屋上(陸屋根)防水工事とは?施工の種類別メリット・デメリットや費用の目安を紹介

屋上(陸屋根)防水工事は、建物を長期間にわたり雨漏りから守るために欠かせません。特にビルやマンションをはじめ、平坦になっている屋上を持つ住宅などの建物において、定期的な防水工事は躯体の耐久性を維持して内部の損傷を防ぐために必要です。

本記事では、屋上防水工事の必要性や劣化症状の見極め方、屋上防水工事における工法の特徴、屋上防水工事の業者を選ぶコツなどについて詳しく解説します。

屋上(陸屋根)防水とは?防水工事が必要な理由

屋上防水とは、建物の屋上部分に施される防水工事のことで、雨水の侵入を防ぎ、躯体の耐久性を維持するために行われます。勾配がほとんどない「陸屋根」と呼ばれる平坦な屋上のビルやマンション、屋上を有する住宅において屋上防水は不可欠な作業です。

建物の屋上(陸屋根)からの雨漏りを防ぐため

建物の屋上は風雨や紫外線などの影響を直接受けるため、他の部分よりも劣化が早く進行します。そのため、屋上の防水層は時間の経過とともに劣化しやすく、ビルやマンション、屋上のある住宅では定期的なメンテナンスや修繕防水工事が必要です。

屋上(陸屋根)防水工事が適切に行われていない場合、雨水が建物内部に浸入し、さまざまな問題を引き起こす可能性が高くなります。

屋上防水のメンテナンスが疎かだと起こる問題

屋上防水のメンテナンスを怠ると防水層の防水性能が劣化してしまい、浸水などによって躯体の鉄筋やコンクリートの腐食などを引き起こし、建物全体の耐久性が低下して資産価値も落ちます。

結果的に全体の修繕費用が増大するだけでなく、建物全体の耐久性にも大きな影響を与えるほか、内部の湿気が増えてカビの発生や室内環境の悪化も引き起こすこともあります。問題を未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスと適切な防水工事が重要です。

屋上防水工事は建物を長期間にわたって保護し、居住者や使用者の安全と快適さを確保するために欠かせません。定期的な点検とメンテナンスを行い、必要に応じて適切なタイミングで防水工事を実施することが、建物の長寿命化と維持コストの削減に繋がります。

屋上防水工事が必要だと判断できる劣化症状

まず屋上防水工事が必要かどうかを判断するためには、屋上の防水層や関連部分に現れる劣化症状の把握を行いましょう。以下では、防水層における主な劣化症状について紹介しています。

  • ひび割れ
  • 浮き・膨れ
  • 剥がれ・破れ
  • 水溜まり
  • 泥や土・雑草
  • 付帯部の劣化

屋上で該当する症状が見られた場合は、防水工事業者に相談をした上でメンテナンスや防水工事を検討してください。

ひび割れ

紫外線や温度変化、風雨による長期的な影響で、防水層や屋上のコンクリート部分などにひび割れが発生することがあります。ひび割れから雨水が浸入すると防水層の下にある駆体に悪影響を及ぼし、建物全体の耐久性が低下するリスクが生じます。屋上のひび割れを放置すると雨漏りの原因となり、内部の天井や壁にも悪影響を及ぼすので早めの修繕が必要です。

浮き・膨れ

防水層の浮きや膨れは、屋上防水工事の必要性を示す代表的な兆候です。浮きや膨れは、防水層と下地の間に水分や空気が入り込むことで発生します。浮きや膨れによって防水層が下地に密着せず、効果的な防水性能が失われます。浮きや膨れが進行すると防水層全体が剥離する可能性があり、最悪の場合は防水層を全面的に張り替える必要が生じます。

剥がれ・破れ

防水層の剥がれや破れは、経年劣化や物理的な衝撃、温度変化などが原因で発生します。剥がれや破れが起こると防水性能が大幅に低下し、雨水が下地に染み込んで直接建物に侵入する可能性が高まります。剥がれや破れによって駆体に深刻なダメージが生じ、修繕費用が大幅に増加するリスクがあります。水が染み込んでしまうので早急な補修が必要な劣化症状です。

水溜まり

屋上に水溜まりが発生している場合、防水層の劣化や排水溝周りの不具合が考えられます。排水溝の詰まりなどによって水溜まりができると、周辺部分の防水層の劣化を促進し、浮きや膨れ、ひび割れが発生する大きな原因となります。長期間にわたって水溜まりが放置されると防水層が完全に劣化し、防水性能が失われてしまうリスクがあります。

屋上に水溜まりが長期間あった場合は、排水溝のサビや詰まりを解消した上で、排水溝周りの防水層が大丈夫かどうかを確認してください。

泥や土・雑草

屋上に泥や土が堆積しており、雑草が生えている場合、防水層の防水性能が低下している可能性があります。泥や土が堆積していると水分が保持されやすくなり、防水層にダメージを与える原因となります。また、雑草が生えると根が防水層を貫通してしまい、雨漏りの原因になる可能性が高いです。

防水層に雑草が生えているような状態では、植物の根っこを無理に抜くと防水層に穴が空いてしまう可能性があるため、防水工事業者に補修を依頼してください。

付帯部の劣化

屋上の排水溝や笠木、パラペットなどの付帯部も、知らず知らずのうちに劣化が進行する場所です。排水溝、笠木、パラペットなどの劣化は、屋上全体の防水性能に影響を与えるため、定期的な点検と補修が必要です。

排水溝周り

排水溝が詰まると雨水が排水されずに溜まり、屋上に水溜まりが発生するため、結果的に防水層が劣化しやすくなります。排水溝周辺の劣化や詰まりを発見した場合は、定期的な清掃と点検が必要です。

笠木

笠木は屋上の縁に取り付けられた部材で、雨水が屋上に浸入するのを防ぐ役割を果たしています。笠木が劣化すると雨水が浸入しやすくなり、屋上の防水層にダメージを与える可能性があります。

パラペット

パラペットは屋上の縁に設置された壁で、防水機能の一部を担っています。パラペットの劣化は屋上全体の防水機能を低下させるため、劣化が進行してきている場合は早めの修繕が求められます。

色あせは兆候

防水層の色あせは、劣化の初期兆候として見られることがあります。色あせが進行すると防水層の表面も劣化し、やがてひび割れや剥がれ、その他の劣化症状に発展していきます。色あせが確認された場合、防水層の状態を専門家目線で詳しく点検した上で、必要に応じてメンテナンスや補修防水工事の実施が望ましいです。

以上のように、屋上防水工事が必要な劣化症状は多岐にわたります。劣化が疑われる症状を早期に発見し、適切な対策を講じることで建物の耐久性を維持し続けられるので、長期的なコストの削減に繋がります。

屋上防水工事の防水材・工法の種類

屋上防水工事には、建物の構造や使用環境に応じた様々な防水材や工法が存在します。それぞれの防水材・工法には独自のメリットやデメリットがあり、依頼する防水工事業者によって採用する防水材・工法が変わる場合も多いです。以下では、代表的な防水材と工法について紹介します。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布することで防水層を形成する工法です。防水層がシームレスに仕上がり、複雑な形状の屋根にも適用可能です。主に密着工法と通気緩衝工法が用いられます。

メリット・デメリット

メリット
  • 液状なので柔軟性があり、複雑な形状の屋根や側溝部分などにも対応しやすい。
  • 一体化した防水層が形成されるため、継ぎ目部分からの漏水リスクが低い。
  • 部分的な修繕が可能で補修費用と時間を節約できるため、コストパフォーマンスが良い。
デメリット
  • 完全に硬化するまでに時間がかかるため、施工後すぐに雨が降ると影響を受けやすい。
  • 他の工法に比べて耐久性がやや劣るため、定期的なメンテナンスが必要。
  • 紫外線や気温変化による劣化が早く、防水層表面にひび割れが生じやすい。
  • 施工する職人の腕によって防水層の厚みや品質にムラができる可能性がある。

主な工法

密着工法

ウレタン防水における密着工法とは、下地とウレタン防水層を直接密着させて防水層を形成する方法です。施工が簡単で比較的コストも抑えられますが、下地の状態が悪い場合には浮きや剥がれが発生しやすいです。

通気緩衝工法

ウレタン防水における通気緩衝工法(絶縁工法)とは、下地に通気緩衝シートを敷いて下地と防水層の間に通気層を設け、その上にウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する方法です。湿気の影響を軽減し、防水層内部の水蒸気を外部に逃がすので膨れを防止できます。特に、下地がコンクリートの場合や水分を完全に除去することが難しい場所に適しています。

密着メッシュ工法

ウレタン防水における密着メッシュ工法とは、ウレタン樹脂とメッシュシートを使用して防水層を形成する方法です。メッシュを挟み込むことで防水層が補強されて耐久性が向上するので、特に強度を必要とする場所に適用されます。

FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)と液状の不飽和ポリエステル樹脂を使用した防水工法で、軽量かつ耐久性と防水性能に優れています。主にベランダやバルコニーで多く使用されますが、自動車が通るような耐久性を求める屋上にも適しています。

メリット・デメリット

メリット
  • 耐熱性・耐食性・耐候性などの高い耐久性、防水性能を持ちあわせている。
  • 軽量で強固な防水層が形成できるため、特に荷重制限がある場所に適している。
  • 薬品や油に対する耐性が高く、化学工場など特殊な環境にも対応可能。
デメリット
  • FRP防水は同じ塗膜防水のウレタン防水と比べると施工費用が高め。
  • ポリエステル樹脂が硬化する前に、スチレンという物質が揮発して独特の臭気が発生する。
  • 硬化すると柔軟性がなくなるため、地震や強風などの建物の振動や収縮に弱い。

主な工法

密着工法

FRP防水における密着工法とは、既存の下地にガラス繊維マットを敷いた後、その上に不飽和ポリエステル樹脂を重ねて塗布して防水層をする方法です。

通気緩衝工法

FRP防水における通気緩衝工法とは、既存の下地に通気緩衝シートを敷いて空気を通す層を確保し、その上からガラス繊維マットを敷いた後、不飽和ポリエステル樹脂を重ねて塗布して防水層をする方法です。通気層を設けることで下地の水蒸気を逃がし、FRP防水の耐久性をさらに高めます。

シート防水

シート防水は、ゴムや塩化ビニルなどのシート材を用いて防水層を形成する工法です。凹凸の少ないシンプルな作りの大面積の屋上に適しています。複雑な形状の場合には施工が難しいのが難点です。

メリット・デメリット

メリット
  • シートを貼り付けるだけで防水層が形成されるため、施工期間が短い。
  • シート材自体の耐久性が高く、長期にわたって防水性能を維持できる。
  • 比較的コストパフォーマンスが高く、大面積の屋根にも適している。
デメリット
  • シート状なので凸凹や複雑な形状の屋根には施工が難しく不向き。
  • シートを切り貼りして施工するので、継ぎ目が多くなってしまう。
  • シートの接合部分からの漏水リスクが存在するため、施工の質が重要。

主な工法

密着工法

シート防水における密着工法とは、防水シートを下地に直接接着して防水層を形成する方法です。防水シートが下地にしっかりと密着して隙間ができにくいのが特徴です。ただし、下地に凹凸や劣化がある場合、防水シートの密着が不十分になることがあります。

機械的固定工法

シート防水における機械的固定工法とは、防水シートを下地に直接接着するのではなく、専用の固定具(ディスクやアンカー)を使用してシートを機械的に固定し、防水層を形成する方法です。下地に直接接着しないので下地の影響を受けにくく、強風や振動などに対して優れた耐性を持っています。大面積の屋根や下地の状態が不安定な場所での施工に向いています。
鉄筋コンクリートの屋根の施工に適しています。

アスファルト防水

アスファルト防水は、液体状のアスファルトを合成繊維不織布に染み込ませ、コーティングしたルーフィングシートを貼り重ねて防水層を形成する工法です。耐久性が非常に高く、商業施設・ビルやマンションなどの大規模な建物に多く用いられます。歴史があり、信頼性の高い工法です。

メリット・デメリット

メリット
  • 厚みのある防水層を形成できるため、長期にわたる耐久性と防水効果が期待できる。
  • 柔軟性があり、温度変化や建物の動きに対しても追従性が高く、クラックが入りにくい。
  • 耐久性が高く、メンテナンス頻度が低く済む。重ね塗りや補修が比較的容易。
  • 耐久年数が長いのでコストパフォーマンスが良く、広い屋上でも費用を抑えられる。
デメリット
  • 施工に時間がかかるので工期が長くなり、その間は建物の使用に制限が生じる。
  • 材料の重量が重いので建物への負荷が大きく、軽量構造の建物には不向き。
  • 施工中にアスファルト特有の臭気が発生し、周辺の住民に不快感を与える。
  • トーチ工法や熱工法は高温のアスファルトや火を扱うので火災のリスクがある。

主な工法

熱工法

アスファルト防水における熱工法とは、アスファルトを溶融させて防水層を形成する方法です。加熱したアスファルトが下地にしっかりと密着するため、接着力が強く、防水層が剥がれにくく高い防水性能を発揮します。熱工法は手間がかかるため、施工時間が長くなる傾向があります。特に大規模な建物や複雑な屋根形状の場合、工期がさらに延びます。

常温工法(冷工法)

アスファルト防水における常温工法(冷工法)とは、アスファルトを加熱せずに常温の状態で防水層を形成する工法です。加熱する工法と異なり、火を使わないので火災のリスクがなく、火気厳禁の現場や安全性が重視される現場に適しています。ただし、熱を使わないため安全性が高いものの、加熱する工法よりも耐久性はやや劣ります。

トーチ工法

アスファルト防水におけるトーチ工法とは、アスファルト防水シートをトーチバーナーで加熱して溶かしながら施工する工法です。加熱によりシートの裏面が溶け、下地にしっかりと密着することで高い防水性が得られます。耐久年数が長いので信頼性の高い工法とされています。

建物構造・屋上の形状・目的別に選ぶ!屋上防水工事方法

屋上(陸屋根)の防水工事を行う際には、建物構造や屋上の形状など施工場所の状況、用途と予算に応じて最適な防水材と工法を選択することが重要です。屋根によっては、選択を誤ると防水性能が十分に発揮されないだけでなく、建物の耐久性や安全性などにも悪影響を及ぼしてしまいます。

以下では、建物の構造、屋上の形状・目的別に最適な屋上防水工事の施工方法について紹介します。

建物の構造別

木造なのか鉄筋・鉄骨なのかなど、建物の構造によっても適用すべき防水工法が異なってきます。建物の構造に適している工法を理解した上で施工することで、長期間にわたる屋上の防水性能を維持しやすくなります。

木造 鉄筋コンクリート(RC)造 鉄骨(S)造
ウレタン防水
FRP防水 ×
シート防水
アスファルト防水 ×

木造

木造建築の屋上(陸屋根)で防水工事を行う場合、軽量で柔軟性のある防水工法が適しています。木造建築は構造的に湿気や水に弱く、雨水が浸入すると駆体が腐食しやすいため、駆体に負荷をかけず、かつ防水性能の高い工法・材料を選ぶことが望ましいです。

ウレタン防水
FRP防水 ×
シート防水
アスファルト防水 ×
適している防水工法とその理由

ウレタン防水、シート防水

ウレタン防水

適用性:◯

ウレタン防水は、液体状のウレタン防水材を塗布して施工するため、施工場所の形状に左右されず複雑な屋根形状にも対応できます。また、軽量なので木造の建物に負担をかけません。軽量な上に防水層の柔軟性が高く、木造の建物で発生する動きにも追従できるため、ひび割れや隙間が発生しにくいです。

シート防水

適用性:◯

シート防水は軽量で耐候性にも優れており、木造建物への負担が少ないため、シンプルな形状をしている木造建築の屋上でも広く使用されます。特に平らな屋根(陸屋根)には対応しやすく施工が容易です。ただし、設置時に接合部の処理を丁寧に行う技術力が必要です。

適していない防水工法とその理由

FRP防水、アスファルト防水

FRP防水

適用性:×

FRP防水は硬化後の防水層が硬く、地震や強風などで揺れやすい木造の建物には不向きです。木造の建物で発生する揺れなどの動きに追従しづらく、ひび割れが発生するリスクが高いためです。ただし、FRP防水は適切な場所で使用されると非常に効果的です。例えば、木造でもバルコニーや浴室などの防水には適しています。

アスファルト防水

適用性:×

アスファルト防水は重量があり、木造の建物に対しては負荷が大きすぎるため、木造の屋根で施工するには不向きです。木造住宅の屋根には、ウレタン防水やシート防水など、他の防水方法を検討することをお勧めします。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、駆体の耐久性が高く重量に耐えられるため、比較的重量があるアスファルト防水のような工法や耐久性の高い防水材が適しています。

ウレタン防水
FRP防水
シート防水
アスファルト防水
適している防水工法とその理由

アスファルト防水、シート防水(塩ビシート防水)、ウレタン防水

アスファルト防水

適用性:◯

アスファルト防水は熱で溶かしたアスファルトを積層して防水層を作ります。重量があるものの耐久性が非常に高く、鉄筋コンクリート造の建物の屋根において長期間の防水性能を発揮します。

アスファルト防水の重量に耐えられる建物でないと施工に向かないという難点がありますが、鉄筋コンクリート造そのものが重量や施工時の熱などに耐えられるので相性も良く、適している工法だと言えます。防水性能が非常に高く、厚みのある防水層が形成されるため、特に大型のRC造建物に適しています。耐用年数も長いのでメンテナンス頻度が低く済みます。

シート防水(塩ビシート防水)

適用性:◯

シート防水は鉄筋コンクリート造の広い面積の屋根における施工にも適しています。コンクリートの平滑な表面にしっかりと密着し、長期にわたって屋根の防水性能を維持できます。塩ビシートは軽量であり、鉄筋コンクリート造の建物に大きな負荷をかけずに施工が可能です。

また、機械的固定工法を用いることで、強風や温度変化にも耐えられる強固な防水層を形成できます。大面積の屋根に対しても効率よく施工でき、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。ただし、シート防水は凹凸が多い場所や複雑な形の屋根には施工が難しいというデメリットもあります。

ウレタン防水

適用性:◯

ウレタン防水は液状の防水材を屋根に塗布するため、鉄筋コンクリート(RC造)の下地表面にしっかり密着しやすく、硬化させることで強固な防水層を形成します。施工場所の屋根に凹凸があっても隙間なくカバーできるので防水性能が高く、長期間にわたって防水効果を維持できるので、鉄筋コンクリートの屋根の施工に適しています。

また、ウレタン防水は施工後のメンテナンスが比較的容易で、既存の劣化してきた防水層の上に塗り重ねることも可能です。塗り重ねる工法により、防水性能が落ちてきたウレタン防水層の部分補修が簡単に行え、長期的な防水性能を維持できます。

あまり適していない防水工法とその理由

FRP防水

FRP防水

適用性:△

FRP防水を鉄筋コンクリート造(RC造)の屋根に施工することは可能ですが、費用などの面から優先的に選択されるケースは少ないです。硬化後の防水層が硬いため、建物の揺れや下地の伸縮に追従できずにひび割れが発生する可能性があります。硬化後のFRP防水は非常に硬く衝撃にも強いことで、設備などが設置されているRC造の屋根には適しています。

強度と耐久性は高いので、屋上駐車場のように自動車が通ったり、人の通行があるので耐久性を求める場合など、特定の条件下ではFRP防水が選ばれることが多いです。ただし、ウレタン防水やシート防水などの他の防水工法と比較すると費用が高くなります。また、FRP防水には紫外線と雨水に弱いという欠点があります。

鉄骨造(S造)

鉄骨造(S造)は軽量でありながら強度が高く、鉄骨の持つ強度と柔軟性によって地震などの振動に対して耐性を持っています。しかし、熱伝導率が高い鉄を用いており断熱性に課題があるほか、温度変化による鉄骨の膨張・収縮が起きやすいため、それらに対応できる防水工法や耐熱性の高い防水材が適しています。

ウレタン防水
FRP防水
シート防水
アスファルト防水
適している防水工法とその理由

ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水

ウレタン防水

適用性:◯

ウレタン防水は液状で塗布するので鉄骨造の屋根にしっかりと密着する上、複雑な形状の屋根や細かな隙間にも対応可能です。鉄骨造(S造)の建物は、地震や風などの外力に対してしなやかに変形する特性があります。ウレタン防水は柔軟性があって建物の動きに追従できるため、ひび割れや防水層の損傷を防ぎやすいです。

ウレタン防水は比較的軽量な防水材であり、鉄骨造の屋根に余分な荷重をかけずに済むので駆体への負担を最小限に抑えられます。また、通気緩衝シートの下に断熱材を敷いてからウレタン防水材で防水層を形成することも可能なため、断熱性に課題がある鉄骨造の屋根の施工に適していると言えます。

シート防水

適用性:◯

シート防水は軽量なので駆体に負担をかけない上、塩ビシートなどの防水材は優れた耐久性を持っており、紫外線や風雨に対して高い耐候性を発揮するので、鉄骨造(S造)の建物の屋根における施工にも適しています。

塩ビシート防水などの耐久性により、鉄骨造の屋根で長期間にわたって防水性能を維持できます。ただし、シートの防水材を貼り付けて防水層を形成するため、鉄骨造でも凸凹がある屋根などには向いていません。

アスファルト防水

適用性:◯

アスファルト防水は一般的に耐火性が高いため、鉄骨造(S造)の建物で火災リスクを軽減することが求められる場合にも適しています。特に工場や倉庫など、火災対策が重要な工場などの施設において、この点は大きなメリットです。

あまり適していない防水工法とその理由

FRP防水

FRP防水

適用性:△

FRP防水は鉄骨造(S造)の建物でも施工可能ですが、鉄骨造の屋根にはあまり向かない場合が多いです。鉄骨造は、鉄骨の強度と柔軟性で地震の振動に対して耐性がありますが、FRP防水は防水層が硬く下地の伸縮や建物の動きに追従しきれないので、ひび割れが生じる恐れが高いです。

また、歪みが生じやすい箇所への施工は不向きな上に、プラスチック素材が使われているので紫外線に弱いという欠点もあります。

屋上の形状・目的別

建物の形状やどのような使用目的なのかによって、屋根の防水工事を行う際に選ぶべき防水工法も変わってきます。ここでは、代表的なケースに応じた屋上の形状・目的別の適している防水工法を紹介します。

面積が広くて平らな屋上の場合

適している防水工法とその理由
シート防水

平らな屋上で防水層を形成する場合、広い面積でも効率的にカバーできるため、シート防水による施工が適しています。シート防水は一枚の大きな防水シートを使用して防水層を均一に形成、施工速度もそれなりに速いのが特徴です。

特に塩ビシートは耐久性が高く、ゴムシートよりも長期的な防水効果が期待できます。また、シートを機械的に固定する工法(機械的固定工法)を用いることで、大きな屋根でも堅実に防水層を形成可能です。

複雑な形状の屋上、設置物が多い場合

適している防水工法とその理由
ウレタン防水

形状が複雑な屋上や設置物が多い場所に防水工事をする場合、液状の材料(ウレタン塗膜防水材)を塗布して隙間なく防水層を形成できるため、ウレタン防水による施工が適しています。

液状のウレタン塗膜防水材なので複雑な形状にも柔軟に対応できる上に、継ぎ目のない一体化した防水層を形成できるのが特徴です。設置物や障害物の多い場所でもウレタン防水はその柔軟性から漏水リスクを大幅に軽減します。

短い工期で高い耐久性を求めている場合

適している防水工法とその理由
FRP防水

短い工期で高い耐久性を求めている場合、速乾性に優れていて短期間で硬化が完了するため、FRP防水(繊維強化プラスチック防水)による施工が適しています。さらに、非常に強靭で耐久性が高いという特徴があるため、耐荷重性が必要な場所や歩行頻度の高い屋上に向いています。

FRP防水は、人の通行などの理由で強度が必要な屋上や頻繁に使用される屋上において、耐久性・防水性と施工スピードの両立が可能な工法です。

屋上防水工事の頻度を低くしたい場合

適している防水工法とその理由
アスファルト防水

屋上防水工事の頻度を低くしたい、頻繁にメンテナンスを行いたくない場合、非常に高い耐久性で15~25年と長期間にわたり防水性能を維持できるため、アスファルト防水による施工が適しています。ビルや大規模施設の屋上など長期間の耐久性が求められる場合に最適な工法です。防水層が厚く耐候性にも優れているため、厳しい気象条件にも耐えられます。

防水工法は、屋上の形状や使用目的に応じて選択することで最適な防水効果を発揮し、長期的な建物の耐久性や安全性の確保に繋がります。

屋上防水工事にかかる費用相場・見積項目の見方

屋上防水工事を検討する際、費用相場を理解した上で見積もりの内容を把握できるようにしましょう。ここでは、屋上防水工事の費用相場と見積項目の見方について紹介します。

屋上防水工事の費用相場

屋上防水工事にかかる費用は、選択する防水工法や使用する材料、建物の規模や屋上の形・状態によっても大きく変動します。建物や屋上防水層の状況にもよりますが、屋上は面積が広くなる分、最終的な価格は高くなります。

以下は、防水工法ごとの費用目安(材料費のみ)です。実際には別途細かな費用がかかりますが、おおまかな費用感の参考程度にしてください。諸々込みの相場は1㎡あたり10,000~14,000円程度です。

施工方法 費用目安 耐久年数
ウレタン防水 5,000~7,500円/㎡ 8~12年
FRP防水 6,000~9,000円/㎡ 10~15年
塩ビシート防水 4,000~8,000円/㎡ 10~15年
アスファルト防水 6,000~8,000円/㎡ 15~25年

ウレタン防水

ウレタン防水は、液状の材料を塗り重ねることで防水層を形成する工法です。複雑な形状の屋上でも施工対応が可能です。費用は防水材の厚さや使用する材料の品質によって変動しますが、おおまかには5,000~7,500円/㎡程度の平米単価となっています。耐久年数は8~12年程度で、定期的なメンテナンスが必要ですが補修も容易です。

平米単価

約5,000~7,500円/㎡ ※防水材によって多少前後

費用目安

施工面積100㎡の場合、60~90万円程度

耐用年数

8~12年

FRP防水

FRP防水(繊維強化プラスチック防水)は、強靭で耐久性が高く耐荷重性にも優れているため、駐車場など重量物が載る場所にも適しています。平米単価は約6,000~9,000円/㎡程度なので施工費用はやや高めですが、その分耐久性が高く10~15年程度の長期間にわたり性能を維持します。耐薬品性にも優れているため、工場や倉庫にも適しています。

平米単価

約6,000~9,000円/㎡ ※防水材によって多少前後

費用目安

施工面積100㎡の場合、70~100万円程度

耐用年数

10~15年

塩ビシート防水

塩ビシート防水は、コストパフォーマンスに優れた防水工法です。平米単価は約4,000~8,000円/㎡程度と材料費が比較的安価で、広い屋上を短期間で施工できます。耐久年数は10~15年程度で、耐候性や耐久性が高いので特に大規模なビルやマンションで多く採用されています。ただし、シートの接合部が劣化しやすいため、定期的な点検が推奨されます。

平米単価

約4,000~8,000円/㎡ ※防水材によって多少前後

費用目安

施工面積100㎡の場合、50~90万円程度

耐用年数

10~15年

アスファルト防水

アスファルト防水は、非常に高い耐久性を誇る工法で、特に大型建築物や長期間のメンテナンスが難しい施設に向いています。平米単価は約6,000~8,000円/㎡程度なので施工費用は他の工法よりもやや高めですが、耐用年数は15~25年と長く頻繁なメンテナンスを避けたい場合に最適です。特に耐候性、耐摩耗性に優れており、過酷な環境でもその性能を発揮します。

平米単価

約6,000~8,000円/㎡ ※防水材によって多少前後

費用目安

施工面積100㎡の場合、70~100万円程度

耐用年数

15~25年

屋上防水工事の見積もり項目の見方

防水工事の見積書には、工事で発生する費用に関する詳細な情報が記載されています。複数の業者に相見積もりをして見積書の内容を確認することで、ある程度は適正な価格で工事を依頼できます。以下は、見積書で注目すべき主な項目です。

防水工法名

具体的な防水工法(ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水など)が記載されているか確認します。防水材の種類や工法によって、費用や耐用年数が大きく異なるため、必ず確認しましょう。

材料費

使用する防水材料の種類や量に応じて費用が変動します。見積書には、具体的な防水材料名や数量などが明記されているか確認しましょう。例えば、アスファルト、ウレタン、シートなどの種類や、それぞれの単価が記載されているかなどを見ます。何よりも、品質が低い材料が使用されると耐用年数が短くなり、結果的に安物買いの銭失いになる可能性があります。

施工費

防水工事にかかる人件費や施工に必要な機材・機械費などのほか、ほぼ確実に行う高圧洗浄や下地処理などが含まれます。施工の難易度や工期によっても費用が異なってくるため、相見積もりで複数業者を比較した上で、施工費が不当に高い場合や逆に安すぎる場合は、その理由を確認する必要があります。

諸経費

多くの場合、防水工事の見積書には現場管理費や運搬費、廃材処理費などの諸経費が含まれます。これらは工事全体を円滑に進めるための費用なので基本的に問題ありませんが、内訳が不明瞭な場合は詳細な説明を求めることが重要です。

保証内容

防水工事の見積書には保証期間が明記されていることが一般的です。保証期間に加え、定期点検やメンテナンスのサービス内容についても確認しておくと良いでしょう。定期点検で劣化の症状などが発生している場合、多くは有償で防水層の補修工事を行うことになりますが、保証期間内であれば無償対応してもらえます。

その他の注意点

見積書には、工事に関する特記事項や注意点が記載されている場合が多いです。例えば、工事中に発生する可能性のある追加費用や、天候などによる工期の変更、工事用の電気・水道の使用に関する補足説明などが含まれます。これらの点についても、事前に確認を済ませて納得した上で契約を結ぶようにしましょう。

見積書の内容をざっくりとでも理解すれば、防水工事の適正価格を把握して防水工事の質を確保しやすくなります。見積書の内容が信頼できる防水工事専門業者に依頼することで、安心して防水工事を進められるでしょう。

修繕費と資本的支出の区別

ビルやマンションなどのオーナーにおいて屋上防水工事にかかる費用は、修繕費として計上される場合と資本的支出として扱われる場合があります。

修繕費になるケース

修繕費になるケースとしては、防水層の補修や部分的な再施工が対象となります。具体的には、現状の機能(防水性能)を維持するための工事が該当します。

資本的支出になるケース

一方、より優れた機能性を持つ防水工事を行うことによって建物の価値が向上する場合や、耐用年数が延びる場合には資本的支出として計上されます。

判断が難しい場合

修繕費と資本的支出のどちらに該当するか判断が難しい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

屋上防水工事の費用を安くする方法

屋上の防水工事は、その広さゆえに工事費用が思わぬ高額になる場合が多いため、少しでもコストを抑えるための工夫を行いましょう。以下では、屋上防水工事の費用を抑えるための具体的な方法について紹介します。

  1. 複数の防水工事業者から見積もりを取る
  2. 工事の需要が少ない時期に依頼する
  3. 部分的な防水層の補修を検討する
  4. 劣化症状や状況次第でDIYを検討する
  5. 雨漏りや水漏れが発生前に修繕対応する
  6. 防水材の選定に注意する
  7. 定期的に防水層のメンテナンスを行う
  8. 長持ちしなくていいなら保証なしにする

複数の防水工事業者から見積もりを取る

防水工事の費用を安く抑えるための基本的な方法は、複数の業者から見積もりを取ることです。複数の防水工事業者から見積もりを取れば価格やサービス内容を比較しやすくなります。同じ工事内容でも業者ごとに価格設定が異なるため、業者Aは高くて業者Bは安すぎるものの業者Cは中間くらいといった費用感を把握できるでしょう。

何よりも相見積もりを行っている旨を事前に提示しておけば、業者間の競争意識を促してより良い条件を引き出すことが期待できます。また、各業者が提供するサービス内容や保証期間を比較すれば、コストパフォーマンスの高い業者選択が可能となります。

工事の需要が少ない時期に依頼する

防水工事業者の繁忙期(春・秋)を避け、需要が少ない時期に依頼すると割引や特別価格を提案される場合があります。防水工法によっては冬季や梅雨の時期は施工が難しい場合も多いですが、業者が閑散期に受注を求めているケースが多いため、価格交渉がしやすくなります。

部分的な防水層の補修を検討する

全面的な防水工事が必要ない場合、屋上全体の防水工事を行うのではなく、劣化が進んでいる部分のみを部分補修する方法も費用を抑える効果的な手段です。

部分補修は工事範囲が限定されるため、全体の防水工事に比べて費用が大幅に抑えられます。ただし、部分補修が適切でない場合や劣化が広範囲に及んでいる場合は、将来的により高額な修繕費用がかかる可能性も生じるため、防水工事専門業者の意見を参考に判断してください。

劣化症状や状況次第でDIYを検討する

劣化症状が軽微で狭い範囲を簡単な補修で対応できる場合には、DIYによって防水工事を行うという検討もできます。防水材や補修に必要な道具類はホームセンターやネット通販で購入できるため、防水工事を業者に依頼するよりも費用を大幅に抑えられます。

ただし、防水工事には専門的な知識と技術が求められるため、DIYでの対応が難しい場合や劣化が広範囲に及ぶ場合は、プロの防水工事業者に依頼した方が良いです。特に雨漏りが発生してしまっているような状況下では、自分で修繕工事を行おうとせずに防水工事専門の業者に依頼してください。

雨漏りや水漏れが発生前に修繕対応する

雨漏りや水漏れが発生している状況の場合、防水層の劣化症状が酷かったり劣化範囲が広いと想定されるので、全面補修によって工事費用が高額になってしまいます。防水層が完全に劣化してしまう前に早めに部分補修などを行うことで、雨漏りや水漏れのような深刻な被害を防いで結果的に修繕費用を大幅に抑えられます。

定期的に防水層の点検とメンテナンスを行い、早期の修繕対応を施すことで建物の寿命を延ばせるため、長期的なコスト削減に寄与します。

防水材の選定に注意する

防水材の選定によっても工事にかかってくる費用が大きく変わります。高品質な防水材は初期費用が高くなりますが、当然ながら防水性能や耐久性が高く、簡単な定期メンテナンスを行うだけで長期間にわたって全面補修が不要になりやすいです。

一方、安価な防水材を選ぶと初期費用は抑えられますが、頻繁なメンテナンスが必要になる可能性が高いです。業者に相談しながら、使用環境や予算に合わせて適切な防水材の選定を行いましょう。

定期的に防水層のメンテナンスを行う

屋上防水層の定期的なメンテナンスは、防水層の寿命を延ばして大規模な修繕を防ぎ、工事費用を長期的に抑えるための効果的な方法です。防水層が劣化する前に定期的な点検や補修を行うことで、屋上防水の全面補修などの大規模な工事を回避し、トータルコストを削減することが可能です。

目安としては約5年おきに屋上防水層の点検を行い、トップコートを塗り替えるなどして防水性能を回復させます。仮に防水層の劣化が見られた場合、該当の劣化部分を部分的に補修することで全面的な防水工事を行わずに済みます。

長持ちしなくていいなら保証なしにする

防水工事を行う場合、一般的には5年~10年程度の保証期間が設けられていますが、あえて保証を付けないことで費用を減額してくれる場合があります。売却予定があるなど、防水工事の長期保証がなくても特に問題ないのであれば、保証をなしにすることで費用を抑えられるかどうかを交渉すると良いでしょう。ただし、保証なしの防水工事はリスクが伴うため、慎重に検討する必要があります。

屋上防水工事を依頼する施工業者の選び方

屋上防水工事は建物や駆体の寿命に直結する重要な作業になるため、失敗しないように信頼できる施工業者を選ぶことが不可欠です。以下では、屋上防水工事を依頼する際に知っておきたい施工業者の選び方について紹介します。

  • 屋上防水の施工実績を確認する
  • 自社の職人による施工か確認する
  • 親身になって対応してくれるか
  • 防水施工技能士の資格保有者がいるか
  • 施工後のアフターサービスや保証内容
  • 現地調査~見積もりを行う業者を選ぶ
  • 複数の業者から見積もりを取る

屋上防水の施工実績を確認する

防水工事業者の過去の実績は、信頼性を評価する上で重視すべき項目です。特に屋上防水工事に関しては、建物の種類や使用する防水材、採用する工法によって技術や経験が求められるため、同様の工事を行った実績がある業者を選ぶことで施工の品質や安心感が向上します。

過去にどのような建物でどの工法を使用したか、またgoogle検索結果の口コミなどから施工結果に対する評価を確認しましょう。業者によっては、施工事例をホームページで公開している場合もあります。自身の建物と類似した条件の屋上防水工事の実績があると、安心して工事を依頼しやすいと言えます。

自社の職人による施工か確認する

依頼する業者によっては、中抜きだけして下請け業者に防水工事を丸投げするケースがあります。この場合、下請け業者が管理されていないと施工品質が安定しなかったり、現場でのコミュニケーションが不足することが懸念されます。そのため、防水工事を下請け業者に丸投げするのではなく、自社の職人が施工を行う業者を選ぶと安心です。

自社の職人が直接施工を行う業者であれば、責任感を持って作業に取り組み、品質管理が行き届くので施工品質の確保が期待できます。また、コミュニケーションがスムーズに取れるため、施工中の細かな変更や要望にも柔軟に対応してもらいやすくなります。見積もりや契約前に、実際に施工を行うのが自社の職人かどうかを確認しておきましょう。

親身になって対応してくれるか

相談や見積もりをお願いしている業者の対応が親身であるかどうかも、防水工事の業者を選ぶ上で意識しておくべきです。現地調査や見積もり時に丁寧な説明を行い、こちらの疑問や不安に対して真摯に対応してくれる業者は信頼できる可能性が高いです。

また、提案内容が具体的で複数の選択肢を提示してくれたり、施工の方法や使用する材料、費用の内訳についてしっかりと説明してくれる業者を選ぶと、納得した上で工事を進めることができるでしょう。

防水施工技能士の資格保有者がいるか

防水工事において、専門知識と技術を証明できる国家資格を持った職人がいるかどうかは、工事の品質を左右する大きな要素です。防水施工技能士の資格を保有している職人が在籍している業者は、技術力や施工品質の不安が減ります。有資格者が施工管理することで品質の高い工事が期待できるため、気になるようであれば事前に確認しておくと良いでしょう。

防水施工技能士の資格は国家資格であり、実務経験と試験をクリアした者にのみ与えられます。防水施工技能士の資格は防水工事に関する技能を証明するもので、信頼できる業者を選ぶ際の一つの指標となります。

施工後のアフターサービスや保証内容

防水工事は施工後に問題が発生することも多々あります。施工後のアフターサービスや保証内容が充実している業者を選ぶことで、万が一のトラブルにも対応してもらえる安心感が得られます。保証期間の長さや、保証内容の詳細、定期点検の有無などを事前に確認した上で、長期的にサポートしてくれる業者を選びましょう。

現地調査~見積もりを行う業者を選ぶ

現地調査を行わず、概算などでざっくりとした見積もりのみを出す業者には注意が必要です。正確な見積もりを作成するためには、現地での状況確認が必要不可欠です。屋上の状態や使用されている防水材、劣化の程度をしっかりと把握し、その上で適切な工事プランと見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。

現地調査を行わず見積もりを提出してくるような業者は、工事の途中など後々で追加費用が発生するリスクなどがあります。見積もりを貰った際には、材料費や工事費、その他の関連費用が明確に記載されているかを確認し、不明瞭な項目があれば説明を求めましょう。

複数の業者から見積もりを取る

複数の業者から見積もりを取り、価格や提案内容を比較検討するようにしましょう。同じ防水工事内容でも業者ごとに費用が異なる場合が多いため、複数の業者から見積もりを取ることで比較して適正価格などを把握できます。また、提案された内容を比較することで、より適切な工法や材料を提案してくれる業者を選びやすくなります。

防水工事の施工業者選びは、工事の成功に直結する大切なステップですので、しっかりと調査・検討した上で信頼できる業者を選びましょう。

まとめ

今回は、屋上防水工事の必要性や劣化症状の見極め方、屋上防水工事における工法の特徴、屋上防水工事にかかる費用の目安、屋上防水工事の業者を選ぶコツなどについて解説してきました。

屋上防水工事は、建物を雨漏りや劣化から守って長期間の安全性・快適性・資産価値を確保するために欠かせません。屋根の防水工事では適切な防水材の選定、信頼できる業者の選択、そして定期的なメンテナンスと補修工事を行うことで建物の耐久性が向上し、長期間にわたる安定と修繕コスト削減を実現します。

ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水など、建物の構造や用途に応じた最適な工法を選ぶことが効果的な防水対策のポイントです。また、屋上の防水工事費用を安く抑えるためには、複数の業者から見積もりを取る、業者に依頼する施工時期を工夫するなどの対策も有効です。

屋上防水工事を依頼する際、信頼できる施工業者の選定は防水工事の成功に大きく関わります。実績や資格、アフターサービスを確認した上で、安心して依頼できる業者を選ぶようにしましょう。今回紹介したポイントを参考に、建物の屋上を長期的に守るための防水工事を実施してください。