は、遺産があればそこから報酬が支払われますが、支払えるだけの遺産がなければ、相続財産管理人選任の申立を行うもとの相続人が支払うことになります。
また、その際予納金として20万~100万円程度(相続財産の内容・金額等により変動)を裁判所に納付する必要があります。

相続を知ってから3カ月以内で判断する必要がある

これらのメリットやデメリット・リスクをふまえ、「相続を知ってから3カ月以内」に相続するか、相続放棄するかを判断することになります。
相続放棄をしても費用が発生するケースがあることを考慮すると、数十万を用意してでも実家を相続放棄するか、それとも、実家含む不動作を売却するか、どちらが良いかは慎重な検討が必要と言えるでしょう。

相続した実家の活用法を比較する

ここまでにご紹介した相続した実家の活用法について一覧で比較したものが下記です。
ご自身の状況をふまえ、メリット、デメリット・リスクを勘案しながら慎重にご検討ください。

実家の相続で取れる活用法 比較表
活用法 メリット デメリット・リスク
相続して住む ・家賃や住宅ローンがかからない
・相続税の節税につながる
・思い入れのある実家に住むことができる
・資産価値下落リスクがある
・生活スタイルに合わない可能性がある
・相続税や代償分割による金銭面のリスク
相続して売却する ・相続した実家の不動産を現金化できる
・相続空き家の譲渡所得の特例で3,000万円の特別控除が受けられる
・相続人間のトラブルを防ぐことができる
・空き家の管理や維持費の負担がなくなる
・思い入れのある実家を手放すことになる
・売れない可能性がある
・3年以内に売却しないと特別控除を受けられない
相続して賃す 戸建て賃貸の経営 ・人が住むことで実家を維持できる
・1家族が長期住むケースが多く維持・管理しやすい
・借り手が決まらない場合のリスクが大きい
・メンテナンスやリフォーム費用が高い
アパート経営 ・土地を有効活用できる
・レバレッジ効果
・相続税を抑えられる
・土地は残せるが建物は残らない
・アパートローンで借金を負うことになる
・入居率や賃料下落のリスクがある
・管理や維持費の負担がかかる
民泊として貸し出す ・空き家を有効活用して賃料収入が得られる
・民泊運営を通じて実家を維持・管理できる
・宿泊業にともなうトラブルのリスク
・民泊に関する法律・規制に準じた運営が必要
・住宅宿泊事業法の民泊では年間180日の稼働制限あり
レンタルオフィス・貸店舗への転用 ・長期的な入居が期待できる
・地域コミュニティ活性化につながる
・リフォームやメンテナンスの負担が出る
・立地の影響が大きい
更地にして活用する 駐車場経営 ・少ない初期費用でスタートできる
・土地の形・広さを問わない
・管理コストが低い
・別の用途・業態に転換しやすい
・固定資産税・都市計画税は高額に
・収益性が低い
トランクルーム経営 ・アパート経営などと比べると初期費用や修繕費が安い
・収益が安定している
・固定資産税・都市計画税が高額になる
・集客の難しさ
・立地は問わないものの条件も多い
相続放棄する ・実家を維持・管理する責任がなくなる
・実家以外のすべての相続財産を放棄することに
・自分が相続放棄すると、他の相続人に相続される
・相続放棄をしても費用が発生することがある
・相続を知ってから3カ月以内で判断する必要がある

実家の相続でやってはいけないこと

ここまで実家を相続した場合に取りうる選択肢をご紹介してきましたが、逆に、実家を相続した場合に絶対にやってはいけないこともあります。
ひとつずつ確認していきましょう。

空き家のまま放置する

相続した実家を空き家のまま放置するのは、管理面でもコスト面でも問題が発生するおそれがあります。

空き家・敷地の管理が難しくなる

空き家のまま放置すると、建物や敷地の劣化や荒廃が進みます。
例えば、屋根や壁の崩落、水漏れやカビ、害虫や野良動物の侵入などの問題が発生します。空き家への不法侵入や不法占拠も起こるかもしれません。放置された建物・敷地が原因となり、近隣住民に迷惑をかけたり、火災や事故の原因になったりする可能性があります。

こうした問題を防ぐには、時間や費用をかけて、定期的に空き家や敷地の管理やメンテナンスを行う必要があります。

固定資産税・都市計画税が大幅に高くなる

空き家を管理せずに放置したことで、周辺環境の安全面・衛生面に悪影響を与え得るほど状態が悪化すると、国は、その空き家を「特定空き家」として認定します。

特定空き家の認定・勧告を受けた空き家は、住居用の土地に適用できる固定資産税・都市計画税の特例を受けられなくなります。
特定空き家は非住宅用地として扱われ、固定資産税で約4倍・都市計画税で約2倍と大幅に高い金額が課税されます。

建物だけ取り壊す

相続した実家の管理が負担になるなら、ひとまず実家の建物を取り壊し、更地にしてしまえば管理の手間も負担も省けるのでは、と考える方も少なくありません。しかし、現実的には、建物だけの取り壊しもまったくおすすめできません。

住宅のない更地は固定資産税が高額に

建物だけ取り壊して更地にした場合は、固定資産税・都市計画税が高額になります。

土地に居住用の建物が建っている場合、住宅用地の特例が適用されます。
要件を満たす場合、土地の固定資産税の算出に用いられる課税標準額は以下表のように減額されます。

住宅用地の特例による課税標準額の減額割合
固定資産税 都市計画税
200㎡以下 価格×1/6 価格×1/3
200㎡を越える部分 価格×1/3 価格×2/3

特定空き家の認定を受けた場合と同様に、住宅を解体し更地にしてしまうと、その土地は住宅用地ではなく非住宅用地として扱われ、上記の特例は適用されなくなります。

なお、インターネット上では、1/6という数字だけ見て、特例適用がない場合「固定資産税は6倍になる」と誤認されているケースが多々あります。
実際は、宅地の課税標準額=固定資産税評価額×70%と30%分の負担調整措置が適用されます。

そのため、実家を更地にした場合、固定資産税で約4倍、都市計画税で約2倍程度と考えるのが通常です。

相続登記の手続きをせずに放置する

実家を相続する場合は、相続登記の手続きを速やかに行うことが重要です。
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、相続人へと名義変更を行う手続きのことです。相続登記を行うことで、相続人は不動産に対する権利を自身のものへと確定させることができます。

相続登記を行わないままにすると、以下のようなデメリットが発生します。

遺産分割協議を進めづらくなる

親が亡くなった直後であれば、遺産分割協議で相続人が一同に会する・連絡を取り合い、意思確認を行うことは、相続の兼ね合いもあり普通のことです。
実家の相続について方針が中途半端に定まらないまま、相続の発生から時間が経ってしまうと、相続人たちも次第に日常に戻っていき、再度集まることはハードルが高く、全員揃っての意思確認を取ることが難しくなっていきます。

また、遺産分割協議中に相続人が亡くなったりすれば、実家を相続する権利は、亡くなった相続人の子に回っていきます。
子どもが複数人いれば、その分権利者は増えることにもなり、相続の手続きは放置すればするほど複雑になっていきます。

相続登記が済んでいないと実家を売却できない

相続登記を行わないと、不動産の所有権が相続人に移転していないため、実家の不動産を売却することはできません。
一般に、相続した実家を売却する場合は、相続登記と平行して準備を進めるのが通常です。実家を所有者である親が亡くなり、後になって相続登記をしようとすると、死亡直後であればすぐ手に入る必要書類が揃いづらくなるなど、思わぬところで手続きに時間がかかり、売却の手続き全体が押してしまう可能性があります。

相続人の債権を持つ第三者に差し押さえられる可能性

所有者の死亡した実家の土地を相続登記をせずに放置しておくと、土地の所有権の所在が定まらないため、一時的に相続人での共有状態となります。相続人の全員が、実家とその土地に相当する財産を受け取り得る状態です。

この際、相続人のひとりに借金があり未払いを続けている場合、相続人にお金を貸している債権者は、相続人が持つ法定相続分に対して差し押さえを行うことができます。
この相続人が実際には実家の不動産を取得・利用していなかったとしても、最悪、他の相続人の資産を含めて差し押さえに合うリスクが発生します。

以上のように、相続登記を行わないと、不動産の管理や処分に関するトラブルや負担が増える可能性があります。
実家を相続する場合は、遺産分割協議の成立後、速やかに相続登記の手続きを行うことをおすすめします。

共有名義はトラブルの要因に

相続した実家を兄弟姉妹で共有名義で相続することも考えられます。
共有名義で相続する場合は、実家を売却したり賃貸したりする際に、共有者間で意見や利益を調整する必要があり、トラブルの要因になります。
共有名義での不動産の相続は、実質的に問題の先送りにしかならない、不完全な解決方法と言えます。

二次相続で権利者が複雑化

共有名義で相続した場合、その後に共有者の一人が亡くなった場合、二次相続が発生します。
二次相続とは、共有者の死亡によってその持分がその共有者の法定相続人に移転することです。

例えば、実家を兄弟姉妹3人で共有名義で相続した場合に、そのうちの一人が亡くなったとします。その場合、その一人の持分はその一人の法定相続人(配偶者や子供など)に移転します。

このようなことが他の相続人が亡くなった場合でも起こると、実家の権利者が数多く増えてしまい、複雑化、管理や処分に関する意思決定が難しくなります。

実家の相続でかかる税金

実家を相続する際にかかる税金は主に

  • 相続税
  • 登録免許税

があります。それぞれ解説していきます。

相続税

相続税は、遺産相続した財産全体に対してかかる税金です。

不動産以外にも、預貯金・株式・車等、相続財産全体が対象になります。
そのため、実家を相続した場合でも、その相続税だけが単独で発生するわけではありません。
相続税は、実家の建物と敷地(土地)それぞれの評価額を算出し、他の相続財産と合算した上で算出されることになります。

建物の評価額の確認方法

建物の固定資産税評価額は、市区町村から毎年送付される固定資産評価証明書に記載されています。

土地の評価額の計算方法

土地の評価額は以下、いずれかの方式で算出されます。

  • 路線価方式:定められた路線価(道路に面する土地1平方メートルあたりの価額)を元に、補正率・面積に乗じる計算方式
  • 倍率方式:路線価が定められていない地域で用いる計算方式。その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算する

敷地の形状や状態、利用方法等によって評価額は補正・調整され増減します。
適正な評価額を算出するには税理士等の専門家への相談をご検討ください。

登録免許税

登録免許税とは、登記の手続きを行う際にかかる税金です。
不動産や相続登記以外にも、船舶、法人、職業資格などに対してもかかるケースがある税金です。

相続登記をする場合の登録免許税の税率は、固定資産税評価額 x 0.4% で計算できます。
なお、遺言により相続人以外が不動産を取得した場合は 固定資産税評価額 x 0.4% となります。

実家の相続で発生する相続税を節税する方法

これら2つの税金のうち、相続税についてはいくつかの方法で節税することが可能です。
実際に活用できるかどうかは、相続の発生した状況や内容等によっても異なりますが、おおまかにどんな方法で節税できるかを見ていきましょう。

控除・特例を活用する

最もオーソドックスな節税策として、自分の条件に合った控除・特例を適切に活用する方法があります。

相続税節税に使える特例・控除として代表的なものは以下のものがあります。

相続税節税に使える控除・特例・制度
配偶者控除 配偶者の遺産を相続した場合は、1億6千万円まで無税となる
小規模宅地等の特例 居住用の住宅を含む不動産を相続した場合、土地評価額を最大80%減にできる特例
相続空き家の3,000万円特別控除の特例 相続した空き家を売却した譲渡益から最大3,000万円の控除を受けられる特例
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続税の支払後に売却した相続財産の譲渡益に対して、支払った相続税の一部を取得費として加算できる特例
配偶者居住権の設定 一次相続の発生時、配偶者に相続税が課税される代わり、二次相続の発生時には子どもへの相続を非課税で行える

いずれの特例・控除も、誰でも適用できる簡単なものではありません。
正しく活用して相続税額を節税するには弁護士や税理士など専門家のアドバイスを受けて検討するのが良いでしょう。

親の生前にアパート・マンションに建て替える

親の生前に実家をアパート・マンションなどの貸宅地に建て替えるのも相続税の節税に有効な方法です。

所有者が自ら自由に利用できる戸建住宅に比べ、アパートやマンションは居宅として他人に貸すことで、一方的な売却・処分ができなくなるなど所有者の自由度は減ります。
このことをふまえ、アパートやマンションの建つ土地は貸家建付地として扱われ、借地権割合・借家権割合および賃貸割合によって土地の評価を減ずる仕組みになっています。
実家の建物をアパートやマンションに建て替えることで、自用地から貸家建付地に変わるので、土地の評価減~相続税減の恩恵を受けることができます。

土地の評価に適用される仕組みで、アパートの相続だけでなく、親から生前贈与を受けた場合にも利用できます。
詳しくは下記、国税庁の記事をご参照ください。

No.4614 貸家建付地の評価|国税庁

扱いづらい実家を親の生前中に処分する

たとえば実家の敷地が広すぎる、遠方や僻地にあるなど、将来的に管理が難しくなることが明らかな場合は、親の生前中に処分するのがおすすめです。
売却で得た現金は、相続人に公平に相続する上でもスムーズですし、そのお金を原資にして他の節税方法を検討することもできます。

まとめ

この記事では、親の住んでいた実家をどうすればいいか、相続した子が取れる選択肢と、実家の取扱いとしてやってはいけないことなどを紹介しました。

実家の相続は早めの方針決定が負担を減らすカギ

実家の相続では、相続人や相続財産の状況によって、様々な手続きや税金が発生します。

また、土地や建物といった不動産は高額な財産である分、実家の相続を決めていく際は、公平な相続を巡り、それが兄弟姉妹の間柄だとしても、互いへの感情的な問題やトラブルも発生しやすいものです。
相続した実家を手元に残すのか手放すのか、適切な判断を下し、相続人間での調整をスムーズに進めるためにも、早めの方針決定が負担を減らすカギとなります。

実家の相続で取れる選択肢にはおおまかに以下の5つに分けられます。

  • 相続して住む
  • 相続して売却する
  • 相続して賃す
  • 更地にして活用する
  • 相続放棄する

どの方法を取る場合でも、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自分および他の相続人それぞれのライフスタイルや資産状況に合わせて、相続人のなるべく全員が納得できる、最適な選択肢を選ぶことが重要です。

管理面、法的手続き、相続人間での交渉の面でも、一番やってはいけないのは、相続した実家の取扱いを決定しないまま、なんとなく放置してしまうことです。
方針決定、相続登記、交渉の遅れは相続人の税金支払いや管理負担の増加、将来的な相続人間トラブルをひきおこす原因となります。

実家の相続は一筋縄ではいかない問題ですが、事前に情報収集や相談を行うことで、スムーズに解決できる可能性が高まります。
不動産売却を取り扱う不動産会社は、土地活用の専門家でもあります。
どうすればいいか迷った場合は、不動産会社に相談を持ちかけるのもひとつの手でしょう。

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