土地(家)の権利書とは?紛失時の売却方法と再発行の可否

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権利書

「家を売ろうと思ったら、権利書が必要だと言われた」「親の家の権利書がどこにも見当たらない」。土地や家の売却を考えたとき、多くの方がつまずくのが「権利書」です。ふだんは金庫や引き出しの奥にしまったままの書類なので、いざ必要になって慌てる方も少なくありません。

先にお伝えしておくと、権利書をなくしても、土地や家の所有権を失うことはありません。権利書は再発行できませんが、代わりの手続きを使えば、権利書がなくても家や土地を売ることはできます。

この記事では、土地(家)の権利書とは何か、「登記済証」と「登記識別情報」の違い、なくしたときにどうなるのか、悪用を防ぐ方法、そして権利書がない状態で売却する3つの方法と費用の目安までを、わかりやすく解説します。

そもそも不動産における「土地(家)の権利書」って何?その役割は?

権利書とは、法務局で所有権の登記が完了したときに、新しい所有者に交付される書類のことです。正式には「登記済証」または「登記識別情報」といい、一般に「権利書」「権利証」と呼ばれています。

土地や家を買ったとき、相続したとき、贈与を受けたときなどに名義を変える登記をすると、法務局から交付されます。土地と建物は別々の不動産なので、一戸建てなら土地の権利書と建物の権利書がそれぞれあるのが普通です。

権利書の大きな役割は、次に登記をするときに「登記を申請しているのが、本当の所有者本人であること」を確認するための手段になることです。たとえば家を売って買主に名義を移すとき、売主が権利書を提出することで、法務局は「この申請は所有者本人の意思によるものだ」と確認できます。

権利書は所有権そのものではない

「権利書を持っている人が、その土地の持ち主」。このように考えている方は意外と多いのではないでしょうか。

実はこの考え方は誤解で、権利書=所有権そのものではありません

権利書は、あくまで登記の申請で本人確認に使う書類です。権利書を持っていることが、そのまま所有者である証明になるわけではありません。そのため、権利書をなくしたり、誰かに盗まれたりしても、それだけで所有権が他人に移ることはないのです。

政府広報でも、権利書をなくしても権利を失うことはないと案内されています。「権利書がない=家を失う」と心配する必要はないので、まずは落ち着いて対応しましょう。

不動産の所有権を証明する「登記」の仕組み

では、土地や家の所有者は何で証明されるのでしょうか。答えは「登記」です。

法務局には、土地や建物ごとに「登記記録(登記簿)」が保管されています。そこには、所在地や面積といった不動産の情報に加えて、誰が所有者なのか、住宅ローンの抵当権が付いているかといった権利の情報が記録されています。この登記記録を見れば、誰が所有者として登録されているかを第三者でも確認できる仕組みです。

登記記録の内容は、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得すれば確認できます。窓口のほか、郵送やオンラインでも請求でき、手数料を払えば誰でも取得が可能です。

書類 何を示すか 再発行 取得できる人
権利書(登記済証・登記識別情報) 登記を申請する人が本人であることを確認する手段 できない 登記名義人として交付を受けた本人のみ
登記事項証明書(登記簿謄本) 所有者や抵当権など、登記されている内容 何度でも取得できる 誰でも

不動産の権利書には2種類ある

権利書は、「登記済証」と「登記識別情報」の2種類に分かれます。どちらも役割は同じですが、交付された時期によって形式が違います。次の章で詳しく見ていきましょう。

権利書には2種類ある【登記済証と登記識別情報】

2005年(平成17年)の不動産登記法の改正で、登記のオンライン申請が導入されました。これに合わせて、紙の「登記済証」から、英数字の「登記識別情報」へと、権利書の形式が切り替わっています。

登記済証(2005年の法改正前)

登記済証は、昔ながらの紙の権利書です。登記を申請したときの書類(売買契約書や登記原因証明情報など)に、法務局が「登記済」の赤い印を押して返却したもので、和紙のような厚手の紙に綴じられていることが多く、表紙に「登記済権利証」と書かれていることもあります。

法改正後も、すでに交付された登記済証はそのまま有効です。親の代や、それ以前から持っている土地や家なら、登記済証が権利書になっているケースが多いでしょう。

登記識別情報(12桁の英数字)

登記識別情報は、アラビア数字とアルファベットを組み合わせた12桁の符号です。いわば、不動産ごと・名義人ごとに発行される「パスワード」のようなもの。A4サイズの「登記識別情報通知」という書面で交付され、12桁の符号の部分は目隠しシールで隠されているか、折り込んで見えないようになっています。

法改正後、各地の法務局が順次オンライン申請に対応し、2008年ごろまでに全国の法務局で登記識別情報の交付に切り替わりました。それ以降に購入・相続した不動産であれば、登記識別情報が権利書になっていると考えてよいでしょう。

目隠しシールは、使うとき以外ははがさないのが鉄則です。符号は、他人に知られてしまうと悪用されるおそれがあります。シールをはがした場合は、コピーを取らない、写真に撮らないなど、取り扱いに十分注意してください。

比較表|見た目・発行時期・扱い方

項目 登記済証 登記識別情報
交付された時期 おおむね2005年以前(法務局により2008年ごろまで) 2005年以降、法務局が順次切り替え
見た目 申請書類に「登記済」の赤い印が押された紙の綴り A4の「登記識別情報通知」。12桁の符号が目隠しされている
本人確認の方法 書類そのものを提出する 12桁の符号を法務局に提供する
紛失したときの再発行 できない できない
悪用を防ぐ方法 不正登記防止申出 失効の申出・不正登記防止申出

自分の家の権利書がどちらか確かめる方法

手元の書類がどちらか分からない場合は、まず不動産を取得した時期を思い出してみてください。2005年より前に買ったり相続したりしたなら登記済証、2008年以降なら登記識別情報である可能性が高いでしょう。

  • 表紙に「登記済権利証」とある、または「登記済」の赤い印が押されている → 登記済証
  • 「登記識別情報通知」と書かれたA4の紙で、目隠しシールや折り込みがある → 登記識別情報
  • 「登記完了証」と書かれた紙 → 登記が終わったことを知らせる書類で、権利書ではない

最後の「登記完了証」は、登記識別情報と一緒に届くことが多いため、混同されがちです。登記完了証だけでは権利書の代わりにならないので注意しましょう。

権利書が見つからないときに探す場所

「なくした」と思っていた権利書が、実は家の中で見つかることもよくあります。手続きを考える前に、次のような場所を確認してみてください。

  • 金庫・仏壇・タンスの引き出し:大切な書類をしまう定番の場所です。仏壇の引き出しや、着物の間から見つかることもあります
  • 銀行の貸金庫:親が貸金庫を契約していた場合、そこに保管されている可能性があります
  • 購入時の書類一式の中:売買契約書や重要事項説明書、ローンの書類と一緒に、ファイルや封筒にまとめて保管されていることがあります
  • 登記を担当した司法書士:まれに、登記後に受け取らずに預けたままになっていることもあります
  • 家族や親族:親の家なら、兄弟姉妹や親族が預かっていないか確認しましょう

相続した実家の場合、どの不動産を持っていたのかすら分からないこともあります。固定資産税の納税通知書や、市区町村で取得できる「名寄帳」を見れば、亡くなった人が持っていた不動産を確認できるでしょう。また、2026年2月からは、法務局で特定の人が登記名義人になっている不動産の一覧を証明してもらえる「所有不動産記録証明制度」も始まっています。利用の条件や手数料は、法務局の案内で確認してください。

土地(家)権利書を無くしてしまった

探しても見つからない。そんなときに知っておきたいのが、権利書をなくした場合に何が起こり、何が起こらないのかということです。

不動産の権利書を無くすとどうなるの?

権利書をなくしたときのポイントは、次の3つにまとめられます。

心配なこと 実際どうなる?
所有権がなくなるのでは? なくならない。所有権は登記で守られている
再発行してもらえる? できない。登記済証も登記識別情報も再発行の制度はない
家を売れなくなる? 売れる。代わりの本人確認の手続きを使えばよい

権利書は、紛失しても再発行されません。法務局に行っても「新しい権利書を発行してください」という手続きはないので、ここは覚えておきましょう。ただし、なくしたままでも今の生活に支障はなく、困るのは売却や贈与などで名義を移す登記をするときです。その場面では、権利書の代わりに本人確認をする手続きを使います。具体的な方法は、後ほどの章で紹介しましょう。

なお、新たに登記をすれば、そのときに新しい名義人に新しい登記識別情報が交付されます。たとえば家を売れば、買主には新しい登記識別情報が発行されるので、売主が権利書をなくしていても、買主に迷惑がかかることはありません。

不動産の権利書が悪用されたらどうしよう?

権利書をなくしたとき、いちばん不安になるのが「誰かに悪用されないか」ということでしょう。権利書だけで勝手に名義を変えられることはまずありません。名義を移す登記には、権利書のほかに、実印を押した書類と印鑑証明書などが必要になるからです。

とはいえ、権利書と実印、印鑑証明書がまとめて盗まれた場合や、地面師と呼ばれる詐欺グループが書類を偽造する場合など、悪用のリスクがゼロとはいえません。盗難の可能性がある場合は、警察に届け出るとともに、次の手続きを検討しましょう。

不正登記防止申出

法務局に「自分の不動産について、本人になりすました登記の申請がされるおそれがある」と申し出る制度です。申出から3か月以内に、その不動産について登記の申請があった場合、法務局が申請人の本人確認をより慎重に行います。登記済証・登記識別情報のどちらでも利用でき、手数料はかかりません。

申出は、所有者本人が法務局の窓口に出向いて行うのが原則です。本人確認書類や実印、印鑑証明書が必要になるので、事前に法務局へ確認してから出かけると安心でしょう。

登記識別情報の失効申出

権利書が登記識別情報の場合は、法務局に申し出て、その登記識別情報を失効させることができます。失効させれば、たとえ12桁の符号が他人に知られても、その符号を使って登記を申請することはできなくなります。

ただし、失効させても新しい登記識別情報が発行されるわけではありません。将来、売却などで登記をするときは、権利書がない場合と同じ手続きが必要になります。「符号を誰かに見られたかもしれない」というときの対策として覚えておきましょう。

土地(家)の権利書が無い状態で家を売却するには?

権利書がなくても、家や土地を売ることはできます。売却の決済日には、売主から買主へ所有権を移す「所有権移転登記」を申請しますが、このとき権利書の代わりに使える本人確認の方法が、法律で3つ用意されているのです。

司法書士に本人確認をお願いする

もっとも多く使われているのが、登記を担当する司法書士に「本人確認情報」を作成してもらう方法です。

司法書士が売主と面談し、本人確認書類を確かめたうえで「この人が登記名義人本人に間違いない」という内容の書面を作成します。この本人確認情報を登記の申請書に添付すれば、権利書がなくても登記ができる仕組みです。

本人確認は主に聞き取り調査と書類の確認によって行います

司法書士は、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの身分証明書を確認するだけでなく、次のような点を聞き取ります。

  • 不動産を取得した経緯や時期
  • 権利書をなくした事情
  • 物件の状況や、固定資産税の支払い状況
  • 住宅ローンの借入先や返済の状況

聞き取りの内容に不自然な点がないか、なりすましではないかを、専門家として責任を持って確認するわけです。顔写真付きの身分証明書がない場合は、健康保険証などの書類を複数そろえる必要があるため、早めに相談しておきましょう。

費用は、通常の登記費用とは別に、本人確認情報の作成費用がかかります。金額は司法書士事務所によって異なりますが、数万円から10万円程度が目安とされることが多いでしょう。物件の価格や、面談のための出張の有無によっても変わります。

この方法は、決済日に登記を一度で申請できるため、買主や住宅ローンを貸す金融機関にとっても安心感があります。売却では、ほとんどのケースでこの方法が選ばれていると考えてよいでしょう。

公証人役場で本人確認をお願いする

2つ目は、公証役場で、公証人に本人確認をしてもらう方法です。登記の申請書や委任状に売主が署名し、公証人から「本人が署名したものに間違いない」という認証を受けて、その書類を登記の申請に使います。

公証人の認証にかかる手数料は、司法書士の本人確認情報より安く済むことが多いのが利点です。一方で、売主自身が公証役場に出向く必要があり、平日の日中に時間を取らなければなりません。また、登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士との事前の打ち合わせも必要です。

費用を抑えたい場合に選ばれる方法ですが、手間がかかるため、実際の売却ではあまり使われていません。

登記所から事前通知を行う方法

3つ目は、法務局の「事前通知制度」を使う方法です。権利書を付けずに登記を申請すると、法務局から登記名義人の住所に「本人限定受取郵便」で通知が届きます。名義人が内容を確認し、期間内(国内の住所なら原則2週間以内)に「申請したのは自分に間違いない」と申し出れば、登記が進められます。

費用がほとんどかからないのが最大のメリットですが、売却で使うのは現実的ではありません。理由は、決済の時点では登記が完了するかどうかが確定しないからです。買主は、売主が期間内に申し出をしなければ名義を移せないリスクを抱えたまま代金を支払うことになります。住宅ローンを使う買主の場合、金融機関もそうしたリスクを受け入れないのが一般的です。

事前通知制度は、親族間の贈与など、代金の支払いが絡まない登記で使われることが多い方法と覚えておきましょう。

3つの方法の比較表|費用・期間・注意点

方法 費用の目安 手間・期間 売却での使いやすさ
司法書士の本人確認情報 数万〜10万円程度(事務所による) 司法書士との面談のみ。決済日に登記できる ◎ もっとも一般的
公証人による認証 司法書士の本人確認情報より安いことが多い 公証役場に出向く必要がある ○ 費用を抑えたいときに
事前通知制度 ほぼかからない 通知への回答が必要。登記完了まで時間がかかる △ 売却では使われにくい

どの方法を使うかは、売却を担当する不動産会社や、登記を担当する司法書士と相談して決めるのが一般的です。権利書がないことが分かった時点で、早めに伝えておきましょう。決済日の直前になって判明すると、本人確認の準備が間に合わず、引き渡しが遅れてしまうおそれがあります。

権利書がない場合の売却の流れ

権利書がない場合でも、売却の大まかな流れは通常と変わりません。違うのは、決済日までに本人確認の準備を加えることだけです。

  1. 不動産会社に査定を依頼し、その際に「権利書が見つからない」と伝える
  2. 媒介契約を結び、売却活動を始める
  3. 買主が決まったら、売買契約を結ぶ
  4. 登記を担当する司法書士と面談し、本人確認情報を作成してもらう
  5. 決済日に代金を受け取り、本人確認情報を添付して所有権移転登記を申請する

司法書士との面談は、決済日の数日前から当日までに行うのが一般的です。ただ、身分証明書の種類によっては追加の書類が必要になるため、売買契約を結んだ段階で、司法書士に権利書がないことを伝えておくとスムーズでしょう。

売主が遠方に住んでいる、高齢で外出が難しいといった事情がある場合は、司法書士が自宅や施設まで出向いて面談してくれることもあります。その際は出張費が加算されることが多いので、費用もあわせて確認しておいてください。

また、権利書がないことは、買主にとって不利益になるものではありません。決済日に登記が問題なく申請されれば、買主には新しい登記識別情報が交付されます。売り出しの価格に影響することもないので、正直に伝えたうえで、通常どおり売却を進めましょう。

権利書が関わるその他のケース

売却以外にも、権利書が必要になる場面と、必要にならない場面があります。主なケースを整理しておきましょう。

場面 名義人の権利書 補足
売却(所有権移転登記) 必要 ない場合は本人確認情報などで代用
生前贈与(所有権移転登記) 必要 ない場合は売却と同じく代わりの手続きを使う
不動産を担保にお金を借りる(抵当権設定登記) 必要 住宅ローンの借り換えなどでも求められる
相続登記 原則不要 戸籍謄本や遺産分割協議書などで手続きする
住宅ローン完済後の抵当権抹消登記 所有者の権利書は不要 金融機関側の登記識別情報などを使う
住所・氏名の変更登記 不要 住民票などで手続きする

相続登記では原則として権利書は不要

親が亡くなって実家を相続するとき、「親の権利書が見つからないと相続登記ができないのでは」と心配する方は少なくありません。相続登記は、戸籍謄本や遺産分割協議書などで手続きするため、原則として亡くなった人の権利書は必要ありません。

ただし、登記簿上の住所と亡くなったときの住所が違い、住民票の除票などでつながりを証明できない場合には、権利書の提出を求められることがあります。そうしたケースでは、司法書士に相談するとよいでしょう。

なお、2024年4月から相続登記は義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると過料の対象になります。相続登記を済ませると、相続人には新しい登記識別情報が交付されるので、その後に売却するときは、その新しい権利書を使えば大丈夫です。

住宅ローン完済・抵当権抹消のとき

住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権を抹消するための書類一式が届きます。この中には、金融機関が抵当権を設定したときに受け取った登記識別情報(または登記済証)が含まれています。抵当権の抹消では、こちらの書類を使うため、所有者自身の権利書は必要ありません。

ただし、金融機関から届いた書類をなくしてしまうと、手続きが複雑になります。売却を予定しているなら、届いた書類は開封して内容を確認し、権利書と一緒に保管しておきましょう。

名義変更や生前贈与のとき

親から子へ家を生前贈与する、夫婦間で名義を変更するといった場合は、所有権を移す登記になるため、売却と同じく権利書が必要です。権利書がない場合は、売却と同じ3つの方法のいずれかを使います。代金の受け渡しがない親族間の手続きであれば、費用のかからない事前通知制度を選べることもあるでしょう。

売却で権利書のほかに必要な書類

権利書は、売却に必要な書類の一つにすぎません。決済日までに、主に次のような書類をそろえます。

書類 入手先 用途
権利書(登記済証または登記識別情報) 手元に保管 所有権移転登記の本人確認
印鑑証明書(発行から3か月以内) 市区町村役場 実印の証明
実印 手元 登記の委任状などへの押印
本人確認書類 手元 運転免許証・マイナンバーカードなど
住民票 市区町村役場 登記簿の住所と現住所が違う場合
固定資産税評価証明書 市区町村役場(東京23区は都税事務所) 登録免許税の計算
ローン残高証明書・返済予定表 金融機関 ローンの残債の確認
土地の測量図・境界確認書 手元・法務局 土地の面積や境界の確認

登記簿上の住所が今の住所と違う場合は、売却の前に住所変更の登記が必要です。2026年4月からは住所変更登記も義務化されているので、引っ越しをしたまま登記を変えていない方は、この機会に確認しておくとよいでしょう。

決済日に売主が立ち会えない場合は、家族などを代理人にして手続きを進めることもできます。その場合は委任状が必要になるため、あわせて準備しておきましょう。

権利書の正しい保管方法

権利書は再発行できないからこそ、普段の保管が大切です。次のポイントを意識してみてください。

  • 実印・印鑑証明書とは別の場所に保管する:すべてまとめて盗まれると、悪用のリスクが高まります
  • 耐火金庫や銀行の貸金庫を活用する:火事や水害から守るためにも有効です
  • 登記識別情報の目隠しシールははがさない:使うときまで、符号を誰にも見せない状態を保ちます
  • コピーや写真を残さない:登記識別情報は、符号が知られるだけで悪用されるおそれがあります
  • 保管場所を家族に伝えておく:自分に万一のことがあったとき、家族が探さずに済みます

特に、高齢の親が一人で暮らしている実家などは、権利書の保管場所を家族が誰も知らないというケースがよくあります。将来の相続や売却に備えて、元気なうちに話し合っておくと安心です。

権利書に関するよくある質問

権利書と登記簿謄本は同じものですか?

違います。権利書は登記名義人本人にだけ交付される書類で、登記の申請で本人確認に使うものです。登記簿謄本(登記事項証明書)は、登記されている内容を証明する書類で、誰でも法務局で取得できます。

権利書を紛失したら再発行できますか?

できません。登記済証も登記識別情報も、再発行の制度はありません。売却などで必要な場合は、司法書士の本人確認情報など、代わりの手続きを使います。

権利書がないと、家を売れませんか?

売ることは可能です。司法書士に本人確認情報を作成してもらう方法がもっとも一般的で、決済日に問題なく所有権移転登記ができます。費用が別にかかるので、早めに不動産会社や司法書士に相談しておきましょう。

権利書を盗まれたら、勝手に家を売られてしまいますか?

権利書だけで名義を変えることはまずできません。登記には実印や印鑑証明書なども必要になるためです。ただし、不安がある場合は、警察への届け出に加えて、法務局に不正登記防止申出をしておくと安心です。登記識別情報なら、失効の申出もできます。

登記識別情報の目隠しシールをはがしてしまいました。大丈夫ですか?

はがしたこと自体で、登記識別情報が無効になることはありません。ただし、12桁の符号が他人に知られないよう、コピーや写真は残さず、厳重に保管しましょう。誰かに見られた心配がある場合は、失効の申出を検討してください。

親の家の権利書が見つかりません。相続登記はできますか?

相続登記は、原則として亡くなった人の権利書がなくても申請できます。戸籍謄本や遺産分割協議書などで手続きを進めましょう。相続登記をすれば、相続人に新しい登記識別情報が交付されます。

名義が亡くなった親のままの家は、権利書があれば売れますか?

そのままでは売れません。亡くなった人の名義のまま売却することはできないため、まず相続人の名義に変える相続登記を済ませる必要があります。相続登記をすると、相続人に新しい登記識別情報が交付され、その権利書を使って売却の登記を行う流れです。相続人が複数いる場合は、誰が相続するかを遺産分割協議で決めておきましょう。

権利書の名義人が認知症になった場合、売却はできますか?

名義人本人に判断能力がない場合は、権利書があっても本人が売買契約を結ぶことはできません。家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、後見人が手続きを行うのが一般的です。自宅を売る場合は、家庭裁判所の許可も必要になります。判断能力があるうちに、家族で今後のことを話し合っておくことが大切です。

マンションにも権利書はありますか?

あります。マンションの場合、建物の部屋(専有部分)と、敷地の権利(敷地権)がまとめて登記されていることが多く、権利書も1通にまとまっているのが一般的です。古いマンションでは、土地と建物で別々の権利書になっていることもあります。

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不動産の権利書をなくしてしまった場合のまとめ

  • 権利書とは、登記が完了したときに交付される書類で、次の登記で本人確認に使う。所有権そのものではない
  • 権利書には、紙の「登記済証」と、12桁の符号の「登記識別情報」の2種類がある
  • 権利書をなくしても所有権は失わない。ただし、再発行はできない
  • 悪用が心配なら、不正登記防止申出や、登記識別情報の失効申出を検討する
  • 権利書がなくても、司法書士の本人確認情報などを使えば家や土地を売却できる
  • 相続登記や抵当権抹消では、原則として所有者の権利書は必要ない

権利書が見つからないと、それだけで売却をあきらめてしまう方もいます。しかし、手続きの方法はきちんと用意されているので、心配はいりません。大切なのは、売却を決めたらできるだけ早く、権利書の有無を不動産会社に伝えることです。準備の時間があれば、費用も手間も最小限で済ませられます。

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