熊本県の解体工事業者一覧と費用相場について解説
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熊本県の解体工事を巡る状況
熊本県は九州地方のほぼ中央に位置し、福岡、大分、宮崎、鹿児島の4県と接しています。
世界有数のカルデラと外輪山からなる阿蘇は良質な水の宝庫としても知られており、環境庁の「名水百選」には県内から白川水源、池山水源、菊池水源、轟水源の4箇所が選ばれています。熊本県は水道水源の約80%を地下水に依存しており、とりわけ熊本地域はほぼ100%を地下水で賄う全国でも稀有な地域です。
熊本県の政治・経済の中心地として発展を続ける熊本市は、福岡県福岡市、北九州市とともに九州地方に3市ある政令指定都市の1つで、県内総世帯数の約45%が居住する住宅集積地となっています。
熊本市は2019年に市内中心部にある老朽建築物の建て替えを促進し、街全体の耐震化などを進める「まちなか再生プロジェクト」に取り組む発表をし、2020年4月には中心市街地活性化基本計画区域内の建物の建て替えにかかる負担を軽減する財政支援制度を創設しました。
10年間で約100棟の建て替えを目指しており、今後は熊本市を中心に解体工事が頻繁に行われる予定です。
熊本県の解体工事費の相場(平均坪単価)
熊本県では、昭和55年以前に建築された建物の割合が全国平均よりも高く、老朽化問題が潜在しています。
県内で所有する建物の解体工事を考えている方は、損をしないためにも、解体費用の相場、所有する建物の構造、業者を選ぶポイントなどを抑えておきたいところです。熊本県の解体費用相場は首都圏などと比べると比較的安めですが、県内でも都市部と郊外では解体費用に差が出るケースもあります。
また、建物の解体費用は、「木造」「鉄骨造」「RC造」のどの構造かによっても解体費用が異なります。ここでは、建物の構造ごとの解体費用相場、業者に依頼する際の注意点等をご紹介します。
木造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | 8.7万円 |
20〜29坪 | 2.3万円 |
30~39坪 | 2.3万円 |
40~49坪 | 2.0万円 |
50~59坪 | 2.1万円 |
平成28年に発生した熊本地震により甚大な被害を受けた熊本県では、全ての市町村で耐震基準を満たしていない木造住宅の耐震改修設計・耐震改修工事にかかる費用の補助を行っています。
また、阿蘇市、合志市、玉東町、芦北町を除く41市町村で、耐震性がない住宅を解体し、同じ敷地で建替えるための工事費の補助を行っています。熊本県内で木造住宅の解体工事をお考えの場合は、条件に該当するかどうか市町村の窓口で確認することをおすすめします。
熊本県で木造建物を解体する場合、費用の相場は30坪の住宅で約70万円です。ただし、この金額は建物のみを解体する場合の費用で、敷地内にあるガレージや庭木等も解体・除去する場合は別途費用が加算されます。また、隣家との間隔が狭い、建物に面する道路が狭いなど条件が良くない場合は、重機の搬入等が困難になるため費用も高くなる傾向にあります。
業者との打ち合わせの際には、建物の解体費用だけでなく付帯工事の費用についても忘れずに確認しておきましょう。
鉄骨造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | |
20〜29坪 | |
30~39坪 | |
40~49坪 | 1.4万円 |
50~59坪 |
鉄骨造の建物には、オフィスビルや店舗等が多くみられます。熊本県では、熊本市で予定されている再開発プロジェクトをはじめ、県内各地で老朽化の進んだ鉄骨造の建物の解体工事が行われる予定です。
解体工事の対象となる鉄骨造の建物は昭和40年~50年代に建てられた古いものが多く、こうした建物にはアスベストが使用されている可能性もあります。吹付け石綿、石綿を含有する断熱材などの特定建築材料が使用されている建物を解体する場合、工事の発注者又は自主施工者が作業開始の14日前までに届け出をしなければなりません。
また、熊本県は、民間建築物のアスベスト改修を行う市町村への支援を行っています。お住まいの市町村に補助制度が創設されているかについては、市町村の窓口にお問い合わせください。
解体業者によってはアスベストの除去作業に対応していないこともあるため、解体を依頼する際はアスベスト除去の経験や実績があるか、また費用はどのくらいかかるのかをしっかり確認しておくことをおすすめします。
RC造の解体費用相場
坪数 | 坪単価 |
---|---|
10〜19坪 | |
20〜29坪 | |
30~39坪 | |
40~49坪 | |
50~59坪 | 5.6万円 |
RC造とは鉄筋コンクリート造の建物のことで、鉄骨の枠にコンクリートを流し、熱に弱い鉄骨と引張力に弱いコンクリートのお互いの短所を補うことで強度の高さを生み出しています。主にマンションや団地、大規模なビル等に見られる構造体で、解体する際は多くの工程や人手が必要になり、費用も高額になります。
上記に掲載した費用はあくまで相場のため、解体する建物の立地条件や付帯工事の有無によって安くなることもあれば、反対に割高になってしまうこともあります。そのため、正確な見積もり金額を知るには、業者に現地調査をしてもらうことをおすすめします。
また、業者によって金額に差が出るケースも考えられるため、複数の業者から見積もりを取って比較すると、より金額を安く抑えることができるでしょう。
RC造の建物は大規模なものが多く、解体する際は騒音や振動、粉塵の飛散など、周辺の建物や住民にも影響を及ぼします。そのため、解体工事の着工前に近隣住民に周知するなどの配慮が求められます。RC造の解体工事を依頼する際は、建設リサイクル法に基づいた適切な解体、丁寧な近隣への対応ができる経験豊富な業者を選ぶことが重要です。
熊本県で実際に行われた解体工事の費用事例
建物解体工事以外の案件や飲食店などの内装解体を行いたい方は、前述した費用相場を見てもピンとこないことでしょう。そこで、解体工事見積もり広場へご相談頂き、実際に受注にいたった案件の費用事例を随時ご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 熊本県における解体工事の費用事例は現在作成中となっております。
熊本県で設備解体工事を依頼する前に知っておくべきこと
店舗やオフィスの設備を解体する工事の総称は内装解体
設備解体工事といっても人それぞれ認識が異なることが多く、業者への見積もり前にあらかじめ理解を深めた上で依頼することが大切です。
ここでは、主に店舗やオフィスで依頼することがある工事の種類や名称、その内容の違いなどについて解説していきます。
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内装解体
内装解体とは、スケルトン工事や原状回復工事の総称です。
具体的には、スケルトン工事や原状回復工事を行う際に、店舗・オフィス内の造作物(厨房設備やカウンターなど入居時になかった物)を解体して撤去する作業のことを言います。
スケルトン解体工事
スケルトン解体工事とは、建物の構造体以外は何もない状態へ戻す工事の名称です。
入居時の内装工事で造作した間仕切りや天井、壁や床などの造作物を全て撤去していきます。鉄筋コンクリート造のビルなどの場合、コンクリート打ちっぱなしの状態と表現されます。
スケルトン工事、スケルトン仕上げ、スケルトン戻し、などと呼ばれることがありますが、そのどれもスケルトン解体工事のことを指しており、意味は同じとなります。
原状回復工事
原状回復工事とは、店舗やオフィスなど物件を借りた際の元々の状態にまで戻し、貸主に返却するために借り主が行う工事です。
物件を借りた時点でスケルトン状態だったのであれば、原状回復工事はスケルトン工事となり、そうでなければ造作物など後から付けたものを撤去する工事となります。
例えば、飲食店など店舗として物件を借りる場合、スケルトン状態で借りていることが多く、オフィスや事務所として借りる場合、スケルトン状態ではないケースが多いでしょう。
※物件を借りた際の契約書に解約時の原状回復工事内容について記載されています。
設備解体工事
設備解体工事とは、一般的に工場などの設備を解体するプラント設備解体工事を指す場合がほとんどです。店舗やテナントの場合、借りた際にはなかった厨房などの設備を解体・撤去する工事の名称としてはあまり使われません。
そのため、飲食店などの店舗を移転・閉店する際に厨房設備などを撤去・解体したいのであれば、多くはスケルトン解体工事を依頼することになるでしょう。
また、飲食店の改装などで現場を解体・撤去してスケルトン状態にするために、消火用設備電源装置などの消防設備工事も必要なケースがあります。そういった場合は消防設備工事業務、整備業務、点検業務も同時に対応可能な解体業者に相談してください。
まずは間違いを起こさないために、賃貸借契約書などで解約時の工事内容について確認した上で、解体業者に見積もりを依頼しましょう。
熊本県の空き家の種類と件数
全国的に空き家の増加が話題となっていますが、急速に人口減少が進む熊本県でも空き家の増加は避けて通れない問題です。ここでは、熊本県の空き家の種類や件数、空き家対策などについて紹介していきます。
総務省統計局が5年毎に発表している住宅・土地統計調査によると、平成30年の熊本県の空き家総数は111,900件、空き家率は13.6%でした。前回(平成25年)の調査と比べると、空き家総数は約3,000件減少、空き家率は0.7ポイント低下しています。
空き家の内訳を見ると、「賃貸用の住宅」が41,400件、「売却用の住宅」が2,900件、「二次的住宅」が3,200件、「その他の住宅」が64,400件で、長期にわたり不在の住宅が空き家全体の約57.6%を占めています。
熊本県の空き家が5年前と比べて減少した要因は、平成28年に発生した熊本地震の影響によるものと考えられます。地震により老朽空き家が倒壊または半壊したことや、空き家バンクに登録された住宅を被災者に応急借上住宅として貸与する自治体があったことから、一時的に空き家が減少したのでしょう。
一方で、「その他の住宅」に関しては、平成20年が約46,000件(45%)、平成25年が約60,000件(52.6%)、平成30年が約64,000件(57.6%)と、一貫して増加傾向にあります。全国の空き家総数に占める「その他の住宅」の割合が41.1%という数字から見ても、熊本県には賃貸・売却市場に流通しない空き家の割合が高いことがわかります。
熊本県は全国よりも約10年先行して人口減少の局面に入り、さらに2003年には出生数が死亡数を下回る自然減の状態に転じました。人口移動の状況を見ると、15歳から24歳の転出超過が極めて多くなっており、この理由は、進学や就職等を理由に県外へ転出する人が多いためと考えられます。実際に、文部科学省の調査によると県内高校卒業者で県外の大学に進学する割合は半数以上、県内高校卒業者の県外就職率は全国6位という高い水準にあります。
子どもが親元を離れて県外に進学・就職し、そのまま県外で世帯を持つケースが多いため、親世帯が亡くなる、または施設への入所や入院により所有者が不在になった住宅を継ぐ人がいなく、空き家が多くなっているのでしょう。
空き家は定期的に管理をしていれば問題はありませんが、遠方に住んでいて管理が困難などの理由により適切な管理を行わないと、建物が劣化し倒壊の恐れや景観を損ねるといった問題が出てきます。
熊本県の空き家のうち31,500件が何らかの破損等のある物件で、そのうち21,200件が「その他の住宅」に分類される建物です。更に、建て方別で見ると、一戸建てが18,800件、長屋建が800件、共同住宅が1,500件、その他が100件で、劣化が進んだ建物の多くが一戸建て住宅ということになります。
熊本県では空き家が増加している状況を受け、平成28年から「熊本県空き家活用促進モデル事業」を実施しています。これは、地域活性化のため宿泊施設や交流施設等として利用するために空き家を取得、改築、増築等を行う場合、自ら改修等を行う市町村または民間事業者に補助金を交付する制度で、空き家を有効活用すると共に持続可能な地域づくりを推進しています。
また、「熊本県移住・定住ポータルサイト」を開設しており、サイト内で各市町村の空き家バンク情報や住宅取得補助制度の紹介を行っています。
まとめ:熊本県の家・空き家の解体は地元の解体業者に相談を
熊本県の空き家は、熊本地震の影響により一時的に減少に転じましたが、利用目的のない「その他の住宅」に関しては一貫して増加傾向にあります。
若者の県外流出が著しい熊本県では高齢化が今後ますます進行すると予想されており、空き家も一層増加することが懸念されます。老朽した空き家は地域の景観を損ねるばかりでなく、地震などの災害時に倒壊して避難経路を塞ぐ恐れなどもあるため、早めの対処が望まれます。
空き家を解体するにはまとまった費用が必要になりますが、老朽化の進んだ空き家を放置しておくと税金が高くなるなど所有者の負担が生じます。熊本県では、空き家の解体費用の補助制度を設けている自治体もあるため、該当する場合はそういった制度を利用して、速やかに解体工事を進めましょう。