軽井沢の別荘が投げ売りの理由とは?別荘購入でかかる費用について解説

別荘地のイメージ

都会の喧騒から離れて自然に囲まれたリゾート地として人気のある軽井沢。
そこに別荘を持つというと幸せの象徴のように感じますが、実際のところはどうなのでしょうか?

現代ビジネスに掲載された「2500万で軽井沢の別荘を買って大後悔した、元エリート商社マンの悲惨な老後」という記事によると、別荘を購入したことで多くの問題に直面したという事例が紹介されています。

この別荘に限らず別荘の価値は下落傾向にあり、売却するにも買い手が見つからず「投げ売り」状態になっているとのことですが、
何故、投げ売り状態の別荘が続出しているのでしょうか?

当記事ではそんな別荘が投げ売りされている理由や別荘を購入した際にかかる諸費用について解説しています。

信頼できる業者をお探しの方

不動産相続のお悩みご相談ください

解決に向けた最適なプランをご提案します
いきなり費用が発生したり
強引な営業をすることは一切ございません

別荘が投げ売りされる理由

投げ売り状態にある別荘が続出している大元の原因は、別荘主が所有する別荘に利用価値を感じていない点にあります。

そもそも日本で別荘需要が高かったのは、バブル景気に賑わう昭和50年から60年ごろです。その当時は多くのリゾート開発が日本各地で行われ、多くの別荘やリゾートマンションが販売されていました。

今でもリゾート地として人気の軽井沢や伊豆では、購入するために抽選が行われるほど高い需要があったのです。

しかし、この高い別荘需要はバブル崩壊と共に一気に激減します。リゾート物件の取り引きは、景気が低迷するのと同じくして、一気に激減したのです。現在は別荘を購入して、定期的に利用しようとする人は、一部の高額所得者に限定されています。

別荘を利用して余暇を過ごす余裕がない人が、別荘を所有しても無用の長物でしかないというわけですね。

損や負担をこれ以上広げたくない

この需要が高かった当時に建てられた別荘をはじめとするリゾート物件は、今では築年数が古くなり、不動産価格はグンと下がっています。そして、その別荘を当時購入した親から相続しているのが、その子供たちなのです。

しかし、冒頭で話したようにその子供たちが相続した別荘に利用価値を見いだせず、利用することなく所有しているだけの状態にあるケースが多く見られます。

そこで問題となってくるのが別荘の維持費です。不動産を所有すると住んでいなくても、様々な年間維持費が発生します。所有しているだけで利用していない不動産に対する年間維持費の支払いが、所有者にとって大きな負担でしかないのは疑う余地はありません。

この負担から逃れたいがために下記のような理由から、投げ売り状態にある別荘が続出しています。

  • 売却価格は問わない
  • 損をしてでも売却したい

所有を続けてこれ以上、損や負担を広げたくないと考えている別荘主がいるというわけです。

そこでまずは、多くの別荘主を悩ませている年間維持費には、どのようなものがあるのかを解説します。経済的に別荘所有ができるような状態にない人にとっては、日常生活を脅かす金額になるケースもあるので、シッカリと目を通すようにしてください。

固定資産税をはじめとする税金支払いが苦しい

年間維持費としてまず挙げられるのが、別荘維持に掛かる税金の支払いです。別荘を所有すると、毎年、下記税金の支払い義務が課せられます。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 住民税

所有する不動産価値に応じて支払う額には違いが見られますが、所有している限り、支払い額の大小に限らず、これら税金の支払い義務から逃れることはできません。それではこれら税金支払いがどれくらいの額になるのかを、順を追って紹介していくことにしましょう。

支払う固定資産税はいくらになるの?

固定資産税とは所有する固定資産に対して毎年課税される地方税の1つです。そのため、別荘の場合は下記に対して、この固定資産税の支払い義務が発生します。

  • 建物部分
  • 土地部分

固定資産税の計算方法は下記の通りです。

固定資産税=固定資産税評価額×標準税率1.4%

つまり所有する別荘の建物部分と土地部分の固定資産税評価額によって、支払う税額が違ってくるというわけです。そして、この2つで注意して欲しいのが、土地部分に対して発生する固定資産税です。建物と土地とでは固定資産税の算出方法が異なりますが、土地の固定資産税は所有する別荘によっては、多額の税金支払いが発生する可能性が出てきます。

簡単にこれら2つの固定資産税の計算方法を紹介するので、自分が所有する別荘の固定資産税がどれくらいになるのかを確認してみましょう。

建物部分の固定資産税額は?

まずは建物部分の固定資産税額から解説します。

建物部分の固定資産税評価額は同じ建物を同じ土地に再建築した場合、いくらの費用が掛かるのかを算出する再建築価格方式を元に求められます。この算出方法で注目して欲しいのが、税金の減額が受けられる点です。

建物の場合は経年劣化によって資産価値が下がります。そのため、建物部分の固定資産税評価額は再建築価格方式で求められた価格から、経年劣化分を差し引いた金額分を減額することが可能です。建物部分の固定資産税は下記の計算方法で算出できます。

建物部分の固定資産税評価額=再建築価格×経年減点補正率(%)

建物部分の評価額はこの減額が認められている点が土地部分との大きな違いです。支払い義務から逃れることはできませんが、築年数に応じた税金の減額が認められています。この点は、よく覚えておくようにしてください。

また、減額分を算出するために用いられる経年減点補正率は、築年数に応じて下記のように定められています。

  • 築5年経過の経年減点補正率:64%
  • 築10年経過の経年減点補正率:49%
  • 築15年経過の経年減点補正率:35%
  • 築20年経過の経年減点補正率:20%

購入時の建物購入価格が3,000万円で、再建築価格が1,800万円だとしましょう。この場合、築年数に応じた建物部分の固定資産税評価額は下記の通りです。

築年数 建物評価額
築5年経過 1,440万円
築10年経過 1,152万円
築15年経過 882万円
築20年経過 360万円

バブル期に購入した別荘を相続した場合、建物の築年数はゆうに20年を超えているので、この対象物件の固定資産税は下記の様に高額な支払いとはなりません。

360万円×1.4%=50,400円

築5年だと201,600円もの固定資産税が発生するので、経年劣化に伴う減額が受けられるのは、別荘主にとっては大きなメリットになってくるでしょう。

しかし、築20年以降は減額幅が引き下げられることはありません。別荘を所有しているだけで毎年、固定資産税の支払いが発生します。再建築価格は購入価格の60%(一般的には50%から70%くらい)が1つの目安になってくるので、いくらの固定資産税が発生するのかを概算してみましょう。

土地部分の固定資産税額は?

次は高額になる恐れのある、土地部分の固定資産税です。土地部分の固定資産税評価額は総理大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、市町村役場の担当者が一件一件、個別に算定しています。

そのため、建物部分のように個人で正確な数値を算出することは難しいのですが、一般的には公的機関が評価して公表している、下記評価額の70%くらいが概算価格に当たるとされています。

  • 地価公示価格(公示地価)
  • 路線価(相続税評価額)
  • 基準地価

地価公示価格が2,000万円であれば、1,400万円が評価額となるといった具合です。そのため、この場合の固定資産税は下記のようになります。

1,400万円×1.4%=196,000円

そこで、この土地部分の固定資産税で注意してもらいたいのは、所有している別荘の地価公示価格によっては、高額な固定資産税が発生する可能性が出てくる点です。

地価は全国どこでも七時というわけではありません。下記の様に最高値と最低値とでは、驚くような開きがあります。

  • 最高値:東京都中央区5,466,980円/㎡
  • 最低値:北海道上川郡下川町2,425円/㎡

しかも、建物部分のように経年劣化による減額がないため、地価が直接、固定資産税額に影響を及ぼすことになります。

別荘が地価の低い田舎にある場合なら、10万円未満ですむケースが大半です。しかし、有名な軽井沢など地価の高い別荘地では、40万円を超えてしまいます。しかも、土地が広ければさらに高額になってくるので、この土地部分の固定資産税には注意が必要です。

毎年、高額な固定資産税支払いが課されるのであれば、投げ売りしてでも別荘を手放したいと考える人がいるのも当然のことでしょう。また、土地部分は建物部分と比べ、固定資産税額がどうしても高額になりがちです。比較的安いとされる10万円未満でも、一般家庭にとって簡単に捻出できる額ではないでしょう。

この点をよく理解した上で所有前の段階にあるならば、いくらの固定資産税が発生するのかをちゃんと確認することをおすすめします。

信頼できる業者をお探しの方

不動産相続のお悩みご相談ください

解決に向けた最適なプランをご提案します
いきなり費用が発生したり
強引な営業をすることは一切ございません

支払う都市計画税はいくらになる?

別荘が都市計画区域内にある場合には、固定資産税の他に都市計画税の支払い義務が発生します。都市計画区域とは都市計画法によって定められた、下記いずれかに該当する地域です。

  • すでに市街化されている地域
  • 今後10年以内に市街化される地域

別荘のある地域が市街化地域かは各市町村役場のHP、または都市計画課で確認でき、都市計画税は下記計算式で算出可能です。

都市計画税=固定資産税評価額×0.3%(上限税率)

固定資産税よりも税率が低いため、支払い額は固定資産税よりは少額です。しかし、それでも決して無視することはできません。

先ほどの建物条件で建物部分の都市計画税を算出した場合、築年数に応じて下記税額の支払いが必要になります。

築年数 建物評価額
築5年経過 57,600円
築10年経過 46,080円
築15年経過 35,280円
築20年経過 14,400円

これに建物部分よりも高額になる可能性の高い、土地部分の都市計画税の支払いが加算されるのですから、決して無視することはできないのは明白ですね。

試しに土地部分と建物部分の固定資産税評価額を下記の条件で、固定資産税と都市計画税の総額がいくらになるのかを試算してみましょう。

  • 土地部分:1,000万円
  • 建物部分:500万円

この場合、支払う固定資産税と都市計画税の総額は下記の通りです。

税金名 支払い額
建物部分の固定資産税 70,000円
土地部分の固定資産税額 140,000円
建物部分の都市計画税 20,000円
土地部分の都市計画税 40,000円
総額 270,000円

こうして見れば、所有しているだけの別荘の維持に、いかに大きな費用が掛かるのかを実感してもらえるでしょう。

特に都市計画税は上限税率が0.3%と決められているだけで、適用税率の決定は各市町村に委ねられているため、地域によって税額が異なってきます。所有前の人はいくらの税率が適用されているのかを、各市町村に問い合わせることをおすすめします。

支払う住民税はいくらになる?

別荘を所有して多くの人が驚くことになるのが、住民税の存在です。実際に住民票を移して、常時、居住していないのだから、住民税の支払い義務はないと思っている人は少なくありません。

しかし、住民票がなくても別荘が所在する自治体への住民税支払いは発生します。一般的に住民税は下記2つの税額を合算した支払いが求められます。

  • 所得割:前年度の所得金額に応じて課税される
  • 均等割:前年度の所得金額に関係なく定額で課税される

住民票のない別荘の住民税は均等割による住民税のみの課税となります。均等割による住民税の標準税額は都道府県税が1,500円、市区町村税が3,500円です。しかし、実際に課税される額は自治体によって異なり、下記の様に納税額に幅があります。

  • 都道県税:1,500円~2,500円
  • 市区町村税:3,500円~4,400円

年間最高で6,900円、最低でも5,000円の住民税支払いが課されるというわけです。固定資産税や都市開発税と比べれば少額ではありますが、住民税の2重払いが課せられます。

別荘が存在する地域のライフラインを利用しているということから、住民税の支払い義務が課せられることになるのです。この点は勘違いのないよう、よく覚えておくようにしてください。

管理費の支払いが苦しい

別荘の維持費で忘れてはならないのが別荘の管理費です。

別荘とはそもそも、仕事から離れた余暇を快適に過ごすことを目的に建てられた建物ですから、訪れた際に快適に過ごせる住環境が求められます。よって、本来の目的のために購入した人であれば、快適に別荘で過ごすために管理費が必要になることに異論はないでしょう。

しかし、相続等で意に反した所有を求められた人は、簡単に納得できる話ではないでしょう。管理費は所有する物件や所在地によって、支払い額や支払条件が異なります。

それではいくつかのケースに分けて、支払い額や支払条件がどう異なるのかを、簡単に紹介していくことにしましょう。

管理体制の整った別荘地に別荘がある場合の管理費

管理費の支払い義務については、意見が大きく分かれます。支払い義務が課せられているわけではないので、別に支払う必要はないだろうと考える人も多いことでしょう。

しかし、この論法が絶対に通らないのが、別荘地に建っている別荘です。別荘地と呼ばれる地域は、何も多くの別荘が建っているから、そう呼ばれているわけではありません。

別荘地の開発は所在する各自治体の開発許可を受ける必要があり、利用する生活インフラの維持管理のため、その費用を別荘主に請求することを条件としています。別荘地の下記生活インフラは、一般地域のものとは異なり、別荘地で別荘を所有する人たちの共同施設です。

  • 道路
  • 水道設備
  • 下水道設備
  • 電機設備

道路1つをとっても公道ではなく、私道という扱いになってきます。そのため、別荘地に別荘を所有している人は別荘地の管理規約に基づく、管理費を支払う義務が課せられるのです。

別荘地の管理費は下記の条件によって大きく異なります。

  • 建物や土地の大きさ
  • 別荘地の所在地
  • 別荘が所在する地域の管理会社

年間で5万円前後から10万円くらいのものもありますが、有名な別荘地であれば60万円を超えるケースも見られます。年間5万円と言えども、利用していない別荘の管理費としては、高すぎると感じる人は多いことでしょう。

それが60万円を超えるともなれば、別荘主が被る負担は尋常ではありません。

別荘地では管理費の支払い義務から逃れることはできないため、別荘を早々に売却したいと考えるのは当然のことかもしれません。

管理体制の整っていない場所に別荘がある場合の管理費

次のケースは管理体制の整っていない場所に別荘がある場合です。このケースでは先のように管理費の支払い義務は負いません。

となれば管理費を支払わなくてもいいと思われる人もいることでしょう。しかし、現実はそれほど甘くはありません。

人の住まない家は別荘地でなくても、近隣者との間に多くのトラブルを引き起こします。庭には雑草が生い茂り、周辺の風景や景観を著しく損なったという話はよく聞きますが、これはまだまだ序の口です。

他にも下記の様に多くの問題が発生する可能性が高くなってしまいます。

  • ホームレスや不審者が侵入して住み着く可能性
  • 犯罪の温床になる可能性
  • 放火や倒壊の可能性
  • 不法投棄の場となる可能性
  • ネズミや野良猫等が発生、集中する可能性

そのため近隣住人からクレームが出されることも多くなり、その対応で精神的にも時間的にも多くの負担がかかってしまうでしょう。自分で定期的に訪れてこまめに手入れができるなら、こういった問題を回避することは可能です。

しかし、別荘は住んでいる場所から遠隔地に存在するケースが少なくないため、自分で管理するのは現実的には難しいケースが大半です。しかも、問題が大きくなれば、近隣住民から損害賠償請求を起こされる可能性も考えられます。

となれば、管理費の支払い義務が課せられていない別荘でも、管理費の支払いから逃げられないのは理解してもらえるでしょう。

別荘がリゾートマンションの場合の管理費

別荘としてリゾートマンションを購入している人も少なくありません。この場合は管理体制の整った別荘地と同じく、管理費の支払い義務が課せられます。

マンションは別荘を問わず、否応なしに管理費の支払い義務が課せられるので、この点に反論する人はいないでしょう。

居住用マンションの場合、管理費の相場は200円/㎡です。よって、一般的な広さの25㎡のマンションだと、1か月あたりの管理費は下記のようになります。

200円×25/㎡=5,000円

しかし、これが別荘用となるリゾートマンションになれば、グンと高くなり800円/㎡といったものも見られます。

800円×25/㎡=20,000円

リゾートマンションは居住用マンションにはない下記のような共用設備があり、コンシェルジュがいるものまであるため、どうしても管理費が高くなってしまうのです。

  • 温泉大浴場
  • サウナ
  • プール
  • 屋内ジム
  • スキーロッカー

そして、リゾートマンション維持で、管理費と共に忘れてはならないのが修繕積立金です。将来必要になる修繕工事費を確実に確保するために、マンションの所有者には毎月、修繕積立金として修理費の支払い義務が課せられています。

居住用のマンションは先ほどと同じく、200円/㎡前後が相場です。しかし、リゾートマンションは多くの共用設備があるため、その分、修繕積立金も高くなってきます。

共有設備の数にもよりますが、居住マンションの20%から40%増しというのが相場です。そのため最大で10,000円前後の修繕積立金の支払いが必要になってきます。

リゾートマンションは戸建ての別荘と同じく、投げ売りされている物件が多く見られます。これは、間違いなく管理費と修繕積立金の高さが影響してのことです。

利用していないリゾートマンションに毎月30,000円もの費用が掛かるなら、投げ売りしてでも売却したいと考えても不思議ではありませんよね。

死後、子どもに迷惑を掛けたくないから

近年は死後、子どもに迷惑を掛けたくないという理由から、生前に所有する別荘を投げ売るする人も多く見られます。

先にも話した通り、現在の経済事情ではバブル期のように、別荘需要が高いとは言えません。一部の富裕層では需要があるでしょうが、一般家庭では別荘を所有する余裕はまずないでしょう。

そこで問題になってくるのが、別荘の売却です。

別荘に限らず不動産の売却価格は、需要の高さが大きく影響してきます。その点で言えば別荘は一般の居住用不動産よりも、確実に需要は低いのは言うまでもありません。富裕層の購入希望者が現れるような魅力的な物件であれば、買い手を見つけるのも難しくないでしょう。

しかし、現実的には多くの別件が、簡単に購入希望者が現れない状態にああるのが実情です。そのため、いくら値引きしても買い手が見つからない場合には、いくらでもいいから売って欲しいと、投げ売りしてしまうことなるのです。そう考えてしまう背景には、別荘の不動産評価額と実際に売却できる実勢価格に大きな差が生じていることが影響しています。

そのような不動産を子どもに相続させてしまうと、売却できずに維持費支払いだけが続くことが、大きな負担になることは目に見えています。それを回避させたいという思いから、自分の生きている間に何としてでも、売却したいと考える親御さんが多くなっているのです。

別荘の不動産評価額と実勢価格には大きな差が!

一般的に下記のような不動産は、俗称として負動産と呼ばれます。

  • 利用価値がない
  • 維持費だけが発生している
  • 売却しようとしても買い手が見つからない

上記にあげたような別荘はまさに、この負動産と言えるでしょう。

この負動産で問題となってくるのは、上記3つだけではありません。別荘の不動産評価額と実際に販売できる実勢価格に大きな差がある点を忘れてはなりません。

建物と土地の評価額は下記条件を元に、厳正に決定されます。

  • 土地評価額:公的機関が公表している地価評価額(地価公示価格や路線価など)
  • 建物評価額:不動産鑑定士による建物鑑定額

しかし、これら評価額が実際の売却価格となるわけではないのです。不動産売却では不動産評価額を元に売出価格が決定されますが、実際の売却価格はそこから値引きさることが少なくありません。

これは需要の低い不人気物件であるほど、その傾向が強くなってきます。通常相場では買い手が見つからない。購入希望者を募るために、売出価格を下げて注目を集めよう。これは需要の低い不動産物件を売却するために、どの不動産会社でも行われている一般的な販売手段です。

この究極的手段となるのが投げ売りで、不動産評価額が1,000万円の物件が10万円といった、信じられない価格で売却されたケースもあるほどです。

不動産価格が1,000万円でも、市場相場では10円にしかならないでは、どうしようもありませんよね。しかも、この別荘を相続してしまえば、10円にしかならない物件だとしても、不動産評価額となる1,000万円に対する税金の納税義務が発生してしまうのです。

相続しても利用予定がなく、高額な税金支払いが発生してしまう。その上、売りたくても買い手が見つからないでは、相続された方はただの迷惑でしかありません。

これを回避しようと、生きている間に所有している別荘を処分するために、投げ売りに転ずる人が多くなっているというわけです。

別荘を投げ売りしなければならなかった人の口コミ体験談

それでは最後に、投げ売りしなければならなかった人の体験談を紹介します。

将来的に利用予定のない別荘を相続する予定がある人には、特にためになる内容になっているので、よく目を通して対応策を練る際の参考にしてください。

死後、子どもに迷惑かけたくなかった

ある時、所有している別荘のことを子供と話していた時に、子どもから信じられない言葉を聞かされることになったのです。「お父さんの別荘だけは、絶対に相続したくない。」と断言されてしまいました。

死後は子供のために残してやりたいと思っていたのでかなりショックでしたが、利用しなくても、売却すればいくらかのお金になるだろうと思っていた私は、自分の所有する別荘がいくらで売却できるのか、直接、不動産会社を訪れて相談することにしました。

不動産会社が言うには、有名な別荘地にあるわけでもなく、都心部から離れた場所に立地していることから、売出価格を可なあり下げる必要がある上、買い手を見つけるには苦労するとの事だったのです。

そこで相談した不動産会社に仲介を依頼したのですが、待てど暮らせど買い手は見つかりません。さんざん値引きにも対応したのですが、それでも買い手は現れなかったのです。

そこで子供に相談したところ、今ではそういった買い手が付かない物件を専門に扱ってくれる仲介業者がいることを知らされ、早速、インターネットで検索してその専門業者に仲介を依頼することにしました。

その仲介業者は採算度外視で、人助けのために買い手のつかない物件を専門に仲介しているとのことでした。しかし、そこに依頼しても前回と同様に、買い手が見つかることはなかったため、タダでもいいから相手を見つけてくれと依頼したのです。

しかし、タダとなれば贈与税の支払い対象になるため、さらに相手が見つからないと言われ、100円で売り出したところ1週間ほどで買い手が見つかり、やっとのことで別荘を処分することができました。

思い出のある別荘だったので、100円の価値しかないことはショックでしたが、子どもに迷惑を掛けることを回避できたので満足しています。

相続した不動産が負動産だった

親が亡くなったことで、親が所有していた東伊豆の別荘地にある、別荘を相続することになりました。もし不要な場合は売却すればいいと軽い気持ちで相続したのです。

しかし、相続後は全く利用する機会がない上、固定資産税をはじめとする税金以外にも、毎月23,000円ほどの維持費支払いが必要な状態が1年ほど続きました。

税金と維持費の支払いが家計に与える負担は決して小さいものではなかったのです。そこで、地元の不動産会社に仲介を依頼して米客することに決めたのですが、1年を経過しても全く買い手は現れません。

支払い負担に業を煮やした妻とは、この件が原因で揉めることが多くなり、精神的にも負担がかかる時期が続きました。そこで、こういった物件を専門に取り扱っている仲介業者に仲介を変更したところ、大幅な値引きを行ったことで売れなかった別荘に買い手が付いた事例を聞かされたのです。

その物件は最終的に5万円まで売却価格を下げたとのことだったので、一刻も早く維持費支払いから解放されたかった私は、タダでもいいから売りたいと思い切って売出価格を1円に下げました。

すると全く購入希望者が現れなかったのに、あっという間に買い手が見つかったのです。親から相続した別荘をタダ同然で手放すのには抵抗がありましたが、利用しない別荘所有で強いられる維持費支払いから解放されたことで、今では清々した晴れやかな気持ちです。

タダ同然でしたが、売却できて本当に良かったと思っています。

別荘が投げ売りされる理由とは?まとめ

今回は別荘が投げ売りされる理由について解説しました。

別荘を所有するためには購入後資金だけではなく、その後の維持費も念頭に置く必要があります。相続等で購入資金が必要ないといっても、利用する意思がない別荘に維持費を支払っていくことがナンセンスなのは言うまでもありません。

別荘は通常生活に掛かる生活費の他にも、別荘を維持するための資金的余裕が求められます。となれば、資金的余裕がない人にとって、別荘所有は無用の長物でしかないでしょう。

タダでもいいから、一刻も早く別荘を手放したいと考え、投げ売りに走るのもうなづける話です。利用意思のない人にとって、別荘は負動産にしかなりません。別荘の所有は慎重に検討することをおすすめします。

不動産に関するご相談のみも大歓迎!

土地や不動産の売却に関するご相談や不動産に関するお悩みに不動産コンサルタントがお答えいたします。

お急ぎの方は、お電話での無料相談も受け付けております

03-6304-2731毎日 10:00 ~ 21:00

不動産・自宅の売却を検討の方へ最適プランをご案内!

無料査定依頼はこちら