定期的に防水工事が必要な場所はどこ?箇所別に適している工法や劣化症状も解説

防水工事は建物の保護に欠かせません。雨や湿気にさらされる屋上やベランダ、外壁、地下室、そして窓枠などの防水が必要な箇所では、定期的な点検と補修対応が必要です。そのため、一軒家・ビル・マンション・アパートなど物件所有者の方は、建物において防水工事が必要な場所を知っておくと良いでしょう。

本記事では、定期的に防水工事が必要な箇所、施工場所別の適している防水工事の種類、施工場所別の防水工事が必要なタイミングなどについて解説していきます。

定期的に防水工事が必要な箇所とは?

建物の劣化や雨水の侵入を防ぐために防水性能が必要な箇所では、定期的な点検と補修の防水工事対応が求められます。防水工事が必要とされる主な施工箇所は、屋上・平らな屋根、ベランダ・バルコニー、外壁、地下室、窓枠・サッシ周りなどです。以下では、それぞれ確認していきましょう。

  • 屋上・平らな屋根
  • ベランダ・バルコニー
  • 外壁
  • 地下室
  • 窓枠・サッシ周り

屋上・平らな屋根

屋上や平らな屋根は、建物の中でも最も防水性能が重要視される箇所です。特に平らな陸屋根の場合は雨水が排水されないで溜まりやすく、時間が経つと雨漏りの原因となるため、定期的な防水工事が必要です。新築から築10年以上経過した場合や防水層にひび割れが見られる場合には、防水工事の専門業者に依頼して点検を行いましょう。

ベランダ・バルコニー

ベランダやバルコニーも屋外に露出しているため、屋根ほどではないものの風雨にさらされやすい箇所です。ベランダやバルコニーの防水層が劣化してひび割れなどが発生したことにより、階下の部屋で雨漏りしてしまうなどのケースもあります。おおよそ5~8年を目安に、定期的なメンテナンスと点検を防水工事業者に依頼すると様々なリスクを軽減できます。

外壁

外壁は風雨から建物を守る役割を果たしていますが、経年劣化によってヒビやクラックが生じます。ひび割れた箇所の隙間などから水が侵入し、知らず知らずのうちに躯体や建物内部にダメージが生じる恐れがあります。新築から8~10年を目安に、外壁塗装や外壁タイルのメンテナンスをするためにも業者へ依頼して点検を行いましょう。

地下室・コンクリート部分

地下室やコンクリート部分は、地面に接しているため湿気が上がりやすく、地下水位の上昇の影響も受けるので湿気が溜まりやすい箇所です。防水層やコンクリートの経年劣化により、防水性能が不十分になると建物の強度が低下してしまい、深刻な構造的損傷に繋がる恐れがあります。コンクリートの経年劣化や防水層が古くなる前に、定期的な点検でメンテナンスすることが推奨されます。

窓枠・サッシ周り

室外と室内を隔てている窓枠部分やサッシ周りも雨水が侵入しやすい箇所です。シーリング材(サッシ窓・外壁目地にあるゴム状の防水材)やコーキング材(窓枠・外壁など、建物内外の隙間を埋める材料)が劣化すると、窓枠に隙間が生じて雨漏りや結露の原因となるため、定期的に点検した上で劣化症状が確認できた場合は早めに補修工事を依頼しましょう。

このように防水工事が必要な箇所は、屋上、ベランダ、外壁、地下室、窓枠など、建物の様々な部分に及びます。建物外の防水箇所は常に外部環境の影響を受けるため、定期的な点検とメンテナンスによる補修工事を行う必要があります。雨漏りや湿気の侵入を未然に防ぐには、劣化サインを見逃さずに早めの補修防水工事の実施が何よりも重要です。

防水工事が必要な箇所の経年劣化は避けられない

防水工事が必要な箇所、特に屋上、ベランダ、外壁といった場所は、常に外的な環境にさらされているため、経年劣化が避けられません。防水層の形成と保護が完璧に施されていたとしても、紫外線、風雨、気温変動、自然災害などの外的要因によって徐々に劣化は進行します。

以下では、経年劣化の主な原因と劣化を示唆する特徴について確認していきましょう。

紫外線と気象条件による劣化

防水工事が行われている場所は、長期間にわたって紫外線や雨風にさらされます。特に屋上や外壁は、太陽光による紫外線の影響を強く受けるため、トップコートや防水層が徐々に劣化します。また、紫外線によって防水材が硬化して弾力を失うことで、ひび割れや防水性能の低下が起こります。

温度差による膨張・収縮

季節による温度差も建物の防水層に大きな影響を与えます。特に、昼夜や季節ごとの急激な温度変化によって、防水層が膨張・収縮を繰り返し、その結果ひび割れや浮きが発生します。ひび割れや浮きの発生により、雨水が建物内部に侵入するリスクが高まります。

雨や湿気による劣化

平らな場所の場合、防水工事が施されていたとしても何かの拍子に雨や湿気が溜まることが多く、特に防水層の劣化が進むと浸水や雨漏りのリスクが高まります。ベランダやバルコニーでは雨水が滞留しがちで、排水不良や防水材の劣化が進みやすいため、定期的な点検が不可欠です。

定期的なメンテナンスの重要性

防水工事は一度施工して終わりではなく、定期的な点検やメンテナンスが必要です。一般的に防水層の耐用年数は10~15年程度とされていますが、劣化が早まることもあるため、早期の修繕対応が求められます。結果的に防水性能が保持され、建物の寿命を延ばすことに繋がります。

経年劣化は決して避けられませんが、適切な時期に防水層の点検とメンテナンスを行い、必要に応じて補修を加えることで大きな損害を防げます。

施工場所別!適している防水工事の種類

施工場所によって最適な防水工事の工法があります。建物の防水箇所ごとに適切な工事を行うことで、内部への雨漏りや躯体部分の劣化を防ぎ、長期間にわたって防水性能を確保できるようになります。以下では、各施工場所ごとに適している防水工法の種類を紹介します。

施工箇所 ウレタン防水 シート防水 FRP防水 アスファルト防水 シーリング・コーキング
屋上・平らな屋根
ベランダ・バルコニー ×
外壁 × ×
地下室
窓枠・サッシ周り × × ×

屋上・平らな屋根に適している防水工事の種類

ウレタン防水

ウレタン防水は液状の防水材を屋上全体に塗布して施工するため、複雑な形状の屋根や凹凸がある場所でも継ぎ目がないシームレスな防水層を形成できます。軽量なので屋上のような広い面積に施工しても建物への負担が少なく、部分的な補修対応もしやすいのが特徴です。

屋上は紫外線や風雨に常にさらされるので、ウレタン防水の耐用年数を延ばすためにも、5年程度を目安としてトップコートを定期的に塗布する対応が求められます。また、ウレタン防水材は乾燥時間が長く、天候に影響を受けやすいので施工時期を選ぶ必要があります​。

シート防水

シート防水は防水シートを接着剤で貼り付ける工法が主流で、特に平坦な屋上や平らな屋根に最適です。短期間で広範囲を施工できるので工期が短く、紫外線に強く耐久性が高い塩ビシートは、長期間メンテナンスなしで済むため、工事費用を抑えやすいのが特徴です。

一方、シート同士の接合部などが劣化しやすく、5~10年程度を目安に定期的な点検対応が求められます。また、施工する下地が平坦でないとシート防水材がしっかり貼り付けられないため、事前に下地を調整する必要があります。

FRP防水

FRP防水は繊維強化プラスチックを使用する塗膜防水工法で、非常に軽量で強固な防水層を形成します。耐水性、耐食性、耐候性、耐薬品性が高く、屋上駐車場など強度が必要な場所にも適しているという特徴があります。

硬化が早く、工期が短いのが利点ですが、紫外線にはやや弱いため、日光にさらされる屋上では劣化が進行しやすいです。防水層を守るためにもトップコートによる保護が必要で、5~8年程度を目安に定期的なメンテナンス・補修対応が求められます。また、FRP防水の施工中には臭気が発生するため、住宅地では近隣への配慮が求められます。

アスファルト防水

アスファルト防水は、液体状のアスファルトを合成繊維不織布に染み込ませてコーティングしたルーフィングシートを使用する防水工法です。紫外線や風雨などに強いので耐久性が高く、耐久年数が20年以上なので長期間にわたって防水性能を発揮できるのが特徴です。特に大型の建物や商業施設のような面積の広い屋上に適しており、信頼性の高い防水工法です。

高温でアスファルトを溶かす工法で行うことが多く、施工時に臭気や煙が発生してしまうため、周囲環境への影響を考慮する必要があります。また、施工後のアスファルト防水層は重いため、軽量構造の建物の屋上には構造上の関係で不向きです。

ベランダ・バルコニーに適している防水工事の種類

ウレタン防水

液状のウレタン防水材を用いるウレタン防水は、狭くて複雑な形状のベランダやバルコニーなどにも柔軟に対応可能で、シームレスで継ぎ目のない仕上がりの防水層を形成できます。非常に軽量なので建物に負荷をかけない点もベランダやバルコニーに最適な特徴です。

直射日光の紫外線などに弱く、ベランダやバルコニーに施工されたウレタン防水は劣化が進行しやすいため、5年程度でトップコート塗装を定期的に再施工して劣化を防止する必要があります。また、施工時には塗膜の防水材の乾燥に要する時間が長いため、品質を保持するためにも十分な養生期間の確保が求められます。

FRP防水

液状の塗膜防水材を用いるFRP防水は強度と耐久性に優れており、ベランダやバルコニーのように人が頻繁に出入りする場所に適しています。ウレタン防水と同様に液状の塗膜防水ですが、FRP防水の場合は施工後の硬化が早いため、短期間で施工が行えるという特徴があります。耐衝撃性、耐摩耗性、耐水性、耐食性、耐候性、耐薬品性など、幅広い耐性を持ち合わせています。

弱点としては紫外線にやや弱いため、5~8年ごとに防水層へトップコート塗布を行うなど、定期的なメンテナンス対応が求められます。また、FRP防水は施工中に発生する独特な刺激臭が問題となるので、マスクの着用、換気を十分に行う、一時的な避難場所の確保といった対策が必要です。

シート防水

塩ビシートなどを用いるシート防水は平坦なベランダやバルコニーにも適しており、塗膜防水系と比較すると短時間で広範囲を施工できる特徴があります。また、紫外線や耐候性にも優れているため、基本的に定期的なメンテナンスの頻度や手間も少ないです。

下地が不十分だとシートが浮いたり剥がれたりすることがあるため、施工前の下地処理が欠かせません。​また、ベランダやバルコニーに複雑な形状や凸凹がある場合、施工が難しくなるほか、接合部などから防水性能の劣化が進行しやすいです。メンテナンス頻度は少ないものの、接合部分などの劣化状況は数年おきに確認する必要があります。

外壁で防水工事に適している防水工事の種類

外壁用防水シート

外壁用防水シートは、サイディングやモルタル外壁の下から外壁全体を覆うことで、雨水や湿気から建物を保護する役割を果たし、外壁や躯体部分の劣化を防ぎます。外壁の広い面積を一度に施工できるほか、耐候性に優れているので紫外線や風雨に強い防水性能を発揮します。

一方で、シートの継ぎ目が外壁の凹凸部分で劣化しやすく、定期的な点検とメンテナンスが必要です。高品質な防水シートはコストが高くなりますが、耐久性や防水性能に優れているため、長期的なメンテナンス費用を削減できる可能性があります。

シーリング・コーキング

シーリングやコーキングは、外壁のひび割れや窓枠周りの隙間を埋めるための補修方法で、雨水の侵入を防ぎます。窓枠の隙間や外壁の継ぎ目・ひび割れなどを埋める作業全体を指す名称として、シーリングは総称的に使われることが多いですが、そのうちのペースト状の不定形シーリング材(コーキング材)を使用した施工がコーキングと呼ばれます。同じ材料でもメーカーによってはシーリングであったり、コーキングと商品名に付けている場合がほとんどなため、特に気にする必要はありません。

シーリングやコーキングは紫外線に弱く、長期間の紫外線照射によってコーキング材が劣化し、剥がれたり、色が変わったりします。特に屋外のシーリングやコーキングは、紫外線にさらされることが多いため、定期的なメンテナンスが必要です。5~10年程度を目安に定期的な補修を行うことで防水効果を維持できます。

ウレタン塗装

ウレタン塗装は、外壁の美観を保ちながら防水性と柔軟性を提供します。ウレタン塗装は「防水工事」よりも「塗装工事」としての性質が強く、外壁の保護や美観を保つ目的が大きいです。防水効果はありますが、主に外壁塗装の選択肢として外壁の補強・美観保持に使用され、耐久性が高い防水層を形成するわけではないため、防水工事としての役割は限定的です。

地下室に適している防水工事の種類

改質アスファルト防水

改質アスファルト防水は、地下室のように湿気や浸水のリスクが高い場所に適した工法です。アスファルトに高分子材料を加えることで、耐久性や耐候性を向上させており、長期間の防水性能を維持できるため、頻繁な補修やメンテナンスが不要です。とはいえ、定期的な点検の実施が推奨されます。

改質アスファルトシートを施工する際、トーチ工法では臭気や煙が発生します。常温粘着工法では下地の処理が重要で、ゴミや油分などを綺麗に取り除く必要があります。機械固定工法では騒音が発生するので施工場所や環境に応じた工法選択が必要です。そのため、住宅地などでは近隣への配慮が求められます。

シート防水

シート防水は、地下室の防水において効果的な工法であり、広範囲に迅速に施工できるため、特に平坦な面での使用に適しています。耐久性や耐候性の高さ、湿気への強さが特徴であり、地下環境における湿気や地下水の侵入を効果的に防ぎます。

ただし、シートの接合部分や下地の状態が重要で、適切な処理が行われていないとシートが浮いたり剥がれて防水性能が損なわれるため、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

塗膜防水

塗膜防水は、液状の防水材を塗布して継ぎ目のないシームレスな防水層を形成する工法で、地下室のように湿気や水分の侵入が懸念される場所に最適です。柔軟性が高く、凹凸のある構造や複雑な形状にも対応できるため、壁と床の接合部分やコーナー部分にも隙間なく対応できます。

乾燥時間が長いことや紫外線に弱いという欠点があるものの、適切な施工と定期的なメンテナンスにより、地下室全体の防水性能を長期間維持できます。

シーリング・コーキング

シーリング・コーキングは、地下室の配管周りや窓枠、壁の隙間やひび割れ部分などに使われる局所的な防水対策として効果的です。地下室の配管周りや窓枠、壁の継ぎ目やひび割れ部分は水分や湿気の侵入口となることが多いため、隙間を埋めることで水分や湿気の侵入を防いで結露や浸水リスクを軽減できます。また、施工が簡単でコストパフォーマンスに優れ、補修も容易です。

ただし、シーリングやコーキングは耐用年数が短く、5年程度で劣化するので定期的なメンテナンスが必要です。また、地下室全体の防水をカバーする工法ではないため、塗膜防水やシート防水などの他の防水工法と併用して防水性能を高めることが一般的です。

窓枠・サッシ周りに適している防水工事の種類

シーリング・コーキング

窓枠やサッシ周りは、雨水や湿気が浸入しやすい箇所のため、シーリングやコーキングによる防水対策が最も効果的です。シーリング材は建物の動きや経年劣化に対応可能で、小さな隙間をしっかりと埋めるため、外部からの水分の侵入を防ぎます。

シーリング材には、シリコン系、ウレタン系、アクリル系などの種類があり、使用環境や外部条件に適したものを選んで施工します。特に、紫外線に弱い材料は劣化が早く進むため、定期的な点検が求められます。

5年程度を目安に点検を行い、必要に応じて補修を行うことで防水効果を維持できます。また、湿度や気温が高い時期や極端に寒い時期には施工が難しいため、適切な条件を選んで施工を行う必要があります。

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以上が、各施工場所に適した防水工事の種類と特徴です。それぞれの場所の条件や使用状況に応じた最適な選択をすることが、建物における防水性能の長持ちに繋がります。

施工場所別!防水工事が必要な劣化状況を示す症状

防水工事は、建物の保護や雨漏り防止のため、適切なタイミングで実施することが重要です。施工場所ごとに防水工事が必要な劣化状況を示す症状について見ていきましょう。

屋上・平らな屋根で防水性能が劣化している症状

ひび割れや膨れ、剥がれといった症状が表面に発生している場合、屋上・屋根の防水層に問題がある兆候です。劣化のサインとしては、表面に見られるひび割れや膨れが挙げられます。ひび割れは、雨水の浸入を許してしまい、屋根内部の躯体を弱める可能性があります。

膨れは、防水層の内部に水分が入り込み、下地と層の間で水が蒸発することで膨張し、防水性能が低下していることを示します。また、屋根に水たまりが発生する場合も、排水不良や防水層の劣化が疑われます。剥がれが発生すると、防水層が機能を果たしていない証拠となり、早急な修理が必要です。

屋上の防水層の耐用年数は工法によりますが、10~15年程度が一般的です。定期的な点検や補修を行い、ひび割れや浮きが見られた場合には、早急に防水工事を実施することが推奨されます。

ベランダ・バルコニーで防水性能が劣化している症状

ベランダやバルコニーの防水層で色あせやひび割れが発生している場合、防水性能が低下している初期のサインです。特に、防水層の上の保護層が紫外線などで劣化している場合、トップコートの再塗装が必要となります。

また、防水層が膨れていたり、剥がれている場合は、防水層全体の修理が求められます。ベランダに水たまりができると、排水不良や防水層の劣化が原因となっていることが多く、適切なメンテナンスが必要です。

ベランダやバルコニーは、5~10年を目安に防水層の状態を定期的に点検し、ひび割れの発生など防水性能の低下が見られる場合には、早急に補修防水工事を依頼することが推奨されます。

外壁で防水性能が劣化している症状

外壁は風雨にさらされやすいため、防水層の劣化が進みやすい部分です。外壁にひび割れが見られる場合、そこから雨水が浸入する経路となり、建物の躯体部分や室内に悪影響を与えるリスクがあります。

また、窓枠やサッシ周りのシーリングが劣化し、剥がれたり、隙間ができている場合も要注意です。シーリングの劣化は、外壁全体の防水性能の低下を示すため、定期的な点検と修繕が必要です。

外壁の防水性能を維持するためにも必要な修繕は、10~15年に一度程度の塗装や補修工事を行うことが一般的です。

地下室で防水性能が劣化している症状

地下室において湿気や結露が頻繁に発生している場合、いずれかの場所で防水性能が低下している可能性があります。壁や床に水染みや水漏れが見られると、外部からの水分が地下室に侵入しているサインです。

また、基礎部分にひび割れが発生している場合、隙間から水が浸入して建物全体の構造に悪影響を与える可能性もあります。5~10年を目安に定期点検を行い、こうした劣化サインが見られた場合は、早急に防水工事を依頼することが推奨されます。

窓枠・サッシ周りで防水性能が劣化している症状

窓枠やサッシ周りにおいてコーキングの剥がれや隙間が発生している場合、雨水が内部に浸入しやすくなっている劣化症状です。窓枠やサッシの劣化部分からの浸水により、内部の木材や壁材が腐食するリスクが高まります。

窓枠やサッシ周りのコーキング材は5~10年を目安に劣化が進むため、定期的に点検を行った上で劣化が見られた場合は早めに補修工事を依頼することが推奨されます。防水性能が失われる前にコーキングを補修すれば、予期せぬ雨漏りなどの発生を防げます。

防水工事や修繕が必要なタイミングを見逃さないためには、各防水場所の劣化状況を確認することが重要です。防水層などの劣化症状を早めに把握できるよう、定期点検を実施した上で適切なメンテナンスや補修を行いましょう。

必要箇所の防水工事を成功させるための注意点

防水工事を成功させて長期にわたり建物を保護するには、依頼前から施工後までの一連の流れを理解した上で、適切な準備と管理が必要です。以下は施主が注意すべきポイントです。

  1. 防水工法を理解する
  2. 下地処理の重要性を理解する
  3. 見積もりと施工内容の確認
  4. 業者選びのポイント
  5. 工事後の保証とメンテナンス計画
  6. 工事前の準備と日程確認
  7. 工事前後の施工場所の確認

防水工法を理解する

防水工事を依頼する際、まず重要なのは防水工法の違いを理解しておくことです。例えば、屋上や平らな屋根にはウレタン防水やシート防水、ベランダにはウレタン防水やFRP防水、地下室には湿気や水圧に耐えられる塗膜防水やアスファルト防水がよく使用されます。

防水工事の内容や耐久性に影響を与えるため、業者から提案された工法について説明を受け、自分の建物に最適な選択をしましょう。防水工法の理解を深めることで、費用と効果のバランスも把握しやすくなります。

下地処理の重要性を理解する

防水工事の成功のカギは、施工前の下地処理です。下地が汚れていたり、湿気が残ったままでは防水材が正しく接着せず、結果的に防水層が短期間で劣化してしまうリスクがあります。特に事前の下地の清掃・乾燥は重要な工程です。業者に下地処理の具体的な手順や、必要な場合は下地の補修も含めて対応してもらうことを確認しましょう。

見積もりと施工内容の確認

複数の業者から見積もりを取り、それぞれの施工内容をしっかりと確認しましょう。見積もりでは、防水工事の費用だけでなく、使用する防水材や各項目も確認することが重要です。低価格の工事は魅力的に見えるかもしれませんが、劣化が早い安価な材料を使用している可能性もあるため、コストパフォーマンスを総合的に評価して選ぶようにします。

また、見積もりに含まれていない追加費用の発生有無も事前に確認しておくと安心です。工事途中で想定外の追加作業が必要になった場合などは、対応する前に施主へ費用が発生する旨を伝え、了承を得てから作業をすることが一般的です。

業者選びのポイント

防水工事の成否は業者選びに大きく左右されます。経験豊富な業者かどうか、過去の施工実績や口コミを参考にして信頼性を確認しましょう。また、業者とのコミュニケーションも大切です。自分の要望や不安を丁寧に聞いてくれるか、工事の詳細をわかりやすく説明してくれるかどうかも、良い業者を見極めるポイントです。アフターケアや保証内容の充実した業者を選ぶことも、施工後の安心感につながります。

工事後の保証とメンテナンス計画

防水工事は一度行えば永続的に効果があるわけではなく、定期的なメンテナンスと補修対応が必要です。工事後の保証期間や、定期点検などのアフターサービスがあるかを事前に確認しましょう。防水工事における保証期間の目安としては、改修工事の場合で5年、新築工事の場合で最長10年が一般的です。

特に屋上やベランダの防水層は5~10年ごとに点検し、劣化の兆候が見られる場合は早めの補修を行うことで、長期的な防水性能を維持できます。発注段階で長期的なメンテナンス計画を業者と共に立て、建物の耐久性を維持しましょう。

工事前の準備と日程確認

防水工事を成功させるためには、施工時期の選定も重要です。特に、湿度が高い梅雨の時期や、気温が低すぎる冬季の施工は避けるべきです。塗膜防水の場合、気温や湿度の影響で防水材が適切に硬化しないことがあり、効果が半減する恐れがあります。業者に相談しながら、天候や気温に適した時期に工事を進めましょう。

また、工事によっては一時的に居住環境が制約される場合もあるため、生活への影響についても事前に確認しておくとスムーズです。

工事前後の施工場所の確認

防水工事が始まる前に、施工場所の状態を確認して写真を撮っておくと、工事後に比較する際に役立ちます。工事後も同じ場所を確認し、どのように改善されたかを見比べることで、防水工事の効果を実感できます。また、防水工事後に不具合が発生した場合は、すぐに業者に連絡を取り、対応を依頼しましょう。

防水工事の依頼時には、以上の注意点をしっかり押さえて対応すれば失敗しにくくなるでしょう。信頼できる業者を選び、綿密なコミュニケーションを取ることが、安心して暮らせる環境を整えるためのカギとなります。

まとめ

今回は、定期的に防水工事が必要な箇所、施工場所別の適している防水工事の種類、施工場所別の防水工事が必要なタイミングなどについて解説しました。

防水工事は、建物の風雨にさらされる様々な場所において重要な役割を果たします。特に、屋上やベランダ、地下室など、雨水や湿気の影響を受けやすい箇所では防水対策が必須です。それぞれの箇所に応じた防水工法を選定し、適切な下地処理が行われた上で施工することで、建物の耐久性を大幅に向上させられます。

さらに、定期的なメンテナンスを行うことで、防水層と建物の劣化を防ぎ、大規模な修繕工事の発生を避けやすくなります。防水工事が必要な箇所を正確に把握した上で、早めの対策を講じることが、快適な住環境と資産価値の維持に繋がります。

風雨などの影響から建物を守るためにも、防水工事が必要な箇所は定期点検を行い、建物全体の長寿命化を目指して計画的な防水工事の実施を心がけましょう。