シート防水工事とは?種類と工法別の特徴やメリット・デメリット、費用目安などを解説

シート防水は、防水工事の中でも広い面積を効率的に施工できることで知られ、ビルやマンションの屋上、工場など多くの施設で採用されています。塩ビシートやゴムシートといった工場生産の防水材を使用し、ムラの少ない施工が可能な防水工法です。ただし、施工する職人の技術や施工環境によっては防水効果が左右される場合もあります。

本記事では、シート防水とはどんな防水工事なのか、シート防水の工法種類や費用、メリット・デメリット、シート防水を長持ちさせるコツなどについて解説します。シート防水工事の施工を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

シート防水とは?どのような防水工事か

シート防水工事は広い面積でも一度に防水処理ができる施工方法

シート防水とは、防水性の高い「塩化ビニールシート」や「合成ゴムシート」を下地の上に敷設して防水層を形成する工法です。塩ビシートの方が耐候性に優れており、近年では塩ビシート防水が主流となっています。塩ビシート防水の施工には専門的な技術が求められるものの、職人が少ないので人件費が若干高くなる傾向があります。

塩ビシート防水は、防水性の高い塩化ビニル製のシート防水材を使用しますが、シートは工場で一貫して製造されるので均一な品質と高い耐久性を誇ります。また、軽量でありながらも強度が高いため、広範囲での施工や改修工事に特に適しています。

広範囲を短時間で効率的に施工できるため、特にビルやマンションの屋上、大規模施設の陸屋根などで採用されています。耐候性があるのでトップコートを施工していない状態でも10年程度の耐久年数が期待できますが、日々受ける紫外線や風雨から防水層を守るためにもトップコート塗装は必要です。

シート防水での施工をおすすめできる場所

シート防水は、その特性から以下のような場所での施工に適しています。

  • 貯水槽や室外機などの重量物が少ない場所
  • 50~300㎡の広い屋上
  • 既存防水層の改修防水工事

貯水槽や室外機などの重量物が少ない場所

シート防水による施工は大きな障害物や設備が少ない場所に適しています。貯水槽や室外機などが多いとシートの敷設や接合が難しくなるため、施工がスムーズに進められるシンプルな屋上や平場が最適です。障害物が少ないことで、シートの継ぎ目からの漏水リスクも低減します。

50~300㎡の広い屋上など

広範囲の屋上ではシート防水の特徴である効率的な施工が活かせます。特に、50~300㎡程度の中規模から大規模な屋上では短期間で施工を完了できるため、工期短縮が求められる物件に適しています。また、塩ビシートのような耐候性の高い素材を使用することで、長期間にわたって高い防水性能を維持できます。

既存防水層の改修防水工事

既存防水層の上にシートを被せるカバー工法が可能なため、既存防水層の改修防水工事にも適しています。下地を撤去する必要がない場合が多いので、施工コストを削減しつつ作業時間を短縮できます。また、シート防水の特性により、下地の状態が多少劣化していても適切な準備を行えば問題なく施工が可能です。

シート防水は、シンプルな構造の屋上や広い面積の施工でその強みを発揮します。一方、障害物が多い場所や複雑な形状がある場所では別の防水工法を検討した方が良いでしょう。

シート防水の主な工法の種類

シート防水では主に接着工法と機械的固定工法(脱気工法、絶縁工法)の2種類が広く採用され、それぞれの特徴に応じて採用されています。以下では、シート防水における各工法の特徴やメリット・デメリット、作業工程について紹介します。

接着工法

接着工法では、下地にプライマーを塗布した後、下地と防水シートに専用の接着剤を塗布し、その上から防水シート(塩ビシート)を直接貼り付けます。シートの継ぎ目は溶着材による溶着や熱処理を行い、十分な防水性能を確保します。比較的シンプルな工程で短期間に仕上げられるため、下地が乾燥している場合の改修工事や小規模な施工に向いています。

メリット

  • コストが抑えられる
  • 工期が短い
  • 高い防水性能
  • 改修工事に適している
コストが抑えられる

工事の材料費や施工費用が比較的安価で経済的。

工期が短い

硬化時間を待つ必要がないため、迅速な施工が可能。

高い防水性能

継ぎ目を熱処理で密閉することで、隙間からの漏水リスクが低い。

改修工事に適している

既存の防水層を撤去せずに施工できるケースが多い。

デメリット

  • 下地の影響を受けやすい
  • 通気性がない
  • 複雑な形状の施工が難しい
下地の影響を受けやすい

接着工法だと湿気が残る下地では膨れや剥がれの発生リスクがある。

通気性がない

接着工法での施工は湿気や雨漏りがある箇所だと不向き。

複雑な形状の施工が難しい

曲面や細かい箇所へのシート貼り付けには技術が求められる。

作業工程

  1. 下地清掃
  2. 下地処理
  3. 接着剤の塗布
  4. 防水シートの貼り付け
  5. 継ぎ目や端部の処理
  6. トップコート塗布(必要に応じて)
  7. 仕上がり確認
下地清掃

施工面の汚れや劣化部分を除去し、下地を整える。

下地処理

補修した上でプライマーや塗布して下地を処理。

接着剤の塗布

シートを貼り付けるため、均一に接着剤を塗布。

防水シートの貼り付け

防水シートを貼り付け、気泡が入らないように圧着。シート下に入り込んだ空気は抜く。

継ぎ目や端部の処理

溶着や熱処理で継ぎ目を密閉し、端部をシール材(シーリング材)で仕上げ。

トップコート塗布(必要に応じて)

トップコート塗布することでシート防水の防水性能を向上させる。

仕上がり確認

施工箇所全体を点検し、防水性能を確認して施工完了。

機械的固定工法(絶縁工法)

機械的固定工法は、下地に絶縁シートを敷いた後、専用の固定ディスク(固定金具)とビスを使って防水シート(塩ビシート)を機械的に固定します。下地と防水層が直接接触しないため、湿気や下地の劣化の影響を受けにくく、広範囲の施工や雨漏りしている建物の改修工事に適しています。

メリット

  • 下地の影響を受けにくい
  • 改修工事に最適
  • 十分な通気性を確保
  • 広い面積に適している
下地の影響を受けにくい

絶縁シートにより、下地の湿気や劣化が防水層に影響を及ぼさない。

改修工事に最適

経年劣化してしまった既存防水層の上から直接施工が可能。

十分な通気性を確保

脱気筒を設置することで湿気を排出し、防水層の膨れを防止。

広い面積に適している

広い屋上や陸屋根の施工に向いており、効率的に作業できる。

デメリット

  • 施工費用が割高
  • 施工時に発生する騒音
  • 複雑な形状の施工に不向き
  • 施工に高い技術が必要
  • 施工後の漏水箇所特定が難しい
施工費用が割高

絶縁シートや固定ディスクなどの追加資材の材料費が必要。

施工時に発生する騒音

機械の使用により作業音が発生するため、密集地や集合住宅では注意が必要。

複雑な形状の施工に不向き

広い平面に適している一方で、曲面や細かい部位への対応は難しい。

施工に高い技術が必要

固定ディスクの設置やシートの継ぎ目処理などに技術が求められるため、業者選びが重要。

施工後の漏水箇所特定が難しい

防水層と下地が離れているので、万が一漏水が発生した場合、原因箇所の特定が困難。

作業工程

  1. 下地清掃・補修調整
  2. 絶縁シートの敷設
  3. ディスク板の設置
  4. 防水シートの敷設
  5. シートの接合部の処理
  6. 継ぎ目や端部の処理
  7. 脱気筒の設置(必要に応じて)
  8. トップコート塗布(必要に応じて)
  9. 仕上がり確認
下地清掃・補修調整

施工面を清掃し、下地の状態を確認、補修や調整。

絶縁シートの敷設

湿気を遮断するために絶縁シートを敷設。

ディスク板の設置

絶縁シートの上にディスク板を設置し、ビスで固定。(固定ディスク先打ち)

防水シートの敷設

改修ドレン取り付け後に防水シートを敷き込み。シート下に入り込んだ空気があれば抜く。

シートの接合部の処理

熱処理や溶着材でディスク板と絶縁シートの接合部を処理。防水シートとディスク板を融着。

継ぎ目や端部の処理

溶着や熱処理で継ぎ目を密閉し、端部をシール材(シーリング材)で仕上げ。

脱気筒の設置(必要に応じて)

湿気を排出する脱気筒を取り付け。

トップコート塗布(必要に応じて)

トップコート塗布することでシート防水の防水性能を向上させる。

仕上がり確認

施工箇所全体を点検し、防水性能を確認して施工完了。

接着工法と機械式固定工法の違い

項目 接着工法 機械的固定工法
適用下地 乾燥した平滑な下地 湿気や劣化のある下地も対応可能
施工環境 下地に湿気や雨漏りがない箇所 湿気や雨漏りのある箇所も対応可能
耐久性 下地の状態に大きく依存 下地の影響を受けにくい
工期 短い やや長い
施工費用 比較的安価 材料費などの分、高価
適用箇所 改修工事や小規模な施工 広範囲の施工や改修工事

このように、施工環境に応じて接着工法と機械式固定工法どちらの工法が最適なのかは変わってきます。実績と経験豊富な防水工事の専門業者に相談すれば、最適な工法を選択してもらえるため、複数社に見積もり相談を依頼すると良いでしょう。

シート防水工事のメリット・デメリット

シート防水工事は、広い面積の屋上などの防水施工において広く採用される工法で、その特性から特定の施工環境に非常に適しています。一方で、適用環境によっては大きなデメリットも存在します。以下では、シート防水工事のメリットとデメリットをいくつか紹介します。

シート防水工事のメリット

  • 施工仕上がりにムラが少ない
  • 広い面積でも効率的に施工可能
  • 耐候性に優れている
  • 防水性能に優れている
  • メンテナンスや補修が容易
  • 下地の影響を受けにくい工法がある
  • 耐久性がそれなりに高い

施工仕上がりにムラが少ない

シート防水は、工場で生産された防水材シートを使用します。そのため、防水材の品質が安定しており、現場での施工ミスが発生しにくいです。防水シート自体が防水材としての役割を果たすため、施工後にシート全体が均一な防水層を形成するので仕上がりにムラが少なく、高い防水性能を確保できます。

広い面積でも効率的に施工可能

シートを敷き詰めるだけで広範囲をカバーできるため、特にビルやマンションの屋上など大規模な面積の防水施工に向いています。シート防水は工期が短く済んで施工時間が短縮できるため、規模によっては工事費用も抑えやすいといった利点もあります。

耐候性に優れている

塩化ビニル系シートや合成ゴム系シートは、紫外線や雨風などの気象条件に対する耐性が高く、長期間にわたって防水性能を維持します。ウレタンよりも耐候性に優れているので、風雨にさらされる屋上で採用されています。

防水性能に優れている

防水シートは、塩化ビニルや合成ゴムなどの防水性に優れた素材で構成されており、シートそのものが高い防水性能を備えています。このため、一度施工を行えば長期間にわたり安定した効果を発揮します。

メンテナンスや補修が容易

既存の防水層の上に重ねて施工できる場合が多く、撤去費用などが大きく削減できます。また、定期的なメンテナンスや部分補修などが比較的容易です。メンテナンス時は、シートの接合部の補修が必要になるほか、耐久性を高める目的でトップコートの塗布を行う場合もあります。

下地の影響を受けにくい工法がある

特に機械的固定工法(絶縁工法)は、劣化した既存の防水層の上にも重ねて施工できる工法で、下地と防水シートが直接接触しないため、湿気や下地の劣化による防水層への影響を最小限に抑えられます。

耐久性がそれなりに高い

目安としては、ポリ塩化ビニルで作れている塩化ビニル系シートの場合で10~20年程度、合成ゴム系シートの場合で10~15年程度が一般的な耐用年数となっています。トップコートを塗り直すなど、定期的に適切なメンテナンスを行えば、さらに長持ちさせることが可能です。

シート防水工事のデメリット

  • 複雑な形状には不向き
  • 継ぎ目からの漏水リスク
  • 施工費用が高くなる場合がある
  • 機械稼働による騒音の懸念
  • 高い施工技術が必要
  • 温度変化による影響がある
  • 重量物の負荷に弱い

複雑な形状には不向き

シート防水は平面の施工には適していますが、複雑な形状や細かい部分には対応しにくく不向きと言えます。複雑な施工箇所では工事の時間が延びたり、細かな対応漏れなどによって防水性能が低下するリスクがあります。

継ぎ目からの漏水リスク

シート同士の接合部分が防水層の弱点となりやすく、施工が不十分だと剥がれるなどして浸水し、結果的に雨漏りや漏水が発生する可能性があります。このため、熟練した施工技術が求められます。

施工費用が高くなる場合がある

塩ビシートはゴムシートやウレタンなどよりも材料費が高いため、他の防水材を用いる工法よりも施工費用が若干高くなります。ただし、長期的な耐用年数やメンテナンスコストを考慮すると、コストパフォーマンス自体は優れています。

機械稼働による騒音の懸念

機械的固定工法では、固定ディスクの取り付けなどに伴う作業音が発生するため、住宅密集地や集合住宅での施工時には注意が必要です。養生シートや防音壁などを利用すれば、ある程度の騒音は遮断もしくは軽減できます。

高い施工技術が必要

工場生産のシートを用いるため、施工自体はシンプルに見えますが、貼り付けたシート同士の接合部や端部の処理に高度な技術が求められます。不適切な施工は防水効果を損なう原因になります。

温度変化による影響

寒冷地や温暖地では、急激な温度変化が原因でゴム系シート(加硫ゴム系)が硬化や収縮を起こすことがあります。硬化・収縮によってひび割れや収縮が生じ、防水性能が低下したり、施工時に少なからず影響を及ぼします。一方、塩化ビニル樹脂系シートは、温度変化に対する耐性が高く、耐候性や耐久性に優れているため、厳しい環境下での採用が増えています。

重量物に弱い

シート防水は、軽量で柔軟性が高い反面、重量物による圧力などに弱いです。特に、機械設備などの重量物を長期間載せると、シート防水表面が直接圧迫されることにより、防水層に亀裂や損傷が生じてしまい、漏水リスクが高まります。そのため、重量物を設置する場合には、保護マットを敷くなどの対策が必要です。

シート防水の素材別!メリット・デメリット、費用

シート防水の防水材は主に2種類が存在し、各々に特徴があります。以下では、塩化ビニル系シート(塩ビシート)と合成ゴム系シート(ゴムシート)それぞれの特徴、メリット・デメリット、費用目安などについて紹介します。

施工素材 平米単価 工事費用 耐久年数 工期目安
ゴムシート防水 5,000~7,000円/㎡ 80~130万円(100㎡) 10~15年 3~4日間(100㎡)
塩ビシート防水 6,000~8,000円/㎡ 90~140万円(100㎡) 10~20年 3~5日間(100㎡)

塩ビシート防水(塩化ビニル系シート)のメリット・デメリット

メリット

  • 高い防水性能
  • 耐候性が高い
  • 耐用年数が長い
  • メンテナンスが容易
  • 施工ムラが少ない
  • 広い面積の施工に適している
  • 既存防水層の上から施工可能
高い防水性能

塩化ビニル系シート自体が防水材であり、長期間にわたる防水効果を期待できる。

耐候性が高い

紫外線や雨風、温度変化に強いため、寒冷地や温暖地など過酷な環境下でも耐久性を発揮。

耐用年数が長い

適切なメンテナンスを行うことで、13~15年、絶縁工法を採用すれば20年近く持つ。

メンテナンスが容易

継ぎ目や破損箇所を部分的に補修できるため、メンテナンスがそれなりに容易。

施工ムラが少ない

シート防水材は工場で均一に生産されているため、品質が安定している。

広い面積の施工に適している

広範囲に対応しやすいため、大規模な建物や屋上に向いており、効率的な施工が可能。

既存防水層の上から施工可能

改修工事の場合、既存の防水層を撤去する必要がないため、施工期間とコストを抑えられる。

デメリット

  • 工事費用が高い
  • 複雑な形状に不向き
  • 高い技術力が必要
  • 重量物や衝撃に弱い
工事費用がやや高い

シート防水の施工コストはやや高く、ウレタン防水などと比較して工事費用が多く必要。

複雑な形状に不向き

施工箇所に曲面や細かな凹凸が多い場合、施工が難しく作業に手間がかかる。

高い技術力が必要

シートの接合部や端部の処理などが技術力に依存するため、信頼できる業者の選定が重要。

重量物や衝撃に弱い

飛来物や柵の倒壊などの強い衝撃を受けるとシート防水の防水層が破損しやすい。

塩ビシート防水(塩化ビニル系シート)の平米単価、費用目安

平米単価 6,000~8,000円/㎡
工事費用目安 90~140万円(施工面積:100㎡の場合)
耐久年数 10~20年
工期 3~5日間(施工面積:100㎡の場合)

塩ビシート防水の平米単価は6,000~8,000円で、100㎡規模の工事の場合、費用は約90~140万円が目安となります。施工の効率が高く、工期は3~5日間程度で完了します。

耐久年数は10~20年と比較的長く、特に機械的固定工法(絶縁工法)を採用することで、さらに長持ちするケースもあります。紫外線や温度変化に強く、ビルやマンションの屋上、広い面積の陸屋根に最適です。ただし、複雑な形状の箇所では施工が難しく、専門技術が求められる点には注意が必要です。

ゴムシート防水(合成ゴム系シート)のメリット・デメリット

メリット

  • 工事費用が安い
  • 柔軟性が高い
  • 軽量で施工が簡便
  • 耐薬品性に優れる
  • 初期コストが安い
工事費用が安い

塩ビシートに比べて材料費が安価な場合が多く、予算を抑えたい場合に適した選択肢となる。

柔軟性が高い

優れた伸縮性と弾力性を持ち、地震や温度変化による建物の微細な動きに対しても追従しやすい。

軽量で施工が簡便

防水材が軽量で持ち運びがしやすく、設置における工期も短く、施工時の負担が比較的少ない。

耐薬品性に優れる

ゴムシートは化学薬品や油脂に強いため、特殊な用途や工場などの施設にも適している。

初期コストが安い

塩ビシートに比べて材料費が安価な場合が多く、予算を抑えたい場合の選択肢となる。

デメリット

  • 施工時の加工が難しい
  • 塩ビシートより耐久性が低い
  • 温度変化に弱い
  • 接合部の処理が難しい
  • メンテナンス頻度が高い
施工時の加工が難しい

曲面や複雑な形状への対応が難しく、加工に時間がかかる場合が多いため、施工範囲に制約がある。

塩ビシートより耐久性が低い

塩ビシートより耐久性が低いので、耐用年数が塩ビシートの防水層に比べて短い(10~12年程度)。

温度変化に弱い

寒冷地や急激な温度変化がある環境では、収縮や硬化が発生し、防水層にひび割れや剥がれが生じやすい。

接合部の処理が難しい

ゴムシートの接合部の処理は技術が必要になるため、施工技術が不足していると漏水リスクが高まる。

メンテナンス頻度が高い

外的要因によるダメージを受けやすく、定期的な補修や点検が必要で、長期的には費用がかさむ。

ゴムシート防水(合成ゴム系シート)の平米単価、費用目安

平米単価 5,000~7,000円/㎡
工事費用目安 80~130万円(施工面積:100㎡の場合)
耐久年数 10~15年
工期 3~4日間(施工面積:100㎡の場合)

ゴムシート防水は、初期コストを抑えつつも柔軟性と耐薬品性を兼ね備えた防水工法として、向上などで採用されています。平米単価は5,000~7,000円と比較的手頃であり、100㎡の施工では80~130万円が目安となります。施工期間は3~4日間程度で、短工期での作業が可能です。ただし、耐久年数は塩ビシート防水に比べると短めで、10~15年程度です。

各シート防水材どちらが施工箇所や予算に合っているのか、防水工事の専門業者と相談し、建物の状況に最適な防水工法を採用することが推奨されます。

シート防水と塗膜防水は何が違う?どっちがいい?

防水工事を検討する際、シート防水と塗膜防水どちらがいいのか、工法と防水材の選択に迷う方が多いです。ここでは、シート防水と塗膜防水の違いを解説し、施工箇所や条件によってどちらが適しているかを紹介します。

シート防水(塩ビシート防水等)と塗膜防水(ウレタン防水等)の違い

シート防水(塩ビシート防水等)

シート防水は防水力がある塩ビシート防水材やゴムシート防水材を重ね張りして防水層を形成し、施工箇所において防水効果を発揮させる工法です。施工中に異臭などの心配が少なく、工期が短いです。ただし、複雑な形状にはほぼ対応できないという欠点があります。

塗膜防水(ウレタン防水等)

一方、塗膜防水は防水力がある液体状のウレタン樹脂やFRP防水材を塗り重ねて防水層を形成し、施工箇所において防水効果を発揮させる工法です。複雑な形状でも施工できるなど、シート防水に比べて汎用性が高いです。ただし、塗布した液体状の防水材を乾燥~硬化させる工程が必須なため、工期が若干長くなりやすいという欠点があります。また、施工中には異臭の発生が懸念されます。

以下の表では、塩ビシート防水とウレタン塗膜防水それぞれの特徴を比較しています。

項目 シート防水(塩ビシート防水) 塗膜防水(ウレタン防水)
施工方法 シート防水材を敷設して接着・固定 液状の防水材を塗布して乾燥・硬化
推奨範囲 広範囲(屋上、大型施設、鉄骨・RC造) 狭い範囲、複雑な形状(全ての場所)
施工スピード 短期間で施工可能 乾燥・硬化に時間がかかる
施工中の問題 騒音が発生しやすい 異臭が発生しやすい
防水性能 安定した性能(工場生産シート) 継ぎ目がなく一体化した防水層
耐用年数 10~15年 10~12年
費用 やや高い 比較的安い
平米単価 6,000~8,000円/㎡ 5,000~7,500円/㎡
工期 1~4日間 2日~1週間
メンテナンス 継ぎ目や接合部の補修が必要 トップコートの再塗布が必要

シート防水と塗膜防水、どちらが適しているかの判断基準

どちらが適しているかは、以下のポイントで判断します。

シート防水が適しているケース

  1. 広い面積を短期間で施工したい場合
  2. 耐久性や耐候性を重視する(特に塩ビシート)場合
  3. 大型施設やビルの屋上に施工する場合
結論

広範囲で施工ムラを避けたい場合は、シート防水(塩ビシート防水)が最適だと言えます。

塗膜防水が適しているケース

  1. 複雑な形状や狭い場所を施工する場合
  2. コストパフォーマンスを重視したい場合
  3. 継ぎ目のない防水層形成が必要な場合
結論

複雑な形状や狭い範囲には、塗膜防水(ウレタン塗膜防水)が最適だと言えます。

シート防水と塗膜防水どちらの工法を選ぶべきかは、建物の状況、施工箇所の形状や面積、予算に応じて決定しましょう。信頼できる防水工事の専門業者に相談し、最適な方法を提案してもらうことをおすすめします。

シート防水で発生する経年劣化のサイン5つ

耐久性が高いシート防水ですが、年月の経過に伴い、様々な劣化症状が現れてきます。マンションやビルの屋上などは広い平面に施工されるため、劣化の初期段階を見逃すと、いずれ大きなトラブルに発展する恐れがあります。以下では、シート防水の劣化でよく見られる具体的な症状5つを解説します。

  1. 防水シートの破断・ひび割れ
  2. 継ぎ目や防水シート端部の劣化
  3. 防水シートの剥がれや浮き
  4. 防水シートの硬化・収縮
  5. 水たまりの発生や雑草の植生

1.防水シートの破断・ひび割れ

長い間、建物を外部の環境から保護し続けて経年劣化が進行すると、防水シートに細かなひび割れや破断が徐々に発生しはじめます。

原因

  • 紫外線や風雨による長期間の影響でシートの柔軟性が失われる
  • 寒暖差による膨張と収縮の繰り返し
  • 重量物の設置や人の歩行などによる局所的な負荷

対処

破断やひび割れが確認された場合は、放置せずに補修を行ってください。施工から年数も浅く、小規模な破断であれば部分補修で対応可能ですが、10~15年以上経過していて劣化が広範囲に及ぶ場合は防水層全体の改修が必要です。

2.継ぎ目や防水シート端部の劣化

防水シート同士の接合部や立ち上がり部分など、施工時の継ぎ目や端部で劣化が進行し、躯体への水気の侵入経路となる隙間が発生します。

原因

  • シート間の接合部が接着不良や溶着不良を起こす
  • 継ぎ目部分に雨水が浸入し、湿気や水分が劣化を促進
  • 端部の固定が緩み、シートに浮きが発生

対処

シート接合部や端部の劣化が見られた場合、再接着や補強を行うことで問題を解決できます。これらの箇所は防水工事業者の定期点検時に確認するため、必要に応じて補修を依頼してください。

3.防水シートの剥がれや浮き

下地と防水層の密着が弱まってくると、防水シートが下地から剥がれる、または浮き上がるといった現象が発生します。

原因

  • シート下の湿気や水分が蒸発し、膨れを引き起こす
  • 下地との接着剤の劣化や施工不良
  • 外的衝撃や振動などによる剥離

対処

剥がれや浮きが発生した場合は、防水シートを一部剥がして再接着を行うか、下地処理を含めた再施工を検討します。湿気が多い環境では、脱気筒を設置する絶縁工法を採用することでトラブルを予防できます。

4.防水シートの硬化・収縮

長期間使用された防水シートは、経年劣化によって硬化し収縮する現象が発生します。硬化して収縮することで十分な防水性能を失います。

原因

  • 紫外線や風雨などの外部環境による劣化
  • シートに含まれる可塑剤が揮発し、柔軟性が低下
  • 温度変化や経年劣化による収縮や硬化

対処

硬化や収縮が進行すると補修が難しくなるため、劣化が全体に及ぶ前に部分補修や改修を行うことが推奨されます。広範囲で症状が進んでいる場合は、防水性能が失われている可能性が高いので、防水層全体の全面改修が必要です。

5.水たまりの発生や雑草の植生

屋上やベランダなどで排水がうまく機能しておらず、防水層に水たまりがある状態が続くと、雑草の植生が発生して防水性能が徐々に低下します。

原因

  • 排水口やドレンの詰まりによる水たまり
  • 施工箇所の傾斜不良や地盤沈下による排水の滞り
  • シート表面に堆積した土砂やごみから雑草が生える

対処

排水口やドレンの清掃を定期的に行い、水が溜まらない排水の流れを確保することが重要です。排水勾配が不十分で問題がある場合は、専門業者に依頼して傾斜調整の工事を検討してください。

シート防水で発生する経年劣化のサインを見逃さないことが、防水性能を維持するための第一歩です。防水材の劣化が進行する前に適切な補修や改修を行えば、防水層の耐久年数を延ばせるので建物全体の保護につながります。定期的な点検・メンテナンスの依頼を怠らず、防水工事の専門業者への相談をおすすめします。

シート防水の防水性能を長持ちさせるコツ

シート防水は、広範囲の屋根や屋上に優れた防水性能を提供しますが、その性能を長期間維持するには適切なメンテナンスと管理が欠かせません。以下では、防水性能を最大限に活かし、防水層の寿命を延ばすための具体的な方法を解説します。

  • 定期的に点検を行う
  • 継ぎ目や接合部の補修を早めに対応
  • 排水溝やドレン周りの清掃を徹底する
  • 防水シート表面の清掃を行う
  • トップコート塗装を施す
  • 重量物を直接置かない
  • 水たまりを解消する
  • 経年劣化が進んだら早めに補修する
  • 業者に定期メンテナンスを依頼する

定期的に点検を行う

防水層の状態を定期的に点検をすることは、防水性能を維持し続けるための基本です。年に1~2回、特に梅雨前や台風シーズン前には防水層全体の点検を自身で行い、シートの継ぎ目や端部の異常をはじめ、劣化症状の有無を確認してください。防水工事の専門業者による定期点検では、修繕対応が必要な劣化なのかどうかを含め、細かな箇所まで確認調査が実施されます。

継ぎ目や接合部の補修を早めに対応

シートの継ぎ目や接合部は、雨水が浸入しやすい箇所です。外部要因・経年劣化による剥がれや裂けが発見された場合は、すぐに補修を行い、損傷箇所からの浸水による内部劣化を防ぎましょう。防水工事の専門業者に依頼すれば、接着剤や溶着処理を使用した適切な補修対応を行ってもらえます。

排水溝やドレン周りの清掃を徹底する

排水口が詰まると雨水などの水気が滞留し、水たまりによって防水層に負荷がかかり、膨れの発生や劣化を早める原因となります。2~3週間に一度の頻度で排水口を清掃し、泥やゴミが溜まっていないか確認しましょう。特に、台風や大雨後は特に念入りに点検してください。

防水シート表面の清掃を行う

防水層が経年劣化してくると、シート表面に汚れや苔・藻などが付着しやすくなります。汚れや苔が付着していると、見た目が悪くなるほか湿気や水分の影響を受けてしまい、防水性能が低下する可能性が高いです。定期的に清掃を行い、清潔な状態を保つことで防水層の耐久性と防水性能を維持できます。

トップコート塗装を施す

トップコートは、防水層を紫外線や摩耗から守る役割を果たします。塩ビシート防水においては、トップコートを施工しなくても十分な耐久性がありますが、紫外線や強い太陽熱を日々受けるため、劣化自体は進行していきます。トップコートを塗布することで外的要因から防水層を守り、劣化の進行スピードを遅くできます。5年に一度の塗り替えが目安です。

重量物を直接置かない

重い鉢植えや室外機のような重量物を直接置くと、防水シートの破損や防水層の劣化につながる可能性があります。防水層への影響を防ぐには、ゴムマットや保護シートを敷いて圧力を分散させるなどの工夫が必要です。

水たまりを解消する

水が溜まりがちな箇所は、防水シート表面のみならず防水層の劣化が進行します。勾配が悪いと十分な排水が行われず、ところどころに水たまりができやすくなります。そのため、勾配調整や排水設備の改善を行い、水が溜まらない環境を整えましょう。

経年劣化が進んだら早めに補修する

シート表面や防水層に亀裂・剥がれが発生した場合は、速やかに部分補修もしくは全体改修を行うようにしてください。また、表面の色あせや劣化は、防水層全体の性能低下が進行中のサインであり、早めの対応が必要です。劣化を放置すると防水層から下地、躯体から建物全体に湿気の影響が広がり、修繕費用が増大するリスクが非常に高くなります。

業者に定期メンテナンスを依頼する

防水工事の豊富な実績と知識を有する専門業者による定期的な点検とメンテナンスは、建物を守る防水性能を長期間維持するために実施すべきです。防水工事のプロによる細かな点検によって見落としが防止できる上、劣化があれば適切な修繕・改修対応が可能になります。

シート防水工事の業者を選ぶ際の注意点

シート防水工事の施工品質は依頼する業者の技術によって大きく異なる場合が多く、実績があって信頼できる業者の選定が成功の秘訣です。以下では、シート防水の工事業者を選ぶ際の注意点について紹介します。

  • 施工実績や資格・許認可を確認する
  • 現地調査をしてくれるかどうか
  • 見積もり内容を詳細に比較する
  • 工事後の保証期間や内容はどうか
  • アフターフォロー体制はどうか
  • 施工内容や工法を説明してくれるか

施工実績や資格・許認可を確認する

シート防水工事の施工品質は業者の経験や技術力に直結します。施工実績が豊富な業者は、一戸建てのほかマンションやビルなど多様な建物や条件での経験を持っており、トラブルにも柔軟に対応できます。

また、「建設業許可(防水工事業)」や「防水施工技能士」といった資格や許認可を持つ業者は、一定以上の技術力と信頼性が保証されていると言えます。特に、大規模施設や特殊な条件下での工事を依頼する場合は、同規模で類似する施工実績がある業者を選ぶと安心です。

現地調査をしてくれるかどうか

信頼できる業者は、必ず現地調査を実施した上でシート防水工事の見積もり書を作成します。現地調査では、下地の状態や既存防水層の劣化状況、雨漏りや水たまりの有無、施工箇所の勾配や排水経路などが確認されます。施工箇所の詳細情報がなければ、適切な施工プランや具体的な見積もりを提示することは困難です。

電話や簡単なヒアリングだけで工事の見積もりを作成し、とにかく早く契約させようと誘導してくる業者は避けましょう。

見積もり内容を詳細に比較する

複数の工事業者から見積もりを取得し、使用する防水シートの種類(塩化ビニル系、合成ゴム系など)や工法(接着工法、機械的固定工法など)、施工範囲の詳細、平米単価、工期などを比較しましょう。

特に「防水工事一式」といった曖昧な記載だけの見積もりは注意が必要です。材料費、施工費、廃材処分費、追加費用の発生に関する特記事項などが明記されているかを確認し、不明点は事前に質問して明確にしておくことが重要です。

工事後の保証期間や内容はどうか

防水工事には、施工後のトラブルに備えた保証が付いていることが一般的です。保証期間は使用した防水材や各施工業者によっても異なりますが、材料メーカーが指定する工法や規定で施工した場合の保証期間は通常5~10年が標準とされています。

保証範囲が具体的に明記されているか、また無料補修の条件などがどうなっているかを確認しましょう。保証内容が曖昧な業者や保証期間が極端に短い業者は避けた方が無難です。

アフターフォロー体制はどうか

施工後の定期点検やメンテナンスを実施してくれる業者を選ぶことも重要です。定期点検などのアフターサービスは、業者によっては設けられていることがあります。防水工事の性能を長期間維持するために、点検の頻度や費用、メンテナンス時の対応などを事前に確認しておくことで安心して依頼できます。

施工内容や工法を説明してくれるか

使用する防水材料や施工方法などについて、わかりやすく丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。専門用語だけでなく、図や写真を用いた説明があると、施工内容への理解が深まり信頼性が向上します。一方で、説明が不十分で曖昧な回答ばかりをするような業者には注意が必要です。

シート防水工事を依頼する際に信頼できる業者を選ぶためには、施工実績や資格、現地調査の有無、見積もり内容、保証やアフターフォローなどから総合的に判断する必要があります。丁寧な説明と透明性の高い提案をしてくれる業者を選び、安心して防水工事を進めていきましょう。

シート防水工事に関するよくある質問

  1. シート防水はDIYで自分で補修できますか?
  2. シート防水の大規模改修工事にはどんな工法が適切ですか?
  3. 寒冷地でもシート防水を施工できますか?
  4. シート防水は雨漏りを完全に防ぐことができますか?
  5. シート防水施工後のメンテナンスは必要ですか?

シート防水はDIYで自分で補修できますか?

シート防水の補修は専門的な技術と知識を要するため、DIYによる対応は推奨されません。シートの接合部や端部は専用の接着剤や熱処理(溶着)などで対応するため、DIYでの不適切な補修は防水層の劣化を招き、雨漏り発生のリスクを高めます。もし補修が必要な状況であれば、防水工事の専門業者に依頼するのが最善の選択です。

シート防水の大規模改修工事にはどんな工法が適切ですか?

シート防水の大規模改修工事では、かぶせ工法(カバー工法)が一般的に採用されます。既存の防水層を撤去せずにその上から新しい防水層を施工する方法で、廃材処理や撤去費用などのコストを削減しながら、工期を短縮できます。

また、機械的固定工法を併用することで、湿気や下地劣化の影響を受けにくい防水層を形成できるため、特に改修工事に適しています。改修工事を計画する際は、防水工事の専門業者に依頼して現地調査を行ってもらい、建物の状態や用途に応じて最適な工法を選定してください。

寒冷地でもシート防水を施工できますか?

はい、耐候性の高いシートを使用すれば、寒冷地でも施工可能です。特に塩化ビニル系シート(塩ビシート)は、耐候性や柔軟性に優れており、寒暖差が大きい環境でも安定した性能を発揮します。また、合成ゴム系シートは柔軟性が高く、低温下でも硬化しにくいため寒冷地での施工に適しています。ただし、接着工法を採用する場合は、接着剤が適切に硬化しない場合があるため、冬季施工には十分な配慮が必要です。

シート防水は雨漏りを完全に防ぐことができますか?

適切に施工されたシート防水の防水層は、高い防水性能で建物への雨漏りを防ぎます。ただし、施工不良や経年劣化が原因で継ぎ目や端部から雨水が浸入するリスクも当然ながらあります。防水性能を維持するためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。特に接合部やドレン周辺の状態を確認し、必要に応じて補修を行うことで雨漏りのリスクを低減できます。

シート防水施工後のメンテナンスは必要ですか?

はい、シート防水においても施工後には定期的なメンテナンスが必要です。紫外線や風雨による劣化を防ぐために、塩ビシートでは5~10年、ゴムシートでは5年を目安に接合部の修繕やトップコートの再塗布を行いましょう。年1~2回の点検を行うことで、経年劣化の悪化を抑えながら防水性能を維持できます。

また、排水口やドレン周辺にゴミや泥が溜まると、雨水が滞留して防水層に負荷をかけるため、定期的な清掃が必要です。

まとめ

今回は、シート防水とはどんな防水工事なのか、シート防水の工法種類や費用、メリット・デメリット、シート防水を長持ちさせるコツなどについて解説してきました。

シート防水は、塩化ビニル系や合成ゴム系のシート防水材を使用し、広い面積に効率的に施工できる防水工法です。施工日数の短さからビルやマンションの屋上、工場施設など多くの場所で採用されており、接着工法と機械的固定工法の2つの主な工法は、それぞれの特徴を活かしてさまざまな下地や状況に対応可能です。

シート防水のメリットとして、施工ムラが少ないこと、広い面積を短期間で施工できること、下地の影響を受けにくいことが挙げられます。一方で、複雑な形状への施工や継ぎ目からの漏水リスクなどのデメリットもあるため、施工前の十分な検討が欠かせません。

シート防水の性能を長持ちさせるためには、定期的な点検やメンテナンスが重要です。継ぎ目や端部の劣化、排水口周りの清掃などを怠らなければ、防水性能を最大限に維持しやすくなります。このように、シート防水は正しい施工と適切な管理を行えば、建物の防水性能を長期間にわたって保ち続けられます。

シート防水工事を検討している方は、建物の状態や用途に最適な工法と素材を選ぶためにも、明確な理由とともに判断してくれる防水工事の専門業者に相談することをおすすめします。本記事が、シート防水がどのような工事なのか気になっており、マンションや住宅など所有物件で防水工事を検討している方の参考になれば幸いです。