防水工事の部分補修で屋上やベランダの防水劣化は直せる?工法別の補修方法なども解説

部分補修の防水工事だけで、屋上やベランダの防水劣化は直せるのでしょうか?防水層の部分補修という選択肢は、全面的な防水工事に比べてコストと時間を大幅に節約できる上、劣化の進行を遅らせて建物を守ることが可能です。

本記事では、部分補修で屋上やベランダの防水性能の劣化を直せるのか、部分補修・全面補修どちらが最適か判断する基準、部分補修工事のメリットとデメリットなどを詳しく解説します。

防水層の劣化を進行させないために部分補修は有効

部分補修で屋上やベランダの防水性能の劣化を直せる

屋上やベランダなどの防水層は雨や湿気から建物を保護してくれますが、時間と共に劣化して防水の性能が低下します。防水層の劣化を防ぐためには、定期的な部分補修などが非常に有効な手段となります。

防水層を正常な状態で保つには定期的な補修が重要

防水層の劣化は、そのまま放置すると建物全体の損傷につながってしまいます。そのため、防水層を正常な状態で保つためには、定期的な補修を行う必要があります。補修作業では、防水層の表面を清掃し、亀裂や穴を埋めるように防水層を修繕する作業などが行われます。劣化部分を新しくしたりコーティング剤(保護塗料)を塗布することにより、防水層の性能を維持して建物を保護します。

劣化の進行度合いによっては全面の補修工事が必要

しかし、長期間の経年劣化によって防水層の劣化が進行しすぎている場合、部分補修だけでは対応できないことがあります。防水層の劣化度合いが酷かったり、耐用年数を超過しているような劣化状況の場合には全面的な補修工事が必要です。全面的な補修工事では、既存の防水層を完全に取り除いて新しい防水層を施工することにより、建物全体の防水性能を完全に回復させます。

部分補修・全面補修どちらが最適か判断する基準

防水層の補修工事を検討する際、部分補修と全面補修のどちらが最適かを判断するための目安となる基準は以下の3つです。それぞれの項目について確認していきましょう。

  1. 施工からの経過年数
  2. 破損部位の大きさ
  3. 防水層などの劣化状況

施工からの経過年数

防水層の補修において最初に考慮すべきは施工からの経過年数です。防水工事の施工方法によっても多少異なりますが、防水層の寿命目安は10年から15年程度とされています。耐用年数を大幅に過ぎると、防水層の劣化がかなり進行している恐れがあるため、状況によっては部分補修ではなく全面補修を行うことが推奨されます。

防水工法別の耐用年数の目安

施工方法 耐用年数 主な施工箇所
ウレタン防水 10年 全て
FRP防水 10年 ベランダ
ゴムシート防水 10~15年 屋上
塩ビシート防水 10~20年 屋上
アスファルト防水 15~25年 ビル屋上

破損部位の大きさ

次に考慮すべきは、防水層などにおける破損部位の大きさです。破損部位が小さく特定の場所に限定されている場合、基本的には部分補修で対応可能です。しかし、破損部位が広範囲に及んでいる場合、全面補修が必要となることが多いです。

防水層などの劣化状況

最後に、防水層の劣化状況から部分補修か全面補修かを判断します。防水層の劣化は、見た目だけでなく防水性能の低下にもつながります。防水層の一部表面に亀裂や剥がれが見られる程度の場合、近年の技術では部分補修でほとんど対応可能です。しかし、施工方法の耐用年数を超えていて劣化が著しく、防水性能が大幅に低下している場合は全面補修が必要となります。

防水層の補修を判断する際の基準は、施工からの経過年数、破損部位の大きさ、防水層の劣化状況の3つです。業者はこれらの基準を元に部分補修と全面補修のどちらが最適かを判断します。そのため、信頼できる業者に依頼すれば建物を長期間にわたり保護できるでしょう。

部分補修の防水工事を行うメリット・デメリット

劣化や損傷してしまった箇所に部分補修の防水工事を行う場合、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • トータルでかかる防水工事の費用が安く済む
  • 工期完了までの時間が早く、生活に影響が出にくい
  • 売却前に部分補修を行っておけば資産価値が高まる
  • 突然の雨漏りなど不快な思いをする前に対策できる

トータルでかかる防水工事の費用が安く済む

全面補修に比べて必要な材料や作業時間が少ないため、部分補修はトータルでかかる防水工事費用が大幅に抑えられます。結果的に少ない予算内での防水工事の対応が可能となり、経済的な負担を軽減することができます。

工期完了までの時間が早く、生活に影響が出にくい

部分補修は全面補修に比べて工事期間が短く済むため、生活への影響が出にくいという大きなメリットがあります。そのため、日常生活を続けながらの防水工事でもストレスは少なくなります。

売却前に部分補修を行っておけば資産価値が高まる

建物の売却を考えている場合、事前に部分補修を行っておけば物件の資産価値を高めることができます。建物の維持管理が行き届いている証としてアピールポイントになるためです。

突然の雨漏りなど不快な思いをする前に対策できる

防水層が致命的な劣化状況へと変化する前に部分補修を行うことで、突然の雨漏りなどの不快な状況を未然に防げます。予期せぬ水漏れによって屋根や建物内部が傷む心配もなく、快適な生活環境を維持することができます。

デメリット

  • 10~15年以上経過している場合、全面補修のほうが良い
  • 専門的な知識や技術が必要なのでDIYの補修だと不十分
  • 新旧の素材で見た目に統一性がなくなる場合が多い

10~15年以上経過している場合、全面補修のほうが良い

施工方法にもよりますが、防水層の寿命は約10年から15年程度が目安となっており、耐用性に優れた防水材や工法でも約20~25年程度とされています。耐用年数を大幅に過ぎている場合、防水層全体の劣化が進んでいる可能性が高いため、部分補修ではなく全面補修を行ったほうが確実です。

専門的な知識や技術が必要なのでDIYの補修だと不十分

防水工事には専門的な知識や技術を必要とするため、DIYでの補修は不十分になる可能性が非常に高いです。場合によっては悪化することもあるので、屋根の場合は必ず専門的な防水工事業者に依頼するようにしてください。施工実績が豊富な防水工事の専門業者に依頼すれば、適切な補修が行われて防水性能が確保されます。

新旧の素材で見た目に統一性がなくなる場合が多い

部分補修を行うと新旧の素材が混在するため、屋根や壁などで見た目に統一感がなくなってしまうことが多いです。特に外観を気にする場合には注意が必要です。

ウレタン塗膜防水の劣化サインと部分補修方法

ウレタン塗膜防水は、その優れた耐久性と防水性能から広く利用されています。しかし、いくら優れていても経年劣化や物理的なダメージにより劣化することは避けられません。以下では、ウレタン塗膜防水の劣化サインと部分補修方法について解説します。

劣化サイン

ウレタン塗膜防水の劣化サインには、以下のような症状があります。

  • チョーキング現象
  • ふくれや浮き
  • ひび割れや亀裂
  • トップコートの劣化や色あせ

チョーキング現象

チョーキング現象は、ウレタン塗膜防水の表面が長年の紫外線や雨風によって劣化し、手で触ると白い粉が付着する症状です。塗膜の表面が劣化し始めている最初のサインであり、放置すると塗膜全体の劣化を招き、防水性能の低下につながります。

ふくれや浮き

防水層と基礎との間に空気や水分が侵入して劣化が進行すると、ウレタン塗膜防水がふくれたり浮いたりします。ふくれや浮きが発生する症状は、防水層と下地の接着力が低下している証拠であり、放置すると防水層の剥がれや雨漏りにつながります。

ひび割れや亀裂

ウレタン塗膜防水の表面にひび割れや亀裂が生じる症状は、防水層表面のトップコートで劣化が進行している証拠です。防水層表面のトップコート自体に防水効果はないので雨漏りの心配は低いですが、放置し続けると劣化が進行してしまい、水の侵入につながります。

トップコートの劣化や色あせ

トップコートの劣化や色あせは、紫外線や雨風による劣化の一部とも言える症状です。トップコートには紫外線などから防水層を保護する役割がありますが、トップコートの劣化は防水層の保護機能が低下していることを示しています。色あせ自体は防水性能に直接影響を与えませんが、症状が見られると塗膜全体の劣化につながります。

ウレタン塗膜防水でこれらの劣化サインが見られた場合、防水工事業者などに依頼して定期的な点検とメンテナンスを実施した方が良いでしょう。

部分補修方法

ウレタン塗膜防水工法の部分補修は、以下の手順で行います。

  1. 補修が必要な部分の撤去
  2. 表面清掃
  3. 下地調整
  4. プライマー塗装・塗布
  5. ウレタン防水塗料の塗装
  6. 仕上げのトップコート塗装

補修が必要な部分の撤去

まずはじめに補修工事が必要な部分を特定した後で、塗り重ねしない場合は該当箇所の劣化・損傷したウレタン塗膜防水層などを撤去します。この作業は、新しい防水層をしっかりと下地に密着するためにも必要不可欠な工程です。塗り重ねする場合は、既存防水層の表面をきれいに洗浄すれば撤去作業を省けるため、効率的に施工を行うことができます。

表面清掃

劣化・損傷した部分のウレタン塗膜防水層の撤去作業を行った後は、表面のほこりや汚れなどを取り除きます。補修が必要な部分を撤去せずに塗り重ねで施工する場合は、高圧洗浄機を使用して細かいひび割れや隙間に入り込んだ汚れをしっかり取り除き、乾燥させた後で既存の防水層の上に重ねて施工していきます。

下地調整

防水層の表面をきれいに清掃した後は下地の調整を行います。下地調整は補修部分の密着性を高めるために行う大事な作業です。補修部分の表面が平滑になるように、必要に応じてモルタルや下地調整材などで下地を補修して仕上げます。

プライマー塗装・塗布

下地の調整をした後はプライマーの塗装や塗布を行います。プライマー塗料には、ウレタン塗膜と下地との密着を促進し、下地を補修・補強するための役割を持っています。プライマーは均一に薄く塗布することが大切で、ブラシやローラーを用いて塗装します。プライマーを塗布すると、下地の小さな凹凸部分を埋めてくれるため、滑らかな表面を作り出して防水性能が長持ちします。

ウレタン防水塗料の塗装

プライマーが十分に乾燥したら、防水層となるウレタン防水塗料の塗装や塗布を行います。表面にウレタン防水材の塗料を均一に塗装・塗布するためにローラーや吹き付けのほか、細かい場所を塗装する際は刷毛などを用いて行われます。今回の工程で新たな防水層が形成完了となります。

仕上げのトップコート塗装

仕上げに、新たな防水層の上からトップコートを塗装して補修作業は完了です。トップコートは表面仕上コート材やオーバーコートとも呼ばれ、UV保護層として機能するのでウレタン防水塗膜の耐久性の向上、長期間にわたって防水性能を維持させる重要な役割があります。色付きのトップコートを使用すれば、防水層を保護しながら美観を向上させることもできます。

シート防水の劣化サインと部分補修方法

シート防水は建物の屋根や外壁などに使用される防水材の一種で、デザイン性に優れていながらも長期間にわたり建物を水漏れから守れる耐久性を持っています。しかし、10~20年という年月の経過と共に紫外線や温度変化、物理的なダメージなどでシート防水材も劣化していきます。以下では、シート防水の劣化サインと部分補修方法について解説します。

劣化サイン

シート防水の劣化サインには、以下のような症状があります。

  • シートの色褪せ
  • シートの浮き・めくれ
  • シートの接合部や端部の剥がれ
  • シートの破れ・ひび割れ

シートの色褪せ

シート防水材の色褪せは、強い日差しによる紫外線や風雨などの天候による影響が最も大きな原因です。特に強い日差しを受ける屋上やバルコニーの防水シートは色褪せやすいです。色褪せ自体が防水性能を直接低下させるわけではありませんが、紫外線などによる劣化の進行を示しています。徐々にシートの劣化が進み、最終的には防水性能が著しく低下します。

シートの浮き・めくれ

シート防水材の浮きやめくれは、シートで経年劣化が進行していることを示しています。経年劣化によってシートは収縮したりするため、下地との密着性が落ちることでシワやヨレのほか、膨れや浮きなどの症状が発生します。また、防水層と下地の間に水気が溜まると蒸発して水蒸気になり、防水層が押し上げられて「膨れ」と呼ばれる現象も発生します。

浮き・めくれといった劣化症状を放置すると、水の蒸発による体積膨張で防水層が水膨れのような状態になって下地との間に隙間ができてしまいます。防水層の伸縮などによってもシートに破れや伸びたままなどのダメージが生じてしまい、防水性能が低下して問題を引き起こす可能性が生じます。

シートの接合部や端部の剥がれ

防水シート相互の接合部や端部で剥がれが発生している場合は、深刻な劣化サインと言える症状です。接合部や端部はシート全体の中でも負荷がかかりやすく、シートが剥がれるなど劣化しやすい部分です。剥がれが発生すると、防水性能が低下して水の侵入経路の原因となります。

シートの破れ・ひび割れ

シート防水材のひび割れは、シートが乾燥や劣化などによって硬化し、細かい亀裂が入る症状です。シートの破れ・ひび割れの発生はシート防水層の防水性能が大幅に低下していることを示しています。破れやひび割れから雨水が侵入すると、防水材を通り抜けて建物の下地が湿ってしまい、カビや腐朽の原因となります。

シート防水でこれらの劣化サインが見られた場合、防水工事業者などに依頼して定期的な点検とメンテナンスを実施した方が良いでしょう。

部分補修方法

シート防水工法の部分補修は、以下の手順で行います。

  1. シートの剥がれや浮きは熱溶着で補修
  2. シートの膨れは脱気筒を設置
  3. シートのひび割れにはパッチ処理

シートの剥がれや浮きは熱溶着で補修

シート防水材で剥がれや浮きが発生した場合は、熱溶着による補修を行います。熱溶着とは、特殊なヒーターを使用してシート防水材を溶かし、再度固めることで接着力を回復させてシートを下地に再度固定する方法です。この方法は、シートの剥がれや浮きが小規模である場合に特に効果的です。

シートの膨れは脱気筒を設置

シート防水材が膨れている場合、脱気筒を設置してシート内部の水蒸気を排出します。建物の屋上に並んでいる銀色の筒のようなものが脱気筒と呼ばれる製品です。防水層と下地の間に留まってしまった水蒸気を排出する大事な枠割があります。

シートのひび割れにはパッチ処理

シート防水材のひび割れが見られる場合、ひび割れた部分に新しいシートを貼り付けて防水性能を回復させるパッチ処理という方法で補修を行います。パッチ処理による部分補修方法は、ひび割れが小規模である場合に特に効果的ですが、長期的には防水シート全体の交換を検討することが推奨されます。

アスファルト防水の劣化サインと部分補修方法

アスファルト防水は、耐久性とコストパフォーマンスからビルのように大きな建物の屋根などに使用されており、躯体への水分侵入を防ぐ重要な役割を果たしています。しかし、環境要因や15~25年という時間の経過と共に防水層は劣化し、その防水性能が徐々に低下していきます。以下では、アスファルト防水の劣化サインと部分補修方法について解説します。

劣化サイン

アスファルト防水の劣化サインには、以下のような症状があります。

  • アスファルトの保護塗料の消失
  • アスファルトが目に見える形で膨張・口開き
  • アスファルトのひび割れや破断

アスファルトの保護塗料の消失

アスファルト防水の表面には、紫外線や酸化(酸性雨・酸性雪)のほか、排気ガスに含まれる化学物質から防水層を保護するための塗料が塗られています。長期間の紫外線照射や気象条件の影響で保護塗料が剥がれたり、消失したりすると、防水層自体が直接外部環境に晒されるので劣化が加速します。

高日射反射性塗料をはじめとする保護塗料の消失は、色あせや表面の粉状の物質が手に付くなどの形で確認できます。このような症状が見られた場合、防水層の劣化が進行している可能性があります。必要に応じて保護塗料を再塗装することで、アスファルト防水の寿命を引き延ばせます。

アスファルトが目に見える形で膨張・口開き

アスファルト防水が明らかに大きな範囲で膨張していたり、口開きと呼ばれる開口部が露出している状態は、防水層が適切に機能していない明確な証拠です。雨などの水分が防水層の下に侵入しており、蒸発して水蒸気になった結果、膨張で防水層が押し上げられて下地から離れるといった症状が発生します。

このように、防水層の接着力が低下して下地との間に隙間が生じると、膨張・口開きによって防水性能だけでなく建物の駆体などへも悪影響を及ぼします。対策方法としては、防水層の下に溜まった水蒸気を排出するための脱気筒(脱気装置)の設置などがあります。

アスファルトのひび割れや破断

アスファルト防水の防水層がひび割れたり破断したりするのは、熱膨張・乾燥収縮による防水層の経年劣化によるものです。ひび割れや破断は、防水層の表面に亀裂が見られる、または防水層が部分的に欠けているといった形で視認できます。アスファルト防水にひび割れや破断といった明確な劣化症状が発生すると、雨などの水が建物内部に侵入する主な経路となります。

部分補修方法

アスファルト防水の部分補修では、かぶせ工法(非撤去工法)で行われることが多いです。かぶせ工法は、既存の防水層を撤去せずに新しい防水層を上から被せる方法で、工事期間の短縮やコストの削減が可能です。

アスファルト防水の部分補修は、以下の手順で行います。

  1. アスファルトの点検・清掃
  2. アスファルト防水層の下地調整
  3. アスファルト防水材の敷設
  4. アスファルト防水材の圧着
  5. アスファルト防水層の仕上げ

アスファルトの点検・清掃

まず、既存のアスファルト防水層の状態を点検します。補修が必要な部分を特定し、その周辺を清掃します。清掃は、新しいアスファルト防水材がしっかりと接着するために必要な作業です。

アスファルト防水層の下地調整

次に、補修する部分の下地を調整します。下地が不均一だと新しいアスファルト防水層がうまく接着しないため、必要に応じて平滑化します。

アスファルト防水材の敷設

下地調整が完了したら、新しいアスファルト防水材を敷設します。かぶせ工法(非撤去工法)の場合、アスファルト防水材は既存の防水層の上に直接敷設されます。

アスファルト防水材の圧着

アスファルト防水材を敷設した後、ローラーなどを使用して圧着します。圧着により、アスファルト防水材がしっかりと既存の防水層に接着し、水の侵入を防ぎます。

アスファルト防水層の仕上げ

最後に、アスファルト防水材の上に保護材を敷設して仕上げます。保護材により、新しいアスファルト防水層が外部からのダメージから守られます。

かぶせ工法(非撤去工法)は既存の劣化した防水層が残って負荷がかかるため、耐震性が十分ではない建物への施工には注意が必要というデメリットがあります。かぶせ工法(非撤去工法)で補修しても雨漏りが繰り返すという状況には、劣化したアスファルト防水層を撤去して新たな防水を施工する撤去工法がおすすめです。

防水工事を部分補修で行う場合のポイント

劣化してしまった防水層の部分補修は、全面的な工事に比べてコストを抑えられるメリットがありますが、その分、施工の際には細心の注意を払う必要があります。

以下では、防水工事で部分補修を行う際の重要な4つのポイントについて解説します。基本的に防水工事業者が対応する作業ですが、それぞれについて確認していきましょう。

  1. 劣化状況の程度や面積の正確な把握
  2. 工事を行う部分付近の下地状態の確認
  3. 部分補修として適切な材料の選定
  4. 正しい施工方法による補修工事の実施

劣化状況の程度や面積の正確な把握

防水層の部分補修を成功させるためには、まず劣化の程度と補修が必要な面積を正確に把握することが不可欠です。防水層の劣化の程度を見極めるには、以下のような点をチェックします。

ひび割れの有無と大きさ

微細なひび割れから大きなものまで、防水層の劣化程度と劣化している範囲を確認します。

剥離や膨れ

防水層が下地から剥がれているか、膨れている部分などがないかを確認します。

色褪せや汚れ

長年の紫外線や雨水によって発生した防水層の色褪せや汚れが、防水性能に影響を及ぼしていないかを確認します。

これらの判断材料をもとに、防水層の補修を行う必要があるかどうか、部分補修だけで済むのかなどについて判断します。

工事を行う部分付近の下地状態の確認

防水層の補修を行う部分の下地状態は、防水工事を行った後の防水性能の改善に大きく左右します。下地が良い状態でなく不安定であれば、新たに施される防水層もその効果を発揮できません。下地の状態を確認する際には、以下の点に注意してチェックします。

下地の状態

下地の表面に突起部分があるなど、平滑な状態ではないと防水材の密着性が低下します。下地活性や平滑処理のほか、状況によっては既存防水層の撤去が発生します。

損傷の有無

モルタルやコンクリートなどは、経年劣化によってひび割れが発生していることが多いです。そのため、下地に損傷がある場合は防水層の施工前に下地を強化する補修が必要です。

下地の乾燥状態

下地に湿気が残っていると防水材の密着性が低下します。十分な時間を取って乾燥させておきます。

汚れや異物

屋上や屋根などでは長年風雨にさらされて、汚れやホコリのほか、コケやカビなども付いている場合があります。下地が綺麗な状態でなければ防水材で塗膜が形成できないだけでなく、防水材が剥がれてしまうという原因にもなります。

これらの判断材料をもとに、下地が防水工事に適している状態なのかなどについて判断します。

部分補修として適切な材料の選定

部分補修に使用する材料は、既存の防水層との互換性があるものを選びます。材料選定の際には、以下の点を考慮します。

既存の防水材との相性

かぶせ工法などで防水層を部分補修する場合、既存の劣化した防水層を撤去しないので新規の防水材料の相性を考慮する必要があります。

耐久性と性能

補修部分が長期間にわたって防水機能を保持できる材料を選びます。ポリウレタン防水やエポキシ樹脂防水などは、定期的な修繕を行うことで長期間にわたり効果を維持できます。

適切な防水材料を選ぶことで部分補修によって防水性能が改善され、本来の目的をしっかりと果たせます。

正しい施工方法による補修工事の実施

最後に、選定した材料を用いて正しい施工方法で補修工事を行います。施工方法には以下のようなポイントに注意して作業をします。

下地処理

防水層を形成する前に、下地を適切に処理した上で防水材の密着を促進します。

材料の適切な混合と調整

防水材料をメーカーの指示に従って正確に混合し、適切な粘度に調整します。計量せずに目分量などで行った場合、硬化不良を起こしてしまい防水層の形成に失敗することもあります。

均一な塗布

防水材を均一に塗布し、厚みのバラツキを防ぎます。液体状の防水材は、複数回塗ることで継ぎ目のない防水層を形成して雨水の浸入を防ぎます。

乾燥時間の確保

施工後は十分な乾燥時間を確保し、防水層が完全に硬化するまで待ちます。防水層の乾燥に要する時間は、使用した防水材やその時々の気温や湿度によっても異なります。

適切な施工方法で防水層の修繕対応を行えば、部分補修が成功して建物の防水性能が長期間維持できるようになります。

以上のポイントを踏まえた上で、専門的な知識と経験を持つ業者に依頼することが、部分補修の成功には不可欠です。適切な業者選びと丁寧な施工が、防水工事の品質を保証する鍵となります。

防水工事の部分補修に関するよくある質問

  1. 部分補修と全面補修の違いは何ですか?
  2. 屋上やベランダの部分補修を自分でdiyを行うことは可能ですか?
  3. 部分補修を業者に依頼する際の注意点は何ですか?

部分補修と全面補修の違いは何ですか?

その名の通り、部分補修と全面補修には補修範囲に大きな違いがあります。

部分補修は特定の範囲または箇所のみを対象にした補修作業を指し、特定の部分で防水性能が低下しているか損傷が見られる場合に行われます。部分補修はコストが比較的低い上に時間も少なく済むため、緊急性が高い小規模な問題に対しては効果的な解決策となります。

一方、全面補修は建物の全ての防水層を対象にした補修作業を指し、防水層全体が劣化しているか大規模な損傷が見られる場合に行われます。全面補修は時間とコストがかかりますが、長期的な視点から見れば建物全体の防水性能を確保できるので、将来的な大規模な損傷を防ぐための重要な投資となります。

屋上やベランダの部分補修を自分でdiyを行うことは可能ですか?

基本的に、部分補修だけに限らず屋上の防水工事は専門的な知識と技術が必要なので、防水工事専門の業者に依頼することが推奨されます。しかし、ベランダのような小規模な補修であれば、DIYでも十分な防水性能を保持できる場合があります。

DIYでの部分補修を行う場合、まずは損傷箇所の特定と原因の究明が必要です。次に、適切な補修材料と工具を用意し、補修方法を理解する必要があります。しかし、防水工事は建物の耐久性と安全性に直結するため、自身での補修に自信がない場合や損傷が大規模な場合は、専門業者に依頼することを強くお勧めします。

部分補修を業者に依頼する際の注意点は何ですか?

防水層の部分補修を業者に依頼する際には、以下の点に注意した方が良いでしょう。

実績と評判

業者の過去の施工実績や評判を確認することで、その業者が信頼できるかどうかを判断しやすくなります。また、技術力があるかどうかの目安として、防水施工技能士が在籍していて施工実績が豊富な業者を選ぶと安心です。

相見積もり

複数の業者から見積もりを取ると防水工事の適正な価格を把握しやすくなり、コストパフォーマンスの良い業者を選ぶことができます。注意点としては、しっかりと現地調査を行った上で具体的な見積もりを出してくれる業者を選んでください。見積もり内に追加料金などに関する記載があるかどうかも確認しましょう。

保証の有無

工事後のアフターフォローなど、まともな業者であれば防水工事に保証がついていることが一般的です。防水工事の保証期間や保証内容を確認した上で依頼し、万が一のトラブルに備えることが重要です。

対応力

緊急時の対応力も業者に依頼する際の考慮すべきポイントです。急な漏水など、緊急を要する問題に迅速に対応できる業者を選ぶことが望ましいです。

まとめ

今回は、部分補修で屋上やベランダの防水性能の劣化を直せるのか、部分補修・全面補修どちらが最適か判断する基準、部分補修工事のメリットとデメリットなどについて解説してきました。

部分補修の防水工事では劣化した部分だけを修理するため、全面補修よりも費用と工期を大幅に抑えられます。防水層の部分補修を行う際には、劣化の程度や範囲を正確に把握した上で、適切な材料と施工方法を選定してくれる業者を選んで依頼することを推奨しました。

ベランダなどの簡単な部分補修であればDIYによって防水性能を改善できますが、自身での補修に自信がない場合や損傷が大規模な場合は、防水工事の専門業者に依頼することが最善の選択となります。

防水工事は建物の耐久性と安全性に直結する重要な作業です。事前にある程度の知識と理解を持っておけば、適切に対処することができます。本記事がその一助となれば幸いです。