空き家の放置はデメリットしかない!所有者が抱えるリスクとその解決方法を解説

空き家の解決方法

空き家は、所有者や近隣住民に様々なデメリットやリスクをもたらします。
たとえ思い出深い実家の土地・建物であっても、相続などで空き家を受け継ぐことは、あわせて空き家を所有するデメリットを継承することでもあります。
少子高齢化や地方の過疎化などを背景に、日本国内の空き家は年々増加しており、全国的な社会問題となっています。空き家の放置による弊害は、必ずしも所有者だけの問題ではないのです。

実際に、所有者が空き家を放置するとどうなるのでしょうか?どんなデメリットがあり、問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、空き家を放置するデメリットと所有し続けるリスク、空き家を巡る問題を解決する方法について解説していきます。

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空き家を放置するデメリット

放置された空き家

空き家の放置により生じる主なデメリットとしては、以下のものが挙げられます。

維持管理のコスト・負担がかかる

空き家は、適切な管理がされないと劣化が早く進みます。外壁や屋根の補修、水道や電気の維持費、草刈りや清掃など、空き家の維持管理にはコストや手間がかかります。

また、誰も住んでいない空き家でも、固定資産税や都市計画税などの税金はかかります。空き家を所有しているだけで、経済的・精神的な負担が増えることになります。

空き家の資産価値が低下する

空き家は、管理が不十分であればあるほど、建物や土地の価値が下がっていきます。

相続等で所有者の手に渡った空き家の場合、築年数の長いものも多くあります。管理せず放置を続ければ、建物の老朽化や雑草木による土地の荒廃は避けられず、もともと築古で市場価値の低い中古住宅の価値は更に下がります。

特に郊外や地方の空き家は、立地条件や交通アクセスなども影響し、売却や賃貸に出すことが難しくなるケースも少なくありません。
処分の仕方が定まらないからと空き家を放置すればするほど、資産価値は目減りしていき、より処分しづらくなります。

特定空き家に指定される可能性

平成27年(2015年)5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という)」では、「特定空家等」という制度が設けられました。
特定空家等とは、「概ね年間を通して居住やその他利用がされていない建築物(住宅に限らない)」で、

  • 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある状態(アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など)
  • 著しく景観を損なっている状態
  • その他、周辺の生活環境を乱している状態(立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿など)

いずれか一つでも当てはまる、および将来的に当てはまることが予見される建築物のことを指します。

保有する空き家が特定空き家に指定されると、自治体は所有者に適切な管理・修繕を行うよう助言、指導、勧告や命令を行います。

自治体の指示に従わず空き家を放置し続けた場合、罰則として

  • 最大50万円以下の過料の発生
  • その後も改善しない場合、行政代執行による空き家の強制取り壊し

が行われます。

空き家の強制取り壊しでは樹木の伐採、放置されたゴミの撤去、倒壊しそうな家屋の解体などが行政により行われます。空き家の解体・撤去にかかった費用は全額、空き家の所有者に請求されます。

固定資産税が6倍、都市計画税が3倍に

また、特定空き家に指定された空き家は、住宅用地の特例による固定資産税・都市計画税の軽減措置が適用除外となり、非住宅用地として扱われ課税されます。
通常、居住を目的とした家屋にはこの住宅用地の特例が適用され、200㎡以下の住宅(小規模住宅用地)の場合、住宅用地の特例で固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に軽減されたものを支払います。
特定空き家に指定された場合、この特例が無効となるため、空き家所有者には特定空き家指定前に比べ固定資産税で最大6倍、都市計画税で最大3倍で計算されます。

実際の徴収税額は最大4倍程度

ただし、実際には、固定資産税・都市計画税の負担調整措置(税額の急激な上昇を抑え、負担の変化をゆるやかにするための措置)が適用されるため、そのまま6倍・3倍の税金が徴収されるわけではありません。
評価額の70%を課税標準額として算定されるため、税額は7がけとなり、固定資産税で約4倍、都市計画税で約2倍程度の税金を徴収されるのが通常です。

固定資産税・都市計画税は毎年発生する税金であるため、特定空き家を放置し所有し続けるかぎり、高額な税金の負担が毎年発生することになります。

特定空き家予備軍である「管理不全空家」も税金アップの対象に

令和5年(2023年)6月14日、これら特定空き家に関する罰則を定める「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下 改正法)が公布されました。
この改正法では、住宅用地の特例から適用除外の対象となる空き家の範囲が拡充されることになります。

従来、住宅用地の特例からの適用除外は、特定空き家の指定を受けた空き家に対して行われていました。
改正法施工後は、「管理不全空き家」の勧告を受けた空き家を対象とするよう変更されます。管理不全空き家とは、放置を続けると将来特定空き家になるおそれのある空き家のことで、いわば特定空き家の一歩手前の状態の空き家です。
法改正後は、特定空き家の指定を受ける前、従来より早い段階で「管理不全空き家」として勧告を受ける可能性が出てきています。

改正法は2023年中に施工される予定で、実際にどの程度の範囲で「管理不全空き家」の指導・勧告が行われるのかは施工してみるまでは不透明です。どうあれ、所有者にとって、空き家を放置する金銭的リスクは一段階上がることになるのは間違いありません。

地震・台風などによる空き家の倒壊

老朽化した空き家は、地震や台風などの自然災害によって倒壊するおそれがあります。特に木造住宅は素材の性質上、鉄骨造と比べると法定耐用年数も短く、メンテナンス未実施のまま長期間放置すると構造的な劣化が進みやすいです。

空き家の倒壊は、近隣の建物や通行人に危害を及ぼすだけでなく、火災やガス漏れなどの二次災害を引き起こす可能性もあります。空き家の倒壊によって隣家や周辺地域に損害が発生した場合、損害賠償責任を負うおそれもあります。

不法侵入・放火など治安悪化の懸念

空き家は、不法侵入や放火など犯罪の温床となるおそれがあります。

空き家は人目がつかず、監視もされていないため、不審者やホームレスなどが侵入しやすい環境です。
空き家に侵入した者が火をつけたり、ごみを捨てたりすることで、火災や衛生面の問題を引き起こします。空き家に住み着いた者が近隣住民とトラブルになることもあります。
放置され荒廃した家屋は第三者が入り込むにはむしろ好都合で、環境・治安悪化につながるものと周辺住民に不安を与えます。

空き家をめぐり近隣住民とトラブルに

放置空き家は、近隣住民とのトラブルの原因となります。例えば、

  • 廃墟化した空き家の倒壊
  • 空き家の敷地内の植物の越境・隣地への侵食
  • ゴミ屋敷化した空き家から発生する異臭や騒音、害虫の発生
  • 近隣の資産価値の低下

など、近隣住民に迷惑をかけることで、苦情や訴訟を起こされる可能性があります。
また、空き家を放置することで周辺の景観や防犯性を損ない、地域コミュニティに不和をもたらすこともあります。

空き家の所有を続ける場合のリスク

空き家にかかる税金

資産として、あるいは将来的な活用のために空き家を所有し続ける場合も、一定のリスクは発生します。
空き家を所有し続けることで生じる代表的なリスクは以下の通りです。

税金がかかり続ける

空き家は所有しているだけで、固定資産税や都市計画税などの税金がかかり続けます。
居住・利用する予定もないのに、毎年税金の支払いだけ発生するのは小さくない負担です。

また、管理が行き届かず特定空家等に認定された場合は、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用外となり、税金の負担はより重くなります。

管理責任の負担

空き家の所有者は、空き家の建物および建物の立つ敷地の土地について管理責任を負うことになります。
空き家の管理不十分から、倒壊や火災などにより近隣住民や通行人に損害を与えてしまうおそれもあります。

こうした事態を避けるため管理を行うとしても、所有する空き家が居住地と離れた場所にある場合は、管理のために現地へと向かうだけでも大きな負担になります。

地域環境への悪影響と損害賠償リスク

空き家は、地域環境にも悪影響を及ぼします。空き家が多くなると、周辺の景観や防犯性が低下し、最終的には地価や住宅価格の低下にもつながります。

また、空き家に起因した事故・事件・火災などでに地域住民に損害を与えてしまった場合、所有者は損害賠償責任を負うことになります。

空き家の問題を解決する方法

空き家の解決方法
ここまでにご紹介した空き家の放置・所有にともなう様々な問題・課題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。

空き家の問題解決につながる手段としては、次のような方法が挙げられます。

空き家に住む

空き家に所有者が実際に住むのは、空き家問題解決のための最も簡単な方法です。
実際に居住するので、屋内外の清掃や修繕などのメンテナンスも日常の中で行えます。
固定資産税・都市計画税の支払いも、居住がともなうため問題なく軽減措置を受けることができるでしょう。

ただし、空き家の築年数が古く老朽化が見られる場合、建物の耐震性診断やリフォームなどの修繕工事が必要となる場合はあります。
また、空き家が遠隔地にある場合は、転居により生活環境そのものが一変するため、日常の働き方や移動など含め生活の再設計が必要となります。

空き家の管理を継続する

空き家を定期的に訪れるなどして、建物および敷地の管理を継続すれば、「特定空家等」に指定されるリスクや倒壊・火災などの危険性を低減することができます。

しかし、空き家の管理を継続するには、交通費や清掃・修繕などにかかる経済的なコスト、および空き家管理のために稼働を行う労力の負担は避けられません。
あるいは、もし自分で管理することが難しい場合は、専門業者に委託する必要があり、経済的な負担もその分大きくなります。

空き家を解体して更地にする

空き家を解体して更地にしてしまえば、建物の倒壊や特定空き家への指定につながる環境悪化のリスクはなくなります。植栽も取り払う形で更地にしてしまえば、以後の敷地の管理もスムーズでしょう。

ただし、空き家を解体して更地にする場合は、解体費用や処分費用など一時的な費用はかかります。
また、更地にすることで所有する不動産は住宅用地の特例の対象外となり、空き家状態の場合と比べ、税金は高くなります。

安全性や周辺環境への影響面などメリットもありますが、高額の税金は毎年かかってきます。
空き家の土地の更地化は、今後の土地活用や売却予定もふまえ、タイミングを見て行うことをおすすめします。

空き家を貸し出す

空き家は貸し出すことで、賃料収入を得ることができます。
空き家をそのまま戸建て賃貸と貸し出した場合、日常的な清掃やメンテナンスは住人が行うため、空き家の劣化・倒壊のリスクも減らすことができます。

しかし、空き家を貸し出す場合、入居者との賃貸契約、貸家の設備(電気・水道・ガスなど)に関する管理対応など、収益物件として活用するために必要な手間はある程度かかります。
また、築年数が古く、劣化が見られる空き家の場合は入居前のリフォーム・修繕など、コストや労力がかかるケースもあるでしょう。

空き家を売却する

空き家の所有による問題を完全に解決したいなら、売却するのは最もおすすめの方法です。

空き家を売却してしまえば、そもそも管理を継続する労力、税金などの経済的な負担もなくなります。
地域環境に対する安全面のリスクや、管理責任を巡る地域住民とのトラブルからも解放されるでしょう。
売却益を元手に新生活の原資にしたり、管理負担の軽くなった分をエネルギーにして、新たな活動に力を入れていくこともできるでしょう。

空き家はなかなか売れない/安く買い叩かれるケースも

ただし、空き家や土地の状態・アクセスなどが悪い場合、売却価格が低くなる場合があります。
また、物件や立地条件に魅力が少ない場合、探しても買い手が見つからない場合もあるでしょう。

なかなか空き家が売れない場合は、

  • 空き家の改修・リフォーム
  • 空き家を解体して更地にする

など、売却前にある程度コストをかけた前工事が必要となるケースもあります。

空き家を高額で売却するなら一括見積もりが効果的

空き家を高値で売るには

  • 不動産売却のプロに依頼する
  • 不動産会社の一括見積もりを活用する

のが効果的です。

空き家の売却を適切に進めていくには、不動産売買の経験豊富なプロに依頼するのが最もスムーズで現実的でしょう。
売却する物件の一括見積もりを使えば、複数の不動産業者から見積もりをもらうことができます。

実際の見積もり金額で不動産業者を比較し、買取金額の最も高い業者を選べば、お手持ちの空き家をなるべく高く売ることができます。

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土地活用を検討する

空き家やその土地を活用して様々な事業を行うことで、資産価値や収益性を高めることができます。
店舗やカフェなど土地活用として行う業態によっては、ひとつのコミュニティとして地域社会・住民に貢献することも可能です。

しかし、土地活用を行う場合、建築・リフォーム費用や運営費用など大きな投資を行い、業態ごとに法律や規制などの条件に合致する形で進める必要があります。
土地活用の方法は簡単なかわりに収益率が低いものから手間も収益も大きいものまで様々な方法があります。
将来的に自分がその土地をどうしたいか、売却したいのか、所有維持したいのか等、長期的な計画・ビジョンもふくめて検討するのが良いでしょう。

まとめ

この記事では、空き家を放置するデメリット、空き家の所有を続ける場合のリスク、空き家の問題を解決する方法について紹介しました。

空き家は、所有者や近隣住民にとって様々なデメリットやリスクをもたらします。
空き家を放置することは自分だけの問題ではありません。空き家の問題に対しては早急に対策を講じる必要があります。
自分に合った方法で空き家の問題を解決しましょう。

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